シン・値上げの極意(1)〜1万円で仕入れた材料の原価は1万円ではない〜
WEBページのコラムで
「値上げの極意」シリーズを始めようとしたのですが…
こちらでリスタートしたいと思います。
最近、「値上げ」という言葉を毎日のように耳にします。
この流れは、今後も続くと思われます。
つまり、
値上げが上手にならなければ、生き残れない時代
になったと言えます。
国や行政も、「値上げの根拠」を示すためのツールなどを提供し、
支援を強めています。
ただし、その多くは
石油
金属
といった、
いわゆる“変動費”の上昇を説明するためのもの
にとどまっています。
私は、もっと大事なことがあるのでは?
と思うんです。
一言で言うと、
原価構成を根拠に、価格構成を説明できる状態をつくること
私は会社員時代、営業として値上げ交渉を行い、
また上司として、そのマネジメントもしてきました。
どちらの立場でも、
価格構成を分解し
交渉を設計し
結果を出す
ことができました。
これは、原価管理という自分の強みによるものだと考えています。
ただ、これは単なる“ノウハウ”で終わらせてはいけない。
そう思い、その後「交渉学」という理論に出会い、
経験に理論を掛け合わせて、再現性を高めてきました。
現在はセミナーなどでもお伝えしています。
「理論」というと難しそうですが、
本質はとてもシンプルです。
だからこそ、このシリーズでは
段階的に、腹落ちする形で
「値上げの極意」を整理していきたいと思います。
ここから”値上げの極意(1)”本題に入ります。
今回の柱は、“感覚的に捉える原価“についてのお話です。
それは、
「1万円で仕入れた材料の原価はいくらですか?」
この問いに対する答えでもあります。
最近の値上げ対応では、
見積を細分化し
各項目ごとに
客観データを示す
といった方法が推奨されている印象があります。
ただ、私はこのやり方を
そのままはオススメしません。
もちろん、準備としては必要です。
しかし、その過程で忘れてはいけないものがあります。
それが、“感覚的に原価を捉えるチカラ”です。
これ、とても大切だと思うんです。
私の経験でも理論的にも
見積項目を増やすことは、顧客に“ツッコミどころ”を増やすことになって
あまりよろしくありません。
見積は、単なる“書類”ではなく
交渉の戦略ツールであり価格解説書
だと思うんです。
だから、項目の見せ方は、結果を大きく左右します。
例えば、
変動費(材料費など)だけを根拠に
値上げ交渉をするのはNGです。
確かに変動費は、
客観データを示しやすく
相手の理解も得やすい
ですが、
それだけでは不十分です、よね。
実際、「十分な価格転嫁ができていない企業」の多くが、
変動費だけの価格転嫁に留まってしまっています。
本来の値上げは、
固定費も含めて成立させなければなりません。
そこで、もう一度この問いです。
「1万円で仕入れた材料の原価はいくらか?」
ここで考えなければいけないのは、材料を仕入れるまでに、
発注業務
在庫管理
社内物流
といった活動が発生していること。

つまり、
すでに様々な固定費が使われている
ということです。
そう考えると、感覚的に、
仕入れ価格1万円の材料の原価は、1万円ではない
という見方ができますよね。
「じゃあ、いくらなのか?」
と思うかもしれません。
でも、ここで大事なのは金額ではなくて
この視点に気づけるかどうか、です。
これが、
固定費も含めて交渉するための第一歩
です。
この感覚、ぜひ考えてみてください。
今回はこの辺で。
次回は、
なぜ見積明細を細かく出すことをおすすめしないのか?
を図示して改めてお話ししたいと思います。
