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世界一うまかったパエリアを再現したら、ミディエになった

トルコのパザルには、いろんな種類のインゲン豆があります。

代表的なのは、たぶん「Ayşe kadın(アイシェ・カドゥン)」。
平べったくて、トルコ料理のターゼ・ファスリエにもよく使う、あのインゲン豆です。

以前作ったアイシェの炒め物。
平たい感が伝わるでしょうか?


でもこの間、パザルでちょっと珍しいものを見つけました。

アメリカでよく見るタイプの、細長いグリーンビーンズ。

トルコでこのタイプを見たのは、たぶん初めてでした。

アメリカでは昔、スーパーで普通に見かけていたやつです。
フレンチグリーンビーンズ(French green beans / haricots verts)ほど華奢ではなくて、サンクスギビングの定番、グリーンビーンキャセロールなんかにも使うような、あのグリーンビーンズ。

※ちなみに、この品種を一生懸命思い出そうとして、ChatGPTにわたしが聞いたのはこんな感じ。

多分代表的なのが あいしぇ だと思うんじゃけど、この間さ、アメリカでよく見るタイプの細長いやつ見つけたんよ。トルコでそのタイプ見たの初めてでさ。アメリカじゃあれかフレンチグリーンビーンズとかいって 確かTかHで始まるだったような、アメリカのグリーンビーンズの華奢な版。

さるぱんちゃん

よくわかったな…。


さて、昔は別にそんなに好きでもなかったグリーンビーンズ。

なのに。

パザルで見つけた瞬間、わたしの頭の中にはパエリア(バレンシア)しかありませんでした。

「半キロください」

とお兄さんに言ったあと、

「やっぱり1キロください」

と言い直しました。

昔はあんまり好きじゃなかったグリーンビーンズを、1キロ。

人間、懐かしいというだけで野菜を倍買いすることがあります。

そして、その足でアクタル(Aktar /トルコのスパイス・漢方系屋さん)に行ってサフランまで買いました。

トルコもサフランの産地として知られています。
なかでも有名なのが、町の名前にも「サフラン」が入っているサフランボルです。
スペインのものより太くて硬めで短い

もう完全にパエリアを作る気です。


わたしが世界で一番おいしいと思っているパエリアは、在米時代に知り合った、パン・コン・トマテを教えてくれたバレンシア出身のスペイン人が作ってくれたものです。


スペイン人の友人の作るパエリアが、本当においしかった。
スペインに何度か行って、バレンシアでウサギのを食べたけど、
あれが一番美味しかった…。

だからわたしの中では、

「パエリアに入っているインゲン豆=アメリカのグリーンビーンズ」

になっていました。

久しぶりにあの豆を見つけた瞬間、もう味まで思い出したような気になったんです。

ところが。

作り方を思い出すためにYouTubeでバレンシア風パエリアの動画を見ていたら、使っているインゲン豆が違いました。

平べったい。

めちゃくちゃ平べったい。

というか、

これ、トルコでいつも見るアイシェじゃん。

Ayşe kadınみたいな豆が入っています。

そこで初めて気づきました。

友人はアメリカに住んでいたから、アメリカで手に入るグリーンビーンズを使っていたんだ。

わたしが「これこそパエリアの豆」と思い込んでいたものは、バレンシアの正式な形ではなく、友人がアメリカで作ったパエリアの形だったのです。

ショック……

わざわざ珍しいと思って1キロ買った豆じゃなくて、いつもそこらへんで売っている平べったい豆でよかったらしい。

でも、もう1キロあります。

サフランも買いました。

作るしかありません。

それなりに必死こいて作りました。

フレッシュトマトを入れて、サルチャも入れて、サフランも入れて。

脂身たっぷりの背中にしました
グリーンビーンズ投入
おこげをトマトのすりおろしでこそぎ取ります。
ええ感じになってきた
サルチャ投入
パプリカ投入
サフラン投入
投入後、白ワインでふやかしました。
使ってしまいたかったşehriye(シェフリエ)も入れた
なんとなく様子がおかしい
もっと黄色にならんといけんのに…

動画を見ながら、昔食べた味を頭の中で探しながら作りました。

そして完成。

食べてみました。

おいしい。

ちゃんとおいしい。

でも。

いつものトルコ料理みたいな味になっていました。

出来上がり

なぜだ。

どこを間違えた。
サルチャを入れすぎたのか。
そもそもサルチャがトルコすぎたのか。
サフランを入れなさすぎたのか。

長いこと食べていなかったから、わたしの中に残っている味の記憶そのものが、かなりぼんやりしていたのかもしれません。

そうして散々考えた末、

「やっぱりパエリア鍋を買わんとダメなんか」

と、最終的には鍋のせいにしました。

料理が思い通りにならないとき、道具のせいにすると心が少し楽になります。
(画像を貼りながら、間違いだらけに気づきました😅)


そこへ夫が帰ってきました。

食べてもらって、感想を聞きました。

夫はしばらく食べてから言いました。

「ミディエみたいな味」

……あ。

言われてみれば、そうです。

ミディエ・ドルマ。

トルコでよく食べる、ムール貝の中に味つきのご飯を詰めたあれ。

サフランを入れてスペインを目指したはずなのに、最終的にトルコのミディエに着地しました。

でも、おいしかったんです。

そこがまた困る。

まずかったら「失敗した」で終われるのに、普通においしい。

ただ、わたしが食べたかったのは、友人のパエリアでした。

長いこと食べていない味を再現するのは、思ったより難しいものです。

レシピだけではなく、そのときどこにいて、誰が作ってくれて、どんな材料が手に入ったのか。

そういうものまで全部ひっくるめて、わたしの中では「友人のパエリア」になっていたのだと思います。

バレンシアの料理を、アメリカで、アメリカのグリーンビーンズを使って作ったパエリア。

それを何年もあとになって、トルコのパザルで見つけた豆から思い出す。

そして再現しようとしたら、ミディエになる。

食べ物の記憶というのは、なかなか素直ではありません。

ちなみに、まだグリーンビーンズはあります。

1キロ買いましたから。

次はもう少しスペインに近づきたいところです。

それでもまたミディエになったら、そのときはいよいよパエリア鍋を買おうと思います。

でも後日、ちゃい(茶)さんのnoteを拝見して、

いろんなバージョンあってもいっか、美味しければ、とも思ったりもしました。


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さるぱんちゃん|アメリカからトルコに移住した人 もしこの記事が、少しでも役に立ったり、何かのきっかけになったら、チップという形で応援してもらえたら嬉しいです。