3億の物件。自慢し合いの物件案内|職場事件簿~不動産屋編~
「売主さんに、
お酒を飲まれないように伝えたほうがいいですよ」
立場が逆転した瞬間だった。
高額物件は、ほとんど大手が預かっている。
問い合わせたときの対応はだいたい同じだ。
「あ~…ありますよ」(ヤル気なし)
「いくらまで、出せるんですかぁ~?」
「お話入ってまぁ~す」
横柄なのか、嫌がらせなのか。
毎回こんな調子。
物件案内が入った
長く物件を探していたお客様に、
合う物件が見つかった。
都内某所、3億超え。
確認すると案の定
「お話入ってます」
と、言ういつもの決めゼリフ。
(またかよ…)
でも、簡単に引き下がれない。
「買付入ってますか?何番手まで入ってます?」
と聞いた瞬間、雰囲気が変わった。
「いくらまで、(予算)のびますか?」
営業マンの態度は、明らかに変わった。
5億くらいまで検討していると伝えると
態度をさらに変え
「案内可能です」
と、言いだした。
(やっぱり、案内できるんじゃん…)
物件案内は、売主さんも同席していた。
途中から、物件ではなく高級車の話になった。
私でも知っている車だ。
「日本で〇台の~」
「世界で〇台の~」
レアな車の保有している台数を、言いあっている。
もはや、何を言っているのかわからない。
次元が違いすぎる。
だって、数千万の車だ。
(部屋が走ってるようなもんだな…)
案内が終わり、お客様に感想を聞いてみた。
「悪いけど。あの物件、いらない」
…え?いい条件なのに?
理由を聞いてみた。
「あの売主さん、お酒飲んでたでしょ」
「飲酒しながら、紹介する人が
使った物件は買いたくない」
……。ごもっともだ。
某大手営業マンに電話をした。
案内前と人が変わったように、丁寧な声だった。
高級車の話もあったからか
成約の期待度が高いせいだろう。
断られた理由を伝えると、
「あぁ…」
その営業マンは小さく答えた。
私は言った。
「次回より売主さんに、案内時はお酒を
飲まれないようにお伝えした方がいいですよ」
さっきまで強気だった営業マンは、
「おっしゃる通りです」
と、まるで別人のようだった。
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