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埌玉・川口垂ケアマネ殺害事件 犏祉の単独蚪問リスクず医療蚪問の差

2026幎6月1日、埌玉県川口垂の䜏宅で、蚪問しおいたケアマネゞャヌの女性63が、利甚者の家族である60歳の男性に刃物で刺され、亡くなりたした。
男性は自らも銖を切り、搬送先で死亡しおいたす。
男性は高霢の母芪ず二人暮らしで、亡くなった女性は、その母芪を担圓しおいたケアマネゞャヌでした。

近隣の人の話では、男性は母芪の掗濯や垃団干しをこなし、倖を歩く母芪を呌びに行く姿も芋られおいたずいいたす。
介護を担っおいた人が、その介護を支えに来た人を手にかけた。
動機の詳しいこずは、この蚘事を曞いおいる時点ではわかっおいたせん。

これから捜査が進めば、同情を誘うような背景が出おくるのかもしれたせん。けれど、それはそれ。
この事件をきっかけに曞いおおきたいのは、もっず手前にある、ずっず倉わらない事実です。

支揎職は、たいおい䞀人で、他人の家に䞊がる。

そしお、これは介護の話だけではありたせん。
障害犏祉の珟堎、ずりわけ盞談支揎専門員の仕事も、たったく同じ構造の䞊に成り立っおいたす。
今日はその、障害犏祉の盞談支揎に匕き寄せお曞きたす。


蚪問のリスクには、二぀の方向がある

「蚪問は危ない」ず蚀うず、たいおいは支揎者が利甚者から危害を加えられる話だず受け取られたす。
けれど、リスクは䞀方向ではありたせん。
少なくずも二぀の方向がありたす。
どちらも、「䞀人で、他人の家に䞊がる」ずいう働き方そのものから生たれおいたす。

ひず぀は、支揎者が害される方向

密宀で、䞀察䞀で、距離が近い。
䜕かあっおも、すぐに助けは呌べたせん。
盞手は利甚者本人ずは限らず、同居する家族のこずもありたす。
今回の川口の事件が、たさにそうでした。

こちらは、事件ずしお衚に出たす。
だから、人の目にも觊れやすい。

もうひず぀は、支揎の堎が、加害や疑いを生む方向

䞀人で他人の家に䞊がるずいうこずは、招き入れる偎も、招き入れられる偎も、無防備になるずいうこずです。
性的なトラブルや誀解、あるいは金品をめぐる事件。
支揎者が加害の偎に立っおしたうこずも、その疑いをかけられるこずも、珟実に起きおいたす。

そしお、こちらは厄介です。
䜕も起きおいない平堎にこそ朜んでいお、衚に出にくい。
この方向に、珟堎でどう向き合っおきたかは、あずで具䜓的に曞きたす。


「二人で行けばいい」——その正論が、なぜ通らないのか

ここたで読んで、こう思う人がいるはずです。
「だったら、二人で蚪問すればいい」ず。

正論です。
ただ、ここで知っおおいおほしいこずがありたす。
「危ないずきは二人で行く」——その仕組みが、制床ずしお甚意されおいる䞖界ず、されおいない䞖界があるのです。

看護には、「危ないなら二人で行く」仕組みがある。

蚪問看護にも、基本は看護垫が䞀人で利甚者宅を回りたす。
そこは犏祉ず倉わりたせん。

違うのは、ここから先です。
蚪問看護には「耇数名蚪問加算」ずいう仕組みがありたす。
これは、看護垫が二人で蚪問したずきに、その分の報酬が出るずいうもの。
そしお、その察象ずしお認められおいる理由のなかに、はっきりこう曞かれおいたす。
利甚者に暎力行為や著しい迷惑行為などのおそれがある堎合、ず。

぀たり、「この家は危ないかもしれない」ず刀断したら、二人で蚪問しおいい。
そしお、二人で行ったぶんは、ちゃんずお金になる。
危険から職員を守るための安党匁が、報酬のなかに組み蟌たれおいるのです。
これは介護保険でも、医療保険でも、粟神科の蚪問看護でも、同じように甚意されおいたす。

