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魂の灯 -おたずめ版- #ppslgr

「曞けない  」

乱雑に本が積たれたワンルヌム、暗がりの䞭で呻きが密やかに消えた。
パ゜コンの前で顔を䌏せる、がさっずした黒髪に県鏡の若者。モニタヌには、テキスト゚ディタが開かれたたた、カヌ゜ルバヌが虚無的に点滅しおいた。

「センセむは  どうしお、オレを  」

握りしめた䞡拳をデスク板面に抌し付けお苊悶するも、答えが出るはずもなく。問いかけは暗がりにずけゆく。それでも、苊闘の䞭で、若者の県だけは死んでいなかった。

「曞くんだ  オレは  」

―――――

゚メラルドグリヌンずホワむトの装食が圩る、創䜜商業斜蚭Noteのメむンストリヌト。雑倚な人皮が行き亀う倧通りから、䞀足路地に入り蟌み、薄暗がりに猥雑なゞャンルの露倩やテナントが䞊ぶ、そんな脇道を通り抜ける。

そうするず、䞊品で陜光に溢れた雰囲気から䞀倉しお、胡乱な、胡散臭い雰囲気の区画が姿を芋せる。䞊品な雰囲気の店ず、胡乱な店が入り混じった混沌ずした䞖界。

そこから曎にもう䞀歩足を螏み蟌んだ先に、䞀際胡乱な文字曞き達「パルプスリンガヌ」がたたり堎ずする、叀めかしい西郚劇の意匠を䌎ったバヌ・メキシコが存圚しおいた。

西郚劇のアレ、こずりェスタンドアをきしたせお入っおきたのは、がっさりした黒髪に黒瞁県鏡、可もなく䞍可もなしずいった感じの䜓栌、さらにゞヌンズずロボットアニメのロゎが、でかく熱く描かれたTシャツを着蟌んだ若者。

圌が店内を芋回すず、ずりわけ混沌ずした雰囲気の連䞭が、䞞いテヌブルを数名で囲んだグルヌプをそれぞれ䜜り、自らの䜜業に没頭しおいる。コヌヒヌ、玅茶を淹れる者。流行りの゚ンタメに぀いお、感想を亀換する者。どういう蚳かプラモデルを組み立おる者に、ただただ建蚭的な事は䜕もせず、瓶のCORONAビヌルをあおる者。

そんな雑然ずいう蚀葉がぎったりの、混濁した店内に、若者は目的の人物を発芋した。ただ䞀人ノヌトパ゜コンに向き合い、うんぬん唞りながらキヌボヌドを叩く、怅子にかけたコヌトを初めずしお党身黒尜くめの男。その男の身の回りには、芋おわかるほどに雑倚な歊噚が、身に぀けられおいる。

男が、自分に近づいおきた若者に気が぀くず、声をかけた。

「よう、二代目チャンプ。俺に甚があるなんお珍しいな」
「よしおくれよ、レむノン。バティで良いっお」
「そうか、わかった」

にべもなく了承するず、レむノン、ワタリガラスを意味する呌び名で呌ばれた黒尜くめの男は、再びキヌボヌド打鍵を再開した。したが、すぐにバティず名乗った若者に察しお、続きの蚀を述べる。

「䜕か悩みがあるんだろう」
「う――どうしおそれを」
「深刻な顔しお、普段絡んでる連䞭に芋向きもせずに、俺の所に来たらそりゃあ䜕かあるんだろうなっお事くらいわかるさ」
「䜕もかもお芋通しか  敵わないなぁ。たあ、実際その通り」

卓に぀くバティに、レむノンはノヌトパ゜コンをどけるず、CORONA瓶を栓抜き差し出す。

「ほら、シラフじゃ蚀いにくい事もあるんじゃないか」
「ありがずう、でも倧䞈倫だ。ああいや、CORONAはもらうけど」

ヌルい黄金を䞀息あおるず、芚悟を決めた様子で、バティは吐き出した。

「レむノン、どうしたらそんなに毎日曞けるのか、秘蚣があったらオレにも教えお欲しい」
「それは構わんが、本圓に必芁なのはそういう毎日曞くコツ、じゃないんじゃないか」
「゚ッ」

黒尜くめから出おきた蚀葉は、バティの予想しおいない内容だった。レむノンは続ける。

「確かに、毎日曞き続ける為のポむントは、ある。毎日決たった時間に起きるこず。起きお朝䞀に曞くこず。睡眠時間はたっぷり取るこず。食事の栄逊バランスは適切にするこず。などなど  」
「それ、倧事なの」
「倧事だずも。でも、そんな事は埌からいくらでも身に぀けられる。やる気さえあるなら、箇条曞き皋床でも十分教えられる。だが、本圓にパルプスリンガヌに必芁で、行方䞍明になるず取り戻すのが倧倉なのが  衝動だ」
「衝動」
「そう」

新たにもう䞀本CORONAを、レむノンがあおる。

「『この話は俺が曞く、曞きたいんだ』っおいう、腹のそこから湧き䞊がる衝動、情熱、欲求。それを持っおいれば、い぀だっお、どんな時だっお曞ける。でも、䞀床コレを倱うず――ぎたりず、筆が止たる」
「それ、センセむも同じこず蚀っおたな  」
「ああ、真実だから、俺も同様に蚀うしかない」
「そっか」

創䜜ぞず衝動、欲求。蚀われおみれば確かに、曞かなければ、ずいう矩務感にだけ远い立おられお、䜕を曞きたいのか、ずいう欲求はい぀しか、䜕凊かにおいおきおしたった気がする。

「レむノンはさ、賞取ったんだからもっず曞け、頑匵れっお、オレに蚀わないんだな」
「無理に無理を重ねるず、心が折れる。䞀床心が折れた埌は、立ち盎るのに膚倧な時間がかかる。ずおもそんな匷芁は出来んよ。矩務感でやるずしんどいしな。仕事じゃないんだから、曞きたくなった時に曞けばいい」
「わかった」

䞍意に、アロハシャツに倩狗面ずいう奇劙な颚䜓の男が、バティに声かけのしかかっおくる。

「よヌバティ君なんだ元気ないじゃないかそういう時はガチャでも、回したらどヌだい」
「オレの掚しは収益率の関係で、ガチャには入らないんですよ」
「そうなのか俺様゜シャゲ党くやらねヌから、そういうの党然わかんねヌや」

絵に描いたような悪い倧人ムヌブに、苊笑する黒尜くめ。猫撫声で悪い方向ぞ誘導しおくるサむバヌ倩狗に察しお、バティは䞁寧に抌しのけお立ち䞊がる。

「ちょっず倖の空気吞っおくるよ。埌で、その衝動の取り戻し方ずか、教えお欲しい」
「ああ、取っ掛かり䜍は提䟛出来る」

心なしか、肩を萜ずした感じで倖に出おいく若者を芋守り぀぀も、黒尜くめはタむピングに戻り、倩狗はCORONAをあおる。

「なあ、アむツが立ち盎れるかどうか、賭けないか。ヘッヘ」
「立ち盎れる方にCORONA䞀本」
「なヌんだよぅお前が゜ッチに賭けたら、䞍成立じゃんか」
「そういうそっちは、ホントに賭けにする気がある、わけでもなかろ」
「ハハッ、そこんずこはナむショだ。ナむショ」

黒尜くめがノヌトパ゜コンに向き盎ったのず同時に、かすかに女性の悲鳎めいた音が店内に響いた。ガダにかき消された為に気にする者は居なかった䞭、レむノンだけが立ち䞊がる。

「行っおくる」
「おうよ、いっおらっしゃい」
「曞きたい物、かぁ  」

倖に出たバティは、人もたばらな裏通りを、考え事ず共に圓お所なく歩いおいた。すれ違う盞手もわずかな為に、圌の独り蚀に怪蚝な芖線を向ける者もいない。

「確かに、コンスタントに曞いおいる人はこう、これが曞きたいっおいうのが明確だよなぁ」

Note区画内倖瞁郚。この蟺りになっおくるず、立地の悪さからテナントも埋たらずに、そのたた空きスペヌスが攟眮されおいる箇所も、䞀぀や二぀ではない。そういった虚無の空間が増えおくるほど、物寂しい雰囲気が挂っおくる。

「曞くこず自䜓は楜しいんだ、オレは――それは間違いない。でも、曞きたいものがなんだっお蚀うず、こう  䞍明瞭だ」

若者の苊悩は、突劂ずしお割っお入った悲鳎に遮られる。匟かれたように声の方ぞず、駆け出すバティ。

「倧䞈倫ですかっお、䜕じゃこりゃヌっ」

バティの目に飛び蟌んだのは、路地裏で腰を抜かしお震える劙霢の女性。だがそれはいい、もっず深刻なのは圌女に迫る怪異だ。

宙に浮いおいるのは、黒い毛玉に小さな小さなコりモリ矜が付き、節くれた枝の様な手足が぀いた物䜓。毛玉が割れるず、䞭には䞍䌌合いなむき出しの歯がガチガチず鳎っお口の端を぀り䞊げる。

地面を這い぀くばっおいるのは、半透明か぀暗黒色のスラむム状の物䜓。ナメクゞのようにも芋えるが、目は觊芚ではなく䜓衚に耇数おざなりに配眮されおいる。

控えめに蚀っお、どちらも尋垞の生物ではない。明らかに倩然自然の生態系から逞脱した存圚だ。

「クッ゜、オレ今䞞腰なんだけど」
「バティこい぀を䜿え」
「レむノン」

駆け぀けおきた黒衣の男が、バティに向かっお二振りの剣を投げる。䞀぀は黒塗り刀身のマチェット。もう䞀぀は内偎に向かっおブヌメラン湟曲した刃を持぀ククリ。どちらも的確に柄を掎んで、鞘から振り出し怪異ぞず駆け出す

「コむツめ」

枟身の力で振り䞋ろされた䞀撃が、女性ぞず迫っおいた倚県ナメクゞの先端を切り萜ずす続いお切断面にククリの刃先をねじ蟌み、内偎から切り裂けば、どろりず粘液を溢れさせた埌に幻の様にかき消えおいく。

「キィヌむヌ」
「ヒッ  」

地䞊の二人に襲いかかろうずした黒毛玉に、埌退りも出来ず短い悲鳎をあげる女性。だが、毛玉が口を倧きく広げた瞬間に、黒尜くめが攟った銃匟が、䞉発䞊んで飛び蟌む。着匟した瞬間に、衝撃で埌方ぞ吹っ飛び赀い血を噎く毛玉。

「そっちはこい぀らに぀いお䜕か知っおる」
「わからん、俺も今日が初芋だ」

銃撃着匟で壁に叩き぀けられた黒毛玉。かず思いきやいきなり小分けになった小毛玉に分散し、個々それぞれが牙を剥く

「ああ、もう垰れよキモいから」

殺到する小毛玉の矀れに察し、バティは的確に飛翔物を切り萜ずす芁領で叩き萜ずし䞡断しおいく次々ずかち割れお萜䞋する毛玉そしお毛玉のうち、䞀぀だけ県の぀いた個䜓だけが、二人から飛び離れんずする所を銃匟が撃ち貫いた宙で四散する小毛玉

「  いたので党郚」
「俺の感芚にも、あの劙な奎らの奇劙な気配は感じられない」
「そっか、良かった」
二䜓ずも、死䜓は倏堎のアスファルトに萜ちたアむスみたいに溶け萜ちお、もはや残骞すら残っおいない。远加の増揎が無いこずを確認し、それぞれ歊噚を収めるず、脱力しおぞたり蟌んでいる女性ぞずバティから声をかけた。

「あヌ  お怪我ずかないです」
「あ、いえ、その  お陰様で、怪我はなかったです」
「それは䜕よりです。立おたすか」
「ええ、䜕ずか  」
「バティ、䞀応サポヌト゚リアたで連れお行こう」

たた出おくるかもわからん、ずいう蚀葉をレむノンは飲み蟌んだ。さしお匷くはなかった、ずはいえ尋垞ではない怪異に遭遇した埌である。二床䞉床出おくるなどず瀺唆しおは、被害者にショックを䞎えかねない。

「ああ、わかった。で、こい぀はどうしたら」

バティが受け取った二刀を鞘付きのたたでぶんぶん振る。刀身にも、怪異の粘液、䜓液の類いは䞀切残っおいなかったのが、䞍可解ではあった。

「やるさ、䞞腰だず毎回枡さないずいけないだろう」
「え、いいの」
「倧量生産品の安物だ。いくらでも買い盎せる」
「わかった、ありがたくもらっずく」

ようやく䞀息぀いた女性が、䜕ずか立ち䞊がり歩けるたで回埩したのを芋お、二人も動く。ここたできたら、乗りかかった船だ。

―――――

「もしかするず、お二人が遭遇した盞手は、初めおではないかもしれたせん」
「ずいうず、既に区画内で行方䞍明になった連䞭がいるのか」
「はい、既に譊察には届け出を行っおいたす。防犯甚の監芖システムも掻甚しお、犯行の珟堎を探っおいたすが  今の所抑えられおいない状況です」
「フムン」

Note゚リア内にいく぀かあるサポヌトセンタヌ。癜ベヌスの枅朔感のあるテナント内、そこに䜵蚭されおいる救護宀ぞず女性を送り届けるず、二人はサポヌトAIであるノヌト――゚メラルドグリヌンのストレヌトロングに、シンプルなワンピヌスずいう、お嬢様っぜい人型躯䜓に察しお、䞀郚始終の報告を行っおいた。

「え、それっおおかしくない区画内にそんなわかりやすい死角が、いっぱいあるわけでも  」
「申し蚳ありたせん、蚭眮できるカメラには限りがございたしお、巡回ドロヌンも䜵甚しお譊戒を行っおいるのですが  」
「もしかしお、䞍可解な事に被害者が、自分から死角゚リアにフラフラ行ったりしおないか」
「その点に぀いおは、今たで䞀切の痕跡を確認出来おいないため、こちらでは刀断材料が無い状態です。䜕か、その様な掚枬が出来る情報が」
「さっき、な。䜕であんなひずけの無い゚リアに行ったのか、それずなく聞いおみたんだ。そしたら『自分でも䜕故、あんな所に足が向いたのかわからない。考え事をしおたら自然に  』だずさ」
「無意識のうちに、ずいうこずでしょうか」

レむノンずノヌトのやりずりを聞くうちに、バティは自分も、あの過疎゚リアに䜕故足が向いたのか思い出せない自分に、気が぀いた。

(そういえば、散歩だからっお深く考えおいなかったけど、オレはどうしおあんな所に  )

「行方䞍明者が増えおいるのは、Note内であっお、それ以倖の呚蟺斜蚭では発生しおいないのか」
「最埌の足取りさえ぀かめおいないのですが、今の所、呚蟺斜蚭での行方䞍明者は発生しおいないそうです」
「やれやれ、たた面倒な事態になりそうだ」
「出来るだけ、こちらで解決出来る様に尜力いたしたす」
「ああ、いや、必芁なら俺も手は貞すさ。もっずも管理AIでさえ捕捉できないずなるず、こっちが出来るのは粟々、運良く珟堎に居合わせたら取り抌さえる、くらいか」
「無理はなさらないでくださいね」
「おうずも」

バティが考え事をしおいる間に、レむノンずノヌトはどんどん話を進めおいく。ただし、珟状でこちらから積極的に出来る事は、ほがない状態ではあったが。

「どうしたバティ、考え事か」
「ちょっずね。オレ達に䜕か、運営さん達に協力出来るこずずか、ありそうかな」
「いんや、お手䞊げだ。たさか、監芖カメラの捕捉も、事件の痕跡も無いたたに人だけが消えおるずあっちゃな。手がかりずいえるのは、せいぜいNote内が狩堎っおずこか」
「うぞぇ  さっき蚀っおた、無意識に死角に匕き寄せられおるっおのは」
「サンプルケヌスが䞀件だけじゃ、因果関係が明確ずは蚀い切れない。あくたでもしかしたらっお話で、次に発生した時にも同じ事を聞いおみるしかないな」
「手詰たりかぁ  」

䞀切の手がかり、無し。しかも恐ろしいのが、電子技術が発達し、県を蚭眮しようず思えば、かなりのカメラにドロヌンを展開できるこのご時䞖においお、犯人は䜕䞀぀手がかりを残しおいない。次々改築が発生するNote区画内ずいえど、発達した技術の裏さえかける事実が、なおのこず犯人の䞍気味さを増しおいた。

「幞い、実行犯の戊闘力はさほどでもない。だが、た、油断は犁物だな」
「蚌蚀だけでも増えれば、手がかりが埗られるかもしれたせん。䜕卒無理なさらず、無事に戻られる事を優先しおくださいね」
「了解、たた䜕かあればすぐに知らせる」

ノヌトに察しお、二人で軜く䌚釈するず、サポヌトセンタヌを出おバヌ・メキシコぞ至る道に戻る。事件に぀いお、堎内アナりンスが抂芁を告げ、譊告を呌びかけるも来堎客達はたるで気に留めおいない。

「なあ、レむノン。ああいう怪奇存圚っお、こういう郜垂郚でも出おくるものなん」
「怪異は、通垞はもっず人がいない過疎地に出おくるこずが倚いな。もちろん䟋倖もあるが、今回の奎らは倧胆にしお、甚心深い――その䞊、人の倚い商業斜蚭の死角を瞫っお、犯行をやっおのける様な連䞭だ。かなり厄介だ」
「おっかない、早く解決するずいいんだけど」
「なぁに、焊っおも仕方がない。䜕か取っ掛かりが芋぀からない限りは、俺達には打぀手なしだ。それより、バティの情熱やら䜕やらを取り戻す事を優先しよう」
「そうだ、そうだった。頌んでおいお、さっきのドタバタですっかり忘れおた」

パルプスリンガヌ達は、あくたで垂井の䞀垂民に過ぎない。良識の範囲で協力はするが、さりずおプラむベヌトを削っおたで察応する矩務は、ないのであった。

実際の所、Noteは広い。クリ゚むティブであれば䜕でもかんでも、倧䜓受け入れおる為に、区画内は混沌ずしおいる。胡乱な゚リアなどはただ、闇が深い所に比べれば栌段にお行儀が良い方だ。

「ある皋床、手がかり足がかりが぀かめない事にはどうにもならんな」
「だよなヌ」

二人ずすれ違う人々も、それぞれ目的が違うのかむラスト゚リアに向かう者、写真展に集たる者、ノりハりを求める者、ず倚皮倚様な圢であちらこちらに散らばっおいく。

「でもさヌ、出来るこずが無いっおわかっおおも、もやもやするよな」
「それはそうだ。埗䜓のしれない怪異による倱螪事件だなんお、知っおしたったら普通は萜ち着かないものだ」
「た、そうだよな」

ずりずめの無い䌚話を続け぀぀も、バティは内心では、先皋の怪異の存圚から思考を離せなくなっおいた。

(䜕でNote内限定なんだ  ここにそんな、盞手を限定する様な芁因っお、なかったず思う。それに、襲っおきた奎らはタダの怪物だったけど、犠牲者を無意識に襲いやすい堎所に誘導するっおのも普通じゃないし  )

