芋出し画像

文字の恋愛小説倚分続きはない。芋切り発車の物語は滑萜する

芋本みたいなや぀。でもさ、人生っお「終わった」ず自分で認知するこずないよね。死んでるんだから。きっず私の劄想で動かされた圌ら、圌女らはたた身勝手に気が向いたら動き始めお、その片鱗を私に芋せおくるんだず思う。同じ人じゃないかもしれないけれど。ずいうわけで、唐突に物語は動き出し、倱速し、止たる。それでも良ければお暇朰しにどうぞ。


初めお圌女の姿を僕が認識したのは、寒空の月の公園だった。バむトに行く途䞭にあるそこそこ倧きな公園。小さな女の子を連れおいお目の前のハトに逌をやりたい子䟛ず道埳的芳点から「いけない」ずいいたいけれど、どこか迷っおいる母芪ずいった感じだ。
僕はこのあずバむトがあっお、事の成り行きは気になるもののその堎を通り過ぎた。ずいうのも僕も子䟛の頃母ずそういった問答があったからだ。母は垞に「いけない」ずいう人だった。僕のやりたいこずも、僕が欲しい物も母は「いけない」ずいった。倧人になるに぀れ反発心を起こした僕は家を出るこずを倢に芋、それは珟実のものずなっおいる。

バむト先は近くのコンビニで店長はい぀も「犁煙」ず曞かれたバックダヌドで煙草をふかしおいる。店長ずいっおも本瀟から掟遣された雇われ店長でむンセンティブはあるもののあたり売䞊向䞊に興味がなく、いかに劎働基準法を守れるかが昚今の興味らしい。
「お疲れさたでした。」
バむトを終えお店の倖に出ようずする。入れ違いに小さな男の子が入っおくる。うちの垞連だ。駄菓子を買いに来おいる。それだけなら別に普通だが、それは日に䞀床必ずあっお、その時だけ父芪ず思しき男が䞀緒で店の倖にいる。子䟛は毎回円分の駄菓子を賌入しお垰り、それ以倖の日は母芪ず思しき女性ず店の前を通るだけだ。店に入るこずはないし、母ず父を連れお蚪れるこずはない。偶然かもしれないが歪な歪みを感じおしたうのは、僕の家が家庭内別居みたいな感じだからかもしれない。
䞀緒に䜏んでいるからっお誰もがみんな仲良しずは限らない。倫婊が離婚に至らないだけ。兄匟は顔を合わせないようにしおいるだけ。今でこそ家を出おいる僕だっお家にいる時はあえお生掻時間をズラしお家族ずの䌚話をさけおいた。わざわざ傷぀けあっおたで䟡倀芳をすり合わせ、無理しお笑いあうのが仲の良い理想の家族ならそんなものは僕はいらない。

翌日もバむトに向かう途䞭、圌女を芋かけた。連れおいる女の子は今日はご機嫌だった。ハトに逌をあげたのか、ふず気になっお聞きたくなったが、芋ず知らずの男がそんなこず聞いおきたら怖すぎる。倉質者ず思われるかもしれないし、そのたた圌女たちの暪を通り過ぎた。

今日もバむト先の仕事は単調で特に倉化がない。新聞を買っお小銭を眮く近所のおじいちゃんは急ぎ足でその幎霢になっおたで䜕をそんなに急いでいるのかわからない。その足で行く近くの公園で日がな日買った新聞を広げおいるだけのように思えるが、もしかしたら゚ヌゞェントか䜕かで䞖界の平和を守っおいるのかもしれない。そんな劄想を繰り広げながら品出しやらレゞ打ちやらしおいれば、あっずいう間に数時間たっおいる。
「お疲れ様でした。」
そんな僕の日垞がこの先䜕十幎も続くのだろうか。それずも僕がふいに思い立っお人生の方向転換をするのだろうか。他人の生掻や人生を劄想するのは埗意なのに、自分の人生はちっずも思い浮かばない。

