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果おの囜から -『日本沈没』ず『ゎゞラ』を通っお「逆問題」の非垞口を探す-

䜜業1  (角氷を溶かす): 角氷があるずしお、今から2時間、友だちずポヌカヌをやる間にそれが溶けおいく様子を掚枬しよう。それから、氷が溶けおできる氎たたりの圢を思い描く。
䜜業2 (氎はどこからきた?): 床に氎たたりがあるずする。今床は、心の目で、氎たたりができる前にそこにあったかもしれない角氷がどんな圢だったか掚枬しよう。泚意しおほしいが、氎たたりはもずもず角氷だったずは限らない。

ナシヌム・ニコラス・タレブ『ブラック・スワン』(䞋巻 p.55)

◆
 
倧惚事は䞀芋、平坊な時空を移動するようにしおやっおくるように芋える。
 å€§æƒšäº‹ã¯æ­Žå²ã«èš˜ã•れ、思い出され、予枬され、回避されようずする。その時空はどこか平坊でのっぺりしおいる。
 
ずころが、この平坊な時空を砎るから倧惚事が生たれるのだ。なのに人は、この時空を匷化すれば倧惚事を回避できるず思い蟌んで、リスク・ヘッゞするこずばかりに金ず時間を浪費する。
 
私もそんなリスク・ヘッゞ䞭毒の䞀人だ。
 
そこで今回は、自分のリスク思考の元になっおいる姿勢を垰謬法にかけお、そこからの脱出口ぞ向かっおみようず思う。
 
取り䞊げるのは日本の2぀の叀兞的なパニック映画、『日本沈没』(1973)ず『ゎゞラ』(1954)だ。䞡者は倧惚事の恐怖を未来ぞず匕き延ばし、過去ぞ匕き戻そうずする。
 
20䞖玀を砎壊の䞖玀ずしお蚘録したのは19䞖玀末で発明された動く映像だった。それが商業化されおできた映画は、砎壊をセンセヌショナルに挔出し、恐怖を映写機が回るフィルムが生み出す平坊な時空に抌し蟌めた。

映画通に抌し蟌められた人々は、倧惚事を時間ず共に到来させ、過去ず共に蘇らせる平坊なスクリヌンを䞖界のように眺めるようになった。
 
サむバヌスペヌスに移行しおからは、この平坊な時空が映画通に収たっおいたこずも過去になった。
 
◆
 
パニック䜜品は、倧惚事を倚角的に芋せるために、耇数の䞻人公や人物が蚭定されお矀像劇構造になるようだ。
 
映画史的に芋るず、パニック䜜品が隆盛を極めるのは、皮肉にもテレビが台頭しお映画産業が斜陜化する1970幎代である。テレビの小さな画面に察抗するかのように映画通の巚倧画面いっぱいに繰り広げられるオヌルスタヌキャストのパニック映画は、登堎人物䞀人䞀人の人生から倧厩壊する䞖界を映し出そうずした。
 
(『ポセむドン・アドベンチャヌ』、『゚アポヌト』、『倧地震』、『タワヌリング・むンフェルノ』等々)
 
同じ70幎代に映画化される『日本沈没』でも、朜氎艊の操瞊士の小野寺ず、朜氎艊に乗っお日本が沈没するずいう自らの予想を怜蚌しようずする科孊者田所博士がいる。
 
小説版では、物語はマクロ、ミクロの2぀の芖点を切り替えながら進み、映画版では、ここに日本脱出のリヌダヌシップを執る山本銖盞が加わる。
 
地䞊で生掻する人の芖点で、日本の厩壊を䜓隓する人々の代衚ずしお小野寺がいる。
鳥瞰的な芖点で日本の厩壊をシミュレヌトする科孊者の代衚ずしお田所がいる。
䞡者の間で、囜家の呜運を担い、巚倧な組織䜓を動かす山本がいる。
 
物語は、倪平掋䞊の小島の氎没に始たり、京郜地震、䌊豆倧島の噎火ず続く事象に翻匄される2぀のレベルを亀互に映し出しおいく。3.11以前は地震、噎火、接波が頻発しお、日本が沈没する状況に焊点を圓おお読んでいた気がする。
 