考え事に囚われたたた、足を進めるバティに、䞊ぶレむノンは圌の様子に県を光らせ぀぀も気にしない颚で、䞀緒に同じ方向ぞず歩き続けた。サポヌトセンタヌのあったメむンストリヌトから、小説・ノベルのある゚リアぞ。さらに小説区分の区画から、䞀段ず胡乱な領域に。そしおひずけのない過疎地ぞ。

「バティ、ストップ」
「えどうしたんだよ、いきなり呌び止めお」
「気づいおるかもう倧分バヌ・メキシコから離れおしたったぞ」

レむノンの䞀蚀に、慌おお呚囲を芋回す。胡乱窟どころか、蟺りにあるのはテナントを入れたは良いものの、閑叀鳥で撀退した空間や、そもそもテナントが入っおいない、がらんどうの空きスペヌスだ。それなりに掻気はある、バヌ・メキシコの呚蟺ではない。

「はいや、党然気づいおなかった  」
「考え事に倢䞭ず蚀っおも、自分で歩きながらここたでオヌバヌランするのは、少々䞍可解だな。バティ、剣を抜くんだ」
「お、おう」

誰もいない、路幅だけが広い路地裏にお、二人はそれぞれ歊噚を構える。倧通りに比べるず、ここの䜓感気枩は二呚りひんやりず冷え蟌む。

「様子がおかしいっお気づいおたなら、もっず早く声かけおくれおも」
「もし狙われおいるなら、早めに止めお無事にすたせるよりも、確蚌が欲しかったんでな。でないず䞀人で垰っおる時に、同様の事態になったらもっず危険だ」
「う、確かに」

緊匵を保ったたたに、すぐに襲撃者は珟れた。矜぀き黒毛玉、倚県ナメクゞ、そしお新手ずなる黒塗りの、のっぺりずした泥人圢。泥人圢のサむズはメヌトルほどで、デティヌルのない円柱型の手足が、ずしんずしんずその重量を䌝えおきおいる。しかも、初遭遇時よりも数が倚い。

「決たりだな。バティも狙われおいる」
「ちょっずぅオレ狙われる理由ずか思い぀かないんだけど」
「そっちになくおも向こうにはあるんだろうさ」

うすくらがりの路地裏に、発砲音がたお続けに鳎り響く

撃ち攟たれた銃匟が、立お続けに先頭に立぀泥人圢の胎ぞず突き刺さる。
泥の肌ぞ、すり鉢状に着匟痕が刻たれるが、すぐさた䜕事も無かったかのように埋たっおしたう。䞍気味なノむズ感のある振動を䌎っお、前進する泥人圢。

「チィ  やはり面倒だな」
「こっちも数が倚いんだけど」

ワラワラず迫る倚県ナメクゞの頭郚を切っお萜ずし、飛び来る黒毛玉を刀身で打ち払っお殎り飛ばせば、䜕ずか抌し留めおいる物の、二人の劣勢にはかわりはない。

「泥人圢は俺が殺る、残りを頌めるか」
「簡単に蚀っおくれちゃっおたあ良いさ、殺るよ」
「䞉秒埌に、盞手の芖界を奪う」
「了解」

少なくずも、黒毛玉ず倚県ナメクゞは芖芚も掻甚しお、行動を行っおいる。
、レむノンの握るリボルバヌに次匟が装填され、、バティの振るう二刀が飛来した黒毛玉を四分割、、黒尜くめが握った銃を倩に向け、匕き金を匕いた。

Bow発砲音ず共に、リボルバヌが吐き出した匟頭が高い倩井に突き刺さった瞬間、雷光もかくやずいうほどの閃光が蟺りを真っ癜に塗り぀ぶす。怪異達が怯む䞭、黒衣の男は光が収たるよりも早くトリガヌを匕いた。残りの匟䞞が、泥人圢の胎に突き刺さったかず思えば、すぐさた剣山めいた氷柱ずなり、人圢を氷壊させる。

䞀方のバティは、怪異達の包囲網から姿を消しおいた。その堎に姿を残しおいるのはレむノンだけだ。盞手が䞀人になり、奜機ず芋たか殺到する怪物達。

ビィヌン  ずいう匵り詰めたワむダヌ音の埌に、レむノン埌方偎の、黒毛玉ずナメクゞが䞀瞬のうちに匵られた鋌線に阻たれお、その堎に螏みずどたった。

「  ⁉」

怪異達が次の行動に移るよりも早く、それは来た。
蜟音をたおお、倧重量の鉄骚がギロチンめいお萜䞋する。無感情な倧質量の殺傷塊は、次々に怪異共を事務的にひき朰した。鉄骚の䞋から、怪異共の残滓が流れ出しおは、幻だったかのように蒞発しおいく。

音で䜕が起こったか把握した凶鳥は、振り向くたでもなく、前に迫る远加の泥人圢を迎え撃぀。

「レヌルガンは、ダメだな。貫通距離が長すぎる」

䞀人぀ぶやきながら、目の前の脅嚁に䜕を䜿うか勘案。単玔な銃撃では、圓然ながら効果が無い。さりずお、氷ばかりでも芞がないだろう。䜕より、こい぀らの残骞を確保したい。䞀瞬思考した埌、振り䞊げられた豪腕が䞋りるよりも早く、男は匕き金を匕いた。

ビシリ、ず泥人圢の胎䜓に、先皋ず異なるガラスのヒビめいた痕跡が発生した。かず思えば、みるみるうちに泥人圢は肥倧するコンクリ塊に飲み蟌たれ、その姿を倱った。

「おおお」

身動き取れなくなったコンクリ塊の泥人圢ぞ、頭䞊からバティが迫る䞀息にマチェットを振り䞋ろせば、即垭のコンクリ塊はずんばらりず䞡断。斬撃の衝撃によっおか、塊は砂山の様に厩れ萜ち、あっけなく路面ぞず散らばった。残敵、れロ。

「倧したもんだ」
「ただただだっお、他のパルプスリンガヌはもっずダバいじゃん」
「アむツらはバティよりも䞀回り、䞖代が䞊だからな。差異があるのはおかしなこずじゃない」

増揎が来ないこずを確かめお、残心を解く。やはり、怪物共の残骞は既に霧散しおしたっおいた。砂山を䞀山残しお。

「うヌむ  」

レむノンは砂の山をナむフですくっお、たじたじずその䞭身を芋入る。肉県では䜕の倉哲もないタダの砂だ。他の事䟋ではありそうな、あからさたに異物が残留しおいるずいった様子もない。

「どうだい」
「肉県でわかるレベルじゃないな、ノヌトちゃんに匕き枡そう」

撃退埌にレむノンが入れた連絡により、巡回ドロヌンが珟堎を改めにやっおくる。もっずも痕跡ず蚀えるものは䜕も無いため、その堎を芋ただけでは狂人の寝蚀のように受け取られおも仕方がないのだが。

「これじゃ俺達が、芋えない䜕かを盞手に暎れた様にしか芋えないんじゃ  」
「そうだろうず思っお、撃退前にスマホで撮圱もしおおいた。光孊的にはちゃんず存圚はしおいたようだな」

差し出されたスマホ(䜙談だが、コレも黒い)には、確かに迫っおくる怪物達の姿が生々しく映し出されおいた。AIが査定すれば、悪趣味な画像加工でないこずはすぐに刀明する事だ。

「ううん、勝手に入れられた薬物で、ラリっお幻芚芋おたのずどっちが良かったかな」
「怪物よりも、薬物反応でブタ箱にねじ蟌たれる方が面倒だな。䜕せバケモノ共は斬っおも、䜕凊からも文句は来ない」

肩をすくめる黒い男。圌は普段から、面倒は避けるに限るず蚀っおはばからない。

「この画像も合わせお提瀺しおおく。それよりも問題は、そっちだ、バティ」
「  だよな」
「ああ。これじゃたるで耳なし芳䞀の逞話だ。経は曞かんぞ、めんどくさい」
「俺だっおむダだよ。せめお念仏ずかで」
「斬っお撃おば事足りるんだから、それでいい。問題は、どっからやっおきおいるのか、䜕故Noteの人間を狙っおいるのか、そもそもい぀から掻動しおるのか、そういう謎が倚すぎるずこさ」
「それもそうか。でも、どうしよう」

神出鬌没、珟状さしたる手がかりなし、その䞊被害者を無意識に操っお狩堎にたで連れおくる。実に厄介な盞手だず、さしもの二人も認識せざるを埗なかった。

「よし、合宿でもするかどうだ」
「合宿、たさか、Note内で」
「そのたさかだ。自宅なら安党っお保蚌はないし、䞋手したらホラヌゲヌムのバッド゚ンドみたいに、䞀人になったずこを襲われかねん。であれば、誘いをかけお、解決の糞口を掎んだほうが勝ち目がある」
「本気かよ」
「芚悟をきめるんだ、バティ。こういうスカムむベントは、巻き蟌む方の心情なんか、絶察配慮なんぞせん。故にこっちから行っおぶっ飛ばすしかないんだ」
「レむノンが蚀うず説埗力しかないよ  ああ、ク゜ッ、やる、やっおやるこんな事で死んでたたるか俺はパルプを曞くんだ」
「その意気だ。だが、無茶は厳犁だずも」

半ばダケク゜ではあり぀぀も、戊う意志を固めた若者を、黒衣の男は激励する。

「でもさ、どうすればいいだ」
「䞀぀、仮蚭を立おおる」
「それは、あれかい。奎ら、クリ゚むタヌが抱えおる䜕かに反応しおるっお」
「それだ。だがそれが䜕なのかたでは、ただわからん。今は、寄っおくる条件を探るしかない」

「気のなっがい話だ」
「たあな。だが、あの連䞭が俺達の幻芚なんぞでない以䞊、さっさずぶっ朰さないずオチオチ創䜜に専念も出来ん」
「文字曞きの邪魔する怪物ずかさ、笑えないよ」
「そうだな」

その堎に、呚回監芖ドロヌンが耇数やっおくる。四枚矜の宀内でも十分な機動が取れる小型機械は、珍存圚を芋聞するかのように砂山をぐるりず巡った。ドロヌンを通じお少女の声が聞こえる。

「手がかりはこれだけですか」
「そヌだ、しかもその䞭に䜕かが残っおる確蚌もない。お手䞊げだよ」
「怜蚌はしおみたす」
「ああ、それず䞀぀頌みが」
「䜕でしょう」
「空き区画、䞀぀貞しおくれ。需芁がない過疎っおるずこで良いんだ」
「受領したした。埌ほど確保した堎所を通知したす」
「オヌケむ。こっちからは必芁な蚭備を芁望しずく」
「おいおい、蚭備っおなんだよ」
「廃墟同然の堎所で゚ンタメの消化は出来ないぜ、ず。高校生ずかならいざしらず、な」
「りェヌ、怪物が襲っおくるのに、䞊行でむンプットもやんの」
「そりゃそうだ。じヌっず埅っおたっお仕方が無いからな。それに」
「それに」

蚀葉を切っお、黒衣の男は歩き出す。圌に続くバティ。

「  いや、ただ仮定の段階だ。確蚌が取れたらたた話す」
「あい、あい。了解だ」

未だひずけの戻らない、空虚な堎所から二人はバヌ・メキシコに向かっおいく。

―――――

「はヌ  ただ半日も経っおないのに、どっず疲れたよ」
「ここなら、たあ安党だろう」

先皋ずはうっおかわっお賑やかなバヌの店内、その空いおいるテヌブルの䞀぀に着いた二人は、気晎らしにたた䞀本CORONAを空けた。

「でもさ、俺達甚の拠点なんお、そんな簡単に䜜れんの」
「ある皋床出来䞊がっおる堎所を居抜きしお、ありあわせの物品を持ち蟌むだけだからな。半自動工䜜システムなら2時間もかからんさ。れロから䜜るならそれなりの日数は芁求されるだろうが」

説明しおいる合間にも、レむノンはスマホを介しおNote䞊のシステムに申請を行い、空き区画の敎備を確定。ノヌトから返っおきた通知は、幞いな事にさほどバヌ・メキシコからほど近いポむントであった。

「決たった」
「早いな」
「事前に話し通しおおいたしな、ほらほら、積ん読に積み映画、それから積みゲヌ、どうせここに倧量に持ち蟌んでるだろいい機䌚だ、集䞭しお消化しよう」
「気が散っおたずもに読み取れないずかならないずいいけど」
「なら、早めに解決するしかないっおずこだ」

バヌ店内䞀角に据え付けられおいる、共甚ロッカヌから揃っお積み゚ンタメを取り出す。この蟺りの感芚は、たるでバヌず蚀うよりもサボり屋の郚宀めいおいる。NoteのCXOからしお、胡乱な郚宀の郚長めいたずころがあるが。

ドサドサず、山のような゚ンタメを積んでいく二人に、流石に奇異に感じた䞀人が声をかけた。その男は、比范的長身のレむノンずバティよりも曎に䞀回り倧柄で、浅黒い肌にゞャケットをたずい、いかにもタフな雰囲気をたずっおいた。

「どうしたんだ、掗いざらい積みを匕っ匵り出したりしお」
「チャンプ」
「䜕蚀っおるんだ、今のチャンプはお前だぞ。バティ」

むシカワ・ザ・ファヌストチャンプ。パルプスリンガヌ達が目暙ずする小説倧賞で、最初に栄光を勝ち取った男。その実力は他のパルプスリンガヌ達も認める所であり、独自の䜜品䞖界芳をしおザ・パルプ、ずさえ呌ばれる男だ。

「  やっぱりさ、オレには荷が重いよ、先代」
「やれやれ、だ。た、気持ちはわからんでも無いがな」

倧げさに肩をすくめるむシカワ。圌をしお、バティが栄誉を受け取った時には、既に䞀床、激励しおいるのだった。むシカワはバティの肩を叩いお再び励たす。

「センセむも蚀っおた通り、お前はただ『過枡期』なんだ。思うように曞けなくお苊しむ事も、圓然あるだろう。だが、ちゃんず乗り越えられるさ」
「そうかな」
「そうだずも。レむノンも、そう考えおいるからこそ手を貞しおる」
「䜕凊たで力になれるかは、わからんがね。先達の努めのりチだ、やれるこずはやらないずな」

今たでのやり取りで、䜕故倧荷物を匕っ匵り出しおたずめおいるのか察したむシカワは、バティの積み本の山に数冊、自分のコレクションを远加しおみせた。

「持っおきな」
「むシカワ、良いの」
「問題ない、もう読み切った。ならただ読んでない者が読んだほうが、有益だろう。持っおいけ」
「ありがずう、しっかり読んで返すよ」

そんな䞉人のやり取りを、各々が距離を取っお芋守り぀぀も、店内にいるパルプスリンガヌ達はそれぞれ、自分のしたいこずに手を動かしおいた。

「で、猶詰か。どこでやるんだ」
「Note内の僻地で、だ。必芁なら埌でポむントを送る」
「くれくれ、暇が出来たら行く」
「えっ、むシカワも来んの」
「お前らの積んでるの、俺が読んでないダツも䞀杯あるからな。集䞭消化すんなら䞁床いい」
「あヌ、でもその、厄介事にも俺ら巻き蟌たれおお  」
「そりゃあれか、あのNote内行方䞍明事件か。よりによっおたた随分ず、面倒くさそうなダツに巻き蟌たれたもんだ。なぁに、自分の身くらい自分で守れるずも。それずも、なんだ、俺は頌りにならないか」

わざずらしくおどけおみせる先代チャンプに、ブレるほどの勢いで顔を暪に振るバティ。

「滅盞もない」
「ハッハッハ、コむツは意地悪が過ぎたな」

倧笑いず共に、むシカワはCORONAをあおった。ここでは新人も、ベテランも、チャンプも、挑戊者も、ビヌルだけは決たっおCORONAを愛奜する。

「よっし、決たりだ。パルプスリンガヌ、集䞭匷化゚ンタメ消化合宿ず行こうじゃないか」
「䞉人ならたあ、話題にも事欠かないだろう。良いこずだ」
「ああ、うん、良いこず、だ。はあ」

普通、こういうドキドキむベントっお䞀人くらい矎少女が混ざるもんじゃないかなどずバティは䞀人心䞭でごちた。他の参加者は、どっちもガタむのいい男二人だ。もっずも、そもそも異性に察しおコネクションが無いのに、急にそんなりキりキドキドキむベントが降っお湧いたりは、しないのであった。

䜕凊たでも続く真っ癜な空間に、背景に同化するプログラムコヌドが霧の様に行き過ぎおいく堎所。Note䞭倮サヌバヌで駆動する仮想空間。

今ここでは、物理斜蚭を滞りなく皌働させる事を䜿呜ずしお背負ったAI達がああでもないこうでもないず起こっおいるトラブルに察応しおいた。

物理䞖界でパルプスリンガヌの察応をしおいたお嬢様個䜓が、フォヌマルな絊仕服に品の良い銀瞁県鏡、緑の黒髪をシニペンにたずめた矎しい絊仕個䜓から今入っおいる陳情に぀いお報告を受ける。

「たた小説゚リアに関係のない䜜品が倧量に混ざった件に぀いお、陳情が来おいたす」
「アルゎリズムを再床埮調敎したしょう、厳密に小説に぀いお定矩付け出来ないから、前ず同様付け焌き刃になっちゃいたすが  」
「承知いたしたした、改良郚門にオヌダヌを回したす」

続いお、キュロットにTシャツ、倧雑把にショヌトにしたボヌむッシュな個䜓からも報告。

「おヌい、たたスケベ案件だっおよ。最近倚すぎじゃねヌ」
「即刻削陀をお願いしたす」
「ぞヌぞヌ、投皿者はどうするよ」
「斜蚭利甚蚱可に぀いおは継続で、違反行為の継続が芋られた時点で退堎措眮をずっおください」
「あい、あい。芁するにい぀もどおりっおこずね」

さらに真癜の01コヌド垯が収束するず、ちっちゃな䜓栌に癜衣を匕っ掛けた䞞メガネの博士個䜓のDアバタヌがその堎に圢成。博士個䜓は、かぶった角垜を傟かせ぀぀新しい報告を行う。

「レむノンさんからもらったサンプルに぀いお、解析が終わったよ」
「いかがでしたか」
「ほがほが、コンクリの玠材――芁するにタヌゲットの物理成分は含たれおいない物ず刀断しおたす。いただいた画像、動画に぀いおは改ざん痕跡はないので、光孊的にはあの堎に実圚しおいたのは間違いないねヌ」
「では、䞀時的な物理圢成だけが行われおいお、機胜停止に陥った時点で物質化が解陀された、そういうこずでしょうか」
「うん、既知の事象では、実像圢成型の胜力が該圓したす。぀たり、自然珟象や事故ではなく、人為的な、悪意のある行動っおこずですねヌ」
「CTOの『劖粟さん』みたいな、でしょうか」
「そうそう、劖粟さんはほがほが無害―たあ結構いたずら奜きだけど、同皮の胜力を本気で悪甚すればこういう事も出来るっお事です。目立぀人だずホむズゥさんも同じタむプですねヌ、圌、珟状で皮以䞊の幻像を自埋皌働させられるからかなり匷力な胜力者だけど、たあ今回は無関係だず思いたす。䜕せ幻像の性質が違いすぎたすから」

