強くなるあなたと弱いままの私で
たとえば「手強い」とか、ね。
強いって、強いとも読みますけど、今宵は漢字の話ではなく、心の在り方のお話です。
強すぎて強くなってる時、ないすかっていう。
東京で日々通勤していると、コンクリートジャングルで東京砂漠だからか(ジャングルなの砂漠なの)「東京者は心が冷たい」とか言われながらも、結構、助け合わなきゃいけない場面に遭遇します。声をかけ合うことが大事というか。だからね、おれは割と日常的に声かけ運動をしてるんですが。
「大丈夫ですか」って声をかけると、大体「大丈夫」って返って来る。
なんなら100パー、「大丈夫です」って返って来る。
そうだね手すりがあるから足に器具つけててもきっと階段降りられるよね、よし分かった、と引っ込む。大丈夫なら結構なことです。でも「本当か?」って思うこともある。それが昨日のこと。電車には乗れたけど優先席でも席を譲ってもらえなくて立ってたよね。先週末ホームで蹲ってたおっさん、あんたマジ大丈夫だったの。あんたが大丈夫って言えばおれは引っ込むしかないんだけどマジで大丈夫だったの。あんた家族いるんじゃないの。
本当に大丈夫で「大丈夫」って言ってるか。
「大丈夫」って返すことがクセになってないか。
社会を眺めると、「大丈夫」って答えさせてるストーリーが目立つ。
なんか素敵で美しいから目に留まりましたみたいに強調される。
ケンジョーは放っておいても生きて行く障害者や病人が大好きだよね。
「元気もらえました」、なんて。てめえは元から元気だろ。
でも、おれはちがうよ。あんたから「大丈夫」を聴くと悩む。何日か引きずる。だから、それより何かさせて欲しかった。おれゲイだからあなたをおんぶしても旦那をやきもきさせないよ。あなたが気にしてるのがそんな程度のことだったらいいなと思う。「その汗ばんだワイシャツの背中が嫌なの」なんて話だったらいいなと思う。それなら「そっかごめん」って笑える。
慣れたい。頼ることにも頼られることにも。達人になりたい。
あなたが頼ってくれたら、おれは経験を積める。今はゼロだ。
それで「いつまでもゼロだと辛いなあ」って思ってるんだ。
おれ短期間、仙台で暮らしてたことあるんだけどね、あっちではさ、「強いな」って言うのは、「疲れたな」って意味なんだ。疲れると心身が「強ばる」からね、多分そういう言葉の成り立ちなんじゃないかって思うんだけどね。いやそんな話じゃない。友達のゲイカップルが昔、片方が具合悪くなった時にね、おんぶしてね、でかいやつを、でかいのが。それで言うんですよ「こういう時のために鍛えてるんだから」って。カッコよすぎだろこの野郎、って思ったんだけどさ……ああこの話もちがうか。
ああ何を言えばいいのかなあ、あなたに。
あなたのそばで暮らせるならば。
言いたいことは、いつもいっぱいある。

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