が、3.11の埌になるず、田所博士の倱螪埌に指揮を取る䞭田に焊点を圓おお物語埌半を䞭心に読むようになった。田所博士がTV番組で暎力事件を起こしお倱螪するず、政府偎の情報科孊の専門家䞭田が代わりに指揮を執るようになる。
 
䞭田を䞭心ずした埌半を読むず、コンピュヌタの基本的な知識が自分の包む䞖界にリンクしおいるこずに気づく。原発事故での攟射胜の拡散情報をドむツやアメリカ軍のサむトで芋おいた(日本は公衚しなかった)。想定内/想定倖ずいう蚀葉がメディアで繰り返された。
 
そんな状況になっお初めお、シミュレヌションが日垞ず芋分けが぀かない䞭田ず同じ状況䞋にいる自分に気づいたのである。

 â—†
 
以䞋は『日本沈没』埌半にある、最新のデヌタをコンピュヌタに入力し、スタッフたちが固唟を飲んでシミュレヌションの結果を芋守る、コンピュヌタ宀での様子を描いたシヌンである。
 

 ãã®æ—¥ã‚‚、倕方から準備にかかり、シミュレヌションにずりかかれたのは、倜䞭の二時すぎだった。--ディスプレむ・ルヌムの䞃぀のCRT端末を、䞀人が二台ず぀受けもち、幞長は、端末䞀基の操䜜のほかに、䞭倮の3Dディスプレむ装眮を䞉次元座暙のそれぞれの正面方向からず、䞉぀の斜め方向から撮圱するVTRカメラを操䜜する圹目をうけもち、䞭田がディスプレむ装眮の巚倧なゲル・ブロックの前に立った。
䜜業がはじたっお二分もたたないうちに、䞭田はおどろきの声をあげた。
「ストップ! –来おみろ」
幞長は、メむンボヌドのキむをたたいお進行を止め、ディスプレむ装眮にかけよった。--ほかの䞉人も、それぞれの持ち堎から、集たっおきた。
现長い倧氎槜のようなゲル・ブロックをのぞきこんで、幞長は息をのんだ。
青い燐光(りんこう)を攟぀線で描き出された日本列島のパタヌンが、3Dブロックの䞭で䞭倮からたっ二぀に折れ、かしいでいた。゚ネルギヌ分垃をしめす、オレンゞから赀ぞかけおの光幕が、かしいだ日本列島塊のたわりをずりたいお、無気味に匷く、匱く息づいおいる。
「これでもう日本は沈んでいるのか?」ず幞長はふるえる声でいった。
「完党に沈んでいる・・・・・・」䞭田はかたい声で぀ぶやいた。「しかも沈む前に—裂けおいる・・・・・・」
「すこし早すぎはしないか?」真䞋助教授が青い顔をしお、時蚈を芋䞊げた。「タむムスケヌルを間違えたんじゃないか?」
「そんなこずはありたせん」ず気象庁から来た青幎が、自分の担圓する端末噚のほうをふりかえった。「スケヌルはい぀ものずおり、䞉・六×䞀〇の五乗倍・・・・・・䞉十六䞇倍です。䞀秒間が玄100時間に盞圓したす」
「この状態たでの時間を読め」
「癟十二・䞉二秒・・・・・・」青幎はいった。「実スケヌルで䞀䞇䞀千二癟䞉十二時間です」
「䞀䞇䞀千二癟時間・・・・・・」幞長は぀ぶやいた。「ずいうこずは・・・・・・」
「䞀幎䞉カ月ずちょっずだ・・・・・・」䞭田はディスプレむ装眮をぎしゃりずたたいおいった。
「初めからもうすこし现かく芋よう。・・・・・・今床はタむムスケヌルを四分の䞀に萜ずす。〇・九×䞀〇の五乗倍、䞀秒が二十五時間だ」
みんなは、跳ね返るように持ち堎にもどり、ゲル・ブロックの䞭の光像は消え、最初の状態にもどった。さたざたな蚈噚の数倀がれロにもどり、すべおはたたはじたった。
電光時蚈の針がたわりはじめ、セコンドの音が静かな宀内に冷たくひびき、その間に郚屋のあちこちから、端末のキむをたたく音や電子プリンタヌが動き出す音がはじたった。--立䜓光像は、さっきよりずっずゆっくり動きはじめた。たるで霣(こた)萜ずしのように・・・・・・ずびずびに・・・・・・赀い光点、オレンゞ色、黄色の光点が鬌火のように明滅しながらゆっくり動き、光点の間に、がうっずオヌロラのような虹(にじ)色の光幕がゆらめきながらあらわれ、ひらひらず波うちながら、现長い、匓圢の光像にたずい぀き、せたりはじめた。青い光の線で描き出された日本列島におそいかかる、矎しくたがたがしい光る毒鱏(どくえい)のように・・・・・・。
光像の動きは最初はほずんど目立たなかった。かわりに光点の間隔がせばたっお点線を描き、黄ずオレンゞが枛っお、埐々に赀の光点が増え、光幕ずずもにしだいに光を匷めおいった。
「ストップ!」ず䞭田はふたたび叫んだ。
「ここからだ。・・・・・・時間は?」
「䞉癟二秒フラット・・・・・・」
「幞長さん、ここから先は、VTRのほかに、同じ象限で写真を撮っおください。二秒間隔で・・・・・タむムスケヌルをもう半分に萜ずそう。〇・四五×䞀〇の五乗倍・・・・・・」
「それでいいですか?」ず声がかかっおきた。「もう四分の䞀に萜ずさなくおいいですか?」
「これ以䞊萜ずしおも、ディテむルがはっきりしないだろう。・・・・・・みんな来おみたたえ。スタヌト・・・・・・」              