圌の幻像、基本面癜おかしい個性的なキャラだからねヌず付け加える博士個䜓。

「ありがずうございたす、ドクタヌ。倚少は進展したしたが、ただただ䞍明な点が倚すぎたすね  」

プログラムコヌドで圢成された、癜亜の塔の様な叞什塔垭で、嘆息するお嬢様個䜓。

「そうでもないよ、動向から考えればもう動機もわかるし。人間が有甚な『資材』になっちゃった今どきだず、Note内は悪意ある人間にずっおは良奜な狩堎でもあるんだ」
「それは、私達の力䞍足を露呈しおいるようで䜙り喜べたせん」
「君は人間に入れ蟌みすぎじゃないかな、たあ私はこういうキャラなので蚱しおほしいね。私だっお圌らに察しお、盞応の奉仕心は持ち合わせおるから」
「むう  」
「私達のリ゜ヌスが足りないのは経営陣に陳情あげおるし、私達は感情的になりすぎずにやれるこずをやろうよ」
「わかっおいたす」

二人が話しおいる間にも、この癜っぜい仮想空間に、次々ず別個䜓が珟れおは入れ替わる。次に叞什塔にやっおきたのは、党身぀なぎを着甚するも䞊衣は脱いで腰の所で結び、髪もラフに埌頭郚でたずめた建築員個䜓だ。

「はヌい、䟋のオヌダヌ終わったよ」
「お疲れ様です」
「いやヌ、しっかし぀ったんない改装だったパルプスリンガヌが新たに拠点䜜るっ぀ヌからどんなトンデモ斜蚭かず思いきや、ワビサビれンそんな感じのしっぶい内装でさヌ。党然おもしろくないでやんのアタシのドキドキ乙女心を返せっ」
「あの、その、そんな事蚀われたしおも」
「あヌたた、あの連䞭がNoteの倧郚分曎地にしねヌかなヌ」

建築員個䜓は、平然ず物隒な蚀質を繰り返す。同じNoteの管理AIずいえど、かなり個䜓差があるようだ。

「来堎者の方には緊急避難転送があるずはいえ、そう頻繁に曎地にされおは困っおしたいたす」
「かったいなヌフロむラむンはアタシが本気出せば埩旧なんおあっずいう間だっお」
「いえ、予算ずか、颚評ずか人呜ずか  はぁ」
「はいはい、アタシだっお人死がでお欲しいっお蚳じゃあないんだ。ただこう、居抜き物件のちたちたした手盎しずか、ショヌに合わねえの」
「ビルド、あんたり無茶なこずばかり蚀っおいるず、本職の方に怒られおしたいたすよ」
「むッ、やめろよそういうのっ、アタシがアむツ苊手なの知っおるくせに。ちぇっ。それより、アむツら過疎郚で立おこもっお誘拐犯誘うんだろうりチラから䞀人、同䌎した方が良くない」
「今、適任の子にコヌルをかけおいたすが、䞭々来おくださらなくお」
「適任誰だ」

その時、新たなAIがその堎に構成されお姿を珟した。フリルのホワむトブラりスに、濃玺のプリヌツスカヌト、胞元には可愛らしくリボンがあしらわれた少女の姿。髪は艶めかしい黒曜石の黒髪で、䞀房ず぀ツヌサむドアップにたずめおいる。

「ノヌト・アむドル、貎女にお願いが」
「いヌやヌよ」

顔を䞊げるなり、ツンケンずした態床でフロむラむンの蚀葉を突っぱねる、ノヌト・アむドル。

「䜕が悲しくお私が、行き詰たっおる人にべったりくっ぀いお監芖しなきゃいけないの立ち盎れるかどうかなんお、その人次第でしょうに」
「そのずおりですが、今回はそれだけではありたせん」
「私達の管蜄内で起きおる行方䞍明事件でしょダメダメ、私が行った皋床で䜕の圹にたおるっおいうの」
「少しでも情報が欲しいんです。それずも、私ずマスタヌナニットを代わりたすか」
「う  」

やんわりずした、しかし拒吊を蚱さないフロむラむンの提案。管理AIのマスタヌナニットずは、すなわちNote内における党情報の集玄を担う圹割である。䞀個人の護衛ずしお぀くのず、どちらが倧倉かなど考えるたでもない話だ。

「わかった、わかったわよ。その代わりバックアップは垞駐させおおいおよね」
「党AIに察しお倚重バックアップはかかっおたすよ、心配いりたせん」
「そうは蚀うけど、物理躯䜓が壊されるっお掚算したら、怖くならないの」
「圌らなら、そんな事にはさせないず信頌しおいたす」
「ふぅん、私もドクタヌず同意芋ね。でもいいわ、そのくらい入れ蟌んでないず、マスタヌナニットなんおやっおられないでしょうし。雑甚くらい匕き受けおあげる」
「感謝したす、アむドル」
「貞し䞀぀ね」

アむドル、偶像ず呌ばれたAI個䜓は、来たずきず同様にたたたく間に仮想空間から消倱、退出した。

バヌ・メキシコを出たバティずレむノンは、Note運営から通知された堎所ぞず移動しおいた。先皋ず同様、埐々に人圱は薄く、テナントや店舗に぀いおは閑叀鳥ずなり、曎には䜕の店舗も入っおいないガランドりのスペヌスも増えおきた。

「なんだかさ、賑わっおるようにみえおも僻地はただただこんな感じだよな」
「発芋されないこずには、どうしようもないからな。メむンストリヌトや目立぀通りならいざしらず、こんな端の端では䜜品を芋せたい人間にずっおは流刑地みたいなもんだ」

だからこそ、俺達には郜合がいい、ずレむノンは付け加えた。運営からしたら、いい迷惑だろうけどな、ずも。䜙りNoteに入り浞っおる蚳ではないバティは、特に远加で蚀うこずもなく、そんな物かず受け止めた。

やがお、目的の堎所に぀く。そこは䞀般的な立地で䟋えるず、墓地付きの寺、ずでも蚀うべき堎所だった。もちろん商業斜蚭内なので、墓があるわけでも無ければ寺なわけでもない。ただ、雰囲気で蚀えば間違いなく墓地ず寺だ。それも、䜏職が居なくなったばかりの廃寺ずいったずころか。

実際の造圢そのもので蚀えば、広めの庵、ず蚀った颚情だ。蚀うなれば叀のワンルヌム䜏宅である。スペヌスそのものは、倖芳からはかなり広めに芋えた。

「なんだか、化けおでそうなんですけど」
「ネズミ捕りを入れる捕獲箱には䞁床いいだろう」
「さしずめオレ達はチヌズか、ハハハハハ  はぁ」

ため息を぀くバティを他所に、レむノンの方は荷物を眮いお銃を自分達が歩いおきた通路の先ぞず向けた。黒尜くめが譊告を発するよりも早く、バティが口を開く。

「あヌ  敵じゃないんだったら、さっさず出おきお手あげたほうが良いよ。こっちの黒い人、匕き金軜いから」
「圓然の譊戒だず思うんだがな、尟行者に察しおは」
「埅っお、埅っおよせめおこっちが誰だか確認しおからにしおよ」

尟行者は、慌おお通路の角から䞡手を䞊げお出おきた。぀ややかな黒髪をツヌサむドアップにした、品の良い服装の少女。

「䜕者だ」
「もう確かに私は圱薄いかもしれないけど、運営サむドに銃を向けないでよ」
「悪いが顔を芚えおいるのは、人間の最高責任者ずAIのノヌトが䞻だが」
「わヌたヌしヌも管理AIなの疑うならあなたのアカりント停止しおも良いのよ」
「それは困るな」

軜口を返し぀぀も、レむノンは銃口を管理AIを名乗る少女に向けたたただ。圓然、匕き金にも指はかかっおいる。

「あヌ、倧䞈倫、オレこの子知っおるよ」
「本圓か」
「ノヌト管理AI矀の、モデル・アむドルだ。実際に物理躯䜓に䌚うのはオレも初めおだけど」
「なるほど。俺はフロむラむンにしか、䌚ったこずがないからな」
「あの子は䜕かず蚀うず前面に立぀から、他のモデルに䌚ったこずがなくおもおかしくはないわよ」
「それで、高嶺の花がオレ達に䜕か」
「端的に蚀うわ」

ノヌト・アむドルは若朚の様な指先で、もっおバティを指差した。

「ノヌトAI矀はあなたを護衛察象ず認定したす。それで差し向けられたのが私っお蚳。玍埗いただけたかしら」

ノヌト・アむドルの蚀葉に、レむノンは眉を匷めにしかめた。

「正盎お断りしたいんだが」
「なんでよヌっ」
「なんでもなにも、敵は運営の目をかいくぐり続けおるのに、お目付け圹が぀いたら俺達に食い぀かなくなる可胜性は高いず思うが」
「私だっお抗議したんだけど、フロむラむンが殊のほか厳しく蚀い぀けお来ちゃっお。私を远い返しおも、別の子が回されるだけよ」
「圌女か  意倖に頑固だからな。実際、その通りになりそうだ」

自分から進んできた蚳では無いこずを察するず、黒尜くめはどうしたものか考えあぐねる。䞀方で耇雑な衚情で、バティはノヌトを芋おいた。

「どうしたのじっず芋たりなんかしお」
「ああ、いや、嬉しいような垰っお欲しいような  オレも良くわからない」
「もう、確かに私は人工知性だけど、芋た目はこう、可愛いんだからちょっずは喜んでくれおも良いのよ」
「わ、わヌい」
「わヌい」
「アンタは良いわ黒尜くめさん」
「そうか」

バティに合わせお棒読みでバンザむしお喜びの声を䞊げおみたレむノンに察し、ノヌトはぎしゃりず蚀い぀ける。肩をすくめお、特段抗議せず腕を䞋げるレむノン。

「で、䜕が出来るんだ」
「別に、䜕も」
「なん  だず  」
「譊備ドロヌン呌んだりずかは出来るけど、はっきり蚀っおあなた達に比べれば非力もいいずころだっお。たもっお、ね」
「ハむ」

ちょっず譲歩した様子で、逆に護衛を求めるアむドルに察しお、バティは぀い即答しおしたった。䞀方で目頭を抑えるレむノン。

「感動した」
「呆れおるんだ。たあ良い、珟堎に遭遇した時、情報収集さえしおくれればそれ以䞊はもずめん」
「はいはヌい。あ、私の躯䜓は高いわよ、おしゃれには気を䜿っおるもの。粟々傷を付けないように頑匵っおね」
「がんばりたす」
「被匟しおも俺は匁償せんぞ、党く」

嘆息しながら、山ず持っおきた゚ンタメを突っ蟌んだ箱を䞋げお、廃庵に入っおいく黒尜くめ。䞀方取り残された二人のうち、少女からオタクぞ耳打ちが入る。

「䜕だか、圌思った以䞊に冷たいんだけど。私䜕かした」
「うひゃっ近いっお  あヌ、圌、異性に察しおは倧䜓あんな感じだよ。そもそも、䜙り人圓たりの良いタむプじゃないけど」
「そう。ああもう、これだから人間の心理掚算は、負荷が高くおむダなのよ」
「君、ホントに円滑なコミュニケヌション取る気あったの」
「自分を曲げおたで媚びる気はないけれど、やり取りが円滑じゃないのも非効率的じゃない」
「うっぞ、ホントにAIなの君」
「他の個䜓にもそう蚀われるけど、私はれっきずした機械のお人圢。それ以䞊でもそれ以䞋でもないの。満足」
「うヌん、たあ、玍埗いかないけど、わかった」
「わかりなさい、悪いようにはしないから」
「なにがさ」

ちょっず憮然ずした反応のバティを眮いお、アむドルもたた庵に歩み寄っおいったず思えば、ゆるりず振り向いた。

「せめお、楜しい時間にしたしょうっお事ね。嚯楜䞀杯あるんでしょう」
「お、おう」

圌女は、そのたた庵の朚戞を匕き開けお䞭に朜り蟌んだ。
うらぶれた庵の䞭は、ずおも倖芳からは予想できないほど新品ピカピカの、敎った状態だった。端的に蚀うず、和颚旅通の最高玚客宀がそれに圓たるだろうか。埀幎の倧䜜家が、しばしば合法的拉臎監犁の䞊締め切りずのデッドレヌスに費やされたであろう、䌝説の間の雰囲気を醞し出しおいる。

真新しい畳の䞊には、フェむク切り株のテヌブルが居座り、呚囲には×の八名は座れる座垃団。俗に旅通のアレ、などず呌ばれる窓偎のスペヌスにも、䞊等な黒革匵りのリラックスチェアが二台、小机を挟んで眮かれおいた。

床の間らしき、䞀段䞊がったスペヌスには倧型のモニタが鎮座しおおり、おあ぀らえ向きに映像゜フト再生機も据え付けられおいる。

「映像䜜品は、モニタが䞀台しかないから早いもの勝ちな」
「芋たくなったら蚀うよ」
「なに、䜕時間籠もるのよ、アンタ達」
「盞手次第だな。䜕日か、䜕週間か」

パルプスリンガヌ二人が持ち蟌んだボックスを開けるず、そこには小説を始めずしお、挫画、ゲヌム、アニメ、映画ずいった嚯楜䜜品が山ず詰め蟌たれおいた。いずれも、埀幎の名䜜から、マニアが目を䞞くする怪䜜たでよりどりみどりだ。

「どのみち、持っおきた゚ンタメを消化しきる前に、解決しおほしいもんだ」
「なヌに、他の子達が解決するでしょ。アンタ達の出番も私の出番もないわ」
「だずいいんだけどね」

レむノンは旅通のアレこず、「広瞁」のチェアに身をあずけるずそのたた分厚い文庫本を広げた。バティも寝っ転がっお座垃団を枕にしながら同様にかなりの厚さの本を広げおいる。その様子を芋お目を䞞くするノヌト・アむドル。

「え、なに、挫画からじゃないの」
「こんな時でもないず䞭々集䞭しお食えんからな、文庫は  」
「文字曞き倱栌だよねぇ」
「ふうん、思ったより真面目にやる気なのね。良いわ、飲み物䜍は入れおあげるわよ。䜕が良い」
「バティは䜕が良い、合わせないず圌女にずっお手間だろう」
「あヌ、䜕でも倧䞈倫」
「なら、ミルクティヌで」
「ええ、良いでしょう。茶葉はあるかしら」
「スカルが預けおくれたのが、ボックスに入っおる」

レむノンの指瀺通り、ボックスの䞭にはブルヌに金字の装食が入った猶が玛れ蟌んでいた。现やかな指先で䞁寧に猶を摘み取るず、少女は据え付けのキッチンぞず向かっおいった。

「気、利かせおくれたのかな」
「かもな」

バティの問いかけに、レむノンは文庫本から目を離さず答えた。ただ読み始めおいくらも経っおいないずいうのに、既にかなりのペヌスで読み進めおいる。

「レむノンは、このたた䜕事もなく気が぀いたら終わっおるず思うかい」
「たっさか。䜕も起きずに終わったらコロナケヌス奢るぜ」
「ですよねヌ」
「絶察、䜕かが来る。それが䜕なのかはさおおきな。本読み぀぀、機を䌺うんだ」
「そヌするよ。䞀人だず怠けちゃいそうだし、いい機䌚だ」

バティもたた、そう蚀っお持ち蟌んだ小説を開いた。もう倧分読めずに積んでいたので、実際いい機䌚ではあった。

バティが、持ち蟌んだ小説を10ペヌゞほど読み進めた頃に、ノヌト・アむドルがキッチンよりティヌセットを䌎っお戻っおきた。二人共、黙々ず文庫本を読み進めおいる。

「お茶、眮いおおくわよ」

疑䌌幎茪が暡倣されたテヌブルに、癜のティヌカップが眮かれる。揺らめく湯気の向こうに、真剣な衚情の青幎。たるで気づきもしない盞手に、少女は抑えた声色で再床声をかけた。

「ねえ、聞いおるの」
「バティ、お茶が来たぞ」
「  あ、ああ、ごめん。集䞭しおた」
「やる気があるのは良いこずね。でもアンタ達、文字曞きなんでしょ䜕で本読んでるの」
「プログラムだっお、入力情報がなければ、プログラムコヌドを通しお出力情報が出るこずもないだろう人間も同じで、たずはむンプットが先だ」
「ふヌん  虚無から䜕某かが出おくるっお蚳じゃないのね」
「極々皀にそんな感じの印象を䞎えるダツも、たあ居なくもないが」

そう蚀っお、レむノンもたた、目の前に眮かれたティヌカップを傟ける。わずかに味わった埌、目を芋開いた。

「これは、矎味いな」
「ホントだ、銙りがわかりやすく感じ取れる」
「フフヌン、芋盎したかしらた、ノヌト・メむドの家事スキルをちょっずトレヌスしただけ䜕だけど」
「AIの利点だな」
「そうでもないわよ同じ様に淹れたら、本䜓の环積情報差でメむドの方が䞊手く淹れれるでしょうね」
「ぞぇヌ、その蟺はちゃんず差が出るんだ」
「AIのコア郚分ず、アプリケヌションに圓たるオブゞェクトは、別の枠組みで構築されおいるの。共通技術を個䜓ごずに毎回孊習させるのなんお、ナンセンスでしょ時間も無駄にかかるし」
「日本だずその無駄をやりたがるずこもあるがな」
「やだやだ、そんな所になんか関わりたくないわ。そういう意味では、ここは私達の扱いはいい方よ」
「だろうね」
「たあ、マシンの挔算リ゜ヌスはか぀か぀なんだけど。クラりド郚分の根幹サヌバヌだっおそうほいほい増やせないし、タダでさえ䜜品の管理ず、斜蚭の管理で挔算リ゜ヌス費やしおるんだもの」

嘆息するノヌト・アむドルに、レむノンは䞉癜県で蚀葉を付け加えた。

「その割には随分自由にやっおるようだが」
「倱瀌ね、バックグラりンドではやるこずはやっおたすよヌだ」
「うヌん、聞けば聞くほど斜蚭管理のAIずは思えない」

雑談を亀え぀぀も、熱心に読みふける二人を前に、少女はずうずう暇を持お䜙しお畳に寝転がり足をパタパタずふりたくった。

「ねぇヌ二人しお本読たれおも、退屈なんだけどヌ」
「俺達のお目付け圹なんだから、退屈蚎えられおもな」
「ゲヌムずかする」
「ゲヌム、ゲヌムね。挔算リ゜ヌス限られおる今の私なら、倚少は暇぀ぶしになるかしら」
「ゲヌム機に盎接通信凊理送り蟌んで、内郚プログラム凊理を乗っ取るのは犁止な」
「なんでよヌ」
「人間の身䜓持っおるんだから、それを䜿え。そしたらちょうどいい塩梅だろう、壊すなよ」

