【全部消す前に】GPT-6 AstraとFable 5.1が「古い指示を見直せ」と言うので、スキル146個を診断したら、消す所は0で矛盾が5つ出た
こんにちは、れん学長です(2026年9月6日時点)。
「GPT-6 Astraを使う前に、AGENTS.mdとSkillsを必ずクリーンアップしろってOpenAIが緊急発表した」
こんな投稿、あなたのタイムラインにも流れてきませんでしたか?
私も見た瞬間「え、消さなきゃ」と思いました。で、原文を読みに行ったら、ちょっと違いました。笑
結論を先に言うと、公式が言っているのは「消せ」ではなく「見直せ」です。しかも面白いことに、AnthropicもClaude Fable 5と5.1向けのガイドで、同じことを書いていました。

で、せっかくなので、私の手元にある146個のスキルと、常設の指示ファイル(Claude向けのルール3本と、Codex向けのAGENTS.md)を本当に見直してみたんです。
結果はこうでした。
消せたスキルは0個
直したのは「言い方」と「交通整理」だけ
いちばんの問題は、指示の「量」じゃなくて「構造」にあった
どういうことか、順番に見ていきましょう。
きっかけは、あの「緊急発表」ポスト

まず、きっかけになった投稿です。
【注意喚起】OpenAI公式が今緊急発表
— Codex研究ラボ (@Gencoin8) September 5, 2026
GPT-6 Astraを使い始める前に
『AGENTS.mdとSkillsを一度クリーンアップ』を
必ずやれって注意喚起されてる… https://t.co/aPC07zQ42a pic.twitter.com/yjmGFvh2fB
要約すると「OpenAI公式が緊急発表。Astraを使う前にAGENTS.mdとSkillsをクリーンアップしろと注意喚起している。スキルを大量に買った人は無駄になった」という内容でした。
表示は29万回、いいねも1400を超えていて、私のまわりでも話題になっていました。
で、こういうとき私がやるのは1つだけです。原文を読む。
原文を読んだら、3つ違っていた

出典は、OpenAIの開発者向けガイド「Using GPT-6 Astra」でした。
問題の一節はこれです(私の訳です)。
GPT-6 Astraは以前のモデルより指示に忠実で、そのぶんskillsやAGENTS.mdなどのファイルに書かれた指示にも敏感に反応します。モデルが読めるファイルに、動作へ影響しうる指示が入っていないか監査することを強く勧めます。
読み比べると、投稿とは3か所が違いました。
「緊急発表」ではなく、モデル公開に合わせた普通の開発者ガイドの一節でした
「必ずクリーンアップ」ではなく、「監査を強く勧める」でした。消せとは書いていません
「買ったスキルは無駄」という記述は、どこにもありませんでした
ただ、投稿の「これからは足すより消すほうが大事になる」という見立て自体は、原文の方向と合っています。ここは投稿者さんの読みが当たっていると思います。
じゃあ、なんで「見直せ」なのか。同じページにもう一段くわしく書いてありました。
スキルファイルの中に不明瞭な指示や矛盾する指示があると、モデルが途中で止まり、作業が早期にブロックされることがあります。
つまり、賢くなったモデルほど、矛盾した指示を律儀に守って止まっちゃうんです。
これ、けっこう大事なポイントなので覚えておいてください。あとで私の環境でも実物が出てきます。
実は、Anthropicも同じことを書いていた

ここからが面白いところです。
Anthropicも、Claude Fable 5.1の公開に合わせて出したプロンプトガイドで、同じ方向のことを書いていました。
Fable 5.1のページで目を引いたのは、「外せ」と名指ししている旧指示が具体的なところです(私の訳です)。
以前のモデルは作業中に報告しすぎたので、「結果は最後にまとめて」のような行を足した人が多いはずです。Fable 5.1は逆に報告が少ないので、何かを足す前に、その行を消してください。
以前のモデルは箇条書きと太字を使いすぎたので、それを抑える行を持つプロンプトが多くあります。Fable 5.1は逆の傾向なので、その行は消すか、「いつ使うか」を書いた規則に置き換えてください。
つまり、旧モデルの「やりすぎ」を抑えるために足した行が、新モデルでは「足りない」を作っている、ということなんですね。
で、「スキルを見直せ」という話は、一足先に出ていたFable 5用のページに、もっと直接的に書いてありました。
旧モデル向けに作られたスキルは、Fable 5には細かすぎることが多く、出力品質を下げることがあります。素の性能のほうが良いなら、古い指示を外すことを検討してください。
さらに全モデル共通のページには、こんな具体例まで載っています。
「CRITICAL: You MUST use this tool when...」と書いていたところは、「Use this tool when...」でよい。
昔のモデルを動かすために盛った強い言葉が、今のモデルには過剰に効いてしまう、ということなんですね。
で、両社の文書を並べて分かった共通項は、この1行に尽きます。
「旧モデルの弱点を補うために書いた指示は、新モデルでは邪魔になる」
ただし、1つ注意があります。
「どの指示が邪魔になるか」は、モデルごとに逆なんです。
GPT-6 Astraは、長くて整形された返答に寄りがち。だから「短く書け」を足す方向
Claude Fable 5.1は、途中報告と箇条書きが元から控えめ。だから「短く書け」「箇条書き禁止」の旧指示を外す方向
同じ「見直せ」でも、直す向きが逆なんですよ。ここは記事の後半で、私がどう対処したかを書きます。
7月の私の記事と、答え合わせをしてみた

