「Python、何それ、おいしいの?」の次に来たのは、確認地獄でした
以前、PythonもCSVもよくわからなかった私が、AIに手伝ってもらいながら動画制作を自動化した話を書きました。
あれから少し進みました。
画像を決まった順番に並べて、動画にするスクリプトが動くようになりました。
画像を4枚入れる。
設定ファイルを確認する。
BATファイルを押す。
MP4ができる。
おお。
動いた。
私、自動化している。
もしかして、これは商品として販売できるのでは?
そう思ったところから、今回の話は始まります。
そして結論から言うと、
自動化ツールを作ったあと、私は同じ動画を何度も作り直すことになりました。
自動化とは。
商品の説明動画を作ろう
スクリプトだけ渡されても、初めて使う人にはわかりにくいかもしれません。
そこで、簡単な説明動画を付けることにしました。
PowerPointで8枚のスライドを作る。
スライドをPNG画像として保存する。
各ページのナレーション音声を作る。
画像と音声を自動で組み合わせて、説明動画にする。
ここまで聞くと、非常に順調です。
しかも、画像と音声さえ用意すれば、動画自体は自動で作れます。
便利。
未来。
楽ができる。
……と思っていました。
8枚中3枚に問題がありました
完成した動画を確認してみると、8枚のスライドのうち3枚に問題がありました。
文字化けしている。
商品仕様と違う文章が入っている。
購入者には関係のない、販売者側の事情が書かれている。
たとえば、
「購入者の誤解を防ぐため」
「販売文の軸」
「note有料記事の付録に向く」
というような文章です。
作っている側には意味がわかります。
でも、購入者から見れば、
何の話ですか?
となります。
説明資料の中に、会議中のメモがそのまま残っているようなものです。
なぜ気づかなかったのか。
PowerPointを作った。
PNGにした。
ナレーションを作った。
動画にした。
ここまで作業が進んだことで、私は勝手に、
「かなり完成に近いもの」
だと思い込んでいたのです。
実際には、まだ文章の確認すら終わっていませんでした。
動画を確認工程にしてはいけなかった
今回いちばん問題だったのは、動画を作ってから間違いを探していたことです。
スライドを動画にする。
動画を見る。
間違いを見つける。
PowerPointを直す。
PNGを書き出す。
動画をもう一度作る。
また別の間違いを見つける。
PowerPointを直す。
PNGを書き出す。
動画をもう一度作る。
これはもう、動画制作ではありません。
間違い探しゲームです。
しかも、間違いを見つけるたびに動画を丸ごと再生成します。
動画生成が自動なので、ボタンを押せば作れます。
でも、だからといって、何回作り直しても平気というわけではありません。
完成を待つ。
動画を開く。
該当ページまで進める。
文章を確認する。
また修正する。
地味に時間が消えていきます。
ここで、ようやく気づきました。
動画は確認するためのものではなく、
確認が終わった素材から作るもの
でした。
当たり前のことを、動画を何回も作り直してから理解しました。
PNGだけ直したら、原本が行方不明になった
途中で、PNG画像だけを直接修正したこともありました。
その場では早いです。
文字を少し直して保存すれば終わります。
でも、PowerPointには古い文章が残っています。
すると、次にPowerPointから全ページを書き出したとき、修正前のPNGが復活します。
修正したはずの間違いが、よみがえる。
ホラーです。
そこで、説明スライドについては、
PowerPointを唯一の原本にする
ことにしました。
直すのはPowerPoint。
PNGは必ずPowerPointから書き出す。
PNGだけを個別に直さない。
これで、
「どれが最新版ですか?」
という問題を減らせます。
なお、商品仕様そのものは別の仕様書で管理します。
PowerPointは、あくまで説明資料の原本です。
何でも一つのファイルに詰め込めばいいわけではありません。
原本は、役割ごとに一つ。
どうやら、そういうことらしいです。
商品本体と、説明動画の仕組みが混ざりました
さらに途中で、別の問題も起きました。
販売する商品は、
「4枚の画像を1本の縦動画にするWindows用ツール」
です。
ところが、説明動画を作るためにも別のスクリプトを使っていました。
PowerPointから書き出した画像。
ページごとのナレーション。
それらを組み合わせて、説明動画を作る仕組みです。
どちらも動画を作るスクリプトなので、話をしているうちに混ざりました。
販売するスクリプト。
説明動画を作るスクリプト。
講座用のスクリプト。
設定ファイル。
BATファイル。
いつの間にか、
どれを購入者に渡すのか。
どれは販売者だけが使うのか。
境界があやしくなっていました。
そこで、フォルダを完全に分けました。
購入者に渡すもの
商品本体
実行用BATファイル
settings.csv
サンプル画像
導入手順書
