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手術は「成功」で終わらない。達人が追い求める、その先。

手術が無事に終わる。

患者さんが元気に退院する。

外科医として、それは何よりも大切なことだ。

そして、それは当たり前に目指さなければならない。

しかし、達人と呼ばれる外科医は、その先を見ている。

「どうすれば、もっと美しい手術になるか。」

そこにこだわり続けている。



美しい手術とは何だろう。

出血が少ない。

組織を必要以上に傷つけない。

解剖が誰が見ても分かりやすい。

助手も学びやすい。

手術動画として見返しても、一つひとつの操作に無駄がない。

そうした積み重ねが、「美しい手術」につながる。

美しさは、自己満足ではない。

患者さんへの侵襲を減らし、合併症を減らし、再現性を高めることにもつながっている。



達人ほど、新しいものに敏感だ。

新しいエネルギーデバイス。

新しい縫合器。

新しい手術支援機器。

ロボット手術。

AIによる解析。

「今までこれで十分だった。」

そう考えるのではなく、

「もっと良くできる方法はないか。」

と考え続けている。

もちろん、新しいものがすべて正しいわけではない。

しかし、知ろうとしなければ、進歩はない。

道具は使いこなしてこそ価値がある。



一方で、大切なこともある。

新しいことに挑戦するには、土台が必要だ。

基本手技が身についていない。

解剖を理解していない。

定型手術が安定していない。

そんな状態で新しい技術ばかり追いかけても、本当の意味で使いこなすことはできない。

まずは、既存の形を完成させること。

基本を徹底すること。

その上で、新しい挑戦を積み重ねる。

この順番は決して変わらない。



外科医は忙しい。

病棟管理。

外来。

カンファレンス。

研究。

論文。

学会発表。

教育。

やることはいくらでもある。

それでも私は思う。

外科医である以上、最優先は手術である。

患者さんは、その手術のために入院し、自分たちを信頼して命を預けてくださる。

だからこそ、手術に対する準備だけは妥協してはいけない。

術前の予習。

画像を何度も見返す。

起こり得るトラブルを想定する。

達人の動画を見る。

術後には復習する。

「あの操作はもっと良い方法があったのではないか。」

「次はこう改善しよう。」

その積み重ねが、次の一例を変えていく。



成長を止める一番の敵は、失敗ではない。

マンネリである。

「いつも通り。」

「今までこうしてきた。」

この言葉が増えたとき、人は少しずつ成長を止めてしまう。

昨日より、少しだけ美しく。

昨日より、少しだけ低侵襲に。

昨日より、少しだけ無駄なく。

その積み重ねが、一流をつくる。



手術が成功することは当たり前。

その当たり前を、より安全に、より美しく、より再現性高く磨き続ける。

それが、外科医という仕事の終わりなき面白さなのだと思う。


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