『日に焼けた水着のあと』
#風まかせ文芸部参加作品
🌿まえがき
「夏の音」と聞いて、思い出したのは――
何もしてないのに、ちゃんと夏だったあの日。
泳いでないのに、水着のあとがくっきり残った午後。
思い出の中で、あの扇風機の音が、今もずっと回っている。
本文:日に焼けた水着のあと
どこまでも続く青い空、どこまでも続く青い海、
どこまでも続いてほしい夏休み。
友だちと海水浴に来たのに、誰も海に入らない。
海の家の扇風機の前から動かない。
でも、なんか楽しい。
友だちが一人、海に挑みに行く。
「おいでよ。」と誘う声がするけど、みんな、聞こえないふりをしてる。
「海、綺麗だね。」
「うん、海は眺めるものだよね。」
「そうそう、泳ぐとこじゃない。」
「なんで、海に来たの?」
「うん、眺めるため。」
「それも、いいね。」
「お昼寝しようか?」
「うん、寝よう」
海の家で、昼寝をする私たちを見て、観光客たちは頭をひねり、海へと向かう。
日が少し和らぎ、私たちは海の家を出て、家まで歩いて帰った。
泳いでいないのに、水着のあとが残ってた。
夏の音は、かき氷、すいか割り、扇風機、だね。
あー、もうすぐ花火大会。
夏の音に花火も入れよう。
「うん、でっかい花火、今年も見れるかな。」

☀️あとがき
この話、実は本当にあったことなんです。
私は奄美大島で育ちましたが、海がすぐそばにあるのに、
子どものころから「海は眺める派」でした。
泳がなくても、水着は着る。
そして焼ける。
気がつくと、ちゃんと「水着のあと」だけが残ってる。
そんな私の夏の記憶。
誰にでも、**“何もしないけど確かにあった夏”**があるかもしれませんね。
風まかせ文芸部のお題「夏の音」に書かせて頂きました。
お題、ありがとうございます。
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