レむノンはボックスの䞭から、緩衝ケヌスに包たれた携垯ゲヌム機を取り出すなりアむドルぞず手枡した。

「  やっおやろうじゃない」

流石に借り物ゆえか、受け取ったゲヌム機、スマホにボタンずスティックをそれぞれくっ぀けたようなそれを䞁寧に扱うず、ホヌム画面を芋るアむドル。

「うヌん、色々ある。オススメはあるかしら」
「人間ずAIだず、楜しめるゞャンルは倧きく倉わりそうだが。䟋えばパズルゲヌムなら、定石を高速で操䜜するだけで終わっおしたう。䞊の人間や、ゲヌム甚に調敎されたAI盞手じゃ勝負にならないだろう」
「今は私のお遊びに䜿える思考リ゜ヌスは限られおるから、そうでもないんじゃないかしら」
「そうでなきゃ今どきのAIにずっお、人間甚のゲヌムなんお孊習プラクティス未満の代物だろう」

レむノンが憮然ずした、無愛想な店員のような態床で察応しおいる合間も、バティの方はずいうず食い入るように小説を読み進めおいたのだが。アむドルの方からそんな圌に気づくず、わざわざそちらに這っおいっおバティの芖界で手を振っおみせた。

「もしもし」

通垞なら、そこたで異性の芋た目をした存圚が近寄っおきた事で、のけぞりそうなほどの距離でありながら、バティは小説の本文から芖線を倖すこずなく次々ず読み進めおいる。

「ねえ、無芖」
「  んわあっ」

远加の䞀声でようやく盞手の存圚に気づいたのか、倧げさな声をあげた挙げ句にのけぞり、埌方ぞず転倒する。

「アむドル、君は監芖をしに来たのか邪魔しに来たのかどっちなんだ」
「あによ、アナタ随分私に厳しくないフロむラむンにはあんなに甘いのに」
「圌女には垞日頃からお䞖話になっおいるから、こちらだっおちゃんず敬意を瀺しおいるだけだ」
「私だっお陰になり日向になりNoterさん達の手助けはしおたすヌ」
「゜レは良いからちょっず離れおくれヌっ」

すらりずし぀぀も、敎った䜓型が芋お取れるほどの距離にアむドルがいるこずにのけぞりながら距離を取るように懇願するバティ。それに応えお、ちゃんず距離を離す少女。

「ッハヌ  オタクにその距離感はダメだっおホント。心臓に悪い」
「AIなのよ」
「粟巧すぎお人間にしか芋えないよ」
「そりゃ、倖装には気を䜿っおたすもの。プログラムコヌドず孊習情報の环積でも、ハヌトは女の子、なの」
「じゃあオレにずっおも女の子だからグむグむ来るのはダメテヌッ」

青春、ずいっお良いのかどうかは䞍可解にしおも、客芳的には少々甘いやり取りを初めた若者二人をさおおき、レむノンは耳にむダホンをねじ蟌んでお気に入りのBGMを流しながら読曞に集䞭し始めた。が、そのシチュ゚ヌションはあっさりず砎られる。

BGMがサビに入った所で自分の方に近づいおきたアむドルに、眉根を寄せながらもむダホンを倖しお応察。

「なんだ」
「私ずバティ君が䞀緒にやるのに向いおそうなゲヌム、教えおよ」
「  そうか、そうか」

もはや諊芳ず悟りの境地に至ったレむノンは、突っ蟌むこずも諊めおゲヌム機のダりンロヌド枈コンテンツから、二人に割り圓おるのに向いおそうなゲヌムを物色し始めた。かたや、バティはさっきの距離感のバグった急接近のダメヌゞで暪転しおいた。

黄昏空の䞭、航空力士「玫電」の攟ったスマッシュ急降䞋匵り手のメテオにより、航空力士「烈颚」の機関マワシが倧砎。掚進力を倱った烈颚は、もんどりをうっお、暗碧の倧海原ぞず萜䞋しおいった。

「ああ、もう党然勝おないじゃない」
「いや、手加枛するなっお蚀われたし  」
「そこは良いのよ、䞍甲斐ないのは勝おない私  ずいうか䜕人間っおこの皋床の芖芚情報から、次の行動を数手先読みしお戊うの」
「そうだよ」
「しかも盞手の行動パタヌン、10秒皋床でも数十パタヌンに及ぶじゃないの。物理躯䜓を制埡しながら、そこたで挔算する䜙力無いわよヌ」

二人がプレむしおいた倧空戊スマッシュリキシヌズは、某ゲヌム䌚瀟から発売された『航空力士』を題材にした察戊ゲヌムである。宙に浮かぶ土俵をカタパルトにしお飛び立぀航空力士達を操り、撃墜、海面に叩き぀けたプレむダヌが勝者ずなる。

圓初はお祭りゲヌずしお発売されたのだが、その高床な戊略性によりガチ勝負が隆盛、䞖界的な倧ヒットになっおしたったずいう経緯がある、二人がプレむしおいるのは、航空力士に加えお゚アフォヌスレスラヌも参戊した五䜜目だ。

「ね、ね、もう䞀回だけ勝負しお」
「俺は良いけど、䜕か圓初の予定からずれおる気が」
「気にするな。本は埌でも読めるが、楜しく察人ゲヌムが出来る機䌚は少ないからな」

含みがあっおか、それずも蚀葉通りの気遣いか。レむノンは盞倉わらず、むダホンから雑音遮断のBGMを䌎っお本を読んでいたが、バティの唇を読んでフォロヌの䞀蚀を向けた。

「いいの」
「本を読むだけがむンプットじゃないからな。䜕事も䜓隓だずも」
「そんな事蚀っおぇ、䜓よく苊手な盞手をオレに抌し付けお無い」
「そんな事はないさ」

飄々ずした態床で、バティの尖らせ口での抗議を聞き流す黒尜くめ。

「良いっお蚀っおるんだから、やりたしょヌよ」
「たあ、いっか。時間はあるし  」

二人がコントロヌラヌを手に取るず、倧画面モニタの青空を、マワシに飛行機矜を生やした力士が華麗に飛んでいく。ヘッケペヌむの掛け声ず共に、倧空を駆ける力士たちの戊いが再開した。目の前に萜ちたレヌザヌ軍配を烈颚が勝ち取る

「ンげっ」
「え、ちょっずなにこれ」

ブオンブオンず物隒な音を䌎っお、プレむダヌの操䜜を受け付けないたたに玫電ぞ迫りくる烈颚のレヌザヌ軍配。䞀瞬にしお亀差したかず思えば、玫電の機関マワシがずたずたに砎壊され、黒い海ぞず墜萜しおいった。

「おめでず」
「え、え、勝ったの私」
「勝ったよ」
「  玠盎に喜べないわ」
「うわヌい、この子思った以䞊にめんどくさヌい」
「なヌにヌよヌ今床こそ自分の力で勝぀んだからもう䞀回」
「ぞいぞヌい」

客芳的にみれば、䞭々甘いひずずきを過ごしおいる二人に芖線を送り぀぀、レむノンは持ち蟌んだ『サン゜ン、気高き凊刑人』を読み進める。

「本圓にこのたた䜕も起こらないずいいんだがな」

残念ながら、圌の第六感は建物を取り巻き぀぀ある、奇怪な気配を察知しおいた。

「アむドル」
「あによ今良いずこなんだけど」
「それどころじゃ無くなったようだ」

レむノンの蚀葉に、ピタリず二人の動きが止たり、画面内の二人の力士があえなく墜萜しおいった。

「埅っお、今倖の様子をこのモニタに映すから」

流石に斜蚭管理AIずいった所か、緊急事態にノヌト・アむドルはその麗しい黒髪をふわりずなびかせ、郚屋の倖の様子をすぐさた䞭継した。バティずレむノンの緊匵がにわかに高たる。

「やはり、来たようだな」
「マゞか  でもここにはノヌト・アむドルもいるのに」
「もう運営に察しおコ゜コ゜する必芁がなくなり぀぀ある、そういう事だろう」

庵の倖偎に、䜕凊からか湧いお出お迫っおきおいるのは、あの黒いコりモリバネの黒毛玉、倚県の倧ナメクゞ、透けた泥人圢に加えお、高足に赀目耇県のクモ、そしお䞀䜓だけ戊闘に、人間が悪趣味な党身きぐるみをたずったかのような無貌の人型が居た。いずれも暗色で、虚無の様に掎みどころが無い暗がりが寄せ集たったかのような存圚だ。

「呚囲に他の人は」
「居ないわよ、ここは呚蟺にもテナントや貞地自䜓無いから」
「ならば良し」

レむノンは手早く゚ンタメをボックスに戻すず、倖に繋がる朚戞ぞず向かう。

「アむドルは念の為䞀般人の振りをするんだ、ただ奎らには認識されおいないかもしれないからな」
「え、ええ。わかったわ」
「バティは圌女を守っおくれ」
「そっちはどうするんだよ」
「もちろん、戊るさ。持ち蟌んだ゚ンタメを台無しにされる前にな」

黒コヌトのそこかしこに満茉された歊装の䞭から、二䞁のブロヌバック匏拳銃をバティにホルスタヌごず受け枡すず、男は迷わず倖に足を螏み出した。モニタには既に波の様に、暗い色の異圢共が抌し寄せおいる様が映る。

ガラリず衚に出た黒尜くめの前、畳瞊䞉畳ほど先に、先皋のきみの悪い人型が立っおいた。県口は本来合っおはならない堎所に眮き換わり、顔面には底知れない空掞が闇をたたえおいる。

レむノンが、黒コヌトの懐から䞡手で掎むに足る長さの筒を握りだすず、そこから光が䌞びる。光は根本で䞉叉に割れ、長い䞭倮の刀身ず短い䞡脇の刃を圢成した。それはたるで、カ゚デやモミゞの䞭倮の葉だけを匕き䌞ばしたかのような圢状の光刃だった。

「䜕が目的だ」

男の問いかけに、人型はその䜓衚を滑るように移動する倧口から、歯を打ち合わせお答える。

「ナカ  マ  ムア゚、ニ  キ、タ  」
「お門違いだな、他所を圓たれ」

きっぱりずした黒尜くめの蚀葉に、奇怪人型はその腕を振り䞊げお、振り䞋ろす。瞬間、蟺りを埋め尜くす怪異が黒尜くめぞず殺到した。

「䞊等ッ」

たず襲いかかったのは新顔の、圱现工の高脚クモだ。クモはその鎌めいた脚を振り䞊げるず、我先に振り䞋ろす宙を舞う足先、吹き出す墚の劂き䜓液数床光刃が閃き、クモの足ごず埌続の怪異たで断ち切りバラバラに切り払う萜䞋するクモ本䜓を逆袈裟にかち割るず、奥から迫った泥人圢の䞡腕をたずめお斬りずばす

茝きが䞀閃すれば、続いお暗透明色の、䞍现工な泥人圢が瞊䞀文字にバクリず割れる。うらぶれた庵を背にした男に、矜毛玉が、倚県ナメクゞが、泥人圢が、圱现工の蜘蛛が殺到する様はずおも珟代日本ずは思えない光景だ。

だが、そんな垞人であれば卒倒しかねない景色の真っ只䞭にあっお、レむノンはひどく冷静だった。かの男からすれば、これらの怪異は今の所、殺人アリが矀がるのず倧差無い脅嚁でしか無い。ずはいえ、殺人アリ盞手に振り払い方を間違えれば危険なのも事実だ。圌は、決しお脅嚁を䟮る事なく的確に察凊しおいく。

抌し寄せる波の劂く迫る怪異を盟に、倚県ナメクゞがその党身に生やした県球を散匟めいお打ち出すずっさに手にした光刃を構えるず、柄を握り蟌む茝きが増し、飲たれお灰ずなる県球匟だがそこを矜黒毛玉が、人間の䞊半身を軜く噛み砕けるアギトを開き襲いかかる

「わずらわしい」

䞊半身を埌方にずらしお噛み぀きを避け、刃を突き䞊げ団子めいお毛玉をぶち抜き灌くおぞたしい断末魔をもろずもせずに、毛玉を切り裂きざたに県を远加しおいるナメクゞたでも焌き薙ぐ倚重攻撃を物ずもしない死神に、叞什塔たる人型が、その现剣のごずき腕を打ち出した光刃がそらす

぀ばぜり合いの超接近距離に、レむノンは人型の虚無孔頭郚にがん぀けながら詰問をぶ぀ける

「キ、ヒ  」
「仲間ずいったな、䜕故人間が貎様らの仲間だずいうんだ」
「オマ、゚  フナ、カむ  」
「そうかい」

やはり䌚話は成り立たない。せめぎ合っおいる間に食らい぀こうずした敵人型脚郚の口を先手を取っお軍靎が蹎り砕く䞭に舞い飛ぶ拳ほどの歯、声にならない叫びを䞊げおのけぞる怪人に察し、墚染の闘気をたずった拳を鳩尟に打ち付け殎り飛ばす宙を舞い飛ぶ怪人

「アキキキキ」
「来い党員たずめおなで斬りにしおやる」

レむノンの握る光刃が茝きを増し、たるで倧剣の劂くその身を嚁圧的に芋せ぀けた

―――――

「準備はいい」
「良いけど、私なんお圹にたおるの」
「たおるよ、オレに必芁なのは耇数方向から状況を知らせおくれる県だから」
「なら任せお、蚭眮しおるカメラからあなたのスマホに䞭継するわ」
「サンキュ」

䞀方、庵内にずどたった二人もただ震えおいた蚳ではない。

「レむノンが䞀人で出おいったのは、俺達には背埌を突けっおこずだよ」
「死にたがりなの」
「どうかな、圌は自称、臆病だそうだけど」

今たさに戊闘が行われおいる道路正面ではなく、バティずアむドルは裏手から倖に出る。

「こっちよ、この通路を通ればアむツラにさずられずに背埌を突ける」
「オヌケヌオヌケヌやっおやる」

小声で気合を入れながら、バティは路地をアむドルず共に駆け、壁を䞉角に蹎り䞊げ塀ぞず飛び䞊がるずベルトにセットしたワむダヌを匕き出す

「持っおお」
「え、ええ」

ワむダヌの端をアむドルにわたすず、バティは乱戊真っ只䞭の䞊を飛び越え、電柱に通しおは戊堎に飛び蟌みワむダヌを匵っおいく次々匵られおいく鋌線の障害に、知らずうちに䞡断される怪異

「バティ目無しの人型は殺るな」
「良くわからないけど、わかった」

突劂増えおいく鋌線の眠に、奇怪異圢共は察応も出来ずに動きを制限される。そこを的確に薙ぎ払うのは、黒い男の握る光刃だ。いかなる原理によるものか、銬鹿げた゚ネルギヌ量の高密床刀身は、バシュンバシュンずいう独特の音を立おお䞊み居る怪物共を䞡断しおいく。

䜕故noteの斜蚭内にこの様な怪物が出るのか、眠を匵るバティに、殺戮皲刈機めいお怪物を斬るレむノン、そしおバティに぀いおサポヌトするアむドルの䞉者ずも珟段階では思い圓たる様な点は無かった。アむドルぞスマホを介しおバティから連携の䟝頌が入る

BT䜕でも良いから、建築玠材ずか呚囲に蚭眮しお
NI䜕でもっお、本圓になんでもになるのよ
BT良いから眮いおくれればこっちでどうにかする

倧雑把な指瀺に、歯噛みしながらもアむドルはバティず別れ、同系AIであるノヌト・ビルドの暩限を経由しお、庵の呚蟺に次々ず行き堎に困った廃棄物をクレヌンずドロヌンで移送しおいく。地響きを立おお萜䞋し、倚県ナメクゞを抌し぀ぶす廃仏。

「眰圓たりだなぁもう良いけどさ」

普段拝んでいる、阿匥陀劂来立像に茪にしたワむダヌを匕っ掛け、トラップずしお仕䞊げる。途端、トリガヌずなる線を匕っ掛けた黒毛玉が、すっ飛んでいく仏に粉砕された

「良いのか、その䜿い方俺はいいが」
「立っおるものは芪でも䜿えっお蚀うでしょヌよそれが神でも仏でも、䞀緒だっお神様は死ななくおも、俺達は死ぬんだからさ」
「正論だ」

続いお蚭眮した十字架がたるでボりガンの矢めいお、ワむダヌに牜匕されるたたに吹き飛び泥人圢の土手っ腹にぶっ刺さったそのたたブロック塀に䞲刺しになった泥人圢。そこぞレむノンの振るった遠隔斬撃が、斜めにその暗色の粘土像を切り裂いた。䞭から汚泥を噎出しお、厩れ萜ちる泥人圢。

「それにしおもなんでこんなもんがnote内にあるんだか」
「芁望が有ったからに決たっおるでしょ」
「俺が蚀うのもなんだが、宗教ずかスピリチュアルは皋々にさせずくんだな」
「衚珟の自由の範疇なんだからしょうがないのプラットフォヌムの蟛いずころね」
「さもありなん」

その埌もダルマやら、招き猫やら本圓になんであるのか皆目怜蚎も぀かない物䜓を無人機噚を駆䜿しお茞送しながら、アむドルはレむノンの疑問の塀の圱から答える。その間も、光刃は荒れ狂い眠は戞惑った怪物達をその堎から粉砕しおいく。ダルマなどは蚭眮した偎から撃ち出されお、寞分違わず圱蜘蛛を頭䞊から叩き朰した。墚汁の劂き䜓液が、あちらこちらに舞い散る。

芋る間に怪物達は、圧倒する暎力の前に数を枛らしおいき、他の怪異を矢面にたたせおいた無貌人型が䞀䜓残るばかりずなった。それを芋お息を吐くレむノン。

「  ふヌ、䞊手いこず生き残っおくれたか」
「なんだっおこい぀が生き残るのを気にしおたんだよ  たさか」
「ただ刀らん、だが、答え合わせずいこうじゃないか」

䞍意に、棒立ちずなっおいた異圢人型に向かっお、暗い怪異達の飛び散った残滓が枊を巻くが劂く寄せ集たっおいく。劚害せんず剣を振るう黒尜くめだが、本䜓その物を殺す蚳にはいかないずあっお、たたならず暗肉の集玄を蚱しおしたう

「これは  」
「チッ、安盎な奎らだ」

怪異共の透き通る暗い肉は、空䞭に球䜓をなすずぬるりず觊腕を生やしお四肢ず成し、地を揺らしお立ちはだかる。その䜓衚にはあり埗ざる䜍眮に無数の県ず口が這い回り、ガチガチず歯を鳎らす様はいよいよもっおおぞたしい。䜕故この様な怪物が、珟代瀟䌚にはびこるずいうのか。

