アフリカの力強い「手仕事の宇宙」を旅する展覧会|ふたりのアフリカ、手仕事の宇宙――人類学者・川田順造と陶芸作家・小川待子のコレクション(世田谷美術館)
今回は、世田谷美術館で9月6日(日)まで開催されている「ふたりのアフリカ、手仕事の宇宙――人類学者・川田順造と陶芸作家・小川待子のコレクション」展についてご紹介します。
展覧会概要

アフリカの大地で育まれた、素朴で力強い手仕事の数々。世田谷美術館で開催される「ふたりのアフリカ、手仕事の宇宙――人類学者・川田順造と陶芸作家・小川待子のコレクション」は、アフリカの文化と造形に魅せられた「ふたりのスペシャリスト」の視点を通して、その奥深い魅力を紐解く展覧会です。 アート好きはもちろん、クラフトや雑貨、異文化に興味がある方にもたまらない、本展の3つの見どころをご紹介します。
1. 人類学者×陶芸家。異なる視点から見つめる「ふたりのアフリカ」

本展の最大の魅力は、文化人類学の第一人者である川田順造氏と、現代陶芸を代表する小川待子氏という、全く異なるアプローチでアフリカを探求した二人のコレクションが交差する点です。研究者としての「知の眼差し」と、アーティストとしての「美の眼差し」。ふたつの視点が重なることで、単なる美術展示を超えた、立体的で奥深いアフリカの姿が浮かび上がります。
2. 生活に根ざした「用の美」と道具たち


ふたりが西アフリカでの長年のフィールドワークを通して収集したのは、人々の生活に密着した日用品や農具、染織品などの数々です。厳しい自然環境の中で、祈りや願いを込めて作られた道具たちは、飾らない美しさと機能性を備えています。人間の「生きる力」が宿る、プリミティブな造形美に心揺さぶられるはずです。
3. 土と炎が生み出す根源的なエネルギー

西アフリカでの滞在経験を持ち、現地の土器作りに強いインスピレーションを受けた小川氏。彼女が惹かれた現地の力強い陶器や手仕事の品々とともに、それらに共鳴するように生み出された彼女自身の陶芸作品も展示されます。アフリカの大地そのものを思わせるような、土と炎の圧倒的なエネルギーを感じることができる空間です。
太古から続く人間のモノづくりの原点に触れ、私たちの感性をビンビン刺激してくれる「手仕事の宇宙」へ、ぜひ足を運んでみてください。
member's pick
私たちリムゼは、開幕前日のメディア内覧会を取材しました。ここからは実際に鑑賞して印象に残ったポイントをご紹介します。
pick 1 - 作品の息遣いを感じられる展示方法

一般的な美術館の展示に多い、ガラスケース越しに整然と並べられた展示方法ではなく、実際に使うときも近くにあるであろうものたちがまとめて展示されています。まるで現地の市場や住居にそのまま迷い込んだかのような、地続きの臨場感がありました。
手前のスプーン一つひとつを取っても、使い込まれた艶や削り跡のいびつさといった「手の跡」がダイレクトに見える距離感で展示されています。作り手や使い手の体温や呼吸が伝わってくる距離感で観ることができたのが、かなり印象的でした。ぜひ一歩近くに寄って、その息遣いを感じてください。
pick 2 - 生活を彩る布地と衣服の豊かな造形

アフリカの伝統的な染織技術や、現地の人々が実際に身に纏ってきた衣服が美しく並べられています。壁面に大胆に掲げられた藍染めの布地をはじめ、細やかなボーダー柄のスカート、ノースリーブのブラウス、そして可愛らしい子供用のシャツなどが配置され、独自の色彩感覚と手仕事の細やかさが目を引きます。大量生産品にはない、手織りならではの不均一な風合いや、大地の植物や自然からインスピレーションを得たであろう力強いパターンが美しく調和しており、衣服が単なる生活の道具を超えた「身に纏うアート」であることを実感させてくれる空間構成になっています。
pick 3 - 空間を包み込む布の力強さと多様性

展示室の壁面全体を使い、アフリカ各地の伝統的な織物やテキスタイルがダイナミックにディスプレイされています。藍染めの深いグラデーションが美しいモダンな幾何学模様の布から、大地の温かみを感じさせる茶やオレンジを基調としたプリミティブなパターンのものまで、一枚一枚が異なる個性を放っています。さらに空間の中央には、ガラスケースに入った小さな立体作品や資料がアクセントとして配置されており、平面的な布の広がりと立体的な展示が美しく調和しています。単なる「生地の展示」を超えて、空間そのものが一つの巨大なインスタレーションのように迫ってくる、圧倒的な視覚体験が最大の見どころです。
感想
土の匂いや手の温もりがダイレクトに伝わってくる、ものすごい熱量の空間でした。人類学者の緻密な視点で集められた無骨な生活道具と、陶芸作家の感性が響き合う展示は、まさに「手仕事の宇宙」。アフリカの厳しい自然の中で生まれたプリミティブな造形美に、心の底からエネルギーをもらえます。洗練された現代アートとは一味違う、人間の「生きる力」とモノづくりの原点に触れられる、絶対におさえるべき展覧会です!(伊沢菫)
開催概要
【 展覧会名 】
ふたりのアフリカ、手仕事の宇宙――人類学者・川田順造と陶芸作家・小川待子のコレクション
【 美術館名 】
世田谷美術館
【 開催期間 】
2026年7月11日(土) - 9月6日(日)
【 開館時間 】
10:00 - 18:00(入場は17:30まで)
【 休館日 】
月曜日
*ただし、7月20日(月祝)は開館、翌7月21日(火)は休館
【 アクセス 】
〒157-0075 東京都世田谷区砧公園1-2 (Google Maps)
東急田園都市線[用賀]駅 美術館行バス「美術館」下車 徒歩3分
東急田園都市線[用賀]駅 徒歩17分
小田急線[成城学園前]駅 渋谷駅行バス「砧町」下車 徒歩10分
小田急線[千歳船橋]駅 田園調布駅行バス「美術館入口」下車 徒歩5分
東横線[田園調布]駅 千歳船橋行バス「美術館入口」下車 徒歩5分
おわりに
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