【医療者向け】【検査値ワンポイントノート】 グルコース(血糖)
1. グルコース(血糖)とは
グルコース(血糖、ブドウ糖)は、生体における主要なエネルギー源であり、特に脳や赤血球では不可欠な物質である。血中グルコース濃度は、糖代謝の状態を反映し、糖尿病をはじめとする代謝異常の評価に用いられる基本的な指標である。
2. 基準範囲
・空腹時血糖:110 mg/dL 未満
・正常高値:100〜109 mg/dL
・食後2時間血糖:140 mg/dL 未満
※基準範囲は施設・測定条件により若干異なる
※現在は正常高値という概念が重要視されている
3. 検査法・採取・保存
測定法
酵素法(HK法〔基準法〕、GOD法、GDH法)
採取・保存
・全血を室温放置すると解糖が進行し、血糖値は低下する。
・NaFを含む抗凝固剤入り採血管が用いられる。
・近年はクエン酸とNaFを併用し、より速やかに解糖を抑制する採血管も使用されている。
※通常の臨床現場では、採血後速やかに測定または血漿分離が行われるため、多くの場合、保存条件が大きな問題となることは少ないが、測定までに時間を要する場合には血糖低下に注意が必要である。
4. 異常値の原因
🔺 高値
・耐糖能異常
・糖尿病
・慢性膵炎(内分泌機能低下が進行した場合)
・クッシング症候群
・グルカゴノーマ
・末端肥大症
🔻 低値
・インスリノーマ
・肝硬変
・下垂体機能低下症
・アジソン病(副腎皮質機能低下症)
・インスリン自己免疫症候群
・胃切除後症候群
5. 血糖が示す臨床的意味
・血糖値は、腸管からの吸収、肝臓での糖新生・グリコーゲン代謝、末梢組織での利用により調節されている。
・この調節には、インスリンおよびインスリン拮抗ホルモン(グルカゴン、コルチゾール、成長ホルモン、甲状腺ホルモンなど)が関与する。
・血糖値は一時的な血糖変動(食後高血糖、ストレス高血糖など)を反映しやすく、単回測定では長期的血糖状態を把握できない。
6. 病態のメカニズム
糖尿病、膵臓の異常、グルコースを消費する臓器の異常、腸管からの吸収異常などの病態により血糖値は上下する。
7. 実務的視点
糖尿病診断の目安
空腹時血糖126 mg/dL以上、随時血糖200 mg/dL以上、HbA1c 6.5%以上(原則として複数回確認する)。
低血糖
70 mg/dL未満で低血糖、54 mg/dL未満は臨床的に重要な低血糖とされる。
血糖値のみで判断せず、HbA1c、グリコアルブミン(GA)、1,5-AGなどを組み合わせて総合的に評価することが重要である。
