インド映画に恋してます⑦ かぐや姫と南インド『Prem Leela』——南インドの王様と古典舞踊
🎵 今日の一曲:『Prem Leela』(プレーム兄貴、王になる(原題 Prem Ratan Dhan Payo)より)
ある地域を治めるマハラジャの娘の大ファン、プレーム兄貴は街の劇団で活躍する役者。
秋祭りで上演されるラーマーヤナ物語の劇で得た寄付の一部を、大ファンの王女が活動する団体に寄付する。
しかし——王女の許嫁に瓜二つのプレーム兄貴は、王位を狙う王子の陰謀に巻き込まれ、王女には許嫁と誤解され、事態はとんでもない方向へ。
プレーム兄貴たちが上演する「ラーマーヤナ物語」をギュッと凝縮したのが、今日の一曲『Prem Leela』。
年間500本近く映画を観る私の世界が、ある日 “Dard-E-Disco” でひっくり返った。
それからというもの、映画は観るものではなく——踊るものになった。
——映画に恋して、踊り出した。
シャー・ルク・カーンに惚れて、世界が回り始めた—
初めての発表会も無事に終わった頃だった。
スタジオに新しい告知があった。
「ダンスドラマの役者枠 募集」
私が通うボリウッドダンスのスタジオは2本柱。
ボリウッドダンスと、もう一つはインド古典舞踊のバラタナティヤム。
そのバラタナティヤムチームが取り組むダンスドラマに、役者枠として募集が出たというのだ。
当然のように——
「やります!」と即答した。
インド、ダンス、役者。
この3つのキーワードが揃えば、それはすなわちシャールク・カーンに繋がる。
私の脳はすでに、スタジオで起こる全てをシャールク関連案件として変換するよう設定済みだった。
役はいくつかあった。
「王女」「倭国の王」「南インドの王」……。
当時、私が夢中で観ていたのは『DEVDAS』。
シャールク・カーンとアイシュワリヤー・ラーイの悲恋。
特に、アイシュワリヤが輿に乗って嫁ぐシーンが好きすぎて、通勤の行き帰りで何度も泣いた。

さて、ダンスドラマでの配役。
「王女」はすでに先輩で決まっていた。
私は「南インドの王様」役。
……王女じゃなくてもいい。
だって演じることが好きだ。
いただける役は全部やる!
師匠の説明を聞き、ラーマーヤナの概要を調べた。
昔々、とある王国にシータという美しい王女がいました。
求婚に訪れた王侯貴族たち。
父王の条件は「この弓を持ち上げられた者が娘を娶ることができる」。
皆が挑戦したが弓はびくともしない。
最後に若きラーマ王子が軽々と持ち上げ、なんと折ってしまう。
こうしてラーマとシータは結ばれたのでした。
インターネットで調べているうちに、
「この話は日本のかぐや姫の求婚エピソードに影響を与えた説がある」と知った。
えっ……インド、平安時代から日本に影響与えてたの⁉
すごい。インドは始まりの地だ!!
感動しつつ、私は南インドの王様としての“演技プラン”を練った。
意気揚々と前に出る → いやらしい笑みをシータ姫に向ける →
「中指一本で持ち上げてやるぜ!」と観客を煽る →
指で持ち上げる → 焦る → 両手で頑張る → 焦る…… 完璧だ。
次は「南インドの王様」の見た目研究。
服は?髪型は?
ラーマーヤナの映像を片っ端から見た。
……半裸だ。
言霊とはこのこと。
半裸のシャールクに恋した私が半裸。
まぁ、衣装は師匠の指示に従おう。私は女性だし、一旦忘れよう。
それより大事なのは“雰囲気”。
髭?姿勢?声?
毎日「どうすれば南インドの王様になれるか」を考えるのが楽しくて仕方なかった。
涙目のアイシュのことなんて、すっかり忘れていた。
リハーサルに参加するたびに、
バラタナティヤムを踊るみんながキラキラして見えた。
不思議な動き、不思議なリズム、聞いたことのない歌。
インドにはボリウッド以外にも、こんな踊りがあるのかと初めて知った。
そして——ラーマ王子の物語。
インド映画を語るなら、この神話は“必修科目”だと思った。
今日の一曲『Prem Leela』は、
結婚後に森で暮らすことになったラーマ王子とシータ姫の物語。
だけど、南インドの王様の演技に夢中だった当時の私は、
その意味をまったく知らなかった。
ただ、「どうすれば南インドの王様としてバラタナティヤムの皆さんに貢献できるか」——
それだけを考えていた。
南インドの王様への道は、次回に続く。
みなさんが知っているインドの神様は誰ですか?
(⑧ 貢献?暴走?『Dhushman Mera』(『Don 2』より)——南インドの王様とシャールク・カーン)