小束巊京『日本沈没 䞋』 (1973.3.20 光文瀟 pp86-87より )

長い匕甚になったのは、以䞋の3点がこのシヌンに凝瞮されおいるからである。
 
・最新のデヌタをもずに、新たに日本の沈没たでのシミュレヌションを修正しおいるこず。
・シミュレヌションの時間スケヌルを倉えお沈没たでの時間を正確に予枬しようずしおいるこず。
・デヌタが修正されおシミュレヌションの粟床が増すず、人々の動揺が生たれるこず。
 
3.11埌の数ヶ月、この3぀のポむントが自分の状況にぎったり圓おはたっおいた。
 
攟射胜の拡散シミュレヌションの粟床を高めるように、日々最新デヌタが入力される耇数のサむトを比范しながら、時間スケヌルを倉えおプロットしおいる自分が重なったのである。
もちろん、そのたびに動揺が波のように起こるのも䌌おいた。そしお、新たな予枬結果を知るたびに、䞍安も増したのである。
 
コロナ犍になっおこの3点の懞念が蘇っおきた。
 
マスメディアがこぞっおシミュレヌションを䜿っお煜り始めたからである。するず今床は、どんなデヌタを重み付けしおいるのか、どんなデヌタを入れおいないか、ずいう点に泚目するようになった。
 
ノむマン・アヌキテクチャタむプのコンピュヌタは、自分で情報を埗るこずができない。人間なら五感でそれを行うが、コンピュヌタは人間が情報を入力しないずいけない。入力の仕方、プロットの蚭定の仕方次第で、シミュレヌションも偏り(クセ)が出おくる。
 
それゆえ䟋倖も必ず出おくる。そのデヌタを新たに組み蟌んで、シミュレヌションは修正される。するず、その前のシミュレヌションから行動を考えおいた人たちに動揺が広がる。修正ず動揺の繰り返しが続く。
 
修正しおいくうちに、䟋倖なく情報が入力されたシミュレヌションができる時点が来るのかもしれない。
 
そんなふうに楜芳する考えに察しおは、「長期的に芋れば」ずいう蚀葉を繰り返す叀兞掟経枈孊を皮肉ったゞョン・メむナヌド・ケむンズの蚀葉がある。
 
「完党なシミュレヌションができる未来たで、人類は生き残っおいるのだろうか?」
(「長期的芖点は珟圚の出来事をミスリヌドする案内人である。長期的に芋れば、我々は皆死んでいるのだ。」)
 
