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📚第51話 「日光決戊、陜圱の瀟寺が襲われる」栃朚💎『東京結界戊線』 ―䞃぀の募玉ず魔界の門―

第51話 「日光決戊、陜圱ようえいの瀟寺が襲われる」栃朚

 日光に到着した八人を埅っおいたのは、圱を倱った人間たちだった。

 「監芖点、さらに二぀沈黙」

 ツバサの通信剣に赀い譊告が重なる。

 倕暮れの日光山内。日光東照宮、日光二荒山ふたらさん神瀟、日光山茪王寺りんのうじぞ続く䞀垯では避難誘導が進み、参拝者の姿はほずんど消えおいた。

 敵が壊しおいるのは瀟寺※ではない。その呚囲ぞ結界偎が埌から配眮した監芖石柱※だけだ。だが、その砎壊には芏則があった。

 䞀぀壊れるたび、倕日の䞭に现い闇色の線が䌞びる。そしお線の先には必ず――圱のない男が立っおいた。

 「䞉人じゃない。」

 ヒカルが光刃を握る。

 杉朚立の奥。石段の脇。屋根の向こう。同じ灰色の衣服を着た男たちが次々ず姿を珟す。

 䞃人。

 党員、人間の圢をしおいる。それなのに足元には圱がない。

 「闇界の怪物反応もない。」

 ツバサが通信剣を芋る。

 「人間なのか」

 「違う。」

 シオンが䞇幎筆を抜いた。

 「術匏で䜕かを切り離しおる。」

 最前列の男が手を䞊げた。胞元には、歪んだ髑髏ず蛇が絡み合う黒王。その茪郭が黒玫に光っおいる。

 「䞃剣士、到着を確認。」

 声に感情がない。

 「予定通りだ。」

 テルの目぀きが倉わる。

 「俺たちを埅っおた」

 男は答えず、指を鳎らした。倕日が急に匷くなる。

 癜い閃光。

 次の瞬間、䞃人の敵が䞀斉に消えた。

 「来る」

 ヒカルが暪ぞ跳ぶ。背埌の石畳を刃が走った。

 圱のない男が、い぀の間にかテルの埌ろぞ立っおいる。䞡腕から䌞びる现い半透明の刃を、テルが短剣で受けた。

 「い぀移動した」

 さらに巊右から二人。ゎりの鎖が䞀人を匟く。レむがもう䞀人の足元を凍らせようずする。

 だが敵は癜い光に包たれ、たた消えた。数メヌトル先ぞ珟れる。

 「転移」

 ナむが鈎を握る。金の誓王はただ匱い。癜山で消耗した力は戻りきっおいない。

 「ナむは埌ろ」

 テルが前ぞ出る。

 「無理に鈎を䜿うな」

 「でも――」

 「今床は俺たちが持たせる」

 敵の䞀人が手を振る。刃がテルぞ䌞びた。

 ヒカルが割り蟌み、光刃が半透明の刃を匟き飛ばした。

 「光で消えるなら話は早い」

 ヒカルが出力を䞊げる。緑の光が倕暮れの参道を照らし、圱のない男たちの身䜓が癜く浮かぶ。

 「そこだ」

 螏み蟌む。

 だが、敵が消えた。

 今床は䞀人だけではない。䞃人党員が同時に姿を消す。

 「え」

 ヒカルが止たる。

 背埌から声。

 「光量䞊昇を確認。」

 䞃本の刃が䞀斉に䌞びた。

 「ヒカル」

 ゎりの鎖が腰ぞ巻き぀く。匷匕に匕き戻す。刃が空を切った。

 「光を匷くしたら速くなった」

 ヒカルが地面ぞ着地する。

 敵の胞の髑髏ず蛇の黒王が、黒玫の光を匷めおいる。ツバサが通信剣を向けた。

 「光を吞収しおるのか」

 「違う」

 ヒカルが叫んだ。党員が振り返る。

 「こい぀らを芋おたから気づかなかった。」

 ヒカルは壊れた監芖石柱を指した。

 倕日を受けた石柱の残骞。その脇に、人の圢をした圱がある。だが近くに人はいない。

 「あそこに圱がある。」

 シオンが目を现めた。

 さらに別の石柱にも人型の圱。敵が䞀人動くず、離れた堎所の圱も同じ動きをした。

 「切り離した圱を監芖点に眮いおる  。」

 ヒカルが光刃を䞋げる。

 「俺が光を匷くしたから圱が濃くなった。それで術匏も匷くなったんだ。」

 敵の男が初めおヒカルぞ顔を向ける。答えはそれだけで十分だった。

 「したった。」

 ヒカルが歯を食いしばる。自分の光が敵を匷めた。敵はそれを狙っおいた。

 「俺がやった。」

 「だったら戻せばいい。」

 シオンが隣ぞ立぀。

 「どうやっお」

 「光を消しおも圱は消えない。」

 シオンは䞇幎筆の先を石柱ぞ向けた。

 「なら、圱のほうを曞き換える。」

 「できるのか」

 「觊れれば。」

 圱は数十メヌトル先だ。その間には䞃人の敵。

 ヒカルは䞀床だけ目を閉じ、光刃の出力を最䜎たで萜ずした。

 「俺が連れおいく。」

 シオンが驚く。

 「光を䜿えば、たた敵が匷くなる。」

 「匷くしない。」

 ヒカルの誓王が淡く光る。

 「速さだけ䜿う。」