実はこの流れ、7月に私が公式ガイドを根拠に実測した内容の続きなんです。
当時のきっかけは、Anthropicのベストプラクティスガイドにあった「常設指示は、書かないことの方が大事」という方向性でした。それを自分のスキルで数字にしてみよう、というだけの実験です。
サムネコピーを作るスキルを4パターン用意して、本人ブラインド判定で対決させました。
結果は30勝2敗で、勝ったのは「厚い版」でも「薄い版」でもなく、「私を知っている版」だけでした。
そこで出した整理がこれです。方向性は公式、基準の言い切りは私、という分担です。
削っていいのは、モデルが既に知っていること(一般論と重複)
残すのは、自分の好み、事故から学んだガードレール、ファイル名などの取り決めの3種類
で、9月の両社の文書を読むと、この整理と食い違うところはありませんでした。「細かすぎるスキルを外せ」「強い言葉を普通に戻せ」は、私の言葉で言えば「一般論と煽りを消せ」です。
一方で、公式のほうが具体的に踏み込んだ点が2つありました。
矛盾した指示があると「止まる」という機構。7月の私は「コストになる」までしか言えていませんでした
モデルごとに直す向きが逆になる、という話
逆に、公式が書いていないので私が補った点もあります。公式は「何を残すか」を書いていません。「好み・事故・取り決めの3種類」は、実測から出した私の整理です。
じゃあ、その3種類の基準で、両社の文書を片手に、本当に146個を見直したらどうなるか。やってみました。
146個のスキルを健康診断した結果

やった検査は4つです。対象はスキル146個と、常設指示(Claude向けのルール3本、AGENTS.md 2本)です。相棒はClaude Fable 5.1が動いているClaude Codeで、矛盾さがしは別のAIに丸ごと読ませ、残りは「必ず」「絶対」のような言葉が入っている行を全部抜き出して、1行ずつ目で見ました。
検査1: 説明文どうしが矛盾していないか(同じ依頼に複数のスキルが手を挙げていないか)
検査2: 「必ず」「絶対」「MUST」「CRITICAL」のような強い言葉が、旧モデルを動かすための盛りとして残っていないか
検査3: 「必ずテストせよ」「もう一度確認せよ」のような、今のモデルが放っておいてもやることを命じていないか
検査4: Fable 5.1向けに外すべき「途中報告を抑える」「箇条書き禁止」の旧指示が残っていないか
結果を検査ごとに見るとこうです。
検査1(説明文の矛盾): 130件の説明文を14グループに分けたら、5グループで衝突が見つかった。X投稿、Note下書き、インフォグラフィック、TODO、ブラウザ操作の5つ
検査2(強い言葉): 「必ず」「絶対」の入った行は68ファイルに214行もあった。ただ、強い言葉イコール盛りではないので、1行ずつ中身を読んで仕分けした。旧モデルを動かすための盛りだったのは10行(約5%)で、残りの204行は、事故から学んだガードレール、ファイル名の取り決め、投稿前の確認の3種類だった
検査3(余計な命令): 「必ずテストせよ」「もう一度確認せよ」型は0件
検査4(逆方向の旧指示): 「途中報告を抑える」「箇条書き禁止」型も0件
214行と出たときは「やっぱり盛ってるな」と思ったんですよ。でも中身を読んだら、残すべき行ばかりで、盛りは10行でした。
検査3と4に至っては0件です。7月に一度掃除していたので、「盛った指示」はほとんど残っていなかったんですね。
同じ「必ず」でも、盛りと本物は何が違うのか

