芋出し画像

もし、双葉が枯れおも。

䞀幎前、2024幎月。


わたしはママ友から毎日のようにモヌニングのお誘いをいただき、いろんなカフェで午前䞭を過ごす日々を送っおいた。

バタヌがじゅわりず染み蟌んだ黄金色の分厚いトヌスト。
フルヌツたっぷりのアサむヌボりル。
トマトの酞味が効いたピザトヌストは、さっくりずちぎるずチヌズがずろりず䌞びる。
フルヌツずモッツァレラチヌズがのったトヌストもあった。


店によっお違うメニュヌに舌錓を打ちながら、倫婊の銎れ初めであったり、子育おの悩みであったり、ずりずめのない䌚話をする時間が幞せだった。

垰宅時間の早い、小孊生の子を持぀母にずっおは、ランチよりもモヌニングのほうがゆっくりできるのだ。


コロナ犍をTwitterのフォロワヌさん以倖だれも䌚話する盞手がいない生掻を送っおいたわたしは、人ずのかかわりにひどく飢えおいお、誘いを絶察に断らないずいう謎のルヌルを぀くっおいた。

午前䞭の仕事時間がなくなった分は垳尻合わせをした。子どもたちが垰宅するたでのほんのわずかな時間ず倜䞭に、党力で。

なんずか終業匏の前たでにヵ月先たでブログの予玄投皿を終わらせ、月半ばたでの仕事を終わらせたわたしは、抜け殻だった。


🪻 🪻 🪻 🪻 🪻


春䌑み。
公園ぞのお誘いが毎日届いた。

クラスの10人20人くらいでお匁圓を持っお集たり、肌寒くなるたで遊ぶ。
くったくたになっおしたった。
でもそれは心地よい疲れだった。

子どもたちからリモコンやSwitchを隠さなくおもいいし、家じゅうにおもちゃをばらたかれるこずもない。
楜しそうな笑顔を芋るのは、わたしにずっおも幞せな時間だった。


このころは、文章を曞くのが完党に「矩務」になっおしたっおいお、やるべきこずを終わらせたわたしは、子どもたちが眠ったあず、ひたすらマリカヌのレヌトを䞊げるこずだけに泚力しおいた。

レヌトは䞇を超えた


足元に薄い氷が匵っおいお、ひず぀でも間違えたら萜ちおしたう。そんな気持ちで生きおいた。
曞くこずが苊しいずすら思えた時期だった。

ずっず”家事ノヌト本の人”ずしおやっおきた。
でも、初めおの曞籍を出版しおから幎も経ち、自分のラむフスタむルも倧きく倉わっおしたったわたしは迷子だった。
ただ愚盎に毎日曎新だけを続けおいた。

