読まれないSEO記事を救う、Lipple流「5W1H」深掘りメソッド
株式会社Lipple 取締役の根本です。
「BtoBの商材だから、機能やメリットを真面目に書かないといけない」
「感情を入れると、プロフェッショナルさが損なわれる気がする」
「だから、ウチの記事は淡々とスペックを並べるだけでいいんです」
BtoB企業のマーケティング担当者さまとお話ししていると、こうした「真面目さの呪縛」にかかっているケースによく遭遇します。
その結果、どうなるか。
Googleでの検索順位はそこそこ取れているのに、誰の心にも残らない「説明書」のような記事が量産され、読者は比較検討の土俵にすら上げてくれない。
そんな悲劇が起きています。
敢えて断言させてもらうと・・・
BtoB企業こそ、記事に「感情」を乗せるべきです。
なぜなら、稟議書にハンコを押す決裁者も、夜遅くまで課題解決策を探している担当者も、AIではなく「感情を持った人間」だからです。
機能や価格が拮抗しやすい現代において、人は誰しも「正しいから」という理由だけでは動きません。
多くの人は「この会社なら信頼できそうだ」「この人たちは私たちの痛みを分かってくれている」という情緒的な揺らぎがあって初めて、その後のスペック説明を読む気になるのです。
「情緒」で心の扉を開け、「論理」で背中を押す。
この順番を間違えてはいけません。
本記事では、読まれないSEO記事を「信頼を勝ち取る資産」に変えるための、Lipple流・5W1H深掘りメソッドについて、すぐに使える実践Tipsも交えながら解説します。
最適なソリューションやテクノロジーを知るだけでは、課題解決や目的達成ができるとは限りません。実践的に活用できる「リテラシー」をnote記事にして提供していきます。
株式会社Lipple 取締役 根本

「正論」だけでは、もう選ばれない時代
多くのBtoBオウンドメディアが陥る罠。
それは、「機能や仕様を、そのまま書いている」という点です。
例えば、新しいSaaSツールの紹介記事。
「機能一覧」「料金プラン」「導入フロー」をカタログ通りに綺麗に並べ、誤字脱字なく整える。
日本語としては完璧ですし、間違ったことは書いていません。
いわゆる「正論」の記事です。
しかし、競合他社も同じような機能を持っていたらどうでしょう?
読み手は「ふーん、どこも一緒だな」と思い、最後は「価格が一番安いところ」を選びます。
これでは、いつまでたっても価格競争から抜け出せません。
ここで欠落しているのが「言葉のデザイン」という視点。
百貨店の受付業務で例えてみましょう。
お客さまから「トイレはどこですか?」と聞かれた時、マニュアル通りに「右に行って左です」と答えるのは、単なる「事実の伝達」です。
これだけでは、AIロボットと変わりません。
しかし、もしそのお客さまが“小さなお子さま連れ”で、焦った様子だったら?
「(おむつ替えでお困りかもしれないな…)あちらのエレベーターを使えば、ベビーカーごと入れる広い個室まで最短で行けますよ」
ここまで想像力を働かせて返すのが、相手の心を動かすコミュニケーションです。
Webライティングも全く同じ。
画面の向こうにいる担当者の背景を想像し、情報を「その人のための解決策」へと変換して届ける。
そのために必要なのが、論理に感情を添える技術なのです。
BtoB記事に必要な「2層構造」
多くの企業が、「まずは論理的に正しさを証明しなければならない」と考えがちですが、人間の脳は逆の動きをします。
「面白そう」「自分に関係がありそう」と感情が動いた時だけ、その後の理屈を聞く耳を持るものです。
ステップ1:
情緒で「共感」を生む
記事の冒頭やタイトルで、「これは私のための記事だ」という強烈な共感(情緒)を生み出す必要があります。
・担当者の苦悩への寄り添い
・「現状を変えたい」という想いへの共鳴
・作り手のストーリー
これがなければ、どんなに素晴らしい「論理」も、読まれることなくスルーされます。
ステップ2:
論理で「正当化」する
感情が動いて初めて、論理の出番です。
・正確なスペック・機能
・数値データ・実績・お客さまの声
・導入効果のシミュレーション
これらは、読者が上司に稟議を通すための「言い訳(正当化の材料)」として機能します。
「なんとなく良さそうだから」では会社のお金は動きません。
だからこそ、後半で強固な論理が必要になるのです。
情緒で惹きつけ、論理で納得させる。
この順番こそが、BtoBマーケティングにおける勝利の方程式だと思っています。
【実践編】あなたの記事はどこから始まる? 蛍光ペンチェック術
自社の記事が「情緒ファースト」になっているか、すぐに確認できる方法があります。
「青」と「ピンク」の2色の蛍光ペンを用意してください。
そして、過去の記事をプリントアウトして、以下のルールで線を引いてみましょう。
青色:客観的事実、スペック、数字、機能説明(論理)
ピンク色:書き手の想い、読者への共感、ストーリー、形容詞(情緒)
記事の前半が青色ばかりだとしたら・・・
順番を逆にしてみるだけで、読者の反応が変わってくるかもしれません。
感情を設計するための「深掘り型5W1H」
「感情」をどうすれば記事に込められるのか。
私たちは記事構成を作る前の「5W1H」の段階で、通常のマーケティング定義よりもさらに深く、人間の内面に踏み込んだ問いかけを行っています。
① Who(誰に):役職ではなく「焦り」や「不安」を特定する
「ターゲットは30代〜40代の男性、製造業の課長クラス」
これではまだ浅くて、「課長に向けた機能説明」しか書けません。
私たちが設定するWhoは、もっとリアルなものです。
・その課長は、今どんな「負の感情(ペイン)」を抱えているのか?
