GWにSRDで「ドラム連打ゲーム」作って展示してきた
はじめに
2026/5/3-5/5の3日間、虎ノ門ヒルズで開催された「PLAY PARK」というイベントの1コーナー、「未来のアミューズメントパーク」にて、ドラム連打ゲームを展示させていただきました!
PLAY PARKは、工作ワークショップなど様々な子供向けワークショップが開催されるイベントで、多くの子どもたちに体験してもらいました。
TOKYO NODEのXRクリエイターコミュニティTNXR内で開催された、TOKYO NODE “Spatial Reality Display HACKATHON”に参加し、審査としての側面もある展示でした。

SRD: Spatial Reality Display 空間再現ディスプレイとは、ソニー製の裸眼で視聴できる高精細空間再現ディスプレイです。運動視差と両眼視差の両方で立体空間を表現できます。
作ったもの: 「連打で盛り上げろ!キミのライブステージ」
今回作ったのは、叩けば叩くほどライブが盛り上がっていくというシンプルな連打ゲームです。





3日間でたくさんの方に体験していただきました。 PLAY PARKは工作ワークショップなど親子連れ向けの体験型イベントだったので、特に小学生くらいまでの子供たちに体験してもらうことができました。2日目からカウンターを仕込んでいたところ、2日目: 216回、3日目:275回でした。短い体験だったのでリピーターも多かったですが、体感初日が一番人が多かったので3日間合わせて600人-700人の方に体験いただいたと思います。
ポイント①: シンプルな「連打ゲー」で分かりやすく
今回は、小さなお子さんもいらっしゃるというイベントの性質上、なるべく難しくないシンプルなゲームを作ろうと、「ドラマをなるべく多く連打するだけ」というルールにしました。最初から最後までドラムを叩くだけで進めることができます。

SRDは1人しか立体視できないディスプレイなので、遠くから見たときにも、何をするゲームなのかわかりやすくしたいと思いました。
また、ドラムを叩くという体験自体の満足度を高めたいと思い、今回はなるべく本物のスネアドラムを使うことにこだわりました。

ゲームのルールがシンプルな分、何も説明しなくてもお客さんだけで体験できるような、「手放し運転」を目指して作っていました。 XRの体験は案内するスタッフのオペレーションコストが高くなりがちなので、こういうアテンド要らずで体験ができることも重視しないといけないと思っています。
ワンオペだったったこともあり、実際に放置して遠くからお客さんを観察してみる時間も作りました。

まず最初のチュートリアルでは、ドラムにスポットライトが当たったステージに「たたいてみて!」という表示があります。ドラムを叩くと照明が光り、ゲージが溜まることがわかります。溜めていくと、 20秒でたくさん叩けるという文言が出てきて、連打をすればいいということが伝わることを目指しました。
しかし、たたいてみて!と文字で書いてあっても、どこをどう叩くのか、本当に本物のドラムを叩いていいのか不安で、恐る恐る1発叩いてみたり、展示者に「どうすればいいですか?」と聞かれたり、展示者がいないと立ち去ってしまったり…なかなか最初の一歩が高かったです。特に3歳くらいまでの子供は、親御さんが口頭で「叩くんだって」などと言っても親御さんがお手本を見せるまでもじもじしていたりします。
どうやってどこを叩くのかをもっと分かりやすくし、ある程度叩いたら何が起きるのかの予測をつけさせてあげるような仕掛けが必要だなと思いました。例えば、少なくともイラストをつけたり、ドラム本体に何か表示をしたり、などです。
課題①:「連打ゲー」のキモは、段階を踏んだ達成感をどう演出するか。
連打ゲームでは、夢中で連打したあと、ランクやスコア、演出の派手さなどから感じる達成感を楽しむゲームです。
今回の体験では、客が増える、照明が派手になる、ランクとスコアが上がる、という3点が連打に応じた演出になっています。
体験者のリアクションを見ていると、「もう終わり?」という、カウント終了後の盛り下がりがあり、達成感を演出し切れていませんでした。2日間で3箇所ほどアップデートをしました。
それでも、まだまだ足りなかったなと思っています。シンプルなルールにするからこそ、スコアや演出だけで楽しいレベルで、分かりやすくテンションの上がる演出をしなければいけないと分かりました。
スコアをインフレさせて派手な数字にする
初日は単純に叩いた回数をそのまま人数としてスコアに変換していましたが、2日目以降からは大きな数字の方が派手で達成感が高まるかと思い、どんどん指数関数的に人数が増えていくような計算方法に変更しました。

下3桁で実際に叩いた回数がわかるようにはなっているのですが、「あとどれくらい頑張ればランクが上がるか」「ランキング1位との差はどれくらいか」がわかりにくくなってしまうという点では、素直に人数を表示した方が良かったりするのかもしれません。
ランクを分かりやすくする
最初はランクを表示するだけでしたが、何段階目なのか分からず、どれだけすごいランクなのか分からないので一覧を印刷しました。また、手書きではありますが、ランキングを追加しました。