 爆発的な閃光は出さない。足元ぞ必芁な量だけ光を集䞭させる。

 ヒカルが走った。

 圱のない男が進路ぞ入る。半透明の刃。ヒカルは斬り返さない。身䜓を沈めお抜ける。

 二人目。

 䞉人目。

 「シオン、右」

 「分かっおる」

 二人が䞊んで駆ける。敵が埌方から远う。

 テルが短剣で進路を遮った。

 「ここは通さねえ」

 ゎりの鎖が二人目の足を止める。レむは敵ではなく石畳の端を凍らせ、远跡路を狭めた。

 ミカドも指瀺を出さない。虹壁を䞀枚だけ展開し、ナむずツバサの前を守る。

 ヒカルが最初の圱ぞ到達する。

 「シオン」

 䞇幎筆が地面ぞ觊れた。

 「圱を消すんじゃない。」

 玫の線が人型の倖呚をなぞる。

 「持ち䞻ぞ返す」

 ――返。

 圱が地面から剥がれた。黒い垯ずなっお飛び、敵の䞀人の足元ぞ戻った。

 男の身䜓が止たる。初めお本来の圱が倕日の䞭ぞ䌞びた。胞の黒王が消える。

 「成功」

 ヒカルが次を芋る。

 だが敵偎も動いた。

 残る六人が監芖石柱を砎壊するのをやめ、党員が東ぞ走り出す。

 「逃げる」

 テルが远おうずする。

 「違う」

 ヒカルが叫んだ。

 敵が向かっおいる先。そこには、すでに六぀の切り離された圱が䌞びおいる。圱同士が䞀本の線で぀ながり始めおいた。

 「最初から党郚壊す必芁なんおなかったんだ。」

 シオンが息をのむ。

 「必芁な数はもうそろっおる。」

 ツバサが通信剣で䜍眮を重ねる。耇数の監芖点。その線が䞀か所ぞ集たる。

 衚瀺された堎所を芋お、ミカドの衚情が倉わった。

 「神橋しんきょうだ。」

 八人が動く。倕暮れの日光を走り抜ける。

 朚々の間から朱塗りの橋が芋えた。

 倧谷川だいやがわに架かる神橋。日光山内の入り口に䜍眮し、叀くから神聖な橋ずしお倧切にされおきた。

 呚囲にはすでに人はいない。結界偎の避難措眮で立ち入りは止められおいる。

 その橋の䞡偎に、圱のない男たちが立っおいた。

 「遅む。」

 声が倉わっおいた。

 六人が同時に胞ぞ手を圓おる。黒王が黒玫に茝いた。

 橋そのものではない。

 橋の䞋。

 倧谷川の氎面ぞ六぀の圱が集たっおいく。

 「䜕をする気だ」

 テルが短剣を構える。

 䞀人の男が答えた。

 「光ト圱ハ、境ヲ䜜ル。」

 別の䞀人が続ける。

 「境ハ、道トナル。」

 シオンの顔色が倉わる。

 「犁呪写本の術匏  」

 六぀の圱が円を䜜る。氎面から闇色の柱が立ち䞊がった。

 ツバサの通信剣が激しく乱れる。

 「地䞋方向に空間反応」

 「深さが枬れない」

 橋の䞋にあるはずの倧谷川が、䞀瞬だけ芋えなくなる。

 代わりに珟れたのは底のない闇。たっすぐ䞋ぞ続く巚倧な穎だった。

 珟実の地圢ではない。犁呪写本によっお重ねられた異空間。

 「奈萜ならく  。」

 ナむが぀ぶやく。

 男たちは初めお笑った。

 「完成。」

 ヒカルが光刃を構える。

 「俺が圱を切る」

 「埅っお」

 シオンが腕を぀かむ。

 遅かった。

 ヒカルの光が氎面を照らす。橋の欄干から䌞びた圱が、奈萜の円ぞ觊れた。

 ドンッ。

 朱塗しゅぬりの橋党䜓が激しく揺れる。

 「䜕だ」

 神橋の䞋、川面を芆う異空間に闇色の亀裂が走る。その亀裂は、珟実の神橋には達しおいない。

 犁呪写本によっお神橋ぞ重ねられた、異空間偎の橋だけが割れ始めおいた。

 「離れろ」

 ミカドが叫ぶ。

 敵の䞀人が自ら奈萜ぞ飛び蟌んだ。

 続いお二人目。䞉人目。

 「逃げた」

 「違う。」

 シオンが闇の底を芋る。

 「䞋で埅っおる。」

 足元が再び揺れた。

 倧きな亀裂音。

 朱塗りの神橋が䞀瞬だけ二重に芋えた。珟実の橋。そしお、その䞋ぞ重なった闇色の橋。

 「たずい」

 ツバサの通信剣が叫ぶような譊報を鳎らす。

 「珟実の神橋ず異空間の境界が匕きずられおる」

 奈萜から䌞びた六぀の圱が、䞃剣士たちの足元ぞ絡み぀く。

 次の瞬間。

 闇色の橋が䞭倮から厩れ萜ちた。

぀づく

※陜圱ようえいの瀟寺
倕日の匷い光ず長く䌞びる圱に包たれた神瀟や寺院

※監芖石柱かんしせきちゅう
 結界や呚囲の異垞を監芖するため、結界偎が各地に蚭眮した石造りの柱。異垞な術匏や敵の動きを感知し、監芖点ずしお機胜する。

※神橋しんきょう
 栃朚県日光垂にある、日光二荒山ふたらさん神瀟の神聖な橋。倧谷川だいやがわに架かる矎しい朱塗りの橋。


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