2か月後に20歳になる
「おとうさん、誕生日まであと2ヶ月だよ。20歳になるからね。誕プレ、何をもらえるの?」
三男のコウタが、どこか誇らしげに言ってきた。 ただの誕生日ではない。いよいよ、20歳になるのだ。
一体、何を贈ればいいのだろうか。 本来であれば、20歳の節目に渡すはずだったフミコの形見の時計は、すでにコウタの手元にある。
「おとうさん、この時計つけていっていい?」 そう言われたのは、彼が大学生になった時だった。
三兄弟の中で、一番おしゃれなコウタ。 「20歳の記念に渡そうと思っていたんだから、まだ早いんじゃないか?」 そう伝えても、本人はどこ吹く風だ。
「お父さんとお母さん、二人からのお守りだからね。大事に使うんだよ」 そう言って手渡したあの時から、彼はその時計を大切に身につけている。
それなら、もう特別なプレゼントはいらないのだろうか。 ふと浮かんだのは、コウタが好きなブランドのパンツだった。
それも普通には履かない。あえてジャストサイズではなく、ダボっとした大きなサイズで履くのだ。親の目から見れば「少しだらしなく見えないか?」と思ってしまうのだが、コウタは嬉しそうに言う。
「お父さん、これがええねん」
20歳になる息子の好みを思い浮かべながら、「何がいいかな」と悩む時間そのものが、私にとってもかけがえのないプレゼントなのかもしれない。
😩〜ため息〜
ふう、と小さいため息が出る。自分へのため息が「どうも上手くいかないな」と思う自分と、「いや、十分に上手くいっているじゃないか」と問い直す自分。二つの気持ちが心の中でせめぎ合っている。
2014年11月に父子家庭支援の「NPO法人 京都いえのこと勉強会」を設立し、2025年3月末まで走り続けて解散した。活動の中で「自らの経験を発信すること自体が、父子家庭の支援になるんだよ」と言われた言葉が、ずっと胸に残っている。
だからこそ、NPOを解散してからも講演活動を続けてきた。
昨年の秋には著書第二弾を出版し、今年3月には小学館のWEBマガジン『HugKum』にも取り上げられた。
正直に言えば、「これで一気に講演依頼が増えるかもしれない」と期待していた。確かにオファーは届いている。けれど、自分が思っていたほどの勢いではない。だから思わず、「あ〜」とため息が漏れてしまうのだ。
それでも、スケジュール帳を開けば確かな歩みが刻まれている。
来る9月4日の講演で、通算154回目。地元の山科区民生児童委員の皆さまの前でお話しさせていただく。 8日には京都府人材確保センターのセミナーに登壇し、来月には生命保険会社の大きな会合や、異業種交流会での登壇も控えている。
招聘していただき、誰かのお役に立てる。それは本当にありがたく、光栄なことだ。けれど、欲深いかもしれないが、もっと、もっと多くの方に私の経験をお伝えしたい。そう願ってしまうのだ。
ため息をひとつ吐き出したら、また前を向こう。154回目のマイクの向こうには、私の言葉を待ってくれている人が必ずいるのだから。
