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成瀬シリーズにハマった。そして「人の人生は面白い」と改めて思った

少し前から書店で見かけるたびに、気になっていた本がありました。「成瀬は天下を取りにいく」。宮島未奈さんの「成瀬シリーズ」です。

発売されてから少し時間が経っているので、今さらという感じもあるのですが、ようやく読み始めました。そして、シリーズ1作目を読み終わって思ったこと。これは、面白い。たぶん、このままシリーズを一気に読むことになるのだろうな、と読み終わった時点ですでに分かってしまいました。

なぜ、こんなに面白いのだろう。

もちろん、成瀬というキャラクターそのものが魅力的だから、というのはあります。でも、それだけではない気がします。

最近、私は「人の半生を聞く」ということが、妙に面白いと感じるようになりました。YouTubeでも、お笑い芸人が別のお笑い芸人をゲストに呼んで、その人のこれまでの人生を聞くような企画をよく見ます。これが、本当に面白いのです。

売れるまでにどんなことがあったのか。どうして芸人になったのか。若い頃は何をしていたのか。どんな失敗をしてきたのか。人生のどこで転機があったのか。

本人にとっては、もしかすると何気ない出来事だったのかもしれません。でも、それまで知らなかった人の人生を少しずつ知っていくと、「この人、こんな人生を歩んできたんだ」と、その人を見る目が変わってきます。

もちろん、芸人さんの場合は、そもそも個性的な人生を送っている人が多いということもあるでしょう。そして何より、聞き手の芸人さんが話を引き出すのがうますぎる。「そんなことがあったんですか」と聞かれたら、こちらまで続きを聞きたくなってしまいます。

それでも、やっぱり思うのです。

人の人生って、面白い。

どんな人でも、たいてい、その人の人生を聞けば面白いんじゃないかと思うんです。これまでどんなことを経験して、どんなことを考え、どんな選択をしてきたのか。

そう考えると、俄然、人の人生に興味が湧いてきました。

そんなことを感じている、今日このごろです。


そう考えると、「成瀬シリーズ」が面白い理由も、少し分かる気がします。

成瀬は、もちろん実在する人物ではありません。小説の中の人物です。それなのに、読んでいると、まるで本当にどこかに成瀬という女性が存在しているように感じます。

一人称で成瀬自身の視点から描かれることもあれば、周囲の人物から見た成瀬が描かれることもあります。その視点が変わることで、「成瀬って、こんな人なんだ」と少しずつ人物像が立ち上がってくる。

本人が自分をどう思っているのか。周囲の人からはどう見えているのか。その両方を読んでいるうちに、一人の人間の人生を少しずつ覗いているような感覚になってきます。

これが面白い。

派手な事件が次々に起こるわけではありません。ものすごい才能を持った主人公が、世界を救うわけでもありません。それでも、一人の人間が何を考え、何を選び、誰と出会い、どんなふうに生きていくのか。そこに興味を持ってしまう。

考えてみれば、これって「人の半生を聞くこと」と同じなのかもしれません。

実在する人の人生を聞くのか。小説の中の人物の人生を読むのか。そこには違いがあります。でも、「この人は、これまでどう生きてきたんだろう」という興味が生まれるという点では、意外と近いのではないでしょうか。

だから私は、成瀬の物語に引き込まれたのかもしれません。

そして今回、もう一つ新しい体験をしました。

シリーズ2作目の「成瀬は信じた道をいく」から、初めてAmazon Audibleを試してみました。これがまた、思っていた以上によかった。

いわゆる「耳で読む」という体験です。

最初は、本を耳で聴くことが読書と言えるのかな、くらいに思っていました。ところが実際にやってみると、これが便利です。車を運転しているときにも聴ける。ウォーキングをしながらでも聴ける。ジムでトレーニングをしながらでも聴ける。

今まで「本を読む時間」だったものを、別の時間と重ねられるようになります。これはかなり大きい。

そして、実際に使ってみて特に良いと思ったのが、朗読です。声優の方が登場人物を演じながら読んでくれるので、単純に文章を読み上げてもらっているのとは違います。会話の場面では、声の違いによって人物の存在感が出てきます。小説を目で読むときとは、また違った形で物語が入ってくる。

そして、もう一つ。目が疲れない。

紙の本でも電子書籍でも、基本的には目を使います。もちろん、それが読書の楽しさでもあるのですが、長時間になると多少は目が疲れます。それが耳なら必要ありません。

歩きながらでも、運転しながらでも、身体を動かしながらでも物語を楽しめる。「読書」というものの形が、少し広がったような気がしました。

成瀬シリーズを読み始めたことが、単に「面白い小説に出会った」というだけで終わらなかったのは、ちょっと面白いところです。

成瀬という一人の女性の物語にハマり、その流れで「人の人生って、やっぱり面白いな」と改めて思った。そして2作目では、Audibleという新しい読書スタイルまで試すことになりました。

本を読むこと自体は昔からある行為ですが、読み方は少しずつ変わっていく。紙の本、電子書籍、そして耳で聴く本。どれが一番いいということではなく、そのときの自分の状況に合わせて選べばいい。そんなことにも、今回気づきました。

きっと作品によっては、Audibleとの相性がよくないものもあるでしょう。そういうときは、電子書籍や紙の本を読めばいい。とにかく、「読む」という行為に新しい強い選択肢が生まれたことが素晴らしいと思いました。

まずは、このまま成瀬シリーズを最後まで読んでみようと思います。そして、シリーズを読み終わったら、宮島未奈さんの他の作品にも手を出してみたい。

いい作品に出会えると、それだけで次に読む本が増えていきます。そして今回は、読む作品だけではなく、「読む方法」まで広がりました。

これは、なかなか嬉しい発見です。

さて、成瀬はこの先、どこまで行くのでしょうか。

そして私は、次にどんな本に出会うのでしょうか。

しばらくは、成瀬の人生を追いかけてみようと思います。

Sakak

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