読後感想/斜陽 太宰治
1947年発表、1946年頃が舞台の小説。戦後、貴族階級の家族が没落していく。
スウプを一さじずつ飲むお母さまの描写から始まる。
お母さまはまさに貴族、上品で美しく、口にする言葉も可愛らしい。
その娘、かず子の語り口で物語が進む。
伊豆の山荘での質素な暮らし。
弟が戦地から戻り、お母さまが弱ってきて、家族の生活は傾いていき、死の影がだんだん濃くなっていく。
かず子が作家の上原に宛てた手紙は、一方的で大胆なものだけれど、生きようとする逞しさ、爽快感があり、読んでいてとても面白かった。
弟の直治がかず子に残した遺書には、薬物中毒になり、酒浸りになり、どうしようもない生き方しかできなかった直治の苦しみ、弱さがあり、優しい繊細な心があった。
「姉さん。僕には希望の地盤が無いんです。さようなら。」
希望を持とうにも、その地盤すら無い。深い絶望の言葉だと思う。
太宰の文章は美しい。
古い時代の小説と思えないほど読みやすく、心を掴まれ、ときめかされる表現が多くある。
読むほどに惹き込まれていく。
