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W杯2026観戦記91/104【スペイン×フランス】一粒の勇気がフランス封殺。ヤマルが体現した無敵艦隊の攻撃的守備

GKウナイ・シモンにプレスをかけるエムバペ。0‐2でリードされている状況では通常の対応だったが、そこからがいただけなかった。

思うに任せない試合展開に溜まったフラストレーションをぶつけてしまう。GKシモンに不要な肘打ち。当然、イエローカードを提示される。

どれだけ優れたタレントでも冷静さを欠けばプレーの精度は落ちる。スペインとしてはしてやったり。思う壺にハマったエムバペは、その後に得たゴール前でのFKも枠外に外してしまう。

つまり、ラフプレーで相手を傷つけた、後半41分にレ・ブルーの命運は尽きていた。チームを預かるリーダーの振る舞いとしては失格。

勝利の女神がエムバペにほほ笑むはずはなかった。

対照的にフォア・ザ・チームに徹したのは、成熟した19歳のヤマル。いかにフランスに時間と空間を与えないか。スペインのプランは明確だった。攻撃的なヤマルも、それを遂行する。

前半22分にオヤルサバルが決めた先制点となるPKは、ヤマルがルーズボールに素早く反応してディニュから奪ったものだった。ゴール前から遠ざける守備プランのひとつとして、ヤマルの前線からのプレスは象徴的だった。チームがやるべき方向性を示していた。

リードを奪ったスペインは、高い守備意識で才能あふれるフランスの攻撃陣を封じる。トラップした次の瞬間を狙い、即座に体を寄せた。パスコースを読み切り、リズムを作らせなかった。後ろ向きの対応は失点のリスクをはらむので、とにかく前から攻撃的な守備を続ける。

フランスはゴール前からセンターラインまではボールを運べたが、スペインの前からのプレスが機能してたことで、攻撃のスイッチを入れるところがことごとく潰された。司令塔のオリーセはダブルチームで対応され、常に監視の目に晒されて持ち味を発揮できない。

スペインに圧倒された前半を終え、迎えた後半もエンジンがかからない。スペインの守備への意識が途切れなかったからだ。水を漏らさない。その覚悟がチャレンジ&カバーの基本的な守備を可能にした。互いの距離が近いのでプレスのハマり具合も抜群。フランスをリズムに乗らせなかった。

「5人目のDF」がスペース消去

コネ、ドゥエ、シェルキとデシャン監督は交代カードを切るが、流れを変えるには至らず。それだけスペインがフランス封じを貫徹したといえる。

最も危険なエムバペが走り込むスペースは、GKシモンが消し去った。この日は守護神というよりも、「5人目のDF」として機能。機を見て前に出るタイミングに優れ、エムバペが大好物のスペースを消去した。中盤を支配したロドリ、前から圧をかけたバエナの献身も見逃せない。

思うに任せないフランスは致命的な2点目を献上。ダニ・オルモとのワンツーであっさり抜け出した、ペドロ・ポロに追加点を許す。これまで通り自分たちのペースで進められていれば、ポロのダニ・オルモへのパスを潰せたはずだ。あるいはポロの飛び出しに付いて行けたが、主導権を全く握れなかったことで強度の高い守備も崩れ去った。

デシャン体制の終焉。無敵艦隊の復活

完勝したスペインは37戦無敗。まさに、ひと頃言われた「無敵艦隊」に相応しいチームに変貌した。カーボベルデとスコアレスドローに終わった初戦から試合を重ねるたびに調子を上げ、優勝候補筆頭のフランスを沈黙させた。

2度目の歓喜へ向けて視界は良好だ。ゴールこそ成らなかったがヤマルのコンディションも悪くない。最高の状態でファイナルに挑む。

完封されたフランスは、デシャン体制の終焉を最悪のカタチで迎えることになった。最後までスペインの前線からのプレスの突破口を見い出せず、センターバックの一角サリバの負傷交代というアクシデントも重なり、見どころさえ作らせてもらえなかった。

彼らにとってスペースは最高の御馳走。それを熟知したスペインは11人が組織的に動き、巧みに消し去った。自由も奪われ、リズムを作れぬまま、大会を去ることになったフランス。個性の異なる攻撃陣がそろっても、ボールが渡らなければ宝の持ち腐れ。スペインの攻撃的守備が、彼らを無力化した。

引いて守らずに、前に出て守る。一粒の勇気が勝機を手繰った。

思いのままに。続けます。今日も呼吸ができた。ありがとう!

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