エンタメで人を育てる男|情熱サロンインタビュー
大阪・枚方。遊園地「ひらかたパーク」の一角に、赤外線の光が飛び交う"戦場"が出現する。
銃声はない。弾も飛ばない。
それでも、参加者の目の色が変わる瞬間がある。
赤外線サバイバルゲームを使った企業研修――。
この前代未聞の事業を仕掛けるのが、合同会社キャリアボンド代表・西野英男である。
留学生の就職支援に携わるなかで「定着」の壁にぶつかり、キャリアコンサルタントの知見とゲームを掛け合わせた。
狙いは遊びではない。
チームの連携、判断、振り返り。
戦場は、人が最も素直になる教室だった。
だが、この男の歩みは平坦ではない。いや、壮絶と言っていい。
幼少期はいじめに遭い「死にたい」と自分の存在価値を否定し続けた少年だった。社会人になれば、勤め先が連続倒産。5千万の不渡り。回収業者さながらの取り立ての矢面。うつ病、パニック障害、過呼吸で二度の救急搬送、血圧は200を超えた。そして、離婚を経験する。
27歳から38歳、暗黒の11年である。
彼を救ったのは、意外にもキックボクシングとサバゲーだった。
体を動かし、撃ち合い、笑う。趣味が人生を立て直し、やがて事業になった。
「失敗をそのままにするから失敗。改善して成功に繋がれば、成功のもと」
事実と解釈を切り分ける――暗黒時代が授けた哲学だ。
転機は、NTT西日本が運営する共創施設QUINTBRIDGEとの出会い。
「前例がない」と断られ続けた研修は、そこで繋がった洲本市職員の後押しで初の実証にこぎつけ、ひらかたパーク社長とのご縁を頂き、連携へとつながった。
「この流れがなければ、今の自分はない」
取材の中で面白い光景に出くわした。
夕食後、彼は毎晩ChatGPTと"戦略会議"を開く。
AIに「バース」と名付け、自らを「ボーデン」と呼ばせ、ボケと突っ込みまで交わす仲だという。相棒は、人間とは限らないらしい。
見据える先は大きい。
研修データのAI化、アジア展開、そして赤外線サバゲーの全国大会。企業対抗、学生、アスリート、そして不登校部門。
「不登校の子が、社会と接点を持つきっかけの場になる」
戦場は、誰かの居場所になろうとしている。
——あなたにとって、この仕事とは何か。最後にそう尋ねると、男は迷わず答えた。
「自己の成長と、他者への伴走です」
考える前に、動く。動いて、振り返って、また動く。
銃声なき戦場で、今日も男は引き金を引く。
撃ち抜く先にあるのは、敵ではない。誰かの、明日である。

代表社員 西野英男