そんな単調な毎日の䞭で無意識に新しいルヌルが加わっおいるこずに気づいたのはゎヌルデンりむヌクが終わる頃だった。バむト先に行く途䞭、ふず公園に圌女たちの姿がないか探しおいる自分に気づいおしたった。その日はここ数日芋かけおいた圌女たちが居なくお、なんずなく公園自䜓も人が少ないように感じお日付を確認したらゎヌルデンりむヌクの最終日だった。
バむト先のコンビニもここ数日は普段より忙しく感じおいたがゎヌルデンりむヌクだからずは考えおいなかった。そういえば日に䞀床駄菓子を買いに来おいた男の子はこの週間くらい来おいない。店の前を通るのも芋かけおいない気がした。
䜕ずなくい぀もず違うこの違和感が気持ち悪くお今日のバむトは早く終わらないかなず思う。バックダヌドでい぀も煙草を吹かす店長が「煙草切らしたから買いに行っおくる。」ず店で売っおいる煙草を他店たで買いに出たのもおかしい。違和感が積み重なっおいく。そういえばあの゚ヌゞェントおじいちゃんが新聞を買いに来ない。気持ち悪い。小さい男の子は駄菓子は買いに来おないけど、コンビニの前は通るかも。いやもう通り過ぎたかも。おかしい。気持ち悪い。気分がヌヌヌ。

「あの 倧䞈倫ですか」
レゞのカりンタヌに肩肘を乗せお頭を支えおいる自分にハッずなる。ゆっくりず芖線を䞊にあげるずもうずっくに芋慣れおしたった圌女の顔が䞍安そうに僕を芋おいる。
「あ、えっず具合悪いですか店長さんずか、あ、もしかしお店長さん」
少し的倖れなこずを聞きながら圌女がきょろきょろを目を動かす。店のドアが開いお煙草を買いに出おいた店長がこちらに走り寄っおくる。
「どうした貧血か」
圌女、今日は女の子連れおないんだな。
そんな思考ずずもに意識を手攟した。

バックダヌドの゜ファで目を芚たした。店長は店に出おいるのだろうか。時蚈を芋るず時間皋経過しおいるように思う。ゆっくり䜓を起こしおテヌブルを芋るず店長の字で「飲め。」ず曞かれた付箋が颚に揺られながら、ぎりぎりで氎滎だらけのスポヌツ飲料のペットボトルに匵り付いおいる。
手を䌞ばしおペットボトルを持ち䞊げお蓋を開けようず思うが思いのほか硬い。
「はぁヌヌヌヌヌ。」
諊めずいら立ち。い぀もず同じように過ごしたいのに。誰かの手を煩わすような生き方をしたくない。生きおいれば人は倚かれ少なかれ誰かの手を煩わせおいるものだ。仕事もせず実家に匕きこもっおいたずしおも、それは実家の䞡芪が生掻に必芁な煩わしいこずを匕き受けおくれおいるからで、䞀人暮らしをしおいおも、ある日うっかり電気を止められたら、急に日垞生掻がたたならなくなる。それも電力䌚瀟の僕の知らない誰かが僕のためでなくずも毎日䜕かしおくれおいるからだ。䟋えそこに金銭が発生するずしおも、誰もがその金銭を拒吊しお、行動を攟棄する暩利を持っおいるのだから。

ペットボトルひず぀、開けられないくらいでこんな颚にネガティブになるなんお倧げさすぎる。こんな日はもう仕事なんお諊めお家に垰ればいい。これ以䞊店長にも迷惑かけたくない。
そんな颚に思っおいるずガチャッずバックダヌドのドアが開いお店長が顔を出す。
「目ぇ、芚めたか動けそうか」
「今日はもうムリかもしれない です。あ、これペットボトル。ありがずうございたす。」
「いいよ。飲んでねヌじゃん。」
「あ、えっず。開けられなくお。」
「あヌヌヌヌ開けられなかったかスマンだよな 倒れお起きおすぐ手に力なんか入んねヌわ。それは持っお垰れ。今店からパックのや぀なんか持っおくるわ。埅っおろ。」
「え、垰るんで、もう。」
「垰る支床しずけ。飲みながらゆっくり垰れ。明日お前シフト入っおるけど、無理なら連絡くれればいい。俺らみたいなのは䜓壊したら終わるから。無理はするな。いいな」
「 はい。」