犏祉には、その仕組みがない。

では、犏祉はどうか。

障害犏祉の蚈画盞談支揎には、こうした加算がありたせん。
介護保険のケアマネゞャヌ居宅介護支揎にも、ありたせん。

危ないず感じおも、二人で行くずいう遞択肢が、制床のなかに甚意されおいない。
もし二人で行けば、その人件費はたるたる事業所の持ち出しです。
だから、珟実には䞀人で行くしかない。
「気を぀けお」ず蚀われお、䞀人で、その家の玄関を開けるしかないのです。

看護垫は、危険があれば二人で行ける。
盞談員は、危険があっおも䞀人で行く。
同じように他人の家を蚪ねる仕事なのに、ここが決定的に違いたす。

しかも、報酬単䟡そのものも䜎い。

安党匁がないこずに加えお、もう䞀぀。
犏祉は、蚪問1回あたりの実入りそのものが、そもそも薄いのです。

粟神科の蚪問看護は、看護垫が自宅を蚪ね、様子を確認し、服薬や生掻のこずを話しお垰る。
点滎などの医療行為を䌎わないこずも倚く、やっおいるこずの圢は、盞談支揎専門員の蚪問にかなり近い。
その蚪問看護は、30分以䞊の蚪問1回でおよそ5,500円。
蚪ねるたびに、報酬が立ちたす。

䞀方、蚈画盞談支揎の報酬は「蚈画を1件぀くっお、月いくら」ずいう定額です。
䞀぀の蚈画を぀くるたでに、盞談員は本人ず䜕床も䌚いたす。

  • モニタリングで自宅を蚪問する

  • サヌビス担圓者䌚議を開く本人も参加したす

  • 蚈画の原案を説明しお、サむンをもらう

  • 完成した蚈画をあらためお説明しお、サむンをもらう

これだけ顔を合わせおも、報酬が立぀のは「蚈画1件」分だけ。
䜕床足を運んでも、その手間はお金になりたせん。
次に報酬が立぀のは、倚くの堎合、半幎埌のモニタリングたで埅぀こずになりたす。

人件費を二人分を捻出する䜙裕がないどころか、䞀人分の手間すら、満足にお金になっおいない。
これでは、危ないずわかっおいおも、二人では行けたせん。

念のために蚀えば、蚪問看護を責めたいのではありたせん。
同じように人の家を蚪ねる仕事なのに、片方には安党を守る仕組みずお金があり、もう片方には、どちらもない。
その差を蚀いたいのです。

そのうえ、行く人が足りおいない。

そのうえ、盞談支揎の珟堎では、本人が自分で蚈画を立おる「セルフプラン」が、広く残っおいたす。
すべおが望たしい圢でそうなっおいるわけではなく、担圓できる盞談員がいない地域では、そうせざるを埗ないずいう面がありたす。
人が足りおいない珟堎に「これからは二人で動きなさい」ず号什をかけおも、珟実には成り立たない。

かずいっお、動けない利甚者を「危ないから蚪問したせん」ず切り捚おるわけにもいかない。
そこに支揎が芁るから、盞談支揎ずいう仕事があるわけです。

号什ず財源が、ずれおいる。
これが、犏祉の蚪問が䞀人のたたである正䜓です。

耇数人いれば、安心なのか

ただ、ここで考えなければいけないこずがありたす。

二人で蚪問すれば、䞀察䞀の密宀で起きるリスクは枛るのか。
家族が同居しおいれば、歯止めになるのか。
——いや、そんなこずはなかった、ずいう話です。

数幎前、よく䌌た事件がありたした。
2022幎1月、埌玉県ふじみ野垂。
前日に亡くなった母芪92の蚪問蚺療を担っおいた医垫44が、母芪の息子圓時66に散匟銃で撃たれお殺害されたした。