・部下の育成に悩み、自身の業務も終わらず、残業続きの電車の中で「もう辞めたい」と思っているのか?
・それとも、上層部からの無理なDX指示に板挟みになり、藁にもすがる思いでスマホを握りしめているのか?
「Who」を深掘りするとは、その人の「痛み」と「状況」まで特定することです。
ここが決まれば、記事の書き出しが変わります。
「業務効率化なら〇〇」という定型文だったところ・・・
「『また部下が辞めた』と嘆く前に。マネジメントの時間を1日30分生み出し、チームの笑顔を取り戻すための〇〇」という、相手の心に刺さる言葉が生まれるのです。
【実践編】「失注理由」から本当のペインを探す
「ターゲットの痛みが想像できない」という方は、営業部門の「失注レポート」や「お問い合わせログ」を見てみてください。
そこに宝の山があります。
例えば・・・
◾️ 「機能は良いが、使いこなせるか不安と言われた」
→ ペイン:
変化への恐怖、リテラシー不足への劣等感
→ 記事の切り口:
「PCが苦手な50代社員でも、3日で使いこなせた導入実話」
◾️ 「上司の説得が難しいと言われた」
→ ペイン:
社内政治の面倒くささ、説明責任へのプレッシャー
→ 記事の切り口:
「そのまま渡せる!上司を唸らせる稟議書テンプレート解説」
成功事例だけでなく、「なぜ買わなかったのか」の裏側にある感情こそが、最も強いフックになります。
② When & Where(いつ・どこで):リアリティを生む「情景」の描写
BtoBの記事が「無機質」になる最大の原因は、この2つが抜け落ちているからです。
抽象的な「オフィス」ではなく、具体的な「シーン(情景)」を設定してください。
・When(いつ):
月末の締め日なのか? 月曜日の朝の憂鬱な会議前なのか?
・Where(どこで):
誰もいない残業中のオフィスなのか? 満員電車の中でスマホを見ている時なのか?
「月末、21時の静まり返ったオフィスで、一人領収書の山と格闘している」 この情景(When/Where)があるだけで、読者は「うわ、これ私のことだ」と強烈に自分ごと化します。
感情を揺さぶるためには、映像が浮かぶレベルの具体性が必要です。
③ Why(なぜ):そのソリューションが生まれた「義憤」はあるか
5W1Hの中で、BtoB記事に最も熱量を宿すのが「Why」です。
・Why You:
なぜ、あなたの会社がそれを語るのか?(権威性・独自性)
・Why Now:
なぜ、今その情報を読む必要があるのか?(緊急性)
特に重要なのが、「開発の原点にある想い」です。
「売れるから作りました」ではなく、「業界のこの非効率な慣習を壊したくて作りました」「私たちが過去にこの失敗で苦しんだから、同じ思いをしてほしくなくて開発しました」というストーリー。
このWhyが入り口にあれば、読者は「この人たちの話なら聞いてみたい」と心を許してくれます。
④ What(何を):スペックの裏にある「未来の感情」を描く
リサーチをすると、たくさんの情報が集まります。
機能、スペック、API連携・・・
しかし、これらを全部盛り込むのは読み手への暴力。
情報は「抽出」して整理する必要があります 。
先ほど設定した「Who」にとって、本当に必要なWhatは何でしょうか?
