レーダーは、何を拾っているのか
「レーダー」という名前をつけたのは、正直、思いつきに近かった。
でも今になって振り返ると、あの名前は案外的確だったと思う。レーダーは、自分から何かを生み出す装置じゃない。ただ、今どこかで動いているものを、拾う。それだけの道具だ。
前回、情報がどんどん消えていく話を書いた。あの後も、僕はずっと同じことを続けていた。SNSをいくつも見て回って、誰かの投稿の中から、今夜どこかで何が起きているのかを拾い集める。地道で、正直しんどい作業だ。しかも、拾ったところで、それは僕の頭の中とスマホのメモにしか残らない。次に同じことを知りたい人は、また一から同じ道のりをたどることになる。
ある時から、これを自分のメモだけで終わらせるのはもったいないと思うようになった。散らばっている情報を、一つの場所に集めて、誰でも見られる形にする。同じ場所を、シーンも、全部またいで、今どこで何が動いているのかが、一目で分かるように。誰か一人の頭の中だけに情報を留めておくのは、結局また同じ問題を繰り返すだけだと気づいたからだ。
そういう発想から、少しずつREGGAE RADARという形を作り始めた。世界地図の上に、今動いている場所が浮かび上がる。誰かが公開した一つの記事、一つの投稿が、地図の上の一つの光になる。まだ点はとても少ない。まだ空白の地域の方が圧倒的に多い。でも、その少ない光の一つ一つは、ちゃんと元の出典までたどれる、実際にあった出来事だけでできている。想像や伝聞で埋めた場所はひとつもない。
正直に言うと、今の地図はまだ寂しい。
拾えている光は、世界で今起きていることのほんの一部だ。
でもレーダーというのは、最初から世界の全部を映すものじゃないと思っている。電波の届く範囲を、少しずつ広げていくものだ。
これも、完成した宣伝文句を書いているわけじゃない。ただ、今どういう考えでこれを作っているのかを、動き出す前に、先に記録しておきたかった。
次は、今この現場で実際に動いている、一人のSoundの話を書こうと思う。地図の上の光は、結局のところ、そうやって一人ずつの現場が集まってできていくものだから。
