発表へ向かう朝、広島で

タクシーの窓から
広島の朝、ホテルを出てタクシーに乗った。
窓の外には、夏の強い日差しと濃い緑の街路樹が流れていく。
学会発表は何度経験しても、海外で迎える朝にはちょっと特別な緊張感とワクワク感がある。
ノートPCの中には、何カ月も見続けてきた解析結果やグラフ。発表の流れも、強調するポイントも頭に入っている。
それでも会場へ向かう途中、
「今日、この研究は自分の手を離れて、ほかの人に伝わっていくんだ」
と思うと、なんだか不思議な気持ちになった。
スクリーンの前で
今回のテーマは、ロボット関節駆動用の軸方向磁束型コンシクエントポールモータ。
永久磁石の使用量を抑えながら必要な性能を確保するため、ポール形状を最適化し、3次元有限要素解析で性能を検証した。
発表が始まると、準備していた文章より先に体が動いた。
磁束分布を指したり、ポールの位置を手で示したり、グラフの変化を追いながら説明したり。
あとで写真を見ると、自分でも驚くくらい全身を使って話していた。
研究では数値が大事だ。
でも発表では、それ以上に
「なぜこの構造を選んだのか。何が問題で、どう改善したのか。」
を伝えることが大切なのだと思う。
研究を外の世界へ
何カ月もかけた研究も、発表時間は20分で終わる。
それでも、タクシーの窓から見た広島の夏の景色と、スクリーンの前で夢中になって説明した時間は、きっと長く記憶に残る。
何を発表したかだけじゃなく、
その研究を持って、どこまで来たのか。
広島で、また一つ自分の研究を外の世界へ送り出した。
そんな一日だった。
