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石橋を叩いて、壊してしまう。

誰にも見せていない私。

……というより、見せたくない私がいる。

最近、自分は思っていた以上にプライドが高いのかもしれない、と思う。

失敗することが怖い。

正確には、失敗そのものよりも、失敗した自分を誰かに見られることが、ものすごく恥ずかしいのかもしれない。

だから、いつも最悪のパターンを考える。

こうなったらどうしよう。
嫌われたらどうしよう。
失敗したらどうしよう。
恥をかいたらどうしよう。

たぶん、その九割くらいは起こらない。

それでも先回りして、何度も頭の中で失敗しておく。

そうすれば、本当に何か起きたとき、

「思っていたより悪くなかった」

と思えるから。

傷つかないための予行演習なのかもしれない。

私は昔から、石橋を叩いて渡るタイプだと思っていた。

慎重に確かめて、危なくないとわかってから進む。

それは悪いことではない。

でも最近は、少し違う気がしている。

石橋を叩く。

まだ叩く。

念のため、もう一度叩く。

「ここ、ちょっとヒビが入ってない?」

「やっぱり危ないんじゃない?」

そうやって心配しているうちに、

渡りきる前に、自分で橋を壊しはじめている。

そんなことが、案外ある。

失敗するくらいなら、挑戦しない。

傷つくくらいなら、先に諦める。

うまくいかなくなるかもしれないから、自分から距離をとる。

それなら「失敗した私」を、誰にも見られずに済む。

でも、それは少しもったいない。

最近、自分の中の「汚いジャイアン」について考えたばかりだから、余計にそう思うのかもしれない。

格好悪い私もいる。

嫉妬する私も、意地を張る私も、失敗して顔から火が出るほど恥ずかしくなる私もいる。

たぶん、それをもう少し見せても大丈夫なのだ。

九割起こらないことを心配して、橋を壊してしまうくらいなら。

多少ぐらぐらしていても、渡ってみたい。

落ちたら、そのとき考えればいい。

誰にも見せていない私は、

案外、格好悪い。

でも最近は、

格好悪いまま橋を渡れる人のほうが、ずっと格好いいのかもしれない。

そんなことを思っている。

喜木 拝


#66週ライラン
「誰にも見せていない私」


ヤスさんの「66週ライラン」お題で綴りました。

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