A第8話「AIにAIを直させる!?Zedで『ループエンジニアリング』」/【AI入門小説】猪突猛進系!新人OL?がローカルLLMを学んだら
「人間だけで抱え込まず、AIにも直してもらおう」修正ループの負担を減らし、正解へ近づくための戦略『ループエンジニアリング』の可能性。
絶望の淵にいた舞が、AIに「手と目」を与える『Zed Agent』機能を使用し、自律的にエラーを解決して正解へ辿り着くエージェントの快感を体験。
さらに、クラウドAIの課金リスクを回避し、無限に試行錯誤できる『ローカルLLM』の真価に気づきます。
失敗をコストではなく武器に変える、AI時代の生存戦略。
AI入門小説 第8話。
この記事で学べること
成功するまでAIに修正を繰り返させる設計思想『ループエンジニアリング』の考え方
AIにPCの操作権限(ターミナル操作やファイル読み書き)を与えるエージェント機能
人間が「正解」を求めるのではなく、正解に辿り着く「枠組み」を作るエージェント体験
大胆に試行錯誤できる『ローカルLLM』が最強の学習環境である理由
第1話はこちら→第1話「えっ、会社のデータをChatGPTに投げちゃダメなんですか!?」Ollama構築
第8話:「AIにAIを直させる!?『ループエンジニア』の衝撃」
(翌日。舞は昨日の続きを諦め、Excelへのデータ入力作業をしていた。その横顔には自信の光が微塵もない)
舞:「……結局、手でやった方が早いです。AIなんて、ただの高性能な嘘つきですよ」
しずか:「ずいぶん沈んでるわね。舞ちゃん、考え方を180度ひっくり返してみない?」
舞:「どう変えればいいんですか。嘘のコードを書いてエラーが出る、この地獄のループをどうにかしろと言うんですか?」
しずか:「正解。その『ループ』自体をAIに回させるのよ。AIに実行させ、エラーが出たらそれをAI自身に読み込ませて修正し、再実行させる。これを『ループエンジニアリング』と呼ぶわ」
舞:「でも、AIは私のPCの中のターミナルとかファイルを直接触れないじゃないですか」
しずか:「そこで、Zed Agent機能で、AIという『脳』に、パソコンの操作権限という『手と目』を与えるの。でも、ただ『直して』と言うだけじゃ迷子になるわ。まずは自律的に動くための『ルール』が必要なのよ」
(しずかが、分析から検証までの思考ルーチンが定義された緻密なプロンプトを舞に見せる)
舞:「ええっ、指示書がこんなに細かいんですか!?」
しずか:「これが『方向性とルール』。最大試行回数や制限時間などの安全柵を設けることで、AIは迷わず正解に向かって回転できるわ。自律化は放置とは違うのよ。私が試行錯誤して育てたプロンプトよ」
(しずかのPCで実演。AIがコードを書き、ターミナルを実行。エラーが出ても自力で修正し、三回目でついに成功。人間は一切キーボードを叩いていない)
舞:「(呆然として)待ってください……しずか先輩、何もしていない! AIが勝手に間違いに気づいて直した!」
しずか:「そう。人間がやるべきは『完璧なコードを書かせること』じゃなく、『正解に辿り着くための枠組みを設計すること』なのよ」
(舞は猛烈な勢いでプロンプトを書き直し、モデルにGemma 4-31Bを選択して実行した。しかし、AIは同じ修正を繰り返し、同じエラーを出す無限ループに陥った)
舞:「あ、あれ……?同じ言葉が出てきて、と、止まらない! 結局また嘘をついてぐるぐる回ってる!!」
しずか:「あはは、よくある落とし穴ね。Gemma 4が悪いわけじゃないわ。今回は、失敗した時に方針を変えるルールが弱かったの。モデルの得意不得意、指示書、実行環境。この三つが揃わないと、ループはただの堂々巡りになるわ」
舞:「ルールのせいでダメなんですか!?」
しずか:「そう。だからこういう実務には、ツール実行に特化したモデルに変えてみましょう。例えば、Meta社のMuse Glimmerとかね」
(モデルをMuse Glimmerに変更し再実行。今度は、エラーが出てもAIが試行錯誤を繰り返し修正を行っている……。そして、10分後。ついに『正常に完了しました』の文字が躍った)
舞:「(両手を突き上げ)やったあああ!!! AIが自分で頑張って直してくれた!」
しずか:「それがエージェントの快感よ。もう『正しい答え』を求めるのは止めて、『正解に辿り着くまで自動で回転させる』悦びに浸りなさい」
舞:「でも、この方式だと『トークン』の消費が凄そうですね!?」
しずか:「いいところに気づいたわね。そこがローカルLLMの真骨頂よ。クラウドAIなら高額請求に怯えるけど、ローカルならPC代と電気代以外はタダ。1億トークン消費しようが、100回失敗しようが、追加費用は0円なのよ」
舞:「(目を丸くして)失敗してもタダ……! これってもはや、最強の特権じゃないですか!」
しずか:「そう。コストを気にせず大胆に失敗できるから、結果として一番速く学べる。さあ、次はもっと欲張りな『グラフエンジニアリング』っていう設計図に基づいた制御を教えましょうか」
舞:「えっ、グラフ!? またすごそうなのが出てきましたね!」
しずか:「ふふ、それはまた今度ね」
(第9話につづく)
次回:9月12日(土)夕方 投稿予定
単語解説
ループエンジニアリング
「人間が直す」のではなく、「AIにエラーを読み込ませて、正解が出るまで自律的に修正させる」という戦略的な回し方のこと。人間が疲弊して泥沼にはまる修正ループを、AIに丸投げして高速回転させ、正解へ強行突破します。
MCP (Model Context Protocol)
AIにパソコンを操作するための「手と目」を与える共通規格のこと。これがあるおかげで、AIが自らターミナルを叩いてコマンドを実行したり、ファイルを直接書き換えたりして、人間が介在せずに試行錯誤できるようになります。
トークン
AIが文字を処理する際の最小単位。いわば「AIにとっての文字数」であり、「課金単位」のようなものです。ループエンジニアリングで試行錯誤を繰り返すと、1回の実装で数万トークンをあっという間に消費するため、クラウドAIだとお財布が軽くなるリスクがあります。
グラフエンジニアリング
ループエンジニアリングのさらに先にある、高度な制御手法。単純な円形の繰り返しではなく、「Aの結果ならこのAIへ、BならあっちのAIへ」という風に、複雑な設計図(グラフ)に基づいてAIたちを連携させ、大規模なソフトを構築する手法です。
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