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45度からの光が「無難」に見える理由

撮影でライトを一灯だけ使うとしたら、どこに置くだろう。

真正面。真横。後ろ。

いろいろな位置が考えられるけれど、迷ったとき、とりあえず被写体の斜め前あたりに置くことは多い。

いわゆる45度前後の光だ。

実際、この位置から照らすと、それなりにきれいに見える。

被写体は明るい。
立体感もある。
影も出る。
質感もそれなりに見える。

大きく失敗している感じがしない。
だから使いやすい。
でも、なぜだろう。

45度という角度に、何か特別な理由があるのだろうか。

今回は、光の方向だけを少しずつ変えながら考えてみる。


まず、三つの光を見比べる

同じ被写体を、同じ一灯で撮る。
変えるのは、光が来る方向だけ。

正面。
斜め45度。
真横。

正面光/45度/真横の比較

最初に見てほしいのは、「どれが一番きれいか」ではない。

それぞれの写真で、何が見えて、何が見えにくくなっているか。

正面から照らすと、被写体のこちら側には光がよく届く。

真横へ動かすと、一方の面が明るくなり、反対側には大きな暗部ができる。

その中間にある45度では、正面の情報をある程度残しながら、側面には明暗差が生まれる。

どこか一つへ極端に振れにくい。

これが、45度の光が「無難」に見える理由を考える最初の手がかりになりそうだ。


正面から照らすと、何が起きるのか

まずは、ライトをカメラ側へ持ってくる。

正面光

被写体の正面には、光がよく届く。
色も確認しやすいし、暗部に情報が埋もれにくい。

一方で、カメラから見える面に大きな明暗差が生まれにくい条件では、形や凹凸が弱く感じられることがある。

光がないわけではない。
むしろ、よく見えている。
それなのに、どこか平面的に感じる。

ここで分けて考えたいのが、
「見えること」と「立体的に見えること」
これは同じではないということだ。


真横まで動かしてみる

サイド光

今度は、同じライトを被写体の真横へ動かす。正面光とはかなり印象が変わる。

光が当たる側と、当たらない側。

明暗の境界が被写体の形に沿って現れ、凹凸や表面の質感も強く感じやすくなる。

写真としては、こちらの方が印象的に感じることもある。

ただし、暗部が増えれば、当然そこにある情報は見えにくくなる。

つまり、

形を強く見せることと、すべてを分かりやすく見せることは、必ずしも同じではない。


その間に、45度がある

正面では少し平坦に感じる。
真横では少し極端になる。

そこで、その中間あたりへ光を戻してみる。

45度光

正面側にも光が入る。
側面には影が残る。
明部から暗部への変化も見える。

正面光ほど均一ではなく、真横ほど大きく暗部へ落ちない。

だから45度は、特定の何かを最大化する位置というより、

いろいろなものを、ある程度ずつ残しやすい位置と考えた方が近いのかもしれない。


色・艶・形

自分が撮影するとき、45度前後の光を基準にする理由を考えてみると、

色・艶・形。

この三つが思い浮かぶ。

色を見るには、ある程度きちんと光が当たっていてほしい。

艶を見るには、表面がどのように光を返しているのかが必要になる。

形を見るには、明るいところと暗いところの変化が欲しい。

もちろん、被写体の材質や形、カメラとの位置関係によって見え方は変わる。

「45度なら、この三つが必ず最もよく見える」という意味ではない。

ただ、一灯でできることを探していったとき、

色・艶・形を、最大公約数的に拾いやすい。

自分にとって45度前後は、そんな位置なのだと思う。

色・艶・形が読み取れる45度光

45度は、本当に45度なのか

「45度ライティング」と言っても、何を基準に45度とするのかで意味は変わる。

上から見たときの角度なのか。

ライトの高さも含めた角度なのか。

さらに、被写体の向きが変われば、同じ場所にライトを置いていても、光の当たり方は変わる。

だから、

45度という数字そのものを守れば、同じ光になるわけではない。

ここで重要なのは数字よりも、
被写体に対して、光がどこから来ているか。

45度は、あくまで考え始めるための目安として捉えた方が扱いやすい。


被写体が変われば、基準も変わる

ここまで45度前後の光について考えてきた。

ただ、実際の撮影では、どんな被写体でも同じ位置から始めるわけではない。

ポートレートでは、レンブラントをよく使う

自分の場合、ポートレートではレンブラントライティングを使うことが多い。顔に対して斜め上方向から光を入れ、影側の頬に三角形の光が残るようなライティングだ。

ポートレート・レンブラントライティングの例

これも単純に「45度にライトを置けば完成」という話ではない。

顔の向きや骨格、ライトの高さによって、鼻の影や頬の見え方は変わる。

それでも、まず基準となる位置を作る。

そこから人物を見ながら調整していく。

自分にとっては、この「まず基準を作る」ということがかなり重要なのだと思う。

食品なら、半逆光から考えることが多い

食品では少し違う。

自分の場合、鉄則としてまず半逆光、つまり斜め後ろから入る光を基準に作っていくことが多い。

半逆光の例

料理では、表面の艶や凹凸、立ち上がる湯気など、正面から照らすだけでは見えにくいものがある。

だからポートレートと料理では、スタート地点そのものが違う。

ここから分かるのは、

すべての被写体を45度から照らせばいいわけではないということでもある。

何を撮るのか。
何を見せたいのか。

それによって「基準」となる位置も変わる。


「無難」は、悪いことなのか

写真について「無難」という言葉を使うと、少し否定的に聞こえる。

特徴がない。

普通。

面白くない。

でも、撮影のスタート地点として考えるなら、無難であることは必ずしも悪くない。

むしろ、

どこにも極端に振れていない状態を、一度作る。
そこから考えられる。

もっと形を出したいなら、横へ。

もっと艶を拾いたいなら、反射を見ながら位置を探す。

もっとドラマチックにしたいなら、暗部を増やしてみる。

逆光へ回してみてもいい。

基準があるから、動かしたときに何が変わったのかが分かる。


正解を知っているから、変化球が投げられる

自分は、まず基礎をしっかり押さえた上で、そこから少しずつ味付けしていくことが大切だと思っている。

45度も、その基礎の一つだ。

ただ、それが正解というわけではない。

むしろ、

正解を知っているから、変化球が投げられる。
あえて逆のことをする。

普通なら置かない位置へ光を持っていく。

影を残す。
暗くする。

そうすることで、基準から外れたこと自体が表現になることもある。

ライティングの面白さは、そのあたりにあるのだと思う。

今回は一灯だけで考えているけれど、多灯になれば、さらにできることは増えていく。

それも一灯で何が起きているのかを理解した、その先にある話だ。


※この記事で使用するAI生成画像は、光の方向による見え方の違いを比較・理解するための視覚資料として制作しています。実際の撮影環境で行った測定結果を示すものではありません。

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