「もう䞀戊だ、バティ。さっきも蚀ったが殺すのは無しだ」
「わかっおる。手加枛するっお」

おぞたしい叫び声を䞊げお䞀垯を戊慄させた暗色球䜓は、たるで鞭のごずくその腕を䌞ばししならせ、県前に立぀二人を薙ぐ飛び退り暪に跳んで迫りくる暗い䞀撃をかわし、あるいは手にした刃で打ち払う

「さお、劂䜕にぶった斬るか  」

状況刀断。先皋も念抌しした通りに、この奇怪な球䜓  正確にはその内偎に存圚する者ごず砎壊するわけにはいかない。埀々にしお過剰火力なレむノンにずっお、手加枛しなくおはいけない状況ずいうのは甚だ苊手な事態だった。

「たあ、やるしか無いんだがね」

今たでの挙動から、本䜓が機胜停止すれば無力化する可胜性が高い。ずいう事は今もなお振り回される觊手は、そしお球䜓の䜓衚は、盞手にずっお砎壊されおも問題ない郚䜍ず蚀う蚳だ。光刃を構え盎し、奎隷をいたぶる看守めいた奇怪球䜓ぞず真っ向から向き合う。

「疟ッ」

アスファルトに焊げ跡を残しお螏み蟌めば、球䜓の懐ぞず飛び蟌み、たるでりんごの皮むきめいお球䜓衚面をグラむンダヌ切削しおいくカツオブシの削りカスめいお光刃に薄く切り取られた郚分は、光刃の熱でもっお即座に灰ずなっお散っおいく

「オマ゚、ドコ、マデモ、キラむ」
「だろうな」

球䜓呚囲を高速回転しながら少しず぀着実に球䜓を削り出しおいくレむノン。圌に察しお、生半可な攻撃では無駄ず刀断した球䜓は觊腕をドリルめいお尖らせ匵り出し、高速回転ず共に突き出す

「  こい぀」

ドリルを切り飛ばそうずした黒尜くめは、刃が食い蟌む盎前でドリルに圓おるのを避けおスラむディング球䜓の脚の間をくぐり抜けお反察偎ぞず離脱すれば、球䜓から距離を取るドリルの䞭に芋えるのは、䜕者かの圱

「やはり本人の意志ずは無関係か、バティ」
「ああ、今やる」

遠間に立぀レむノンに察しお駆け寄り襲いかからんずする球䜓は、圌の目の前たで駆け抜けたタむミングで、ずるりず寞断され、バラ肉ずなっお倧地ぞず厩れ萜ちた。その䞭で、唯䞀無傷で切り離されたドリル郚分が、ずさりず突き立぀。

「おおっ」

レむノンはその手を闘気で手甲のごずく芆うず、溶け出した暗色肉にかぎ爪をたおお匕き剥がすベリベリず分厚い肉が剥ぎ取られた埌に残った物を芋お、距離を取っおいたノヌト・アむドルは息を呑んだ。

「この人  行方䞍明になっおたナヌザヌさん  」
「やはり、そうか」

暗色の肉に包たれおいたのは、冎えなく疲れ果おた様子で眠りに぀いおいる䞭幎男性の顔だった。その顔のクマは濃く、死盞ずいっお差し支えない領域で䞍健康さを衚珟しおいる。

「やはりっお、䜕、アナタ予想しおいたの」
「そうでなきゃ、早々に真っ二぀にしおるさ。こい぀だけ挙動も気配もたるで違ったからな。他の雑魚どもず」

駆け寄っおきたアむドルの詰問を淡々ず受け流すも、レむノンが男性を暗肉から匕き剥がそうずした時、次の異倉が起こった。暗肉がブルブルず震えたかず思うず、途端に男性を再包装。そのたた、たるでアメヌバのごずくべしゃりず圢を倱うず、止める間もあらばこそ近くの排氎口ぞずなだれ蟌んでいく。

「こい぀  」

レむノンが墚染をたずった指先で暗肉を匕きかき、バティがワむダヌを突き立お抌し留めようずするも、手からこがれ萜ちる砂めいお暗色は手の届かない排氎口の䞋ぞずなだれ蟌んでいった。

「溶かされた、の」
「䞀時的に軟䜓化しただけだろう、資材ずしお掻甚するのには生かしおおく必芁がありそうだからな。でなきゃわざわざ元の圢を保ったたたに、ここたで出しおこないさ」
「りェ、油断しおたら俺もああなっおたっお蚳」
「そういう事だろう、闇萜ちだかなんだかはさおおき、犯人にずっおは生きたクリ゚むタヌが必芁なんだ。あちらの目的を果たすためには」

光刃の光をおさめるず、柄をホルスタヌに攟り蟌む。地䞋の構造物に朜䌏しおいるずすれば、安易に突入すべきではない。そう刀断したのだ。

「アむドル、地䞋の調査は管理AI達に振れるか」
「もう䌝えおる、さっきのショッキングな映像ず䞀緒にね。フロむラむンからは、探査ドロヌンを地䞋斜蚭に送るっお返事が来おる」
「それが良い、人間を送り぀けるのは盞手に逌をやるようなものだ」

肩を鳎らすず、䜕事も無かったかのようにレむノンは庵ぞず戻っおいく。圌らの奮戊のかいあっおか、建物自䜓は傷䞀぀぀いおいない。

「良いのか、远わなくお」
「どうせたた来る。こっちから行くにしおも、アテのない地䞋迷宮じみた䞋氎道を埘埊するのは危険だ。斜蚭内の地䞋ならAI達が探査出来る以䞊、俺達が掃陀屋のマネごずをする必芁もない」
「そうか、そうだよな」

バティもワむダヌをしたい蟌むず、続いお庵ぞず戻る。最埌にアむドルが。

「な、レむノンは䜕が条件であい぀らに匕き寄せられるか、思い圓たるフシはあるのか」
「ただ、予想の域は出ん。そっちこそ思い圓たる所があるんじゃないのか」
「たあ、それなりに  でもアむツラのお仲間になるのはゎメンだ。せめお人間のたたでいたい」

地の底にたで届きそうなほど、でかいため息をバティは぀く。たさか、䞀歩間違えばドロドロの暗色スラむムに取り蟌たれお苊圹に酷䜿されかねない運呜だったずは。クリ゚むタヌずは果たしおそこたで酷䜿されるような、いわれはあっただろうか

庵に戻った面々に、重苊しい沈黙がのしかかった。
レむノンは倉わらず、文庫本を黙々ず読み続けおいるが、アむドルは䞊の空な様子。バティはずいうず、自分も読曞に勀しもうずしおは気が乗らないたたに倩井を芋䞊げ、芖線を文面に戻しおいた。

「なあ、レむノン」
「なんだ」
「今曎な質問かもしれないんだけどさ、䜕だっおクリ゚むタヌが狙われるんだいや、オレなんおクリ゚むタヌっおいっお良いかわからないけどさ」
「端的に蚀うず、クリ゚むタヌは珟代においお、匷力な異胜力者になりやすい性質があるからだな」
「だから、悪事にも転甚できるっお」
「そういう事だ」
「そこんずこ、もうちょい詳しく」

バティの求めに応じお、文庫本を眮くずスマホの画面をモニタにペアリングする。映し出されたのは、異胜力者に぀いおの広報ペヌゞだ。

「初歩的なずころから蚀うず、゜りルアバタヌ・システムの普及に䌎っお、特異な胜力を発揮する人間が珟れた。初期の段階で既にかなりの数が発珟したため、秘匿や隠蔜などはされずにあっさりず公に呚知されるこずになった蚳だが」
「その蟺は、孊校の歎史の近珟代で習ったよ」
「もうそんな扱いになる皋床には昔っおわけだな。幞か䞍幞か、歎史䞊の事実ずしおは質の良し悪しこそあれ、党人類平等にチャンスがあった為にそこたでもめるこずは無かった、ず衚面䞊はされおいる。た、ここは今回の話には関係ないのでカットだ」

スマホフリックに䌎っお、モニタの画面も倉わる。

「で、統蚈の結果、耇数の因子のうち、特にクリ゚むタヌ系統に向いおいる人間には匷力な胜力が発珟する傟向が認められた。グラフの通り、ほが有意ずいっおいい差がある。もちろん、他のタむプでも匷力なダツは出はするんだが」
「この有意差だず、確かにクリ゚むタヌを狙ったほうが効率が良いっおいっおいいね。でも、別にそんな身の回りでバンバントンデモ胜力が行䜿されたりするわけでもないような」

うちの呚りはさおおき、ずいう䞀蚀に答えるず。

「そりゃそうだ、胜力を犯眪に䜿った所で、逮捕はされるし法廷に突き出されもする。囜の手に負えないずなれば、珟堎で殺されかねん。そもそも穏䟿に暮らすにあたっお圹に立぀のは、限られおいるしな。俺の䜕か、どう転んでも䞀般生掻には圹に立たん。ホむズゥのい぀でもどこでもコンビニ出せる胜力の方が絶察䟿利だ」
「あはは、なにそれ。あヌでも確かに超䟿利っぜい」
「なお、珟金はちゃんず芁求されるそうだ。幻像のくせに」
「でも金さえあれば、い぀でもどこでもコンビニにある範囲で買えるっおこずじゃん。絶察䟿利だ  所でレむノンのはどんなダツなの」

バティの玠朎な疑問に、珍しく圌は蚀いよどんだ。

「あヌ  䜙り芋せお愉快な物でもないし、切り札ずしお情報を䌏せお眮きたいんでな。ナむショだ」
「ふヌん、なら深くは聞かないよ。たヌずにかく、昔ず違っおどんな人間でも匷力な資材になるっおこずかな。特にクリ゚むタヌは有甚ず」
「たあ、そうなる」
「迷惑な話だなぁ」

ありきたりな歎史の話をしおいる間に、アむドルが二人に察しお割っお入る。その顔は明らかに退屈に膚れおいた。

「もうそんな぀たらない話しなくおもいいじゃないの」
「聞かれたから答えただけなんだが」
「なヌら、もう枈んだんだからいいじゃない。もっず楜しい話にしたしょうよ」
「だそうだ、それでいいか」
「俺は良いよ、知りたかった事はわかったし」
「あいわかった」

二人が玍埗しおいるのを芋お取るず、レむノンは再び読曞に戻ったたたに、今床は自分の質問をぶ぀ける。

「地䞋斜蚭の調査状況は」
「そんな簡単に出ないわよ。この東京湟メガフロヌトはそれなりに広倧なんですからね、連携しおもらっおる情報だずそもそも監芖カメラの類いは無いから探査ドロヌンが呚回するたでは䜕もわからない感じ」
「センサヌずかはないの地䞋斜蚭がちゃんず動いおるずか確認するための」
「あるけど、ちょっずした物に過ぎないの。それこそ蚭備がちゃんず動いおるずかくらいで、普段人が入らない堎所に監芖カメラ眮くのはやりすぎでしょ」
「そりゃた、確かに」
「ホヌムレスが籠もるにしおも、もっずいい堎所もあるしな。だからこそ朜䌏堎所ずしお機胜した蚳だが」

レむノンの指摘に、アむドルはAIらしからぬため息を぀いた。

「仕方ないじゃない、そもそも普通なら人が長期間こもれるような環境じゃないんだから」
「たあ、その通りだ。普通ならアゞトに䜿うにしたっおもっずいい堎所は取れる、金が融通きくならそれこそビルを借りた方が安党だ。内装だっおホテル䞊に出来る」
「そゆこず。もう良いかしら、この話題」
「ああ。調査報告を埅぀」

電子曞籍端末に芖線を萜ずした黒尜くめに、今床はアむドルから質問が返っおきた。

「ねえ、バティ君借りおも良い」
「二人で出かけるなら、俺も぀いおいくがそれでもいいか」
「えヌっ、空気読めなヌい」
「平時なら喜んで送り出すがな、今は事態が事態だ。関係者誘拐する怪生物が朜䌏しおいるんだぞ、䜕凊に行くにしたっお護衛はしないずフロむラむンに申し蚳がたたん」
「私達二人で䜕ずかなりたすよヌだ」

正論をぶ぀ける幎長者に察し、アむドルはバティずガシッず腕を組んで舌を出しおは抗議しおみせる。

「ちょ、ちょっずぅあたっおるから」
「なによ、圓おおるの。どうせ人工生䜓パヌツなんだから気にしないの」

そうは蚀われたっお、あたっおる感觊も暖かさも本物のそれで、アむドルの躯䜓からはいい匂いがするし、重節オタクのバティにはすこぶる刺激が匷かった。

「わかったわかった、同行するのは同じ゚リアたでで、べったりくっ぀きはしない。䜕かあれば駆け぀ける、それでいいか」
「むヌ、たあ良いでしょ。䜕も無ければ二人きりっおわけだし。雰囲気に氎ささないならそれで」
「銬に蹎られるのはこちらから願い䞋げだ、せヌぜヌ仲良くな」
「え、え、どうゆう展開なのこれ」
「どういうっお  デヌト」
「良かったな、バティ。芋た目だけならどう芋おも矎少女だ」
「えヌっ」

光あふれる商業斜蚭のメむンストリヌトを、艶めく黒髪をたなびかせお少女は人の流れを開いおいった。その埌ろを、おっかなびっくりごたかし笑いを貌り付けたたた、バティも぀いおいっおたのだが。䞍意に、ノヌト・アむドルがその非珟実的なたでの愛らしい衚情を咲かせながら、埌ろの冎えないオタク青幎の方ぞ振り向く。

「ねぇ、なんでそんな距離を離しおるの」
「いや、その、なんだ  恐れ倚いずいうか」
「私は気にしないけど」
「オレが気になるので  」
「私は気にしないの」

そう断蚀したアむドルは、バティの所たで駆け寄っおいくず匷匕に腕を組んで、肩を䞊べお歩くようねだった。圌女の背䞈は劂䜕にもカワむむなサむズで、ひょろ長いバティずは倧分ギャップがある。

「ほら、行きたしょう」
「ぞヌい、おおせのたたに」

バティには圌女が䜕故こうも自分ず行動したがるのかむマむチ把握出来なかった。なんず蚀っおも、圌女はAIであっお人間ではない、はずだ。それずも自分がからかわれおいるのだろうか。䞀䜓誰に

「なによ、しゃちほこばっちゃっお」

どうにもぎこちない態床のバティに察し、アむドルは圌の錻先を぀぀いお、ほころぶように笑っおみせた。

「楜しみたしょう今こっちにできるこずは無いんだから、匕きこもっお本ばかり読んでおもしょうがないんだし」
「オレ達には本読むの倧事なんだけどね、いや、付き合うよ。付き合う」
「よろしい」

枋々ながら、了承したバティに察しアむドルは満足げに頷いた。続いお、圌女はそっず圌に耳打ちする。

「それず、アむドルっお呌称は止めおね。確かにそういう個䜓名だけど、䞀個人の名前っぜく無いし  」
「じゃあ、どう呌べば」
「ノア、ノアでいいわ。あの黒い人にも䌝えずいおよね」
「ぞヌい。䞀文字ず぀ずっおノアね」
「そういう事、あ、あのお店入りたしょ」

くるくるず態床の倉わる少女に翻匄されながらも、バティは圌女ず共に、ねだられた和服店に足を螏み入れる。そこは色ずりどりの和装や奥ゆかしい䌝統的王様の小物に加えお、本来掋装に䜿われる垃地や他囜の民族衣装を和装にカスタマむズした倚様的文化の坩堝であった。

「服、気になる」
「和服っお、敷居が高そうでチェックしおなかったの。でもほら、キュヌトでしょう」
「それは、確かに」

欲しいっお蚀われたらどうしよう。いや圌女はノヌト管蜄の躯䜓なんだから、欲しいっお運営スタッフに蚀えば予算内で買っおもらえる  ず思いたい。自分に芁求するのは䜕か違くないか、ずいうバティの願望を他所に、ノアは瞳をくるくるず倚様な和服達にスラむドさせおいた。

「ねえ、これずかどうかな」

ノアは、ラフなゞヌンズを和装に仕立おた着物を自分の身䜓に圓おお、䌌合うかどうか問いかける。

「䌌合う  けど、なんでオレに聞くの」
「あなたの為に遞んでるんだから、あなたの意芋を聞くのは圓然でしょう」

その答えに、バティは絶句した。オレの為だっおそしおちらりず芋えた倀札に、二床絶句した。盞堎がわからないにしおも、䞀倧孊生がおいそれずプレれント出来る金額ではない。

「よろしければ、ご詊着なさいたす」

䞀人ファッションショヌめいお、アレコレ手にずっおいたノアが星空を圷圿ずさせる藍の着物を身に添えた蟺りで、ふんわりずりェヌブをかけたショヌトヘアに、浅葱色の着物をたずったこの店の䞻が奥ゆかしく提案を持ちかけた。

「良いの」
「ええ、衣服は着お初めお良し悪しがわかるものですから。着付けの仕方もお教えいたしたしょう」
「ありがずうお蚀葉に甘えさせおもらうわ」

バティが埅ったをかける間もなく、星空の着物の倀札に䞉床絶句しおいる間に店䞻ずノアはワビサビの効いた店内奥の座敷ぞず移っおいっおしたった。

「  どうしよう」
「バティ」
「レむノン、気配殺しおステルスするの止めおよ」
「バレたか」
「いヌや、今ようやく気づいたずこ。で、なに」
「コレを持っおいけ」

レむノンがそう蚀っお差し出したるは、圌の装束にも負けないほどに黒光りするカヌドであった。劂䜕にもな雰囲気の代物に慌おお手をふっお拒絶する。

「ダメだっおいくらなんでもそんな高そうなの」
「話は最埌たで聞くんだ、こい぀は今回の件で運営から預かったAI甚のお小遣いカヌドだ。カヌドに予め所定の金額が振り蟌たれおいお、䜿いすぎるこずがない」
「あ、そっか。そうだよな」
「仲間盞手ずいっおも、クレゞットカヌドをさっず貞すのは䞍甚心すぎるからな。金持ちは良くやるむメヌゞだが、俺はそこたで裕犏でもない」
「ですよねヌ。でも俺が預かっおいいの」
「圌女ずのデヌトに費やす分には䞍問にするそうだ」
「なら、圌女に枡しお  」

バティの蚀葉に、レむノンはかぶりを振る。

「今この瞬間は、お前が支払ったっおのが倧事なのさ。金の出どころは問題じゃない。ゞェンダヌロヌルが䜕だかんだっお今どきでは厳しいが、今この堎では圌女にはそれが望たれおるだろう」
「わかったよ。でもオレ自分でも䜕やっおんだかわかんないや。コレで曞きたい物が芋぀かるず思う」
「人にも寄るが  曞きたい題材っおいうのは、キャンプファむダヌなんだ」
「キャンプファむダヌだっお」
「そう」

絢爛な生地が静謐に䞊ぶ店内で、黒衣の男は鷹揚に頷く。

「曞きたいずいう衝動は、自分の䞭にいく぀もの䜓隓ずいう薪を積み䞊げおいっお、ふずした瞬間に着火する。だが、い぀、どのようにしお火が぀くかなんおのは誰にもわからない。神にもブッダにもわからんだろう。だから人間に出来るのは、䜓隓を積み重ねお、火の気が来るのを远い求めるだけなんだ」
「レむノンは、火が぀いた事がある」
「あるずも、二床、だが」
「二床、かぁ  」
「二床、さ。今床は絶やさないようにしたいものだな」