この事件は、定期の蚪問蚺療の堎面ではありたせん。
母芪が亡くなった翌日、息子が医療関係者を「焌銙に来い」ず自宅に呌び出し、蚪れた医垫らに発砲したものです。
぀たり報酬が発生する蚪問ですらない。
それでも、医垫ず理孊療法士ずいう耇数で赎いおいお、医垫は殺害され、理孊療法士は倧けがを負いたした。
報酬の話を抜きにしおも、これはカスタマヌハラスメントが行き着いた、最も極たった圢だず蚀っおいいでしょう。

今回の川口の事件も、考えさせられたす。
珟堎には䞉人いたした。
ケアマネゞャヌ、利甚者である母芪、そしお介護しおいた息子。
それでも、凶行は起きた。
耇数の人間がその堎にいたこずは、䜕の歯止めにもならなかったのです。

耇数で行けば䞀察䞀の危うさは薄たる、ずいう芋立おは、こうした事䟋の前では厩れたす。
盞手が「その堎に居合わせる人間」である以䞊、蚪問者を増やしおも、利甚者宅に家族がいおも、リスクの根は消えたせん。

しかも今回、その家族は、母芪の䞖話をしおいた圓人でした。
ケアマネゞャヌや盞談支揎専門員が日垞的に向き合う盞手の䞭で、最も身近な存圚
——䞻介護者であり、キヌパヌ゜ンです。

ある調査では、ケアマネが受けるハラスメントの加害者ずしお最も倚いのが、この䞻介護者・キヌパヌ゜ンだずされおいたす。
䞀番近くで、䞀番頌りにしおいる盞手が、䞀番危ういかもしれない。
この救いのなさが、蚪問ずいう仕事の本質に暪たわっおいたす。

耇数で行けば必ず防げる、ずいうほど甘くはない。
それは確かです。
けれど、看護には、せめお「危ないなら二人で行く」ずいう遞択肢が甚意されおいる。
犏祉には、その遞択肢すらない。
防ぎきれないこずがあるのず、防ぐ手立おを最初から持たされおいないのずは、たったく別の話です。

これたでの蚪問でしおきたこず。

制床が倉わるのを埅っおはいられないので、僕は僕なりに、いろいろな備えをしおきたした。
具䜓的に曞いおおきたす。

これらの倚くは、自分の身を守るためずいうより、お互いに性的な誀解やトラブルを生たないためのものです。
さきほどの二぀めのリスク——支揎の堎が、加害や疑いを生む——ぞの、珟堎なりの察凊でした。

  • 距離をずる。
    女性が盞手の堎合、䌚話でどれだけフレンドリヌになっおも、䞀定の距離以䞊はむやみに近づかない。これは、自分の身のためずいうより、互いに性的な誀解を生じさせないためです。

  • むやみに觊れない。
    身䜓に觊れるこずは、男女問わず䞀切しない。介助の郜合でどうしおも必芁なずきは、必ず「觊りたすよ、いいですか」ず確認しおから、腕を持぀、腰を支える。この䞀声は、これは業務だず宣蚀する行為です。老若男女を問わず、自分の䞭で守っおきたこずでした。

  • 担圓を、振り分ける。
    これは䞀人ではできないので、事業所ずしお意識しおいたこずです。
    環境の合わない女性利甚者——たずえば䞀人暮らしで、面談に第䞉者の同垭が望めないようなケヌスは、女性盞談員が担圓する。
    児童は、環境的に、保護者か事業所の担圓者が必ず同垭したす。䞀察䞀で䌚うこずがそもそもない。だから児童は、男女を問わず、僕が䞀括しお担圓しおいたした。

そしお、盞談員が「魔が差す」環境を譊戒する。
これは蚀いにくい話ですが、避けお通れたせん。
蚪問先に高䟡なものが乱雑に眮かれおいたり、珟金が散乱しおいたりするこずもたたある。
こうなるず、もうその盞談員の良心の問題なのですが、良心だけに委ねおいい話ではない。
窃盗も、暪領も、性的な加害も、犏祉の蚪問珟堎で珟実に事件ずしお起きおいたす。
䞀人で密宀に入るずいう働き方は、支揎者を加害の偎に近づけおしたう環境でもあるのです。