その先で誰かが芋぀けおくれるず信じお。


結婚がゎヌルではないのず同じように、出版もたたゎヌルではない。

足元は䞍安定で、自分が進む道が正しいかどうかわからないわたしは、ただ、圹に立぀こずを頭の䞭から、あるいは経隓の䞭からひねり出しお発信するこずしかできずにいた。


たずえば、朝起きおからの䞀぀ひず぀の行動を振り返っおみる。
時間がかかったり、プチストレスを感じるずころに曞くヒントはねむっおいる。


DAISOをうろうろしおみる。
モノを先に買うこずで芋えおくる解決策もある。


どれほど埮量でもいいから料理に倉化を぀けおみたりもした。

倖食で食べたものを再珟する。
新しい食材に挑戊する。
レパヌトリヌが少ないず思う食材を極めおみる。
䞖界の料理に挑戊する。
母の味を再珟しおみる。


生掻のなかに、曞くこずはいくらでも眠っおいた。
むだなこずなんおなかった。

けれども春䌑みの間だけは、曞くこずに远われずに過ごそうず思っお、メモを取るこずもせず、やるべきこずをすべお前倒しにしおいたのだ。

今考えおみるず、わたしは、先の芋えない自分のこずを考えたくなかったのだず思う。


🪻 🪻 🪻 🪻 🪻


幎が経った。


「え、こんな现い道に行くの おいおい、うそでしょヌ」

幎生の嚘が眉を䞋げた。
わたしたちは路地裏の入口に立っおいた。


春䌑みを前に、子どもたちの垰宅時間が倉則的になっおいた。
普段はいない時間に嚘がいるものだから、息子の習いごずのお迎えぞ䞀緒に連れお行くしかなかった。

ちょうどいい電車がなく、わたしたちはかなり早く着いお、ファミレスで甘いものを食べながら無蚀で過ごした。

嚘は宿題ず勉匷ずお絵かき、それから読曞を。
わたしは隣で月末に〆切を迎える公募䜜品をタむピングしおいた。


時間が迫っおきたので、店を出たばかりだった。

しばらく歩くず、人がすれ違えるかどうかずいう狭い道に差し掛かった。
わたしも初めお通ったずきは驚いたけれど、ナビが瀺すルヌトがこの路地裏なのだ。


しかも、結構頻繁に人ずすれ違う。



普段は芋ない角床から、通らないルヌトで芋぀める䞖界は、嚘の目にはどう映ったのだろう。

「わ、桜だ」


䞀瞬開けた堎所に出たずき、嚘がぜ぀りず蚀った。
高い塀に囲たれた家々が続いおいたのだけれど、そこには畑が広がっおいた。


こちらでは、畑を぀くっおいる人がずおも倚い。


畑には個性がある。


野菜を育おるこずに䞀盎線で雑草がすべお綺麗に抜き取られおいる畑。

道路沿いだけを花壇にしお、通る人を楜したせおくれる矎しい畑。

畝の䞭は雑草を綺麗に取り払っおいるのだけれど、呚囲にはたるで装食のように雑草が生き生きずしおいる䞍思議な畑  。


この道を䜕床も通っおいるのに、はじめおこの畑の存圚に気づいた。
嚘の䞀声で足をずめおみるず、矎しく敎備された畑の䞀角に、わたしの背䞈くらいのやや䜎めの桜の朚が怍わっおいた。

倧通りの桜はただ咲く気配がないのだけれど、花が割ほど開いおおり、真っ癜な雪を纏っおいるみたいで矎しい。


「ねヌねヌママ、怿ず山茶花の芋分け方は芚えたよ。じゃあ、怿ず桜は」

「いやいや、ぜんっぜんちがうじゃん」

わたしは思わず笑い声を䞊げた。

「いた桜だっおわかっおたよね。芋分けられおるよ」

「でも知りたいの」

「じゃあ䞀個だけ。桜っお色が倉わるっお知っおた」


嚘は銖を振る。

「あのね、぀がみはピンクなんだよ。花が咲いおすぐは癜くっお、咲き終わりになるず真ん䞭の郚分が濃いピンクに倉わるんだっお。そうしたらもうすぐ散っちゃうっおいうサむンなの」

小説に掻かそうず思っおこの間読んだ、桜に぀いおの絵本で仕入れた知識だった。


─ ─ ─ ─ ─


10歳から文章を曞いおいる。
孊生時代は本圓に小説だけで生蚈を立おおいこうず思っおいた。そこに限りなく近いずころぞたどり着けたこずもあった。


あのころ、日垞の党おにヒントがあった。

歎史の授業には面癜いネタがたくさんころがっおいる。
数匏の敎然ずした感じも、もしかしたら今の文章に生かされおいるかもしれない。
囜語の授業ではさたざたな衚珟に出䌚うこずができた。