それは「多機能であること」そのものではなく、その機能を使った先に待っている「感情の変化」です。
「ボタンひとつで集計完了(機能)」
「月末のイライラから解放され、久しぶりに家族と夕食を囲める(未来の感情)」
ここまで変換して初めて、BtoBの機能は「自分ごと」になります。
⑤ How(どのように):論理で納得させ、感情で背中を押す
ここで意識すべきなのが、先述した「2階層構造」を行き来する構成です。
冒頭で「共感(情緒)」して心を掴み、中盤で「証拠(論理)」を示して脳を納得させ、最後にまた「想い(情緒)」で背中を押す。
人間は、感情で物を買い、理屈で正当化する生き物だと言われます。
BtoBも例外ではありません。
「導入したい(感情)」と思わせた後に、「これなら稟議が通る(論理)」という材料を渡してあげる。
この順序が重要なのです。
【実践例】無機質なシステム紹介記事に「体温」を宿す
よりイメージできるように、「深掘り型5W1H」を使いある架空の「経費精算システム」の紹介記事を書き換えてみます。
▼【Before】感情ゼロのSEO記事(論理のみ)
タイトル:
経費精算システム「ラクカイケイ」の機能紹介
本文:
近年、DXの推進により経費精算システムの導入が進んでいます。「ラクカイケイ」は、スマホで領収書を撮影するだけで申請ができる便利なツールです。 (機能紹介リスト...) 月額500円から利用可能です。ぜひ導入をご検討ください。
診断すると・・・
正しいですが、心が動きません。Whoの顔が見えず、情景もありません。これでは価格競争に巻き込まれます。
▼【After】情緒から始まるBtoB記事(情緒→論理)
Who(誰に):
月末になると経理担当者が残業で疲弊している中小企業の社長。
When & Where(情景):
毎月25日過ぎの深夜、オフィスの電気が消えない情景。
Why(熱源):
「真面目な社員が損をする働き方をなくしたい」という開発者の義憤。
What(未来):
機能そのものではなく、「社員が家族と過ごせる時間」というベネフィット。
How(構成):
情景描写で「痛み」に触れ(情緒)、解決策で「納得」させ(論理)、最後に「想い」で締める(情緒)。
書き換え後のイメージ:
タイトル:
その残業、本当に必要ですか?「月末の憂鬱」を消し去り、経理担当者が定時で帰れる会社へ。
本文:
【情緒:情景と痛み(When/Where/Who)】毎月25日を過ぎると、経理部の明かりだけが夜まで消えない。オフィスでは必死に領収書をめくる社員の姿。そんな光景を見たことはありませんか?月末だから仕方ないと見過ごされてきた負担が、長年積み重なっているかもしれません。
【情緒:開発の原点(Why)】私たち開発チームも、かつて同じ課題に悩んでいました。売上を生まない事務作業のために、なぜ担当者が疲弊しなければならないのか。このままではいけない、その悔しさが「ラクカイケイ」をつくる原点でした。
【情緒:未来のベネフィット(What)】導入企業さまからいただく言葉で、私たちがいちばん嬉しいのは「毎月のスケジュールに余力が生まれた」「家族と過ごす時間が増えた」といった言葉。「ラクカイケイ」が届けたいのは業務効率だけでなく、その先にある社員のゆとりと笑顔です。
【論理:解決策と根拠(How)】インボイス制度以降、経理業務の負担は増える一方です。工数や気力で乗り切れる問題ではありません。「ラクカイケイ」なら、領収書をスマートフォンで撮影するだけ。OCR認識率は99.8%。手入力の手間を限りなくゼロにし、月末業務を、仕組みから変えていきます。
いかがでしょうか。
扱っている商品(What)は同じでも、入り口に「感情」を置くだけで、記事の「読まれ方」が劇的に変わることがお分かりいただけると思います。
テクニックの前に、画面の向こうの「人間」を想う
BtoBマーケティングの世界では、どうしても「リード獲得数」「CVR」「SEO順位」といった数字が先行しがちです。
しかし、その数字の向こう側には、必ず「悩み、喜び、決断する人間」がいます。
私たちは、クライアントのご支援をする際、この「5W1Hの定義」には時間をかけます。
「ターゲット企業の売上規模」といった無機質な属性だけでなく、「担当者はどんな気持ちでこの記事を読むのか?」という感情の解像度を上げる議論を徹底的に行います。
それは「感情の乗っていない記事は、誰の記憶にも残らない」ということを知っているからです。
「そうは言っても、自社の商材でどう感情を出せばいいか分からない」
「客観的に見て、ウチのつよみが誰のどんな感情に刺さるのか整理できない」
もしそう感じられたら、ぜひ一度Lippleにご相談ください。
事業や想いを深く「理解」し、最適な形に「抽出」して、読者の心に届くように伝わる言葉にデザインするパートナーです。
実際に「ウチの場合はどうだろう?」と思われた方は、ぜひXのDMからお気軽にお声がけください。
【お申し込み方法】
毎月3社さま限定とさせていただいております。
お申し込みはXのアカウントに、「壁打ち希望」とDMを送ってください。
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今後も、本質的なコンテンツマーケティングや、成果につながるライティングの思考法について、このnoteで発信していきます。
それではまた。