照明演出を分かりやすくする
当初の予定通り、観客を増やして盛り上げる、照明演出を盛り上げるという演出面でも3日の間でアップデートをしていきました。なかなか演出だけで感動を作るというのは難しかったのですが、最後は火花を派手に上げるなど、わかりやすい演出を心がけました。

ポイント②: リッチな「ライブ空間」をSRDの中に閉じ込める
「空間再現」ディスプレイでどんな空間を再現しようかと考えた時に、自分はやはりライブハウスの空間をSRDの中に閉じ込めたいと思いました。ライブハウスのライティングを活かすために、今回は Unreal Engineで開発をすることを決めました。ライブハウスのモデルは、今までイベントも開催したことがあるBuzzFront横浜の3Dモデルをリモデリングしました。
学び: UEでのコンテンツ制作経験
今までコンテンツをUnreal Engineで作ったことはあまりなかったので、色々学びがありました。例えば今回は観客を大量に生成するということで、Vertex Animation Textureを使ったアニメーション生成や、Niagaraを使った生成・マテリアル制御などを初めてやって学びがたくさんありました。
AIを駆使して開発したので、多くの箇所はなるべくスクリプトで済ませたのですが、Niagaraを組んだりなど手作業が必要な部分も多くあるなと感じました。UIはすべてAIで画像を生成し、イメージ名を指定すれば、ステートに応じて出し分けができるようにAIにスクリプトを書かせました。
学び: DMX照明演出制作経験
今回はDMXで照明演出を作るというのも一つの目標でした。ライブハウスのDMXデータはBuzzFront横浜の実際の会場照明のデータを使っているので、そのまま会場の照明卓に繋ぎ込めば同じ演出がライブハウスでも動くようになっています。
Unreal Engine の DMX ライブラリを活用し、照明演出は DMX コンソールでCueを作り込んだ後、スクリプトから一発叩くごとに 3 種類のCueが順番に切り替わるように実装しています。
今後、バンドの方の演出などでも活用してみたいと思います。
子どもたち・親御さんのリアクションを見ての気付き
子どもたちや親御さんが体験する様子を目の前で観察できるというのは本当に貴重な機会でした。生のリアクションを見て多くの学びがありました。
課題②: 「ドラムを叩く」に勝る感動を作る
生のドラムにこだわったことで、体験前の「叩いてみたい」という引きは確かに強かったです。しかし、体験中にドラムを叩くことの楽しさに対して、SRDの中で起こっているミニチュアライブハウスの盛り上がりによるテンションの上がり方が大幅に負けていたなというのを感じました。
そもそも、ドラムを連打すること自体が大変すぎて、みんな必死な顔で叩いていましたし、SRDの中を覗いている余裕などないのです。笑

少なくとも、「叩く」と「見る」を分けた体験にすべきでした。
今までTOKYO NODEで何回もやってきたように、ドラムを触れるという体験に対してXR体験を重ね合わせることは、遠くから見たときのキャッチーなインパクトによる「体験前のコンテンツへの引き」には強力に効いてくるのですが、体験中にドラム単体に負けない付加価値を出すことはとても難しく、今後も向き合わなければいけない課題だなと実感しました。
課題③: 「こどもがドラムを叩いている姿」が優先されてしまう
子どもの体験中の様子を動画撮影してくださる親御さんがたくさんいるのですが、子どもの顔を映すことを重要視しているため、SRDに背を向けた状態で子どもがドラムを叩いている様子を正面から撮影するような様子が見受けられました。ここも「ドラムに負けているな」というところで、コンテンツそっちのけでドラムを叩いている様子だけを撮影したがる様子が見受けられ、悔しい気持ちでした。
子ども本人が叩いているということはとても大事な要素であり、それを撮影できるように画面の中に体験者の顔を表示するなど、コンテンツ単体でその人ならではの体験になることがとても重要だと感じました。
SRDハッカソン全体への感想・気付き

SRDを使うというテーマの中で、3D空間に対する「インプットデバイス」にとても創意工夫が現れているなと思いました。Leap Motionやゲームコントローラーが第一選択肢としてあった上で、Mediapipe、キーボード、iPadお絵描き、鉄道模型、ドラム、独自コントローラーと、それぞれのインプットデバイスの工夫が見られました。
これだけの台数のSRDが並んで体験できる機会もないですし、SRDを使ったゲームコンテンツも今まで2つくらいしか見たことがなかったので、それぞれの立体感の活かし方がとても面白かったです。
また、それらのゲームを一般の多くの子どもたちに遊んでもらえる機会もなかなかないので、とても勉強になりました。子どもの素直なリアクションが見えたからこそ、不完全燃焼気分になったところもあります。
おわりに
今回得た体験づくりの知見も、技術的知見も次に活かしていきたいと思います。
ドラム単体の楽しさに負けない
体験者の様子とコンテンツを同時に画角に収められる工夫
この2点は特に、引き続き覚えておきたいと思います。
改めて、今回の展示機会をくださった関係者の皆様、遊んでくださった皆様、ありがとうございました。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