エラー対処表
利用規約
販売者だけが持つもの
PowerPoint原本
説明動画用PNG
ナレーション台本
ナレーション音声
説明動画を作るスクリプト
note記事原稿
公開前チェックリスト
同じ「動画を作る仕組み」でも、役割は別です。
混ぜてはいけませんでした。
バージョン番号が増殖する
商品名とバージョン番号も問題になりました。
ZIPはv1.0.1。
説明画像にはv1.0.2。
READMEにはv1.0。
利用規約にも別の表記。
バージョン番号が、知らない間に増殖しています。
スクリプトは一つなのに、名札だけが何枚もある。
誰が本物なのか。
そこで、公開する商品名とバージョン番号を先に固定し、
ZIP名
フォルダ名
README
スクリプト
説明動画
note記事
利用規約
をすべて同じ表記にそろえることにしました。
これは動画制作というより、商品管理の話です。
コードが動くかどうかだけ見ていればよかった段階から、
購入者が迷わないか。
説明と実物が一致しているか。
古いファイルが混ざっていないか。
という確認が必要になりました。
自動化のボトルネックは、コードではなかった
ここまでやって、今回いちばん大きかった気づきがあります。
自動化すれば、作業が全部なくなるわけではありません。
なくなるのは、主に繰り返し作業です。
画像を並べる。
秒数を合わせる。
何本も書き出す。
同じ処理を繰り返す。
こういう部分は、パソコンがやってくれます。
その代わり、人間側には別の仕事が残ります。
何を作るか決める
素材を整理する
文章を確定する
設定が正しいか確認する
商品説明と実物を一致させる
購入者に不要な文章を削る
つまり、自動化すると、
作業の中心が「操作」から「設計と確認」に移る
のだと思います。
私は画像を並べる作業を減らしたかった。
それは実現しました。
そして空いた場所に、
確認作業が大きな顔をして座りました。
こんにちは。
今回決めた、動画化前の確認手順
同じことを繰り返さないために、説明動画を作る前の手順を決めました。
1.文章だけを先に確定する
PowerPointを作る前に、タイトル、説明文、注意事項を文章で確認します。
2.PowerPointの全テキストを確認する
誤字、古い商品名、内部向け表現、実装していない機能がないかを確認します。
3.全ページをPNGで書き出す
一部だけではなく、全ページを書き出します。
4.全ページの一覧画像を作る
8枚なら8枚を一度に並べ、デザイン、ページ番号、タイトルの統一を確認します。
5.原寸でも確認する
一覧画像だけでは、小さい文字の化けや切れを見落とします。
各ページを原寸で開きます。
6.画像と音声の番号を合わせる
001.pngには001.mp3。
008.pngには008.mp3。
欠番や古いファイルを残しません。
7.ここまで終わってから動画にする
動画は最終確認です。
文章の下書きを確認する場所ではありません。
これを最初からやっていれば、何回も動画を作り直さずに済みました。
はい。
次から気をつけます。
そして、ツールを販売することにしました
今回作ったのは、PNGやJPEG画像をファイル名順に並べ、4枚ずつ縦型MP4にするWindows用ツールです。
画像4枚なら動画1本。
40枚なら10本。
画像ごとの表示秒数と、ズームイン、ズームアウト、固定をCSVで指定できます。
すでに作った動画を飛ばして、未生成分だけ作ることもできます。
全部上書きすることも、指定番号だけ作り直すこともできます。
音声、BGM、字幕は入りません。
PowerPointを直接読むこともできません。
万能動画制作AIではなく、
画像を並べて映像部分を作る作業を減らすための、小さな道具
です。
今回の失敗を経て、スクリプトだけではなく、
サンプル画像
実行用BAT
settings.csv
導入手順書
エラー対処表
Windowsの警告への対応
簡単な紹介動画
までまとめました。
詳しい仕様と販売ページは、こちらです。
おわりに
以前の私は、
「Python、何それ、おいしいの?」
というところから始まりました。
少し進んで、
「Pythonは、パソコンに作業をお願いするための言葉らしい」
くらいにはなりました。
そして今回、
「自動化しても、確認は自動では終わらない」
ということを学びました。
AIにコードを書いてもらう。
パソコンに動画を作ってもらう。
そこまではできます。
でも、
この文章は購入者に必要なのか。
このファイルは本当に最新版なのか。
説明と商品は一致しているのか。
最後に判断するのは、人間です。
自動化とは、何もしなくてよくなることではなく、
人間がやるべき仕事を、少しはっきりさせること
なのかもしれません。
そして私が今回、かなりはっきり理解した人間の仕事は、
動画を作る前に、ちゃんと全部確認すること。
でした。
理解するまでに、同じ動画を何回も作りました。
大変よく学べました。
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