思い出は逃げ込む場所じゃない──オトナ帝国の逆襲は“大人”を壊しにくる
『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』
最初に言います。
この映画はずるいゾ!
子ども向け?
いいえ、
これは大人を壊すための映画だゾ!
序盤はちょっとしたホラー。
『ドラえもん のび太のパラレル西遊記』のような不穏さ。
自分の家という″絶対に安全な空間″が安全ではなくなってしまう不安。
とはいえ野原家は思い返すと、何度も家が壊されたり、なんなら全焼したりしてるから野原家にとってはこれも日常なのかも?
そんな不穏な雰囲気の中で徐々に大人たちの様子がおかしくなっていき、しんのすけ率いる、かすかべ防衛隊が動き出す。
BARでのシーンや車を乗り回すところなんかそりゃあもうモーレツ!に面白い。
この辺はいつものしんちゃんで楽しい。
だからこそ、あのシーンが刺さる。
ひろしの回想
わかるわかるよ、、、。
世界が20世紀の懐かしい匂いに染まろうとする時にしんのすけは言った。
家族とケンカしても、もっと一緒にいたい。
あと大人になりたい。
理由はしんちゃんらしい。
お姉さんみたいな綺麗なお姉さんといっぱいお付き合いしたいから。
過去は心地いい。
懐かしさは甘い。
でも、そこに居続けたら、終わる。
大友克洋監督の映画『MEMORIES』の『彼女の想いで』の主人公のセリフ。
「思い出は逃げ込む場所じゃない!」

子どもの頃に観た時は少し怖ったけど不思議な余韻が残った。
大人になってから観ると違う。
ただただ、目から汗が止まらない。
そして観るたびにまた前を向いて、少し歩いてみようと思う。
この映画はずるいゾ!