仕分けの基準は、「その行を、なぜ書いたか」です。
モデルが「できなかった」から書いた行。これが盛りです
モデルが「知らなかった」から書いた行。これは本物なので残します
旧モデルがスキルを選び損ねたり、長い会話で指示を忘れたりするのを押さえ込むために足した「必ず」が、できなかった対策です。今のモデルはそこができるので、押しつけが要らなくなりました。
一方で、過去の事故、他のプログラムの都合、本人が決めたい操作。これはモデルがどれだけ賢くなっても知りようがないので、残します。
実物を2つずつ見るとこうです。
できなかった対策(盛り。押しつけを外す):
「〜と依頼されたら必ず使う」(スキルの説明文)。旧モデルが正しいスキルを選び損ねたので強めた行で、「〜のときに使う」に戻しても、今のモデルは正しく選びます
「作業の段階が変わるたびに、必ず原則を貼り直す」。論文を10段階で書くスキルにあった、段階ごとに冒頭の原則(引用を捏造しない、など)をもう一度貼れという指示です。旧モデルが長い会話で最初の指示を忘れた対策でした。Anthropicは今「長く複雑な作業でも指示の保持が強い」と書いているので、「毎回必ず」を「会話が長くなったときだけ」に弱めました。消してはいません。会話が圧縮されて要約に置き換わる場面では今でも指示が抜けることがあり、そこは公式も「何を残すか指示せよ」と書いているからです
知らなかった対策(本物。そのまま残す):
「予約のチェックボックスは、必ず画面の状態を読み取って確認する」。8月に予約のつもりが即時配信になった事故があった、という過去の事実は、モデルには知りようがありません
「出力ファイル名は必ずこの形式にする」。後ろのプログラムがファイル名から枚数を読む、という他のプログラムの都合です
迷ったときの聞き方は1つで、「この行は、モデルができなかったから書いたのか、知らなかったから書いたのか」です。できなかった対策は、今のモデルなら外せます。知らなかった対策は、賢くなっても外せません。
で、ここまでは「思ったより健全だった」という話なんですが、検査1だけは様子が違いました。
本丸は「量」じゃなくて「構造」だった

検査1で見つかった衝突を追いかけていたら、いちばん大きかったのは、言葉の検索では見つからない種類の問題だったんです。「必ず」や「絶対」をいくら探しても出てこない。ファイルの置き場所そのものが原因でした。
「同じスキルが、2か所から二重に提示されていた」
2月に試した実験の名残で、プロジェクトのフォルダの中に、15個のスキルの複製が残っていたんです。中身は現行版と同じなんですが、Claude Codeはこのフォルダで作業するとき、15個を「こっちを優先せよ」と二重に読み込んでいました。
説明文が2倍読まれる。同期を忘れた瞬間に古い版が優先される。まさに公式が言う「同じ場面で複数のスキルが手を挙げる」の実物でした。
もう1つが、X投稿まわりの交通渋滞です。
「記事からXポストを作って」という依頼に、5つのスキルが同時に手を挙げていました。しかもそのうち1つは、他の4つが禁止している「✅の箇条書きで利点を並べる」書き方を指示していたんです。
さらに、公開後の後片付けをするスキルと、投稿を量産するスキルで、確認の取り方が食い違っていました。片方は「外部に出す操作は1件ごとに直前確認」、もう片方は「確認は1回だけで、あとは全部やる」。
両方読んだモデルは、予約の前に止まるべきかで迷います。これが公式の言う「矛盾で早期に止まる」の正体でした。
直したのは「交通整理」と「言い方」だけ

で、直したのはこの4つです。スキルは1個も消していません。
複製15個を、退避したうえで撤去
X投稿の4つのスキルの説明文に、同じ文言で「振り分けの一文」を追加(2本以内ならこれ、3本以上か2媒体以上ならこれ、予約だけならこれ)
確認の取り方を「最初のプラン提示に本文まで全部載せて、1回の承認で進める」に統一
「必ず使う」「絶対に使わない」のような10行の言い方を、普通の文に戻す
逆に、残したものもはっきりしています。
「投稿前にプラットフォームの実物を確認する」のような、事故から生まれたガードレール
「ファイル名はこの形式」「キャラクターは必ずこの参照画像」のような、成果物の取り決め
「体言止めをしない」のような、私の好み
この3種類は、モデルがどれだけ賢くなっても消えません。モデルが知らないのは「私のこと」だからです。
逆方向の指示は、どう対処したか

