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第4話 30万円のゲーミングPCに、追加で70万円。マルチGPU構築開始 / ローカルLLMマシン構築記【実録】

前回、私は「全部欲しい」と言い切って終わった。

ローカルLLMも、Gemma4 31Bも、Hermes4.3 36Bも、コンテキストも、エージェント数も、何も削りたくなかった。

理屈はわかっている。「何を諦めるか」を決めるべきだ。

それでも、GPU選びは「全部乗せ」で始まった。
今回は、「何を買うか」ではなく、「どこまで買ってしまうか」の話だ。

この記事は、【実録】大人の失敗談で学ぶハードウェアの沼。 30万円のゲーミングPCが、1年でAI専用機に変貌するまで。 VRAM 16GB → 48GB → 64GBへと突き進む、あるエンジニアのノンフィクション・コメディです。

第1話がまだの方はこちらから→
第1話 始まりは30万16GBのゲーミングPCだった

この記事の読み方

このシリーズでは、無料と有料で役割を分けています。

  • 無料(1話~7話)=ストーリー+知識
    GPU選びで何を考え、なぜそのGPUを選んだのか。 実際の失敗談をストーリーとして楽しみながら、マルチGPUを検討するときに必要な基本的な知識を紹介します。

  • 有料(第4.5話など)=一次情報+検証+判断材料
    実際に構築したマシンの実機写真、物理的な干渉、購入前チェック、構成判断など、経験して初めて分かった情報をまとめます。



候補は、まず3つだった

まず考えたのは、今のRTX 5070 Tiをもう1枚買う案だった。

16GB+16GBで32GB。当時(2026年7月)の価格は1枚18万円前後。

悪くない。(←金銭感覚がバグってる)

……と思ったが、Gemma4 31Bをコンテキスト最大256K、同時実行数2〜4で動かそうとすると、32GBでもメモリはギリギリを狙うことになる。

ギリギリを試行錯誤するのは、もう懲り懲りだ。

そこで、手が届く範囲の案を、全部テーブルに載せた(価格はいずれも2026年7月時点。時期や販売店で変動する)。

  • RTX 5070 Ti 2枚目: VRAM 32GB。18万円。最も現実的な妥協案。

  • RTX 5080: VRAM 16GB。21万円。容量が増えないため即座に脱落。

  • RTX 5090: VRAM 32GB。70万円(プレミア価格)と絶望的な品薄で脱落。

「いやいや、ゲーム用PCに30万円払ったばかりなんだけど!!?」

という理性が、激しく警報を鳴らしていた。


妥協案は、5070 Tiのマルチだった

結局、一番現実的に見えたのは、RTX 5070 Tiをもう1枚追加するマルチGPU構成だった。

AIに相談しながら、来る日も来る日も構成を練り直す日々が続いた。

懸念点は2つ。サイズと排熱。

2.5スロット幅のGPUを2枚、BTOのケースに収める。正直、スロットとスロットの間にどれだけ余裕があるか、わかっていなかった。

それでも、排熱対策を考えてスロット間隔に余裕のある高級マザーボードを選び、エージェントを回し続けるために電源も安全性重視で、できるだけ高品質なものを選ぶ。

物理的に干渉するかどうか。それだけは、AIに相談しても、答えが出なかった。

候補は、ほぼ5070 Tiのマルチに決まりかけていた。価格も、性能も、なんとなく納得できる。
あとは買うだけ。

……のはずだった。


YouTubeが運んできた、狂った金銭感覚

そんなある日、YouTubeで偶然流れてきた1本の動画があった。

個人で「RTX PRO 6000 96GB」を2枚搭載した構築記。

GPUだけで、200万円×2枚。
動画の主が明かしていたマシン全体の総額は、1000万円前後だった。

画面の中の数字を、何度も見返した。
「こんなGPU、存在するのか」
そして、もっと厄介なことが起きた。

今思えば、自分の金銭感覚が、おかしくなったのは、この動画を見た影響も少なからずあった。

ここで初めて、RTX PROシリーズの存在を知った。

候補に、新たに4つが加わった。
以下の価格はいずれも2026年7月時点。

  • RTX PRO 4000 Blackwell: VRAM 24GB。35万円。VRAMが増えるが、少し物足りない。

  • RTX PRO 4500 Blackwell: VRAM 32GB。62万円。本命候補。

  • RTX PRO 5000 Blackwell: VRAM 48GB(72GB版もあり)。48GB版で110万円、72GB版は160万円。

  • RTX PRO 6000 Blackwell: VRAM 96GB。200万円。

5000と6000は、正直、一瞬心が揺れた。

……いや、揺れる。

30万円のゲーミングPCを買った人間が、次の瞬間には200万円のGPUを見ている。

もう、何を基準に高いと言っているのかわからない。

だが、すぐに冷静になった。

いきなり100万円超えを検討する段階ではない。
ましてや、既存のRTX 5070 Tiと組み合わせても、性能差が大きすぎてボトルネックになる。

宝の持ち腐れだ。

残ったのは、RTX PRO 4000とRTX PRO 4500。

RTX PRO 4500なら、5070 TiとはCUDAコア数などの仕様が異なるものの、この中では性能差が比較的小さく、ボトルネックも最小限に抑えられると考えた。

