55 ポンポンとしてくれた
息子が笑っているのを見ると、うれしくなる。
その笑顔を見ているだけで、ああ、これでいいのかもしれないと思える瞬間がある。
それなのに、ふとした時に思ってしまう。
笑っているだけでいいのに。
この笑顔を守りたいだけなのに。
どうして私は、それ以上を求めてしまうんだろう。
言葉やできることばかりに目を向けてしまう自分に気づいて、反省して、少し落ち込む。
できていることはちゃんとあるのに、
それよりも足りないところばかりを見てしまう。
頭では分かっているのに、気持ちが追いつかない。
すると、それに気づいたのか、息子がそばに来て、何も言わずに頭をポンポンとしてくれた。
「ママ、大丈夫?」と言うような顔で、覗き込んでくる。
その仕草が優しくて、胸がぎゅっとなる。
言葉がなくても、ちゃんと伝わっているものがある。
そう思った。
「大丈夫だよ。ありがとう」と言うと、息子は安心したように、また遊び始めた。
こんな小さな子に心配をかけてしまったと思うと、申し訳なさと情けなさで、また少し落ち込んだ。
それでも、さっきの笑顔と、ポンポンとしてくれた温かさが、しばらく心に残っていた。
あの時の手の感触を思い出すと、少しだけ気持ちが軽くなる。
完璧じゃなくてもいいのかもしれない。
そう思えた、ほんの一瞬だった。
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