〜格調高いのに、やっていることはほぼ意地の張り合い。でも、そこがいい〜『デュエリスト/決闘者』(1977年イギリス)
『デュエリスト/決闘者』

あらすじ
時はナポレオンがイケイケだった頃のフランス。
真面目で出世コースを歩みたいデュベール中尉が、問題児フェロー中尉に「ちょっとアンタ謹慎ね」と伝えに行ったのが運の尽き。
決闘マニアのフェローは「俺に恥かかせやがって!」と逆ギレし、なぜか伝令役のデュベールに決闘を申し込む。

普通なら「いやそれ筋違いでしょ」で終わる話が、この男には通じない。
こうして二人の“ほぼ私怨100%決闘”がスタート。
戦争が起きようが国が変わろうが関係なし。

場所を変え、武器を変え、時代をまたいで延々と斬り合い続ける。
やがてナポレオン帝政は崩壊し、デュベールは出世&結婚で人生安定ルートへ。
「もういいだろ…」と過去を清算しようとするが、フェローはそんな空気を一切読まない。

そして迎える“最終決闘”。
これはもはや名誉の問題か、それともただの意地の張り合いか⋯。

解説めいたもの
これ、ざっくり言うと「めちゃくちゃしつこい男に絡まれ続ける話」です。
フェローという男、プライドの塊を人型にしたような存在で、
・一度怒るとリセット不可
・理由はどうでもいい
・とにかく決闘したい
という、現代なら確実にブロックされるタイプ。

対するデュベールは「なんで俺がこんな目に…」と終始困惑気味。
観てる側も同じ気持ちになります。

しかしこの映画、ただのケンカ映画ではなく、
・ナポレオン戦争という時代の移り変わり
・名誉という概念のバカバカしさと美しさ
・男の意地の不毛さ
が、絵画のような映像で語られるのがポイント。

監督は本作がデビューの リドリー・スコット。
いきなり「絵作りうますぎ問題」を発動し、
全カットが美術館レベルという恐ろしい完成度。
つまりこの映画、内容だけ抜き出すと「ただの長期ケンカ」なのに、演出が良すぎて芸術作品に昇華されてしまった珍例です。

スタッフ
監督⋯リドリー・スコット(これが長編デビュー)
原作⋯ジョゼフ・コンラッド『決闘』
脚本⋯ジェラルド・ヴォーン=ヒューズ
撮影⋯フランク・タイディ

キャスト
フェロー中尉⋯ハーヴェイ・カイテル→ 執念の化身。歩くトラブルメーカー。

デュベール中尉⋯キース・キャラダイン→ 被害者ポジションなのに付き合いが良すぎる男。

アデル:クリスティナ・レインズ
上映時間⋯約100分

まとめ
「決闘は一回で終わらせましょう」という教訓映画。
あるいは“縁を切るタイミングを逃すと人生こうなる”という実例集。
フェロー役のハーヴェイ・カイテルは、ただの「困った人」ではなく、「困った人なのに妙に目が離せない人」として画面を支配します。

キース・キャラダインのデュベールは、その執念に振り回される常識人……のはずが、いつの間にかこちらも同じ土俵に立ってしまうあたりが恐ろしいところです。
そして何より、リドリー・スコットが最初から天才だったことを証明する一本です。

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