体育祭の行進練習が嫌だった
教師だった私が言うと非難されそうですが、私は体育祭の行進練習が好きではありませんでした。開会式や閉会式のときに行う入場行進の練習です。勤務した学校のいずれでも吹奏楽部の演奏に合わせて全校生徒が一斉に行進していました。生徒会の役員生徒が校旗を掲げて先頭を行き、そのあと各学年がクラスごとに続きます。
体育祭前の2週間は連日のように練習が行われました。全校練習と学年練習があり、各競技の動きなどを確認します。その中でいちばん多く行われたのが行進練習です。ほぼ毎日行われました。
「列を乱すな!」「横を揃えろ!」「胸を張って歩け!」「下を向くな!」行進練習では教師たちの注意がひっきりなしに飛びます。美しく見せるためです。整っていないと生徒たちは校庭を何周も歩かされます。「これで合格かな?」と思っていると、朝礼台に立つ体育主任が「もう一周!」と言うのを聞いて思わず生徒に同情したくなりました。生徒の中には他と歩調を合わせて歩くことが苦手な子もいます。そうした子が列を乱して「連帯責任」になることもありました。炎天下の練習で熱中症対策などが行われず、体調が悪くなる生徒もいました。
私は体育祭の練習を否定しているわけではありません。競技によっては練習をしっかりしておかないと怪我をする恐れがあるものも少なくないです。当時は組み立て体操もやっていましたし、騎馬戦やムカデ競争など怪我の多い競技もたくさんありました。怪我をしないためにも練習は必要です。また、練習を積むことによって気分がだんだん盛り上がっていくというメリットもあります。でも、行進練習については、暑い中、授業時間を削って練習を毎日行う意味がどこにあるのかといつも疑問に思っていました。
たしかに、美しい行進は見ていて気持ちよいです。来賓や保護者に美しい行進を見てもらうことにも意義はあります。でも、そこまで練習しなくてもよいのではないかと思うことがたびたびありました。さらに、行進練習には昔の軍隊を思わせるものがありました。私と同じように感じる教員もおり、行進練習の時間を減らすよう職員会議で意見を言ったこともありましたが、たいてい却下されてました。特に、体育会系の教師には行進練習を重視する人が多かったように思います。
私が学校現場を離れて何年にもなります。体育祭や運動会は少しずつ変わってきているようですが、練習はいまどのように行われているのでしょう。見栄えのためだけに過度な練習が行われることがないことを願います。
