『言わなければよかった言葉』
子どもの頃に
図工の時間で作った切り絵が出てきた
夢中になって虫を取り
意味もないのに全速力で走り
なぜか友だちと腹を抱えて笑ったあの日
「もう言わないで、お腹が痛い」
夏の夜は長く暑く
テレビからは歓声が漏れ
両親は若かった
まだ休みは始まったばかりだ
あの時、
何も不安はなかったのだろうか
希望だけだったのだろうか
作品を手に取り、私はこころでつぶやいてしまった
もうあんな日は戻って来ないんだな
思わなければよかった
それは切な過ぎたから
私は胸に手をあて
切なさを封じ込めようとした
けれどそれは指の間から少しこぼれ
床にポタリと落ちた
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