ゴーヤが黄色くなるころ
いったいいつまで暑いんだろう。毎日暑い。だけどだんだん日は短くなっているし、職場のゴーヤも大きくなる前に黄色くなってしまう。
野菜だって旬を過ぎれば育ちが悪くなる。毎年ゴーヤを見ながら、夏の終わりが近づいていることを感じる。

朝に弱い私は毎朝夫めがねさんに起こしてもらう。以前からずっとそうだったわけじゃない。こんな私にだってちゃんと早起きして娘のお弁当を作っていた毎日があった。
いつからだろう。
めがねさんより先に起きることができなくなったのは。
電鉄マンの彼は時間厳守。なんなら「予定時間より早く」がモットーだ。それに反して私は「時間に対する概念は人によって違う」なんて哲学者みたいなことを言って、まるで遅刻することは悪ではないかのように振る舞う腐った人間だった。何度もめがねさんから「時間にルーズなのは人から信頼されない」と注意され、そのたびに「それは君のモノサシなんだよ」と反抗し、キレられていた。
そんな私もいっぱしの50代。子育てを通しそれなりに余裕を持って行動ができるようになった。それでも他の人よりは時間感覚が緩いとは思うけど、今日も私は一生懸命生きている。
だけど、人はいつしか過去の自分に戻っていくのかもしれない。子育てが終わった途端、意地でも起きて何かをしなくてはいけないということがなくなり、また朝起きられない人になってしまった。
今日もめがねさんに寝室のドアを勢いよく開けられた。
「おい!!今日55歳のオレ様は仕事に行ってくるぞ!!」と大声を張り上げている。
「はい!!ごごご、ごじゅうごさい、おめれとうござますっ!!」
昨日までは覚えてたんだよ、誕生日。
ほんまやで。
足の故障やいろいろあったせいで約2年走れなかったけど、最近また2人でランニングをするようになった。めがねさんはそのおかげで7キロ減量したらしい。私は全く減っていない気がする。そのことを言うと「お前1人の日、絶対米2合食ってるやん」と返してくる。
食ってへんわ。1.5合や。
昨日の夜のランニング中、久しぶりにこけた。
受け身もうまくなったおかげで、どこも強打することなくケガもしなかった。背中から着地すれば、たいていなんてことない。
アスファルトに寝転ぶ非日常。こんなに汚れた夏の空気でも夜空は綺麗だった。
「おい。ふけってんじゃねえよ」
めがねさんの声で我に返った。
なぁ、めがねよ。
たまにはアスファルトに寝転んでみ?
夏の夜空もまぁまぁ綺麗だぜ。