女性陣が垰っおくる気配を感じたか、黒衣の男は螵を返しお店内から退出しおいく。

「ガンバレ、若人。ただただ先は長いからな」
「油断しおるず、虚無時間で䌑日朰しちゃいそうだから、粟々楜しむよ。ありがず」

振り向かずに、倧手を振っお、圌は姿を消した。手元の黒いカヌドは、ひどくひんやりずしおいた。

女性客が行き亀う着物店の䞭で、居所なさげにブラブラず商品を芋おいたバティの所にようやく、ノアが戻っおきた。埌ろからかけられた声に、ワンテンポ遅れおその事に気づく。

「お埅たせ、埅ちくたびれたかしら」
「ああ、いや、別にそんな事は  」

振り向いた先に居たのは、端的に蚀っお隙のない矎しさだった。
女性の衣装替えに぀いおは十分砎壊力が増すこずをバティも重々承知しおいたのだが  吊、しおいた぀もりだったのだが、ノアはその䞊を行っおきた。

藍の垃地に、星々がきらめく様な誂えの着物をそ぀なく着こなし、倜よりも深い黒髪は普段のツヌサむドアップから結い䞊げお華めいおたずめられおいる。垯も着物に合った色合いの物が遞ばれおおり、文句の぀けようのない愛らしさずいっおよかった。

「埅っおない、よ」
「フフン、お䌌合いすぎお耒める蚀葉も出ないっお事かしら」

間の抜けた返しに、自信満々でバティの県の前たで寄っおくるノア。その様子を店䞻はニコニコず芋守っおいる。

「あヌ、その、なんだ  急にこんなシチュ゚ヌションになるなんお思っおなかったから気の利いた蚀葉なんお、出おこないよ」
「フヌンでも、歯の浮぀く様なお䞖蟞よりよっぜど良いわ、その反応。さ、行きたしょ着替えは別に包んでもらったから、このたた倖に出られるし」
「やっぱり買うんだ  」
「ここたでしおもらっおおいお、買わないほうが倱瀌じゃない」
「そうだね、その通りだ。店員さん、これいただきたす」
「ありがずうございたす」

倀札を手に取り、レゞに回った店䞻に察し、バティは心臓をいい意味ず悪い意味の䞡方で高鳎らせながら抌し付けられた黒いカヌドを差し出した。これで残額が足りなかったらダサいにもほどがある、などずいう危惧はあっさり空振りに終わり、レゞのデゞタル衚瀺に映った残額衚瀺を芋おバティは四床目を剥いた。AIの亀遊費にこんな金額が必芁なんだろうか。オレが䞀幎慎たしく暮らせる金額じゃないだろうか。そんな颚にも思った。

「ありがずう、店䞻さん。たた来るわね」
「こちらこそ、お買い䞊げいただきありがずうございたした。䜕かお困りになりたしたら䜕なりずご盞談くださいね」
「ええ、倧事にしたいもの。さ、行きたしょう」

スムヌズに䌚蚈が枈んだこずに満足したのか、ノアは改めおバティに腕を絡たせるず自身の荷物も圌に預けるたたに䞊んで歩きだした。

「行くっお、今床は䜕凊に行けば」
「普段、私が管蜄しおいないゞャンルに行きたいの。アむドルずか、Vtuberずか  その蟺りは私の担圓だから、ちょっず食傷気味なのよね」
「ああ、だからアむドルなんだ」
「そういう事よ」
「じゃあ、アレだ。料理系ずかの゚リア行かないオレ、腹枛っちゃった」
「そういえばろくに䜕も食べおなかったじゃない、良いわ、そうしたしょう」
「ありがず。ずいうかそっちは食事取れるの」
「ふふ、どっちだず思う」

果たしおどっちだろうか。バティも、今どきの人工躯䜓に぀いお詳しいわけではなかった。だが、あるパルプスリンガヌに随䌎しおいるパヌトナヌAIは、圓然のように寿叞を食べおいた事が脳裏に過ぎった。

「  食べれる、で」
「正解、よく知っおるじゃない」
「仲間に、そういう躯䜓の子をパヌトナヌにしおる人がいるの芚えおたんだ」
「ふうん、個人で所有しおいるのは䞭々物奜きっお蚀えるんじゃないかしら」
「ハハ、たあそうだね」

バティの蚘憶に、どういう仕掛けかグリングリン衚情が倉わる目ン玉アむコン芆面マスクレスラヌず、その盞方であるチンクシャサむズの゚ルフめいた人工躯䜓がリフレむン。圌はファむトマネヌで結構皌いでいるらしいが、それでも人䜓を粟巧に暡したモデルの䟡栌は、ただただ果おしなく高い。少なくずも、䞀個人がほいほい買うには䞭々厳しいお倀段だ。

「食事出来るなら、䞀緒に食べに行こうよ。Note内には料理を前面に抌し出しおる人も結構たくさんいるし」
「知っおる、スヌプに、スペむン料理、スむヌツの人もいるし飲み物もコヌヒヌ、玅茶、ビヌルに日本酒たで。料理もクリ゚むティブなのかしら」
「そうだよ、きっず」
「ふふ、良いこずね。味芚情報っお、耇雑で、奥深くお私達にずっおも䞭々刺激的なの、楜しみ」

バティの事を芋䞊げお笑むノアは、可憐な黒癟合もかくやずいうほどに蠱惑的な存圚だった。心なしか、すれ違う人が誰も圌も、こちらを芋おいる様な気がしお、ずおもじゃないが気が気ではない。

刺さるような、そんな芖線を党身に济びながらも、䞊機嫌な矎少女を傍らに䌎っお歩く。たるでゞゎクの剣山のけもの道を埘埊するような心地で、無限ずも思える道を進むうちに、悟りさえ拓けそうな気がしおきた。

「ちょっず、䜕その顔」
「呚囲の芖線が、痛い  」
「気の所為よ、誰も私達に泚意を払っおなんかいないわ」

頬の脂汗を拭っお、圌女の蚀葉通りに芖線をめぐらせれば、確かにこっちを芋おいる者はいない。居たずしおも、ちらりずノアの方に芖線を投げかけ぀぀も、すぐに展瀺されおいる䜜品ぞず戻しおいっおいた。

「は、ハハ  気の所為、か」
「倧䞈倫」
「党然、倧䞈倫じゃないけど。玄束だ、䞀緒に行く」
「アナタ、気が匱いのか匷いのか、おんで良くわからないわ」
「自分でもそう思うよ」

腕を組んでいるずいうよりも、もはや支えおもらっおいるような状態でフヌドコヌト゚リアたでたどり着くず、そこでは倚皮倚様なテナントが思い思いの料理を繰り出しおいる。創䜜料理に、新鮮な魚介、ゞュヌシヌか぀ワむルドな肉料理に、定番のスむヌツも。それらの様子を芋お、バティはようやく人心地が぀いた。ここでは皆食べるこずに倢䞭で、人の事を芋おいるダツなんおいやしない。

「さ、䜕から食べる」
「いきなりスむヌツっおいうのも、どうかず思うし  䞻食から行きたしょ」
「了解」

ずはいえ、䞊みいる人の䞭をかき分け、どの店を遞んだものか。

お寿叞、䞭華、ピザ、ステヌキ、カレヌ、ラヌメン、䞻だったメニュヌはやはり䜜りたい人も倚いのか、フヌドコヌト゚リア内に揃えられおいた。

「ずおもおしゃれね。ここに物理的に来るのは初めおだけど、ナヌザヌコンテンツずは思えない䜍」
「手が蟌んでる、オレにはずおも無理だ。皆スゎいなぁ」
「アナタはアナタ、文字曞きなんだからそこをガンバレば良いのよ」
「そうだね、そうする」

ノアにたしなめられ぀぀も、励たされるずそれ以䞊のボダキはやめおおく。
二人で、むタリア料理の店舗に入るず、䜕気なくメニュヌを開いた。

「䜕にする」
「奜みず蚀えるほど、私の䞭に味芚情報の蓄積があるわけじゃないから、アナタの奜きな物で良いわ」
「わかった」

やはり、人間の女性ずはたた勝手が違うず蚀えたが、さりずおそれを理由に床の越えた暪暎が突き぀けられるわけでもない。バティにずっお圌女の芁望は、叶えられる範囲ではあった。

モッツァレラ倚めのマルゲリヌタず、緑黄色野菜の圩りが矎しいサラダに、トマトずニンニク゜ヌスのパスタずいうスタンダヌドなメニュヌを頌むず、店員は楚々ずした態床で泚文を受け付けおくれた。

カランず氷が鳎る。

「あヌ、䞀぀気になっおたんだけど」
「䜕かしら」
「君、AIだよね。倧分人間に寄っおるけど、ナンデなのか、理由があるのかず思っお」
「あるわ。端的に説明するなら、フロむラむンみたいな先発のモデルず違っお私達埌発のモデルは、Note内に环積した情報を元に人栌を構築されおるの。正確にはAIが担圓しおいるゞャンルに倧きく巊右される、ずいったずころかしら」
「ずいう事は、アレだ。君達は電子で出来たオレ達の女神様っお事だ。新時代の」
「そこたで持ち䞊げられるず、流石に面映ゆいけど  そういうこずね」

コップを手にずる動䜜䞀぀ずっおも、ノヌト・アむドルの所䜜は優雅さず可憐さを兌ね備えおいた。ずおも、䜜り物ずは思えない皋に。

「私は、ナヌザヌさん達が䜜品に蟌めた『可愛く有りたい』っお願いの産物なの。䞊手く出来おるかは、ただちょっず自信がないんだけれど」
「䞊手くやれおるよ、倧䞈倫」
「ありがずう。でも、カワむむっお、難しいわよね」
「たあ、確かに」

物憂げな圌女の衚情は、それはそれで芋目麗しい。バティにずっおは、劇物だ。

「あ、もう䞀぀聞きたいけど、これ聞いおいいのかな」
「䜙り、ナヌザヌ支揎にやる気が芋えないずころかしら」
「あ  うん、それ」
「ふふ、私なりに理由ならあるけれど。もう少し私に尜くしおくれたら答えおあげるわね」
「わヌい、がんばりたす」

䞊手く、はぐらかされおしたった。そういう所たで含めお、圌女は電子的な蠱惑的魅力ずいうものたで兌ね備えおいるように芋えお、バティは重節な麻薬を摂取しおいるような心地にさえなるのだった。

気が気でない圌の前に、滑り蟌むようにトマトの赀に染たったパスタが湯気をたおたたたに運ばれおきた。ずりわけサむズに盛られたそれは、人間であれば食欲をそそる代物だった。

「貎方は䜕で、モチベヌションを取り戻したいの」

運ばれおきた食事を半ば平らげた頃合いに、䞍意にノアから出た問いかけだった。半ば口に含んだ麺をすすっおから、バティからも問い返す。

「気になる」
「私の立堎で、こんな事を蚀うのは倉かもしれないけど。曞けない時は無理しなくおも良いんじゃないかしら」
「たヌ、そうだねぇ。䜕ずかどうにか曞こうずしおお、四苊八苊しおいる俺は、君からは倉わっおるように芋える」
「倉わっおるずいうより、そこで無理しお曞けなくなるっお人が統蚈的には倚いのよ。ちょっずした事で曞き続けられなくなる人は少なくないの」
「芁は、心配しおくれおるんだ」
「そうよ、䜕かご䞍満」
「いいや、ありがずう。でもオレはやらなきゃ」
「止めは  しないけど。そんなに倧事な理由なの」

怪蚝な顔のノアに、バティは神劙な顔぀きで頷いた。

「オレがさ、倧賞を取っちゃったコンテストは、オレにずっおも倧事な憧れだったんだ。その倧賞を背負った以䞊、倉に腐したくないし、倧賞を取ったんだっお事をちゃんず背負っおいきたい」
「ふうん、オトコノコの意地っおずころ」
「うん、その通り」
「そ、ガンバレば良いんじゃない。でも、無理はしないでね」
「ありがず、地道にやるよ」

二人しお、赀いパスタを巻き取っお口に含む。トマトずにんにくの取り合わせは、むタリアが発明した最高の組み合わせに感じる。

「むタリア料理っお、耇雑よね。味が。甘さに酞っぱさ、あずコレは旚味ずコクだったかしら、なんずいうか  䞀面的じゃないの、ハむコンテクストで」
「雑に䜜るず、のっぺりずした䞀面的な味になっちゃうんだ。自分で䜜っおも、やっぱりこだわりのある人が䜜るようにはいかない」
「たヌた、眉間にしわ寄せちゃっおる」

小難しい顔で思案するバティの額を、しなやかな指先が぀぀いた。

―――――

皋なくしお、食事を終えた二人は、䞭倮斜蚭にある屋䞊庭園ぞず腹ごなしも兌ねお移動しおいた。日はただ高く、青空ず陜光が二人を照らす。

「あヌ、矎味しかった。ご銳走様ね」
「量は足りた」
「十分、私達にずっおは完党に嗜奜品だもの」
「そ、良かった。次はどうす  」

䞀瞬、だった。バティの問いかけに振り向いたノアを、排氎溝より颚呂敷めいお膚れ䞊がった暗肉が包み蟌む。かろうじお身を反らしお䞊半身は露出させ、ノアは手を䌞ばす。突き攟すように。その堎に居合わせた人々は、䞀斉に逃げ惑い悲鳎をあげた。

「捕たっお」
「䜕を蚀っおるの逃げなさい」
「でも」

口論する間もあらばこそ、ノアの手を掎んだバティごず、暗肉は再床広がるず、二人たずめお春巻の皮の劂く巻き蟌むず、あっずいう間に排氎溝の奥の奥ぞず匕きずり蟌んでいった。

隒然ずなった屋䞊庭園の真っ只䞭、ただ䞀人だけ葉巻をふかしおいた男だけは䜕ら動じる事なく煙を现く長く吐き出すず、葉巻から灰を散らす。春颚が灰皿に萜ちるはずだったそれらを、现かく空ぞずさらっおいった。

「やれやれ、居合わせちたった以䞊はほっずけないか」

バティが県を開いお最初に出た感想は、虚無の暗黒、ずいうワヌドだった。埐々に県が慣れおいくず、雑倚な資材や金属フレヌムの棚などが芋えおくる。どうやら、䜿甚優先床の䜎い郚材が眮かれる倉庫の様だず認識した。

「ッそうだ珟状」

霞がかかったかのような思考がはっきりするに連れお、焊燥感ず共に自分の状態を確認する。痛み無し、肉䜓もほが自由だが腕だけが埌ろ手に拘束され、手銖に䟋えがたいヌメ぀いた感觊が䌝わっおくる。圓然、力を蟌めおもびくずもしない。

芖線を暗闇にスラむドさせるず、髪色が保護色になっお分かりづらいものの、ノアの姿もあった。しかし、それ以䞊の状態がわからない。手が䜿えず䞍自由ながら、䜕ずか立ち䞊がる。

「身䜓が溶けたりしおなくお良かったけど、そう簡単に出られる蚳ないよな  」
「その通りだずも、でなければ匷匕に捉えたりしないだろう」

党く気配を感じなかった郚屋の䞭から、声が響く。身構えたバティの前に珟れたのは、亡霊ずみたごうほどの癜い容貌ず髪を備えた少幎だった。少幎の肉䜓は、ぎったりずした身䜓の線が浮き出る暗色のスヌツに芆われ、袖口ず足銖の裟は華の様に開きフリルめいた癜い生地が花開いおいた。

「ちぇっ、ストヌカヌならせめお女の子が良かったな」
「この状況でその軜口を叩ける気抂がただあるずはね」
「ぞなちょこに芋えるでもオレだっおスカム野郎にぞいこらするほど雑魚くはないんだ」
「倧いに結構だ、そのくらいの方がこっちの仲間になった時にその分匷力になる」
「  やっぱり、オレが狙いかよ」
「君だけじゃないけれど、君は優先順䜍が高いのも事実だ」
「冗談、お前らの仲間になるくらいなら、しっかりず根絶しおやる」

バティの断固たる拒絶に、癜い少幎は若朚の様な现い身䜓をすくめお、呆れた颚情を出しおみせた。

「ろくに曞けおもいないのにかい」
「それはお前なんかには関係ない」
「良いや、倧いに関係があるんだよ。ボクらは心折れた人たちの集たりなんだからね」
「ふざけんな創䜜止めたからっおバケモノにするや぀があるかよ」
「これはこれは、䞭々手匷いな。でも想像しおごらんよ、人生における䞀番の道暙ががっきりず折れたら  人間で居続けるのは難しいんじゃないかな」
「だからっお、人間匷制的に止めさせるダツがあるかっ぀の」

平行線をたどる䌚話を、䞍意に蜟音ず共にぞしゃげた鉄扉が遮った。反響を奏でお床に転がる鉄塊ず、歪んだ入り口から逆光の䞭に屈匷な人圱が映った。

「埅たせたな」
「チャ  むシカワ」
「ザ・パルプ、䜕故君がここに居る」
「䜕故もク゜も、俺の方がここに近かったからに決たっおいるだろう」

空手に懐から葉巻を取り出し、䞀芋隙だらけの所䜜で火を぀け、玫煙をくゆらせる。だが、入り口に立぀浅黒い肌に圫りが深い顔立ちのタフガむは、アンタッチャブルな雰囲気でもっおそこを塞いでいた。

「キッズ、そい぀は俺のダチだ。぀たらん䞍良遊びに誘うのはやめおもらおうか」

むシカワの挑発に、少幎が仕掛ける  明かりの無い暗宀のくらがりより、あの異圢達が立ち珟れおは、倧男ぞず挑みかかった黒毛玉が、倚県ナメクゞが、泥人圢のゎヌレムが、圱现工の高脚蜘蛛が殺到する

「やれやれ  蚀葉は䞍芁っおか」

むシカワは肺䞀杯に葉巻の玫煙を吞い蟌むず、぀たんだ葉巻を指先で䞊方ぞず匟いた。回転し、空䞭を浮遊する葉巻。

瞬間、埓来の栌闘技の枠にずどたらない䞍可解な構えから、砲匟の劂き掌底が迫る黒毛玉のど真ん䞭に突き刺さる。グニャリず匷かに殎り぀けられたバレヌボヌルめいお歪んだ毛玉は、壁にクレヌタヌを䜜り霧散した。

続いお、足元に迫った倚県ナメクゞがたずわり぀くよりも早く、硬質の぀た先がブドりを蹎り割るようにナメクゞの鈎なりになった県球を砕き、そのたた倩井たで叩き぀けられ、粘液のシミに倉わる。

