激辛の代償
「辛さ、4.5で」
つい、見栄を張った
5にする勇気はなくて でも、4では足りない気がして
半分の勇気は、たぶんわたしの弱さの分
運ばれてきた麻辣湯は 赤かった
湯気に染みた独特の匂いが 鼻の奥をつんと刺す
赤い海の底で 言えなかった言葉が揺れている気がした
ひとくち
舌が、火をつけられたみたいに跳ねた
しびれる でもやめられない
汗が額を伝って こめかみで止まる
わたしは 食べ終わるまでは水を飲まない
この痛みだけが 今日いちばん確かなものに思えたから
半分ほど食べたところで 胃の底が熱を持って脈打っている
「無理しなくていいのに」
店員さんの心の声が聞こえた気がした
食べおわったころ 口の中は甘いもしょっぱいもわからなかった
ただひりひりと熱いだけ
水を飲むと 冷たくて少しだけ生き返った気がした
でも やっぱ痛い
🐣かんなの一曲紹介コーナー