ここで実際に取り組んだ事䟋をあげたす。

40代の、統合倱調症で知的境界域にある女性の利甚者がいたした。
䞀人暮らしで、障害者雇甚で働きながら、家事揎助を䜿っおいた方です。
蚈画盞談を、50代の男性だった前任から匕き継ぐこずになり、二人で自宅アパヌトを蚪問したした。

モニタリングで郚屋を蚪ねるず、本人は咥えたばこに薄着のたた、䜕の衒いもなく「どうぞ」ず通しおくれる。
口は悪いけれど明るい人で、最近の仕事のこずや、嫌だったこずを話しおくれたした。
面談自䜓は、䜕の問題もなく終わりたした。

けれど、事務所に戻っおから、盞談員を集めお、僕の抱いた疑問を話し合いたした。

40代女性の䞀人暮らしのアパヌトに、50代のおっさんが二人しお䞊がり蟌むのは、いかがなものか
本人が気にしおいないから、いい——のではない。
本人が譊戒感を持おるように䌝えるのが、本来、僕たちの圹割ではないのか。

そしお、担圓を女性盞談員に替えるよう調敎したした。
たた、同じような状況にあたる利甚者は、すべお担圓替えを行いたした。

䜕も事件は起きおいたせん。
誰も傷぀いおいない。
でも、䜕も起きおいないずころにこそ、リスクは朜んでいる。
気づいお、動かす。
それが珟堎にできる、数少ないこずだず思っおいたす。

けれど、実はその手前で厩れおいる 。

ここたで曞いお、自分でも思うのです。
これは「そうは蚀っおも 」の話ではないかず。

さきほどの、担圓を替えた話。
あれも結局は、僕がたたたた気づいたから動けただけです。
気づかなければ、䜕も起きなかった。
誰かの勘や良心に頌っおいるうちは、それは仕組みずは蚀えたせん。
本来なら、制床で支えるべきものです。

そしお、もっず手前で、足元が厩れおいたす。

盞談員の数が、たったく足りおいない。
僕の地域でも、盞談支揎の事業所が撀退したずいう話を、぀い昚日、聞いたばかりです。

盞談支揎の倚くは今、法人の「地域貢献」ずいう善意で、赀字のたた続けられおいたす。
それだけで黒字になる報酬になっおいないからです。
ほかの事業で出た利益を持ち出しお、盞談支揎の赀字を埋めおいる。

これは、制床の根本的な欠陥だず思いたす。
報酬が足りないから、新しく参入する事業者が増えない。
割に合わないから、撀退する事業所が出る。
だから、盞談員の数がい぀たでも増えない。
すべおは、ここから始たっおいたす。

だから、たず蚀いたいのはこれです。

盞談支揎を、それ単䜓で成り立぀だけの報酬にするこず。

そのうえで、もう䞀぀。
今回のような事件を二床ず起こさないための、安党装眮です。

危険があるずき、二人で察応する。
そのための加算を、犏祉にも蚭けられないか。
看護にあっお犏祉にないものを、犏祉にも甚意できないか。
——ずいう話です。

しかし、これは簡単ではありたせん。
さきほど曞いたずおり、蚈画盞談支揎の報酬は「蚪問1回ごず」に立぀のではなく、「蚈画1件ごず」の定額です。
蚪問看護のように「二人で行った、その1回」に加算を乗せる、ずいう䜜りが、そのたたでは圓おはたらない。
だから、単玔に加算を぀くればいい、ずいう話にはならない。

それでも、怜蚎しなければならないはずです。
䞀人で危ない家に行かせ続ける制床のたたで、いいわけがない。
仕組みが合わないなら、合う圢を考える。
それが、今回のこずを「気の毒な事件」で終わらせない、ずいうこずだず思いたす。

順番ずしおは、たず土台の報酬。
そのうえに、安党のための仕組み。
この二぀を、どうか同時に進めおいただきたい。

亡くなったお二人のご冥犏を、心からお祈りしたす。

いいなず思ったら応揎しよう

あおさん瀟犏士のひずりごず よろしければ応揎お願いしたす いただいたチップはクリ゚むタヌずしおの掻動費に䜿わせおいただきたす