◆
 
田所博士は、予蚀者のように70幎代の近未来に登堎しお、日本の沈没をりェゲナヌの倧陞移動説から予想した。䞀方、䞭田は、田所博士の日本が沈没するずいう倧たかな予想を、どの時点で日本が沈没するのか、盎近デヌタをその぀どコンピュヌタに入力しおシミュレヌションを修正する。
 
䞭田は、チャンドラセカヌルの「チャンドラセカヌル限界」をベヌスに「マルコフ過皋」ずいう実圚の理論ず䞊ぶずいう「ナカタ過皋」ずいう仮説を立おる。圌はマントルの流れがある限界に達するず倉化しおそのサむクルが小さくなり回転も速くなる、ずいう仮説を、田所博士の残したデヌタに圓おはめおコンピュヌタでシミュレヌトする。
 
そうしお、日本沈没の時点が早たるこずが予枬されるず、珟実の動きは予枬によっお衚されおいるず物語の人物たちも、読者も思い蟌んでいくのだ。
 
日本が沈没する時点の予枬が早たるず、物語䞖界ずリンクした読者も動揺するずいうメカニズムは予枬の性質ず瀟䌚の状況に䟝存するのだろう、などず思う。
 
が、ここでちょっず物語の倖に出おみるず、『日本沈没』のデヌタが、地殻倉動のような物理レベルに偏っおいるこずに気づく。
 
3.11を経隓すれば、圓時問題になっおいた原子力開発の問題をデヌタずしお入れおいないこずに気づく。コロナ犍を経隓すれば、環境の倉化が人々に及がす感染病や個々人の健康状態のリスクが入っおいないこずにも気づく。
 
するず、物語はそんな新たなデヌタを組み蟌んで、その状況䞋での修正版『日本沈没』を再生産しおいくこずも気づき始める。
 
地球科孊をベヌスずした『日本沈没』は、科孊をベヌスずした「ハヌドSF」のゞャンルに区分けされおいるずいう。圓時の最新理論ずされたプレヌトテクトニクスを普及させたずも蚀われおいる。
(映画版では、東倧教授で埌に『Newton』線集長にもなる竹内均が、この理論を山本銖盞に解説する圹で出挔しおいた。)
 
が、コンピュヌタ予枬がその時代にあるデヌタや入力する仕方で偏りを䜜るずいう特城が、この䜜品を䞍安ず危機の時代に新しいバヌゞョンを生み出す動力になっおいるように思う。そう考えおみるず、毎幎このSFを開く理由が少し理解できた。
 
おそらく、䞍安ず危機に察する新たなバヌゞョンを䜜るために、私もこの小説を開いおいた。

所有する3皮類の『日本沈没』:巊䞊は角川文庫版、右䞊はコミック版、䞋は73幎刊行の光文瀟カッパブックス版は父の遺品を譲り受けたもの


◆
 
栞の時代に察する批刀から、1954幎に公開された特撮映画のキャラクタヌ「ゎゞラ」は第二次倧戊の蚘憶を思い出すように蚭蚈されおいるずいう。
 
キャラクタヌができおしたうず、「なぜ」「どうしお」このキャラクタヌの圢や性栌になったのか、ずいう問いは消えおしたう。そのキャラクタヌがずある想像䞖界で「存圚する」こずに重点が移っおしたうからだ。

 ãŒã€ãã®ç³žå£ã¯ã‚るず蚀われおいる。
このネヌミングは「ゎゞラ=ゎリラ+クゞラ」ずいうずころから出おきたずいうのである。
 
「ゎリラ」の方は、それたで映画史䞊最倧の砎壊的キャラだったキングコングを超える意味であり、「クゞラ」の方は、地球最倧の巚倧生物ずいう巚倧さのむメヌゞからきおいるずいう。
 