これであれば、既存の5070 Tiも活かすことができる。
16GB+32GB=48GB。

私が欲しかったのは、まさにこれだった。
迷う理由はなかった。

RTX PRO 4500 Blackwellに決めた。


62万円が「安く」感じた日

RTX PRO 4500 Blackwellの価格は、619,800円(税込)。

62万円が安いわけではない。ただ、1000万円構成のパソコンを見た後では、なぜか「現実的な選択肢」に見えてしまった。

それでも、GPU価格がどんどん高騰していく時代の空気が、最後の一押しになった。

「今、買わなければ、次にこの値段で買えるのはわからない」

だが、ここから出費はさらに増えていった。

マルチGPU構成は、GPUを買えば終わりではなかった。越えなければならないハードルが、いくつもあった。

2枚のGPUをx8/x8で動かすには、対応したマザーボードが必要だった。
電源ユニットも850Wでは不足していた。
GPUでAIした時の排熱も問題になるのでケースファンも追加した。

内部パーツを交換した瞬間、BTO購入時についていた1年保証も、期限を待たずに消えた。

後悔はない。

……GPUを1枚増やしただけなのに、気づけばPC全体を買い直す勢いになっていた。

RTX PRO 4500本体に、マザーボード・電源・ケースファンを合わせて、今回の追加投資は合計708,307円になった。

最初のPC代309,800円の約2.3倍である。
私は購入履歴を見ながら、少し笑った。

「ゲーム用PCだったよな、これ?」


入らない

GPUを1週間待つことになった。1週間の間に、当日の作業を確認し、タイムスケジュールまで作っていた。
……ついに待ちに待ったGPUが到着。

いよいよ取り付ける。

まず、マザーボードのPCIeスロットが一段下になっていた。

以前のGPUを支えていたパーツが、物理的に当たって使えない。まあ、これは何とかなる。

問題は2枚目だった。

RTX PRO 4500 Blackwellを挿してみる。

ケースの側面パネルを外し、頭を突っ込むようにして中を覗き込む。狭い。角度が悪い。

ペンライトを口に咥えながら、両手でGPUの位置を探る。額から汗が落ちそうになり、慌てて袖で拭う。

……ギリギリだ。
2スロット幅のモデルを選んだおかげで、なんとか枠にはまった。

ケースの縁で指の関節を軽く擦りむいた。血は出ていない。でも、地味に痛い。

「よし、勝った」

そう思った。
その瞬間だった。
さらに奥を確認する。

マザーボード側のPCIe補助電源の差込口が、完全に塞がれている。

……GPUは入った。

だが、マザーボード側の補助電源ケーブルが入らない。

GPUが「入る」ことと、PCとして「完成する」ことは、まったく別の話だった。

そして、この後わかるのだが、私を待っていた壁は、これだけではなかった。マザーボードを交換したことで、Windowsにも別の問題が待っていた。

(つづく)


第4話の詳細な実測データについても、検証編で公開します。
また、最新話がチェックしやすいよう、フォローをお願いします


検証編(4.5話)

発売記念!期間限定割引中:9月8日 21:30 ~ 9月11日 24:00
680円→500円

今回、GPUのサイズだけを見ていても、マルチGPUは組めなかった。
では、マルチGPUを組む前に、何を確認しておけばよかったのか。

実際の構成をもとに、購入前に確認すべき7項目にまとめている。
私の構成の型番や実際の組立写真をもとに、詳しく解説。

→【検証編】70万円払って分かった、マルチGPU構築「購入前チェック7項目」


次回予告

マザーボードを交換し、GPUを2枚搭載した。
これで、ようやく新しいマシンが完成する。

そう思っていた。

ところが、実際に電源を入れる前に、まだ確認しなければならないことが残っていた。

次回、第5話へ続く。


よくある質問

Q. 5070 Ti+RTX PRO 4500ならVRAMは48GBとして使える?
A. 「48GBのVRAMを持つ1枚のGPU」と同じではありません。
2枚のGPUにモデルを分散して配置するため、使用する推論ソフトや設定によって挙動が変わります。


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前の話はこちら→次の話はこちら→第3話「世界の中心で VRAM16GB は足りないと叫ぶ!」

ローカルLLMを始めて専用AIに育てるまでのステップはこちら→ローカルLLM完全ロードマップ


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