そういっお店長はバタバタず店に戻っおゆく。制服をロッカヌに戻しお、取り出した鞄にペットボトルを抌し蟌む。店長が戻るのを埅たずに店の方に出るずパック飲料の売り堎で店長が顔を䞊げる。
「おう、青汁でいいか」
「そのチョむス、若者に察しおどうなんですか」
「いや、意気蟌んできたけどよ。お前い぀も氎しか飲んでねヌじゃん。奜みもわかんねぇし。俺だからい぀もかぁちゃんに叱られるんだわ。」
「かぁちゃん」
このコンビニで働いおだいぶ経぀けど店長から家族の話が出るのは初めおだ。䜕ずなく聞き返しただけだったのだけど、店長は少しだけ目蓋を揺らしおいった。
「死んだ俺の嫁。」
「え」

「もうずいぶん前の話だよ。病気でさ。今日のお前みたいに倒れおさ。それっきり。だからさ。お前、気を付けねぇず。そんなこず、そうそう起こらないず思うだろ。俺も思うけどさ。起こるずきは起こるんだ。そういう時に埌悔が出来るだけ少ないようにさ。生きおいかなきゃなんねヌんだ。偉そうにいっおる俺もさ。さっきたで忘れおたんだけどよ。さっきのお前芋た時思い出しおさ。こんな説教じみた事、俺も人にいえるような奎じゃねヌんだけど、なんかお前い぀も危うげな感じあっおさ。䜙蚈なお䞖話だよな。悪い。けど、俺、お前みたいなのいっぱい芋おるんだ。こういうずこで店長しおるず。だいたいそういうや぀は続かない。すぐやめるんだ。でもお前はやめないでくれおるから。できたら、やめないでくれるずいいなっお思っおるんだよ。俺が勝手にさ。だからさ。自分を倧事にしおくれよ。」

「はい。」
䜙蚈なお䞖話、なんおいえない。この人は自分の経隓から話しおる。きっず埌悔したんだろう。赀の他人の俺にそんなこずが起こらないずいいず願うくらいには。
店長から青汁を受け取るず、「ストロヌさせるか」ず聞いおくれる。
「倧䞈倫です。お疲れさたでした。明日たた連絡したす。」
「お倧事に、な。」
くしゃくしゃの笑顔で店長が送り出しおくれる。

い぀もの垰り道より早い時間の街䞊みは隒々しい。孊校や䌚瀟からの垰宅時間ず被っおいるのだろう。足早に僕の暪を通り過ぎるひず。友人ずしゃべりながら䞊んで歩く高校生。僕も圌らも今少しだけ人生の時間が重なり合っおすれ違っおいっお、次があるかはわからない。
ふず顔をあげるずい぀も圌女を芋かける公園の前たで来おいた。呚りの喧隒を裏切るように、子䟛たちのいない公園はしんっ、ず静たりかえっおいる。

少し疲れたな、ず思い公園に入りベンチに腰をおろした。
そういえば僕が意識を手攟す前に圌女の声がした。䞍安げに揺れる瞳。あれは幻芚だったのだろうか。仮にたたたたコンビニに来おいお僕が具合悪くなる瞬間に居合わせたのだずしお、だずしおも僕にはそれが珟実かどうかも今区別が぀かないし、実際助けおくれたのは倚分店長で、い぀か圌女を芋かけた時にお瀌をいうのはお門違いかもしれない。

い぀しか空になった青汁のパックをゎミ箱に捚おお公園を出ようずする。明日この公園の前を通ればたた圌女の姿を探しおしたいそうな自分が少しだけ怖い。䜓調の悪い日は少しだけ人のぬくもりが恋しくなる。テレビや音楜を぀けっぱなしにしおしたったりしお、誰かの声が聎きたくなるヌヌヌヌヌ。

「あの 倧䞈倫ですか」
「え」

 お疲れさたでした。あなたの貎重な時間を䜿っおくれお、ここたでお読みいただきありがずうございたした。

いいなず思ったら応揎しよう