ここからは無理を承知で、映画の䞭での圹割や動きにこのキャラクタヌを圓おはめおみる。
 
たずはゎリラに぀いお。
戊埌10幎も経たない䞭で公開された『ゎゞラ』(1954)が、キングコングずアメリカから戊争ず原爆を連想する圓時の人々の蚘憶をうたく誘導しおいるように芋える。(史実ではビキニ環瀁の氎爆実隓が契機になっおいる。)
 
1954幎圓時、映画通の暗闇の䞭で倧きなスクリヌンに映されるゎゞラを芋䞊げた芳客は、空襲譊報が鳎っおいた戊時䞭の防空壕での倜を思い出したようだ。B29を照らし出そうず倜空をさたようサヌチラむトのシヌンや、ゎゞラが攟射胜を吐いお炎に包たれる街䞊のシヌンは、空襲の蚘憶が重なるずいう。
 
攟射胜を吐く時に背ビレがピカっず光っおからゎヌっず吐き出すタむムラグは、雷のむメヌゞを超えお、「ピカドン」ず蚀われた原爆を思い起こさせたのかもしれない。
 
次は、クゞラに぀いお。
日本には、たたに出珟する鯚を「鯚神」ず呌び、吉凶を占う象城的意味を鯚に芋立おるクゞラ䌝承がある。鯚の出珟に倧持や䞍持や倩倉地異の予兆を読む、ずいう民俗孊的解釈だ。
 
映画では、台颚の発生する南方沖でのゎゞラの目芚めや台颚情報のようにゎゞラの進路を予報する報道にも、その片鱗が芋お取れなくはない。埌のゎゞラ䜜品では、ゎゞラが枯に近づくず倧波が起き、倧地を歩くず地震のような揺れが起こるシヌンも出おくる。

葛食北斎「千絵の海 五島鯚突」

 ã•らにゎリラずクゞラに分解しおみるず、ゎリラ/アメリカ/戊争/原爆ずいう<人灜>系列ず、クゞラ/日本/䞍持/倩倉地異ずいう<倩灜>系列の合成物のように芋えおくる。
 
こうしお、戊争ずいう人灜ず倩倉地異ずいう倩灜のアマルガムであるゎゞラは、最倧レベルの砎壊をもたらす最恐キャラクタヌに蚭蚈されおいる、ずいう予枬が立぀。
 
たた、「なぜ」ゎゞラがゎリラにもクゞラにも䌌ないで恐竜なのか、ずいう点に぀いおは、繁栄したものは滅びるずいう第二次倧戊ぞの反省を促す反戊的意味が含たれおいるずいう話もあるのだそうだ。
 
そう考えるず、情報操䜜ずいう芳点でも「ゎゞラ」ずいうネヌミングは興味深い。
子䟛にずっお濁音は、発音時に口蓋ず舌の摩擊や振動で䞍快感を起こさせる。そんな音韻論的な仮説から芋るず、確かに悪圹から出発したゎゞラやガメラ、そしお垞に悪圹のキングギドラには、濁音を入っおいるこずにも気づく。
 
(逆に、子䟛が逆に䜕床も繰り返す音は、口の䞭で匟けるような快感を衚す半濁音で、補菓䌚瀟が「パピプペポ」をいろんなお菓子のネヌミングに䜿うず蚀う話もよく聞いた。心理孊的には、「口唇期」の子どもにあるフロむトの快感原則でも説明できそうだ。)

 ã“うやっお、「なぜ」や「どのようにしお」ず問うず、それらしい答えがいろいろ芋぀かる。行動経枈っぜい説明で、うたく行動や感情を統蚈的に扱う面も加えたら、さらにもっずもらしくなりそうだ。
 
今、ゎゞラの圢状や行動をバラバラに分解しお、最匷の「恐怖キャラ」を組み立お盎しおみたが、この行皋は、「恐怖」から最匷の「恐怖」キャラを䜜り出す行皋ずどこか違う感じがする。
 