さっきの「AstraとFable 5.1で直す向きが逆」の話です。
結論から言うと、逆方向の衝突は起きていなかったので、そこは何も直していません。
理由は、7月の時点で、Claude向けのルールとCodex向けのルールを別のファイルに分けてあったからです。Claude側は「このモデルのときだけ適用」と条件をつけたファイル、Codex側は独立したAGENTS.md、という形です。片方に足した指示が、もう片方のモデルに届く経路がありません。
「逆方向の指示は、モデル別のファイルに分けて置けば衝突しない」。これは、あなたがCodexとClaude Codeを両方使っているなら、今日から真似できると思います。
効果はまだ測っていません

正直に書いておくと、直した効果はまだ数字で出ていません。
7月の実験では、差が見えるまでに48ペアの対決が必要でした。今回の変更は内容を変えずに言い方を直したものなので、1回や2回の比較では差が出ないと思っています。
なので、次に記事を公開して投稿を量産する作業で、「確認で止まった回数」と「スキルの選び間違い」を数えます。結果は続報にしますね。
あなたの常設指示とスキルで、今日からできること

ここまで読んで「自分の環境も見たいな」と思った方に、私の環境で矛盾を見つけるのにいちばん役立った手順を1つだけ渡します。
ちなみにこの話、スキルだけの話ではありません。ChatGPTのカスタム指示、CLAUDE.md、AGENTS.md、自作スキル。AIが毎回読む「固定の指示文」なら、全部同じ仕分けが使えます。私の診断でも、スキルと一緒に常設のルールとAGENTS.mdを見ました。
まず、仕分けの基準はこの2行だけなんですよね。
残す: 自分の好み、事故から学んだガードレール、ファイル名や書式の取り決め(モデルが「知らなかった」から書いた行)
消す候補: 矛盾している指示、旧モデルを押さえ込むための強い言葉、今のモデルが放っておいてもやることの命令(モデルが「できなかった」から書いた行)
で、矛盾を見つけるのにいちばん早かったのが、OpenAIがガイドに載せているプロンプトでした。スキルのせいで止まったときに、その理由をモデル自身に言わせるものなんです。私の訳で載せます。
スキルの指示が原因で、許可を求めたり、作業を途中で止めたり、頼まれたことから外れたりした場合は、読んだSKILL.mdのファイル名を示し、該当する一文をそのまま引用して、なぜそれが当てはまると判断したかを短く説明してください。スキルに明示された要件と、あなた自身の解釈は区別してください。
これを常設指示に1行入れておくだけで、「どのスキルの、どの一文が」モデルを止めたかが見えるようになります。矛盾は、探すより言わせるほうが早いんです。
もう1つ、両社が揃って勧めているのがこれです。
ユーザーの指示は、スキルに書かれた指針より優先する。両方が食い違ったら、ユーザーの指示に従う。
この1行があると、スキルの矛盾で止まる事故の保険になります。
そして、実際に消すかどうかの判断は、AIに任せずあなたがしてください。候補出しまではAIで大丈夫です。
動画で見たい方へ
複製15個が見つかった瞬間や、X投稿まわりの交通渋滞の実物は、画面で見たほうが伝わると思います。
動画はこちら👇️ (動画は編集中です。公開後にここへリンクを入れます)
まとめ

今回の要点は3つです。
公式が言ったのは「消せ」ではなく「見直せ」。しかもOpenAIとAnthropicの両方が同じことを書いている
スキル146個を診断して、消せたのは0個。見つかった問題は指示の量ではなく、「同じスキルが2か所から読まれていた」「同じ依頼に5つのスキルが手を挙げていた」という、置き場所と説明文の問題だった
消すのは、モデルが「できなかった」から書いた行(「依頼されたら必ず使う」のような押しつけ)。残すのは、モデルが「知らなかった」から書いた行(過去の事故、他のプログラムの都合、本人が決めたい操作)
要は、AIが賢くなるほど、指示を盛ることより、「どの指示を使えばいいか迷わない状態」にしておくことのほうが、止まらずに最後まで走ってくれる、ということなんです。
次の一歩は1つだけ。常設指示に「止まった理由のスキルと一文を引用して」の1行を足してみてください。
あなたの環境で「これ、消していいのかな」と迷っている指示があれば、コメントで教えてください。次の診断ネタにします。
ここから先は、私が今回使った道具をそのまま渡します。AIに手順書を読ませるだけで、あなたのスキルと常設指示の健康診断が一通り回るセットです。
ここからはメンバーシップ限定の内容です。
今回の診断で使ったプロンプトと仕分けシート、それに私が実際に書き換えた説明文の変更前と変更後を、「スキル健康診断セット」としてまとめました。
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