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台湾、音の記憶【台湾一人旅の記録①】

旅先の楽しみとして、目を喜ばせる自然や建築美、舌を喜ばせるグルメがクローズアップされることは多いけれど、音だけが取り上げられることはあまりない気がする。
それは、視覚的なものや料理が独立してわかりやすい魅力を伝えやすいのに対して、音はその土地の風土や生活と溶け合って、体感でしか腑に落ちないものだからだと思う。

今回の台湾旅を振り返ったときに、バックに流れる3つの音について、紹介したい。

|ごみ収集車から流れる「乙女の祈り」


旅の初日。夕方、街歩きをしているとどこからか「乙女の祈り」が聞こえてくる。移動販売か?
音の鳴る方へ向かっていくと、他にもわらわらと集まってくる人たちがいる。
一体どんな美味しいものが売られているのだろうとさらに近づくと、メロディの発生源は人だかりに囲まれた黄色いごみ収集車だった。よく見るとみな、手に赤いごみ袋を握りしめていて、自ら投入口に放り込んでいくのだった。


台湾では、日本のように集積場にごみを出しておくのではなく、こうして収集車が来たら自分で出すスタイルなのだそうだ。カラスや猫にごみが荒らされなくて合理的な反面、収集時間に自宅にいなければアウトなので、不便そうだ。「今日、ごみの日だから定時であがります」みたいな感じなのかな。

ごみを出しながらご近所さん同士で言葉を交わし、ちょっとした社交場のようでもある。
だいぶ遠くから叫びながらダッシュしてくる人もいる。賑やかだ。

わたしが行き合ったのは「乙女の祈り」バージョンの収集車だったが、どうやら「エリーゼのために」バージョンもあるらしい。

|台北MRTの列車接近音


台北MRTは、台北市を中心に広がる6路線の都市鉄道網。路線ごとに色分けされ、案内も分かりやすく、初めての旅行者でも迷いにくい。
数分おきに列車がやって来る利便性もさることながら、記憶に残ったのはどこか夢見るような列車接近音だった。

特に多く乗車したのは、ラインカラー赤の「淡水信義線」と、青の「板南線」。何度も接近音を聴く。

どちらも、とってもドリーミー。浮遊感がすごくて足元がふわふわしてしまう。「電車が近づいてくるのに、ふわふわして大丈夫か?」と思うが、MRTは全駅ホームドア完備で安心なのである。
こんなのを流されたら、ついせわしなくなりがちな朝の通勤も「一本見送ってもいいかなぁ」とゆったりできてしまいそうだ。

ちなみに、ラインカラー緑の「松山新店線」の接近音は、ショパンのノクターン第2番 変ホ長調 Op.9-2のアレンジ曲。なんてエレガント。


帰国後もあの音が聴きたくて、YouTubeで探していたら、台湾の音鉄と思われる人がまとめた「台湾全土の列車メロディまとめ」がヒットした。多謝!!


高雄のMRTは、なんと駅ごとにメロディが違うらしい。しかも、パーカッションなども入っていて、もはや駅メロの域を超えた芸術。いいなぁ。豊かだなぁ。
もうね、夜これを聴きながらだと、よく眠れます。
近々、絶対に高雄に行く!

|全家(ファミリーマート)の入店音


飲み物を買ったり、ATMでお金を下ろしたりで、一日一回はお世話になった全家(ファミリーマート)。
日本のファミマの入店音もなかなかに耳に残るメロディだけど、軽やかさでいったら台湾全家に軍配が上がる。何だか、踊り出したくなるようなリズム。

ほら、あなたもわたしもウッキウキ!

帰国してからも口ずさんでしまう。脳への浸食力高し。そして、メロディとともに、店頭で煮られている茶葉蛋(煮卵)の甘い香りもよみがえる。

あぁ、書いている側から、またすぐ台湾に行きたい。

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