この逆行的に行皋を蟿っおみるず、そんな思いが匷たっおくる。
 
◆
 
実をいえば、バラバラにしお元に戻すやり方は、䞀般に「リバヌス゚ンゞニアリング」(逆行工孊)ず呌ばれる、ITのセキュリティ郚門でよく䜿われるやり方だ。
 
ゎゞラを分解した今回はその劣化版である。考え方の特城は圢や行動を分解するために、党䜓を郚分の集たりのように解釈する姿勢にある。
 
このやり方には、少なめに芋積もっおも、2぀の誀りがある。
 
(1) バラバラにできないものもバラバラにできる、ず思い蟌むこず。
(2) バラバラにしたものを元通りに再珟できる、ず思い蟌むこず。

 
この2点に぀いお、分かりやすい比喩で鋭い批刀をしたのは、確率論の゚キスパヌトで投資家か぀文筆家のナシヌム・ニコラス・タレブである。
 
冒頭の゚ピグラフに挙げたように、タレブは角氷が氎溜たりになる過皋をリバヌス゚ンゞニアリングしおみよ、ずいった。再掲する。

䜜業1 (角氷を溶かす): 角氷があるずしお、今から二時間、友だちずポヌカヌをやる間にそれが溶けおいく様子を掚枬しよう。それから、氷が溶けおできる氎たたりの圢を思い描く。
䜜業2 (氎はどこからきた?): 床に氎たたりがあるずする。今床は、心の目で、氎たたりができる前にそこにあったかもしれない角氷がどんな圢だったか掚枬しよう。泚意しおほしいが、氎たたりはもずもず角氷だったずは限らない。

タレブ『ブラック・スワン』(䞋巻 p.55)

友人から拝借したずいうこの思考実隓をタレブは「逆問題」ず呌んで、バラバラにできないもの(歎史や心理)すらもリバヌス゚ンゞニアリングにかけお問題解決ず称しお満足するIT瀟䌚ず、その脆匱性を生み出す根っこにある浅はかな知の䜓制をナヌモラスに皮肉った。
 
そしおそんな知の䜓制が「ブラック・スワン」を䜜り出し、自らパニックに陥る䞖界を䞍確実性を取り陀こうず躍起になる「月䞊みの囜」ず呌んだ。(そういう䞍確実性が垞態の䞖界は「果おの囜」ず呌ばれる。)
 
機械郚品のようなざっくりしたモノ単䜍の䞖界ならバラバラにしおも元に戻すこずは可胜だ。その堎合、時間は過去から未来、未来から過去にスムヌスに移動可胜な盎線䞊に乗っおいる(線圢性)。
 
䞀方、氎のような分子単䜍の䞖界では、氷から氎になる時間を逆行させるず様々な可胜性の時間が珟れる。その堎合、過去から未来に向かう時間は倚方向に分岐しお、䞀぀にたずめられない(非線圢性)。
 
モノで党䜓を再珟できる䞖界は線圢的な時間を進む意識のフラット䞖界である。するず、埮现な圱響関係によっお倚様に分岐する分子レベルの非線圢的䞖界はどうなるか?
 
おそらく、それは偶然ずみなされお無芖できる䟋倖やハズレ倀ずしお凊理し続けられるだろう。偶然に察するそんな扱いが続けられるのは、危機的なほどの偶然が鳎りを朜めおいるだけだ、ずタレブはいう。
 
しかし、䞖界を䞀倉させるほどの危機は起こりうるし、歎史䞊、䜕床も起こっおきた。タレブはそれを「ブラック・スワン」ず呌んで、偶然を排陀する態床を匷化するIT瀟䌚の傟向が脆匱性をさらに生み出しおいるず批刀するのである。

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タレブは、元玠レベルでは同じでも分子の状態では別のものになる氷ず氎を䟋に珟代の傟向を批刀した。氎ず氷は、呚りの環境(この堎合は枩床)の違いで分子の運動が倉わっお、別の圢態になった結果だ。
 
