0〜2歳の食知育でやっていたこと
「まだ早い」と決めなくていい
前回の記事で、食知育は特別な教材がなくても、毎日の食卓から始められるという話を書きました。
では、まだ料理ができないような小さな子には、どんなことができるのでしょう。
実は以前、0〜2歳くらいの子どもと保護者を対象に、「絵本とたべもので子どもの生きる力を育むレッスン」という食育講座を行っていました。
テーマにしたのは、ごはん、みそ、野菜、いも、肉、果物、きのこ、魚など。
久しぶりに当時の記録を読み返してみると、今の「食知育」につながるものがたくさん残っていました。
0歳に料理はまだ早い?
例えば、きのこをテーマにした回。
まず絵本を読み、そのあと、本物のきのこを子どもたちの前に出しました。
絵本に描かれていたきのこが、今度は目の前にある。
見て、触って、形の違いを確かめます。
そして、できそうな子には、きのこをほぐしてもらいました。
当時のブログには、私はこんなことを書いています。
「きのこをほぐすお手伝いなら、0才からでもできます」
今読み返すと、「0歳から料理を教えよう」と考えていたわけではなかったのだと思います。
大人が料理をしているそばで、食べものに触ってみる。その子にできそうなら、少しだけ参加してみる。
それだけです。
でも赤ちゃんにとっては、「見るだけだったものに触れる」「自分が触ったものが料理になる」ということ自体が、新しい体験です。
「できること」は、少しずつ変わっていく
別の回では、2歳以下の子どもたちと野菜をテーマにした食育をしました。
絵本を読んで、野菜を当てて、野菜をトントンして、それを使ってホットケーキを作る、という内容です。
そのとき、とても印象に残ったことがあります。
約1年前に参加したときには、料理にあまり興味を示さなかった子が、張り切って「トントン」している。
以前は袋を振ることしかできなかった子が、スプーンを持って混ぜている。
当時は単純に「子どもの成長は早いなあ」と感じていました。
でも今振り返ると、食知育では、この変化を大切にしたいのだと思います。
「1歳だから、これができなければいけない」ではありません。
昨日は見ているだけだった。今日は触った。しばらくしたら、混ぜてみた。
そんな小さな変化を、大人が見つけることです。
見ているだけでも、食知育
もちろん、触りたくない子もいます。
きのこの感触が嫌かもしれない。野菜を触るより、お母さんが料理している手元を見ていたいかもしれない。
それなら、それでいい。
無理に、
「ほら、触ってごらん」
「みんなやっているよ」
と参加させる必要はありません。
食知育は、何かが「できた」ことを確認するためのものではないからです。
見る。においを感じる。音を聞く。誰かがやっているのを見る。
それも全部、食べものとの出会いです。
「まだ早い」と、大人が先に決めない
当時のブログには、赤ちゃん向けの食育講座をするたびに、ほとんど同じ文章を書いていました。
0歳、1歳、2歳では、できることは違う。でも、どの年齢にもできることがある。
そして、
「赤ちゃんだからまだ早いと思わずに、できることをやらせてあげると好奇心が高まっていく」
とも書いていました。
今なら、「やらせてあげる」というより、
「その子がやってみたそうなら、できる形を探してみる」
と書くかもしれません。
ここは、10年近く経った今だからこそ、少し言葉を変えたいところです。
「まだ早い」と決めつけないことと、何でも早く経験させることは違います。
大人が「知育にいいから」と経験させるのではなく、子どものほうから伸びてきた手や、「やりたい」という気持ちをなるべく止めない。
私が大切にしたかったのは、そちらだったのだと思います。
0〜2歳なら、こんなことから

では、家庭では何をすればいいのでしょう。
難しく考える必要はありません。
料理をしているときに、キャベツの葉を一枚渡してみる。
しめじを一本、触ってみる。
バナナの皮を一緒にむいてみる。
ボウルに材料を入れてもらう。
袋に入れた材料を振ってみる。
そして、まだ何もしたがらなければ、一緒に見ている。
これくらいから始められます。
ただし、小さな子は何でも口に入れますし、食材によっては生で触らせないほうがよいものもあります。包丁や加熱器具はもちろん、誤嚥・窒息につながる大きさや硬さにも注意が必要です。
「何かをさせること」より、安全に一緒に経験することを優先します。
好奇心の芽を、急いで育てなくていい
当時の私は、赤ちゃん向け食育の記事に「好奇心をつぶさないことを意識している」と書いていました。
この考えは、今もあまり変わっていません。
ただ、今ならもう一つ付け加えたいと思います。
好奇心は、大人が頑張って「育てなければ」と焦るものでもないのではないでしょうか。
食卓には毎日、色も、形も、においも、音も、変化もあります。
子どもがそのどこかに目を留めたときに、
「おもしろいね」
と一緒に見てみる。
やりたそうなら、
「やってみる?」
と少し場所をあける。
やりたくなさそうなら、その日はそれで終わり。
そんな小さな積み重ねで十分なのだと思います。
0歳だから、まだ早い。
2歳だから、そろそろこれくらい。
そうやって年齢だけで考えるのではなく、
その子の「今、これが気になる」を見つける。
そこから始めるのが、0〜2歳の食知育です。
次回は、もう少し具体的に。
実際に1歳くらいの子どもともやっていた「キャベツをちぎる」を例に、いつもの料理の中でできる食知育を紹介します。
