世界は変わらない。でも「次の一手」は変えられる。仕事で余裕がある人は「現実の翻訳」がうまい
「事実は一つ、解釈は無限」
初めて聞いたとき、正直こう思った。
「いや、それムリやろ」
クレームはクレーム。
失敗は失敗。
突然の予定変更は、普通に迷惑。
特に中小零細の現場では、毎日のように何かが起きる。
朝から予定通りに仕事が進む日の方が珍しい。
予定表は朝につくり、昼には別物になっている。
そんな環境で「すべて前向きに捉えましょう」と言われても、
なかなか難しい。
でも仕事を長く続けるうちに、一つだけ分かった。
起きたことは変えられない。でも、その出来事をどう使うかは自分で決められる。
私も「マイナスイベント」に振り回されていた
以前の私は、仕事で嫌なことが起きると、
その出来事をかなり長く引きずっていた。
商談で失敗する。
「最悪だ。自分は営業に向いていない」
お客様からクレームが来る。
「なんで自分ばかり」
急な仕事を振られる。
「また予定が全部狂った」
一つの出来事から、
勝手に二つ目、三つ目のダメージをつくっていた。
事実は「商談で失敗した」だけなのに、
「自分はダメだ」
「次も失敗する」
まで話を広げる。
脳内で勝手に続編を制作していた。
しかも、だいたい悲劇だった。
変えたのは「出来事」ではなく「翻訳」
あるときから、
嫌なことが起きたら意識して翻訳するようにした。
「最悪な失敗をした」ではなく、
「後輩に話せるネタが一つ増えた」
お客様からクレームが来たら、
「普段は聞けない本音を聞く機会ができた」
突然ムチャぶりされたら、
「実力を見せる場が勝手にやってきた」
もちろん、何でも無理やり喜ぶ必要はない。
失敗は反省する。
クレームには誠実に対応する。
無理な仕事なら断ることも必要だ。
大切なのは、
「嫌な出来事だった」で思考を止めないこと。
「で、ここから何を持って帰る?」
と、もう一度だけ考える。
それだけで次の行動が変わる。
余裕がある人は「現実の翻訳」がうまい
仕事をしていると、
ときどき驚くほど切り替えの早い人がいる。
大きな失敗をしても、
「次は気をつけます」
で終わらず、
「これ、仕組みにした方がいいですね」
と改善を始める。
予定が変わっても、
「じゃあ空いた時間で、あれをやろう」
と動く。
以前は、こういう人はメンタルが強いのだと思っていた。
でも少し違った。
現実の解釈がうまい。
起きた出来事と、自分の感情を一度切り離している。
これは才能ではない。
意識すれば練習できる習慣だ。
20代・30代ほど「解釈する力」を持ってほしい
若い頃は、一つの失敗が大きく見える。
上司に注意された。
営業目標を達成できなかった。
企画が通らなかった。
同期が先に昇進した。
すると、
「自分は仕事ができない」
まで一気に飛びやすい。
でも、事実と解釈は違う。
「企画が通らなかった」は事実。
「自分には才能がない」は解釈だ。
ここを混ぜない方がいい。
今日、嫌なことが起きたら、
一度だけ自分に聞いてみてほしい。
「これ、どう解釈したら自分が強くなる?」
失敗したなら、次回のチェック項目を一つ増やす。
注意されたなら、自分では見えていなかった癖を一つ拾う。
予定が崩れたなら、優先順位を見直す。
クレームなら、お客様の本音を一つ持ち帰る。
人生の出来事をすべてプラスにする必要なんてない。
しんどい日は、しんどい。
腹が立つ日は、腹が立つ。
それでもいい。
ただ、そこで終わらせない。
事実は変えられなくても、意味づけは自己決定できる。
そして意味づけが変われば、次の行動が変わる。
世界は、そう簡単には変わらない。
でも、
「次の一手」は、わりと簡単に変えられる。
しんどい日にこそ、思い出してほしい。
