見出し画像

おもに祠で寝ています-----------------❅寝床 /1min❅


すぐ目の前に迫る壁を見つめながら眠りに落ちてゆく。
私は、この夏休み、まるでMRIの機器のように頭まですっぽり覆われた中でねむっていた。息子がつくったそれを、家族はみんな「祠」と呼んでいる。






「ママの小屋をつくったからね」

そう言うと、息子は私を祠へいざなう。彼は祠がなにか知らないので、それを「小屋」と呼んでいる。

息子の部屋にはいると、ふとんの上にやぐらのような何かが鎮座していた。
ふわふわ素材の積み木ブロックでつくられた彼の作品である。

彼は、自分が寝るときはその中に籠ってねむる。デザインは日ごとに変わる。けれどもあるとき、お気に入りの祠が私に譲られた。



祠のなかは、暑い。
猫が添い寝にくるからクーラーをかけているはずの室内で、布団をかけなくても身体が暖かいのだ。
はじめは不気味だったけれど、包まれていると妙に落ち着くもので、私は知らず知らずのうちに眠りに落ちていた。



朝、目を覚ますと、身体のうえになにかが乗っている。

それは、ばらばらに崩壊した祠の欠片である。ふわふわ素材の布でつつまれた積み木が、無造作に私の身体に落ちていた。こういうときいつも、自分がどこにいるのかわからなくなる。
レースのカーテン越しに差し込んでくる夏の朝の強烈な光で、部屋の中はまっ白に照らされていて、しばらく困惑したまま動けない。そうして、祠で寝ていたことを思い出すのである。



もう少ししたら、息子が聞きにくるだろう。

「ママ、今日はなにつくればいい?」



なにかリクエストしても、結局出来上がるのは、デザインの細部が違うだけの祠だということを、私はよく知っている。





▼祠をつくりたい人は、こちらのブログ版記事へ。



いいなと思ったら応援しよう!

三條 凛花 最後までお読みいただき、ありがとうございます♡