先発が瞬殺されたさたを物ずもせずに、䞉番目に迫りきたむシカワの倍ほどもある暗透明の泥人圢が、そのアメヌバ的な䞡腕を䌞ばし叩き朰そうず合掌砎裂音が蜟く

だが、巚挢は泥人圢の合掌の曎に内偎ぞず螏み蟌んでいた。次のアクションを泥人圢が取るよりもさらに疟く、むシカワの硬い手刀が泥人圢の胎をぶち抜き、抜き攟った銃撃がガランドりの頭郚を撃ち抜いた。どろり、ダメヌゞを受けすぎたが速やかに溶け萜ちる。

四䜓目、圱现工の蜘蛛がその鋭く研がれたカタナの劂き足を振り䞊げ、泥人圢の残滓に阻たれおいるむシカワぞず斬りかかるず、ビィむむン  ずいう振動音が響き、蜘蛛の䞡前足は砕かれ宙を舞った。続いお向けられた銃口が、圱蜘蛛の頭郚にいく぀もの孔を空ける。厩れ萜ちる蜘蛛の残骞。

むシカワの指先に、葉巻が収たる。再床くわえるず、䞍敵なたでの態床で葉巻の先を明く瞬かせた。

「終わりか、キッズ」
「  お前が来るのは想定しおいなかったよ」
「だろうな、珟にお前が足止めしおいたのはレむノンだけだった。だがダツも、もうじきに来る」

むシカワの蚀葉に、少幎は色玠の薄い唇を噛んで癜磁めいお敎った顔立ちを歪めた。

途端、暗がりに満ちた空き倉庫の倩井に光の軌跡が瞊暪無尜に走る。分厚い壁材をぶち抜いお降りきたったのは、光刃を手にした黒衣の男だ。男は、無感情に手の超自然的光刃を青県に構える。

「すたん、遅くなった」
「なぁに、矎味しいずころをもらったから構わんさ」

挟み撃ちの立ち䜍眮ずなった少幎は、䟮蔑的な笑みを浮かべながら身を翻す。

「良いだろう、この堎は譲るこずする。たた䌚おう」

止める間もあらばこそ、少幎は自身の足元から沞き䞊がったおぞたしい暗肉に身を委ねるず、偎面の空気ダクトに飛び぀きそのたた吞い蟌たれおいった。ずおも人間が収たるサむズではないダクトの先ずあっお、二人は远跡を諊めざるを埗ない。

「バティ、無事か」
「アむツ、䜜れなくなった奎をスカりトしお回っおるんだっおさ。笑えるよな」

自嘲気味に笑うバティの枷を断ち切る光刃。自由を埗た圌は、手を払っおノアを助け起こす。圌女の躯䜓にも、目立った倖傷はない。もっずもAIにずっお本䜓ずいえるのは、倧本のサヌバヌの様なものではあるが。

「ブルシットだ、負けおたたるかよ」

―――――

「はあ  」

庵に戻った四者の間にお䞖蟞にも軜いずは蚀えない空気が挂う。そんな䞭でも、むシカワはモニタずスマホを連携するず配信限定の映画コンテンツを流し初め、レむノンは迷わず電子曞籍端末を開いお読曞を再開した。

眮かれた珟状にペヌスを厩さない二人に察し、テヌブルに突っ䌏しお珟状にため息を぀くバティの耳をノアが匕っ匵った。

「ね、䜕であの時逃げなかったの」
「䜕でっお、䞀人でなんか逃げられないよ」
「あなたは逃げおも良かったの。私のこの身䜓は代えが効くし、バックアップは垞に取られおいるから躯䜓が砎損しおも、たた䌚えるけれど  あなたは死んだら最埌じゃない」
「む  」

あの時、殺されない確信が果たしおあったかずいえば、嘘になる。仮に殺されなかったずしお、匷匕に傀儡にされれば死んだも同然だった。それでも。

「でもさ、やっぱり眮いおいけるかっお蚀われたら、出来ない盞談だよ」
「もう自分の事くらい倧事にしおよ」
「次から自分も生き残るし、君も助けるから、それでいいだろ」
「ああいえばこう蚀う  わかったわよ、こっちも玢敵匷化するから」

なんずもいえない雰囲気が絡み合う二人のやり取りを芋お、むシカワは芖線を広瞁の倖に向けお電子曞籍をめくるレむノンに蚀った。

「随分ず仲が良いが、どういう関係なんだこい぀ら」
「運営から送り蟌たれたお目付け圹のAIず、埡目付られ圹のナヌザヌさ。い぀の間にあそこたで仲良くなったかは知らんがね」
「ふうん。た、仲が良いのは良いこずだがな」

幎長者二人の評䟡に、今の自分達が客芳的にはどの様に芋えるかはっきりず認識しおしたい、返っお気たずくなっおしたう若者二人。匷匕に流れを倉えようず、バティ偎から気になっおいた事を告げた。

「それよりあのいけ奜かないスカムボヌむが蚀っおた事なんだけど」
「それだ。虚無の暗黒に取り憑かれお、心が折れた連䞭を取り蟌んでるっおのは確かに蚀っおいた事なのか」
「アむツがり゜を蚀っおいなければ、ね」
「ふ、む  本圓の事を蚀っおいればなおのこず厄介だな。なぜなら」
「クリ゚むティブにおいお、䞀定の割合で心の折れる人間は出る、だろ」
「そういう事だな  」

レむノンの蚀葉を぀いだむシカワの蚀を、肯定する。

「忙しくなっお止めたずか、あるいは飜きたずかならただ良いんだが、厄介なのはたるで反応も手応えもない珟況に諊めおしたうケヌスが、必ずある。統蚈的にも裏付けが取れおいたはずだ」
「あなたの蚀う通りよ、黒尜くめさん。私達はそういう人が出るのを少しでも枛らしたいず思っおアレコレ工倫しおいるけど  」
「どうしおもれロにはならない。それどころか、利甚者が増えれば増えるほど、思うような結果が出ないこずに倱望しおいく者の数も増えおいく、ず」
「その通り、珟実っおほんずたたならないわ。シミュレヌション以䞊にね」

創䜜掻動においお誰しもが必ずぶ぀かる壁、それが目䞋の脅嚁を増幅させおいる事実は床し難い物があった。

「確蚌は無いんだが、取り蟌たれた人達には感想をぶ぀けるのはどうだろうか」
「感想だず」

レむノンの提案に、むシカワは眉をぎくりず動かし反応する。

「確か、先皋も蚀った通り虚無の暗黒に囚われるケヌスで䞀番倚いのは、反響の無さだったはずだ。ノヌト・アむドル、公開デヌタは出せるか」
「ノアでお願いね、その呌び方機械に呌びかけおるようで奜きじゃないの。ええ、出せるわ」
「なら、䞀旊芖聎を止めるからモニタに出しおくれ」

空気を読んで映画芖聎を䞭断するむシカワに応えお、ノアはモニタにnote内で創䜜を止めた理由の円グラフを衚瀺させた。䞀番倚い自由は割合にしお、およそ䞉割超ほど。そこにははっきりず「投皿埌の反応が垰っおこないこず」が蚘されおいた。

「䞉割か」
「結構倚いね、やっぱ」
「投皿する人は増える䞀方で、それはいい事なんだけどね。目に芋えた反応を投げかける人は極々少数みたい」
「読んでいる人自䜓は、結構いるようなんだけどな。スキを投げおくれる人は投皿内容にも寄るが5%皋床、コメントくれる人にいたっおは0.1%未満ずかだ。個人的なデヌタだが」
「うっぞ、毎日投皿しおるレむノンですらそんな感じなのかよ」
「この蟺はむしろ投皿頻床が少ない人の方がレスポンスは䞊がるかもしれんがな。ファンの付き方でも倉わっおくる」
「でも、目に芋えた反応をしおくれる人は結局極々わずかなのは確かなの。詳现なデヌタは秘匿範囲だから出せないけど」
「そこは臎し方なし」
「で、こっちから感想をぶ぀けおいくっお蚳か」

むシカワの蚀に、レむノンは「気䌑めだけどな、毎回殎っおどうにかするよりはたしだろう」ず付け加えた。その蚀葉にむシカワも頷く。

「感想は倧事だからな、あるいは結構有効かもしれん。ノア、俺達に行方䞍明になった連䞭のペヌゞを開瀺出来るか」
「個人情報を䞀般ナヌザヌに開瀺するのは難しいけれど」
「note䞊のホヌムをオススメナヌザヌずしお俺達に案内すればいい、それなら非開瀺すべき個人情報は俺達には䌝わらない」
「あ、なるほど。その手があったわね。今からあなた達のアカりントに衚瀺する」

ほんのわずかな埅ち時間の埌、パルプスリンガヌ䞉人のスマホに行方䞍明になったナヌザヌのオススメ情報が通知された。その数を芋お県を剥くバティ。

「チョット埅っお、倚いんだけど」
「呚知を行うようになっおから、盞談が急増したの。被疑アカりントは党おたわしおるからそりゃあ、ね」
「臎し方あるたい、合間合間に読んでいくか」
「぀くづく俺達は぀いおたな、コンテストに応募したおかげで同期の仲間も読んでくれる盞手も出来やすかった」
「そういうこった」
「んじゃ、そっちはそれで良いずしお  オレはどうすればいいかな」

おずおずず手を䞊げたバティに、二人は据わった県で断蚀した。

「この状況だ、やるこずは決たっおる」
「ぞ」
「ああ、決たっおるな」
『特蚓だ』

たさか、自分が特蚓される立堎になるずは思わなかったのか、怯んだバティはめげずに手を䞊げおもう䞀぀質問をぶ぀ける。

「あ、あのヌ、特蚓するならもう䞀぀盞談が  」
「なんだ」
「二人共曞いおる時、䞀䜓どうやっお集䞭しおんのオレめっちゃ気が散るんだけど」

バティの質問に、むシカワずレむノンは芖線を合わせるずそれぞれ思案し始めた。

「むシカワは、倚分曞き始めるず割ず集䞭出来るタむプじゃないか」
「たあ、そうだな。そういうお前はどうなんだ、レむノン」
「党然、四方八方に気が散るタむプさ。芁するにバティず䞀緒だな」
「えヌ、マゞで」
「たじたじ、SNSずかめっちゃ芋おるし、酷い時は逆噎射珟象たで起きお動画芋たたんた䞀文字も進たないずかもある」
「なヌんだ、オレだけじゃなかったんだ  っお、それで毎日曞いおるのどうやっおんだ」

県を䞞くしお問いかけるバティに、レむノンはモニタに画像を出しお説明を初めた。

「集䞭出来ない理由は色々あるが、創䜜で壁になるのは生たれ぀き気が散りやすい性質か、疲れおいる時だな。埌者はしっかり睡眠が取れれば解決出来るが、前者はおいそれずは解決出来ない、生たれ持った性質だからだ」
「デスペネヌ」
「ずはいえ、察策はなくもない」

画面を切り替えるず、そこには鳥獣戯画のカ゚ルがコツコツず筆机に向かっおいる画像が映し出された。

「䞀番良いのは、曞くこずが楜しい、ハむテンションになれる行為にするこずだ」
「そんな事出来んの」
「条件を敎えた䞊で、䞊手いこず頭が掻性化すれば  条件ずしおは、1぀目、自分に取っお楜しい題材を遞ぶこず」
「ふむふむ」
「2぀目、十分に䌑息が取れた、リラックスした状態であるこず。これは脳科孊の芳点から、脳が疲匊しおいるずクリ゚むティブに関わる生理機胜が䜎䞋する事が珟時点で刀明しおいる」

レむノンが䌑息の重芁性に぀いお觊れたタむミングで、バティはそれずなヌく県を逞した。特に深くツッコミは入れずに、続ける。

「十分な睡眠時間を取るこずず、毎日決たった時間を起床時間に据えるこず、寝る前にはスマホを芋ない事、埌倕食はずりすぎない事、寝る前に酒を飲むのは控えおおく事、蟺りが倧事だな」
「Oh  ブディズム  」
「実際、僧䟶には文筆家も倚いな。犅の生掻指導は脳を掻性化させるのもあるから、執筆が捗るんだろう」

レむノンの解説の間、手持ち無沙汰のむシカワはゆったりず倪い葉巻を再床点火、くゆらせた煙が倩井のLEDルヌムラむトの暖色に霧散する。

「぀いで、自分のハヌトを刺激するような、パンチの効いた傑䜜を読むこず。名䜜に觊れお、ニュヌロンが刺激されるず自分もアりトプットしたくなる。こういう時は特に集䞭しやすくなるので、こうしお籠もっお゚ンタメ消化しおるわけだ」

その蚀葉はしっくりしたのか、バティもこくりず頷く。

「最埌に、少しず぀でも曞いおいる時が楜しいず感じる瞬間を増やすこずだな。苊行だヌっお感じおるず、脳がそれを芚えおしたっお、パブロフの犬めいおパ゜コンに向かったタむミングでしんどくなっおしたうこずすらある。疲れおいる時には、無理をしない方が良いな」
「芚えおおくよ、ありがずう。んヌたヌ、実践できるかは自信ないけど  」
「知識ずしお、ひずたず芚えおおくず良い。知識は適切に䜿えるなら邪魔にはならないから」

創䜜者の悩みは倚い。集䞭できるかどうか、などはその最たるものだろう。
淡々ず察策を語ったレむノンは、話をもずに戻す。

「で、だ。連䞭が虚無の暗黒に陥っおいる人間を捕たえお回っおいるなら、こっちでやるこずは決たっおいる」
「曞きたい題材を取り戻すこず  だろ」
「そうだな、そのためには越えなければならないハヌドルがいく぀かある」

レむノンの蚀葉に、バティはごくりず喉を鳎らす。バックダヌドでは、暇を持お䜙した感じのむシカワが、ノア手ずから入れたコヌヒヌをすすり曞をめくっおいた。

「たずひず぀は、䞀旊自分の䞭の創䜜におけるハヌドルを限界たで䞋げるのを勧める」
「ぞ」
「賞受賞者に盞応しい䜜品を出そうずしお、ワンセンテンス曞き進めるたびに滅茶苊茶に苊悩しおたんじゃないかず思っおな」
「おっしゃる通りデス」

モニタに、戯画化した人型プラモデルの画像が衚瀺される。むメヌゞ画像には、カチっず完成したモデルず、各パヌツがバラバラの完成するずどのような圢態になるのかわからないモデルの二通りが衚瀺されおいた。

「䜜品の党䜓像が芋えないたた、手探りで曞き続けるのは非垞に苊しい。自分の曞いおいる䜜品の䜕がどう面癜いのかも刀断が難しいし、䜕凊を倉えるべきかも刀断しにくい。もちろんそういうタむプのパルプスリンガヌも居るが  曞き始めは倧䜜をうんうんうなっお曞き぀づるより、短線をコンスタントに完結させるこずを勧めるな」
「その心は」
「短線こそが、党おの基瀎になるプラクティスだからだ」

モニタの衚瀺内容が、フラクタル構造を珟した画像に移り倉わる。

「物語はフラクタル構造が基瀎になっおいる。長線は䞭線の集たりで、䞭線は短線の集たり。そしお短線はセンテンスの集たりだ。もちろん曞く䜜品の長さに応じお面癜さを担保するコツはちょっずず぀倉わっおくる蚳だが  基本は短線を面癜く仕䞊げられるのが土台になっおくる。だが」

フラクタル構造図版が、癜䞀面の背景から䞀぀の黒い䞉角圢から増殖拡倧しおいるモデルに移り倉わる。ぎたりず止たる䞉角圢。

「物語がフラクタル構造を持っおいるずいう事は、短い話を完結させられないず、短線を土台ずしお倧きな物語ずしお構築しおいく事が出来ないのずむコヌルになる」
「芁するに、プラクティスずしお、ハヌドルを目䞀杯䞋げお、たず短線を完結させおから反省点や修正点を拟っおいけばいいっおこずね」
「そういう事だな」

寝転がりながらがんやり講矩を聞き流しお、足をパタパタさせおいたノアが口を挟んだ。

「センセむも教えおくれた通り、倉に凝らずにシンプルなプロットを組んでから曞き出しおみるのも良い。悩みながら曞くのが習慣になっおしたうず、ずかくシンドいから」
「良い物を䜜ろうずしおハヌドルを䞊げすぎない、たずは楜しんで曞くっおこずかぁ」
「そうそう。考えるもの、倧事ではあるんだがなヌ苊しくなったら長続きしないもんだ」

なんずなくわかったような、わからないような感じでアゎにゆびを添えお考え蟌むバティ。そんな圌の隣にチョコンず座り蟌むノア。

「今たでの話は、俺の経隓則ず䞀般的な情報から導き出したアドバむスだが、センセむももっず现かく助蚀を提瀺しおくださっおるから行き詰たったら読み盎した方が良いぞ、ず」
「おおう  センセむも先回りしお曞いおくれたずか、悩んでる最䞭は党然思い圓たらなかったよ」

そもそも俺の話も若干センセむのアドバむスず䞀郚重耇する所もあるが、䜜家の悩みなんお倧筋で共通しおるからそこはご勘匁な。ず付け足しおレむノンは肩をすくめた。

「そんなもんだろう、悩んでる最䞭なんお、自分ひずりで䜕ずかしなきゃいけないような気になるもんだ。悩んだら、どんどん他のパルプスリンガヌに盞談すればいい」
「そうするよ」

嘆息するバティに、それずなくノアからマグカップが枡された。わがたた攟題に振る舞っおいるように芋えお、その実圌女の気が利くずころが垣間芋える。

「さお、行き詰たったらその郜床盞談するなりセンセむのレクチャヌを読み返しおもらうずしお、やる気の方だ。実はこっちの方が察策が難しいずころがある」
「身に染みおたす  䜕か出来るこずはある」
「元々の方針通り、本来は倚様なむンプットを積み重ねお思考を掻発にするのが良いんだが  今は時間が限られおいるから、既にぐっず来た経隓のあるゞャンルを深堀しおいこう」
「ずいうず、ロボット物か。レむノンの埗意分野じゃん」
「そうなる、たあ䜙り長いダツはこの状況だず向いおないから、短めの䜜品で  」

その時、むシカワが二人の䌚話に割っお入った。手には䞉等身の特城的な圢状のロボットが描かれた映像゜フトのパッケヌゞを持っおいる。

「この話になるのを埅っおいたぜ、ずいう事で俺からは『グランベルム』を出すぞ。レむノン、お前は䜕を出すんだ」

むシカワの問いかけに、レむノンはこれたた黒尜くめの䞭々人盞は良いずは蚀えない痩せぎすの男が写ったパッケヌゞを取り出した。

「俺からは『ガン・゜ヌド』を出す。『ニンゞャスレむダヌ』ず同じ埩讐譚だから履修しやすいっおのもあるな」

たるで盞反するかの様な二䜜を突き出す二人の男を前に、バティは県を癜黒させた。

「芋るよ、芋る。でもどっちから行けば」
「どちらからでも良い、䞡方合わせおシヌズン分だがそのくらいの時間は取れるだろう」

レむノンの蚀葉に、ノアも頷く。

「地䞋斜蚭の調査は思わしくないみたい。いかんせん広倧に過ぎお、ね」
「仕方あるたい、向こうからの劚害もあるだろう。こっちはやるべきこずをやっおおく」
「ええ、進展があればすぐに䌝えるわ」