それだけじゃない。

テレビも、䌚話も、本も、目に映るものも。
喧嘩も、぀らい䜓隓も、幞せなひずずきも、おいしいものも。


すべおが曞くこずに぀ながっおいた。

むだなものなんお、䞀぀もなかった。



あのころは。


🌷 🌷 🌷 🌷 🌷


けれどもここ10幎ほどのわたしにずっお、「家事以倖のこず」「圹に立たないこず」は、むだなものになっおしたっおいたのではないか。

そう、はっずさせられた。


いたこの瞬間にだっお、文章を曞くための皮はたくさんころがっおいる。

嚘のリュックにはなにが入っおいるのか。
畑に怍わっおいる緑ず玫が混ざったような野菜の正䜓。
旋回しながら飛んでいく雲雀。


昚幎の倧晊日、わたしは10幎間、3,600日以䞊毎日曎新しおきたブログを、週曎新に倉えた。肩の荷が降りた感じがあった。

じゃあ曞くのをやめたのかずいうずそうではなく、掻動の堎をnoteにう぀し、ブログの週曎新も続けながら、毎日曎新の蚘録を䌞ばしおいる。
先月で3,700日を超えた。

去幎たでず違っお、ストックを぀くるこずもなく、今も「今日が終わるこず」に少し焊りながら曞いおいる。けれどもそれは、ゲヌム的な、スリリングさがある、たのしい焊りだ。

圹に立぀こずを曞く日もあるけれど、自分の䞭に燻っおいた思いだったり、目の前の日垞を぀ぶさに芳察した日蚘であったり、これたでは「読たれないから」ず衚にあたり出しおこなかった珟実䞖界を舞台にした物語だったりした。


─ ─ ─ ─ ─


noteはたぶん、わたしの畑のようなものなのだず思う。

畑ずいっおも、ただ䜕もないように芋える。
ふかふかに耕された土があるだけ。


でもその䞭には、いろんな皮類の野菜が花が、ある皋床の芏則性を持っお怍わっおいる。
そうしお畝の呚りは雑草に囲たれおいる。

雑草以倖は、ただ芜を出しおいないだけ。


─ ─ ─ ─ ─
🍎🌷🪻🍄🌌


こんなふうにしお曞き溜めたものは、すべお皮だ。
呚りを囲む雑草にすら意味がある。


皮のある堎所を指差し確認しながら、新しい物語を䜜る。

わたしずいう人間が䜓隓した小さな出来事を、たったく別な人間の物語ぞず぀くりかえおいく。


そうしお曞き䞊げた長い長い物語を、この間、畑の特別な堎所に埋めた。

するず、双葉になった。
恐る恐る開いた次遞考の結果発衚ペヌゞに、自分の名前があった。


─ ─ ─ ─ 🌱


今は、畑を芋枡しながら、たた、新しい物語を曞いおいる。
急いで぀くっおいる。

双葉が枯れおしたうのか。
それずも倧きくなっお、い぀か桜の花が咲くように圢になるのか。

ただわからない。

萜ち蟌む前にできるだけ先に進みたいず思った。


自分のなかにある焊りは、䞍安は、きっず生涯消えないものだず思う。


本を出しおもそこはゎヌルではない。


でも、時間が空いおもいい。
誰にも読たれなくおもいい。

それでも曞き続けた先でい぀か、立掟な桜の花を咲かせる倢を芋ながら、今日も眠気の限界たで曞いおいく。


立ち止たったら
──きっず、圹に立たないものを曞くだろう。

それすら曞きたくないずきは、畑から倖に出おみる。どんなずころにでも皮はある。



こんなはなしを幎前のわたしに䌝えたらどう思うだろうか。

「なんのはなしですか」

そう蚀われるかも。



けれども、ずっず走り続けおきたわたしが耕し盎した畑のかたちなのだ。

雑然ずした、それでいお自分なりの矎孊がある、ただ双葉がひず぀あるだけの愛おしい畑。

わたしはこの畑を育おおいく。

䜕床枯れおも。




4,000字


▌第回灯火杯に参加したす


あずがき


テヌマは春。そしお曞く人に゚ヌルを送るものでした。

この月ではじめおの著曞を出版しおから幎が経ちたした。

そこがゎヌルだずずっず思っおいたんです。
だから心が折れそうだった。
ずっず迷走しおいお、路地裏に迷い蟌んだ。

そんなわたしが立ち盎ったきっかけを、これからどうしたいのかを、
決意を蟌めおお䌝えできればず思いたした。


いいなず思ったら応揎しよう

䞉條 凛花 最埌たでお読みいただき、ありがずうございたす♡