「盞転移」ず呌ばれる珟象である。「角氷」を最初にむメヌゞするず、氎が「角氷」の圢になる確率はずおも䜎いこずがわかる。
 
では、この確率過皋を、物理珟象から蚀葉の領域に眮き換えおみる。環境の圱響を受けお倉わる堎合、環境次第でその倉化のたどる道筋も倚様になる。
 
コンピュヌタ科孊者のテリヌ・りィノグラヌドは、コンピュヌタず人間の蚀語の違いを文脈䟝存床の違いず捉える。(テリヌ・りィノグラヌド,フェルナンド・フロヌレス『コンピュヌタず認知を理解する』参照)

 èš€è‘‰ã®æ„å‘³ä»¥å€–の衚珟に頌る床合いが倚い、぀たり文脈䟝存床が高い「ハむコンテクスト」の蚀葉がある。人間の自然蚀語、囜家語、方蚀、日垞蚀語、俗語などがこれにあたる。文脈に䟝存しないず解釈できない、切り取られるず別の意味を持぀、そんな蚀葉たちだ。
 
逆に、環境の圱響を受けにくい、文脈遺族床の䜎い、「ロヌコンテクスト」の蚀葉がある。抜象蚀語、論理化された蚀語や、さらに数孊蚀語、そこから生じたコンピュヌタ蚀語がこれだ。どの囜のどんな階玚の人でも䜿いこなせれば䞇囜共通に䜿える蚀葉だ、宇宙だっお蚘述できる。
 
環境によっお圱響されやすい「ハむコンテクスト」な状態が、タレブが䟋瀺した氎ず氷の状態だ。
 
これを日垞亀わしおいる蚀葉だず仮定しよう。しかし、コンピュヌタをいじっおいるうちに、人は蚀葉を「ロヌコンテクスト」なものず思い蟌み始めおいるこずに気づくはずだ。
 
蚀葉を、意味を䌝えるだけの「ロヌコンテクスト」な䌝達ツヌルだず思い蟌むず、「ハむコンテクスト」な蚀葉を䜜る文脈の方を無芖しお、䟋倖、倖れ倀ず捉えるこずが習慣化する。
 
「ハむコンテクスト」な蚀葉やその環境を排陀するほど、自ら自身が足元の危機を高めおしたう。そんなこずにも気づかなくなる。この状況が、地球環境から瀟䌚環境のあらゆる面に芋える。
 
脆匱性は、コンピュヌタ・システムのこずだけずは思えない。私たち自身の思考習慣がそうなっおきおいるのだから。そう考えるず、確率論者タレブの珟代IT瀟䌚ぞの怒りもずおも身近に感じる。
 
因果関係は、圓事者同士の珟圚に留めるべきだろう。未来に拡倧したり過去にたで遡っお詮玢するのはお門違いである。タレブの「逆問題」を突く批刀は、そんなこずを教えおくれる。
 
この䞖界は簡単に過去に遡れるようなフラットな䞖界ではなく、凞凹だらけでできおいる。

線圢的でなく非線圢なのだから、未来ぞたたは過去ぞスムヌスに移動するこずができる時空など、人間のおめでたい頭=思い蟌みの䞭以倖はどこにもないのだ。
 
(最埌はちょっずタレブっぜい口調が感染っおしたったww)
 
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平坊な時空を぀い䞖界ず思い違いする自分の思考習慣を制埡したり、時には突き攟すためにしおきた萜曞きはそろそろここたでずしよう。
(ここ䜕回かを過去蚘事のツギハギでしのいできたが、その理由は凞凹䞖界に実際に螏み出そうずする際に自分の脆匱さを自芚するためだった。)

さお、「月䞊みの囜」から「果おの囜」に旅立぀ためのセットアップはこの蟺で終わりにしお、そろそろ本栌的に「円錐」のダむアグラムを蟿りながら、荒川修䜜が瀺し続けた「䞍死の思想」ぞ移りたい。
 
(円錐に぀いお考えおきたこずを蚀葉にしたくなっおいる。アポロニりスの円錐曲線から、ベルク゜ンの蚘憶の円錐、ミンコフスキヌの光円錐、パりル・クレヌの色圩の円錐、そしお幟䜕孊図圢ではないがダ・ノィンチの枊巻き、荒川のダむアグラム等々・・・)

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