「大きいからセンター」はもうやめないか。8年間コーチをして考えた、日本の大型選手の育て方
日本代表の試合を見ていて、改めて考えたことがある。
日本はこれから、どんな選手を育てるべきなのか。
もちろん、日本から世界レベルのセンターが出てくる可能性はある。
ただ、世界のトップレベルを見れば、サイズだけでインサイドを支配できる日本人選手を継続的に生み出すのは簡単ではない。
それなら日本は、もっと**「ウイングを育てること」**に振り切ってもいいのではないか。
私は以前、8年間バスケットボールのコーチをしていた。
その経験からずっと感じていることがある。
それは、
「大きいからセンター」
という決め方で、選手の可能性を狭めてしまってはいけないということだ。
大きい選手でも、最初はゴール下からでいい
ここは誤解されたくない。
身長の高い選手を、最初からガードやウイングとして育てればいいと言いたいわけではない。
私なら、まずゴール下から教える。
リバウンド。
ゴール下のフィニッシュ。
身体の使い方。
コンタクト。
こうしたプレーは、ポジションに関係なくバスケットボール選手として重要だと思っている。
特に、身体が大きいのにコンタクトを嫌がる。
飛び込みリバウンドに行かない。
これは、ウイングとして育てる以前の問題だと思う。
現代バスケで求められる大型ウイングは、外でプレーできるだけの選手ではない。
外でもプレーできて、なおかつ身体を張れる選手だ。
だからインサイドの経験は必要だと思っている。
ただし、ゴール下だけの選手にはしたくない
問題はその次だ。
身体が大きいからという理由だけで、
「君はセンター」
と固定してしまう。
これを私はしたくない。
選手にはそれぞれ特徴がある。
パスが上手い選手もいる。
周りを見る能力に長けている選手もいる。
シュートタッチの良い選手もいる。
ドライブできる可能性を持った選手もいる。
それなのに、学生年代で背が高いという理由だけでゴール下に置き続ければ、その能力を伸ばす機会を失ってしまうかもしれない。
だから私は、ゴール下をある程度経験させたあと、ハイポストでプレーさせたい。
ハイポストで「パス」と「判断」を覚えさせる
ここで使いたいのが、PrincetonやUCLA系の考え方だ。
大型選手をハイポストに置く。
そこから、
カットしてくる味方を見る。
逆サイドを見る。
パスを出す。
自分で攻める。
ハンドオフを使う。
ディフェンスの反応を見て、次のプレーを選択する。
私はここで、大型選手に「判断すること」を覚えてほしい。
ただスクリーンをかける。
ただリバウンドを取る。
ただゴール下で待つ。
それだけではなく、
「今、何をすればチームにとって一番いいのか」
を考えられる選手にする。
その経験が、後々ウイングとしてプレーするときにも生きてくると思う。
センターを育てないのではない
私が言いたいのは、
センターを育てるな、ということではない。
むしろ逆だ。
インサイドで戦える能力は絶対に必要だと思っている。
ただ、
センターしかできない選手にはしたくない。
これが一番伝えたいことだ。
ゴール下で戦える。
リバウンドに飛び込める。
コンタクトを嫌がらない。
そのうえで、
パスができる。
判断できる。
ボールを運べる。
シュートを打てる。
複数ポジションを守れる。
そんな選手を学生年代から増やしていく。
私はその方が、日本のバスケットボールには合っているのではないかと思う。
日本が世界と戦うために
日本代表を見ても、世界と戦ううえでサイズの問題から逃げることはできない。
だからといって、
「もっと大きなセンターが出てくるのを待とう」
だけでいいのだろうか。
私は、それよりも日本の強みを伸ばす方向を考えたい。
機動力がある。
判断できる。
シュートを打てる。
複数ポジションを守れる。
そして、フィジカルコンタクトから逃げない。
そんな大型ウイングを育てる。
190cmの選手がセンターをやっていてもいい。
でも、190cmだからセンターしかできないという状態にはしたくない。
インサイドを経験した選手がハイポストへ出て、判断力を身につけ、さらに外へプレーエリアを広げていく。
そうやって選手の可能性を広げていくことが、日本の育成年代ではもっと必要なのではないか。
8年間コーチをしていた経験と、今の日本代表を見ていて、改めてそう感じた。
「大きいからセンター」ではなく、「この選手には何ができるのか」。
身長ではなく、一人ひとりの特徴を見る。
その積み重ねが、いつか世界で戦える日本独自の選手育成につながるのではないだろうか。