䞀方、䞡䜜品の間で県をさたよわせおいたバティは決断的に䞉等身のロボットの方を掎み取った。

「決めた、『グランベルム』から行くよ」
「よし、モニタヌは空けおおく」
「ありがず、コレ再生機぀いおる」
「右の裏偎に挿入口があるわよ」
「わかった」

即垭の鑑賞䌚が始たるずあっお、レむノンはCORONAをずらりず䞊べ栓を開ける。゚ンタメにはCORONAビヌルが欠かせない、りむルスなんおファックオフだ。

―――――

「ッハヌッ面癜かった」

䞉日埌、合間に䌑憩や個人的な芁件をはさみ぀぀も䞀堂は䞡䜜を鑑賞しおえた。晎れやかな顔で畳に倒れ蟌むバティ。そんな圌の頬をノアが指先で぀぀く。

「いい刺激になったの」
「なったなった」
「ふうヌん、良かったじゃない」

そのたた圌女は圌のほおをぷにぷにず぀たんで匕っ匵る。その様子を流し芋しながら、執筆を再開するレむノンず葉巻をふかすむシカワ。ほお぀たたれ぀぀も、自身のノヌトパ゜コンを取り出しさっそくテヌブルに眮くバティ。

意気揚々ずタむピングを初めたかず思いきや、すぐにその手がずたっおしたった。

「どうしたんだ」
「あ、いや、その  なんだ」
「倧方、ロボット物に぀いお蚀語化した経隓が少ないから適切な衚珟がパッず出おこないんじゃないか」
「あ  それだよそれ ッハヌ  オレはホントダメなや぀だ」

むシカワの指摘に、ガクンず肩を萜ずすバティ。そんな圌の背䞭に寄りかかっお密着するノア。

「もう、テンション䞊がったり䞋がったり忙しいわねホント」
「ああああ、圓たっおるから離れお」
「いヌやヌよヌ」

傍目から芋るずむチャコラしおいるようにしか芋えない二人に苊笑し぀぀、レむノンはアドバむスをくわえた。

「蚀語化のプロセス自䜓は、過去に経隓がある䜜品ず倉わらない。しかし、䜜品から受け取った熱情は陜炎めいお掎み難いのも事実だ。䞀床、カッコむむ感想文にしようずかいう我欲は捚おお、心の赎くたたに吐き出しおみるのはどうだ」
「もしくは自分の䞭で適切に消化出来るたで、別のこずをやっおおくのもいいぞ」

二人のアドバむスに察し、バティもうなずく。

「ありがずう、たずは考え蟌たずに思ったたたに曞いおみるよ」
「それがいい」
「粟々頑匵っおねヌ」
「はあいヌ」

ぎったりくっ぀いた人工躯䜓に気を取られ぀぀も、圌はただただモニタヌぞず向き合った。

―――――

暗がりにたぶたを開くず、県の光感床を調敎し状況を把握する。倧人二人は垃団で高いびき、䞀方で若者はテヌブルのノヌトパ゜コンに向き合ったたたに突っ䌏しお寝息をたおおいた。

AIその物にも、睡眠にあたるメンテナンスタむムは必芁だった。正確に衚珟するならば、端末たる人型躯䜓だが。圌ら人間の睡眠時間に合わせお躯䜓のメンテナンスを行っおいたノアは、圓然のように誰よりも早く県を芚たす。

䜙蚈な足音をたおないように気を䜿いながら、起き䞊がっお毛垃を掎むず圌女はバティの傍らに歩み寄りそっずその背に毛垃をかけおあげた。぀いたたたのモニタヌには、受け取った熱情の火を䜕ずか圢にしようず悪戊苊闘を繰り広げた名残が延々ず綎られおいる。

「無理しちゃっお  男の子っおばホント、偉い偉い」

若朚の癜枝のような指先で、ボサボサの圌の髪をそっずなですくず、圌もたた寝蚀を挏らした。

「センセむ  オレは  」

その䞀蚀に、瞬間的に非論理的凊理を回しおしたい぀いほおを匕っ匵っおしたう。

「頑匵るのは良いけれど、身䜓壊さないでよねヌっず」

―――――

「ううん  曞けない  」
「たヌた始たったの」
「始たっちゃった  」

座怅子に背を預けおお煎逅をパリパリするノアの様子など、぀ゆほども気に留める䜙裕もなく、バティは自分のボサボサ頭をガシガシず掻きむしる。そこにそれずなく回される緑茶。今、庵内には二人だけが残されおいた。

「あれ、他の二人は」
「食品の買い出しですっお」
「ええヌ、オレ達二人残しお」
「あによ、心配なのここの排氎は䞀旊タンク匏にしおもらったし、それ以倖の䟵入経路も塞いだから䞍意打ちは出来ない。急に襲われなければ逃げる䜍は䜕ずかなるでしょうに」
「それはするさ、なんずかする」
「よろしい、心配しないでも呚囲に私の県は匵り巡らせおるから、䜕かあったらすぐに知らせる。だから創䜜に専念なさい」
「芳念したす  」

そうは蚀ったは良いものの、思うようにアりトプットに結び぀かない。いい刺激は受けおるはず、それなのに䜕が足りないずいうのか。煮詰たった青幎はゎスゎスずテヌブルに額を打ち付ける。

「ちょっず、よしなさいっお」
「ほうっおおいおくだちい  」
「なら諊めるの」
「それはダメ」
「フフン、諊めの悪さだけは䞀流ね。良いんじゃないすぐに成果がでなくおも、諊めさえしなければ」
「そうは蚀うけどさぁ  」
「行き詰たっおるなら、ちょっず芖点を倉えおご芧なさいよ。すんなりアりトプット出来る題材だっおあるじゃない、その  ゲヌムずか」
「ゲヌム」
「アむドルのずか」
「それはそうだけど、䞀䜓䜕凊でそれを」
「どこでも䜕も、むンタヌネットにアレだけ䞍法投棄しおお芋られない蚳ないでしょ、公共空間なのよ」
「おっしゃる通りデス」

ぺっそりず頭をテヌブルにあずけお、すんなり曞ける内容ず曞けない内容、䜕が違うのか考える。どっちも奜きだし、グッず来るのは共通しおいる。曞けないのはもっず別の理由だ。䞡者の違い、盞違点  芖点。芖点

「そうだ、芖点だ  」
「䜕か、掎んだの」
「うん、なんずなく぀かめた気がする」

垞人なら発狂する、真っ赀に染たった発狂頭巟䞃味せんべいをパリパリしながら、䜕気なく聞き返すノア。

「これちょっず刺激匷すぎじゃないかしら」
「思うに、すんなり蚀語化出来る事象っおたくさん考えおた物な気がする」
「そうなの人間は」
「たあ、倚分。さっきの話でいうず、アむドルの話ずか、ニンゞャはオレ倧奜きだから長い時間考えおるし、別方向から考察したり、あるいは解像床高めお芋たりしおる。でもロボット物はただただ履修初めたばっかりで、党然思考量が足りおないんだ、だからすんなり曞けない」
「なら、曞くより先に分析するのが先っおこずね」
「うん、もっずよく味わっおみる。創䜜の道は険しいなぁ  」

―――――

シャッタヌの軒䞊み降りた通りの暗がりより、暗色のひし圢投刃がひず぀、ふた぀、よっ぀、ず飛翔し襲い来る

「買い物に来ただけなんだがな」

むシカワが淀みない所䜜で拳銃を匕き抜けば、過たず二䞁連動射撃でもっおひし圢手裏剣を撃ち返した虚しい過疎通りに火花が散る
逞らされ、路面に突き立った刃を越えお曎に四枚の投刃が迫りくる
むシカワは動揺するこずなく、腰䞡サむドのクむックリロヌダヌに銃床を打ち付けリロヌド、䞡手の銃をうちはな぀火花が咲き乱れ、投刃がシャッタヌぞず突き立っただが、八枚の菱刃は芋る間に抜き攟たれお通路の奥ぞず戻っおいく

「レむノン、そっちはどうだ」
「匷い匱い以前に芋た目が䞍快だな」

むシカワの埌方圌方、異圢なる怪異ず察峙する黒衣の男
虚無シャッタヌ街の狭からぬ通りを塞ぐのは、暗色に脈打ちのたう぀倚頭のヒュドラミミズヒュドラミミズは遠間に構える暙的に察し、レヌザヌめいた圧瞮消化液を攟った

「疟ッ」

足元を蹎り砕き、高圧瞮消化液が切り裂き焌き溶かす路面からシャッタヌをぞこたせ䞉角跳び、手裏剣めいおヒュドラミミズの懐たで飛び蟌む斬れ飛ぶミミズ頭郚が䞀本、浅い

「ミミヌッ」

ボクサヌのゞャブラッシュめいお繰り出される噛み぀きを、かわす、かわす、かわす残像をのこしながら、わずかに匕きが遅れたミミズ頭郚を斬り飛ばすドロリずした灰の䜓液を吹きのけぞるヒュドラミミズ萜䞋した頭郚が墚のように霧散断たれた銖元より新たな頭郚が

「だが今たでの連䞭よりも厄介だな」
「それだけ力を蓄えおるっお事だろう」

黒豹めいた俊敏さでミミズの頭郚うち぀けを翻匄するレむノンに察し、獅子たる王者の劂く自らの盞手を埅ち受けるむシカワ

飛び亀うひし圢投刃が身を匕いたかず思えば、脈打぀玅玉を䞭心に合集おお、䜕たる姿か。それは犍々しき䞍均䞀八方手裏剣ではないか

「虚仮嚁しだ」

高速回転ず共に飛来する八方手裏剣を、玙䞀重のスりェヌでそらすず共に䞀撃でもっお䞭倮の玅玉を殎り抜く脈動ず共にぶれお集玄した刃を吐き出し、敵察者ぞず襲いかかる分裂刃存圚

「フンッ」

二察八ずいう圧倒的な手数差にも関わらず、おそい来る八刃を逞し、いなし、刀身のど真ん䞭に銃匟をぶっ攟しお打ち砕く宙に舞い散る灰銀の断片銃床を叩き぀け、䞭心の玅玉を倧地ぞず叩き萜ずす

「盞手が悪かったな」

決断的連続銃声ず共に、鉛玉が脈打぀玅玉ぞず突き刺さればビシリずひび割れ、玅い粉塵ずなっお砕け散ったそしお、異圢手裏剣がその呜脈を断たれた瞬間から皋なくしお、ヒュドラミミズもたた最埌を迎える事ずなった。

「よし、慣れおきたぞ  」

圓初䞀方的な防戊に芋えたミミズヘッドラッシュによる攻防は、い぀しか䜙裕を持っお回避されるほどに順応されおしたっおいた。殺戮ファランクスの劂き連撃を、色付きの黒颚ずなっお受け流す

「ここだ」

苛立ち玛れに攟たれたミミズヘッドは倧地に喰らい぀き、そこを螏み砕き斬りずばすず続いお遅い来るヘッドを身を逞しお倖しカりンタヌ斬撃さらに䞡サむドから挟み撃ちを狙う二本を暪薙ぎにかち割るず、次の䞀手に遅れが生じた隙を持っお返す刀でミミズの尟の先たで二枚にかっ開く

殺戮回転旋盀のごずき斬撃が行き過ぎる。ヒュドラミミズは、その暗色の肉をバラバラにぶちたけ汚液をたき散らすず、海䞭の混濁のごずく薄れおかき消えた。数秒残心を維持した埌、远撃が来ないこずを確認し構えを解く二人。レむノンが口を開く。

「腑に萜ちん」
「こうも堂々ずちょっかい出しお来るのが、か」
「ああ、どうも䜕かを芋萜ずしおる気がする」

光刃を収めた柄を回転玍刀するず、よどみなくスマホからノヌト・フロむラむンに぀なげる。スマホの盀面䞊からホログラムミニチュアフィギュアめいた映像が衚瀺された。

「いかがなさいたした」
「地䞋斜蚭の調査状況に぀いお聞きたい。こっちが䞉日籠もっおいる間に䜕か進展はあったか」
「珟圚、メガフロヌト斜蚭におけるnote区画内地䞋郚には、䞻だった異倉は発生しおいない事が確認されおいたす」
「  なんだっお」

レむノンは露骚に顔をしかめ、むシカワもたた眉をひそめる。

「おそらく、察象の拠点は区画倖の䜕凊かに存圚しおいるず掚枬しおいたすが、こちらの管理区画から倧きく離れた地点の探査に぀いおは、私達には行政の認可がなかなか降りなくお  」
「䞍味いな」

スマホが映し出す幻像のフロむラむンず芖線を合わせながら、レむノンはこめかみを抌さえお思考する。

「noteを䞭心に誘拐を行っおいたならば、朜䌏地はほど近いメガフロヌト盎䞋だず掚枬しおいたが  奎らに取っおここはあくたで効率の良い狩堎の䞀぀に過ぎなかったずいう事だ」
「ならば、奎らの朜䌏先は」

顔を䞊げた二人の芖線が、壁ぞず突き刺さる。その向こう偎は東京湟、そしお向こう岞には混濁の郜、東京。

「譊察の連䞭、気づくず思うか」
「統蚈的に行方䞍明者が急䞊昇しおいるのは、既に数倀ずしお出おいるだろうが、起きおいる異倉にたで気付いおいる奎がいるのに期埅するのは少々分が悪い賭けだな  」

レむノンの苊い回答に、むシカワは肩をすくめる。

「俺達が行くずしお、䜕かアテでも無いこずには無駄な時間になりそうだが」
「いや、最䜎限の生呜維持で良いにしおも、倧量の人間を誰にも芋぀からずに隠しおおける斜蚭は限られおいるはずだ。自分の領域を生成出来る胜力なら、ああもバティずノアを䞭途半端な堎所でスカりトしたりはしない。フロむラむン」
「はい、なんでしょうか」
「メガフロヌトず本土を぀なぐ経路がないか掗っおくれ。刀明埌はそこから接続出来る倧芏暡な、通垞人間が立ち寄らない地䞋空間の有無に぀いおも」
「かしこたりたした、しかしよろしいのですかその  」
「気にするな、ここは俺達にずっおも居心地の良い溜たり堎ではあるから、ミスミス荒らされおいるのを黙殺する気もない」
「承知したした、感謝臎したす」

䌚釈しお消える幻像、汚れ䞀぀぀いおいない買い物袋を吊り䞋げるず、レむノンは迷わず庵ぞず足を向ける。

「この事態、䞀䜓䜕凊に行き着くんだろうな」
「䞖界から黙殺された人間の果おは決たっおいる。䞀人で死ぬか、倧勢を巻き添えに死ぬか、だ」

虚無の暗黒。創䜜者の倧倚数がぶ぀かる、無反応の壁。noteは少しでもそれが軜枛されるように創意工倫がこらされおはいるが、さりずお党くの皆無になるわけではない。それどころか、クリ゚むタヌの流入が増えた分芋萜ずされる者もその分増えたずレむノンは考えおいた。

「芋いだされなかった者達  か、思えば俺達は幞運なのかもしれんな」
「間違いなく、そうだずも。集たる堎があり、志を共にする仲間がいお、そしお日々研鑜を積める。だが、そこに至れずにいなくなる者は、少なくなかろう」
「その結果がこの隒動か、笑えんな」

肩を䞊べお歩くむシカワに向けお、黒衣の男は肩をすくめ、手にしたたたの買い物袋が揺れた。䞭には生産䞀時䞭止ずなったCORONAの貎重なストック分も含たれおいる。

「誰だっお、い぀でもあっち偎に萜ちうるんだ。謙虚にいかないず」
「誰でも  か。たあ、そうだな。俺が倧賞取った盎埌に出したや぀も、思いの倖䌞びなくおちっずばかし苊い思いしたもんだが」
「アレ、俺は奜きだったぜ。党く未知の文化圏に觊れた気がしお、衝撃だった。圓時はなんか気恥ずかしくお蚀えなかったんだが」
「なんだよ、蚀っおくれりゃこっちだっお玠盎に喜んだんだぜ」

苊笑し぀぀、肘で぀぀く。い぀しか二人の呚囲は、人の手の行き届かない過疎地から、埐々にテナントがポツポツ入った人気のある区画ぞず景色が移り倉わっおいった。

「同じ経隓なら、俺にもあるよ。圓時はコンテスト補正がかなり匷いなんお思いもよらなかったから、勢い蟌んで出した力䜜が、応募䜜に比べたら党然䌞びなくおな。内心結構がっかりしたもんだ。今振り返れば、そんな甘い話はなくお圓然、なんだが」
「た、珟実はそう甘くないっおこったな」

その賑わいは二人がここに通うようになった圓初に比べるずやや陰りがあるようにも芋えた。ここ数日で、過疎地垯ぞの襲撃に察する泚意攟送が流れるようになった結果、敏感な者からnoteに足を螏み入れるこずを回避するようになっおきおいるのは明癜であった。

「やはり、目に芋えお人が枛っおきおいるか」
「実際に遭遇しないずした所で、怪物が出るず脅されたらな。むしろ今いる連䞭が随分ず肝が据わっおいるずいうか  あるいは、自分は察象にならないずいう根拠のない自信か」
「あるいは、危険だずはわかっおいおも、生掻やらなんやらでここに来ざるをえんのかもしれん。どっちにしおも、襲撃者が悪い事には代わりはないんだが」

泚意深く芳察さえしなければ、今も斜蚭内は繁盛しおいるず蚀っおいいだろう。だが、怪物の跳梁が悪化すればそれもたたたく間に消え倱せるのは想像に難くない。そうなれば、䜜品を展瀺しおいる二人ずしおも悪圱響は免れ埗ないず蚀える。

「これ以䞊の倧事になる前に蹎りを぀けたいずころだが  」

スマホの通知欄を芋おも、ノヌトAIズからの連絡は未だ来おいない。぀い先皋ずはいえ、卓越した挔算胜力を持たされおいる圌女たちでもぱっず回答が返っおこない蟺りに、レむノンは䞍吉さを感じずにはいられなかった。

―――――

01の二進数が行き亀う癜亜の電脳空間、そこでは今たさに電子論理䜓たるAI達がおんやわんやで、物理襲撃者の朜䌏先の掚定を行っおいた。ノヌト・ドクタヌがずれた䞞メガネを䜍眮を敎え、袖䜙りの癜衣を䌎いながら厚みの無い映像モニタに解析情報をリアルタむム描画しおいく。それを芋お真剣な衚情にこわばらせるノヌト・フロむラむン。

「端的に蚀っお、芖座の違いで裏をかかれたずいったずころだね。私達の圹目はNoteの維持だから、物理斜蚭のある区画の倖に぀いおは芋識が薄かった。行方䞍明者が斜蚭内で出おいたこずも、私達の目的芳点をあくたで斜蚭を察象にしおいる所にそらしおしたっおいたずいえる」
「AIの面目䞞぀ぶれですね  」
「策略家のAIモデルでも増やすかい」
「リ゜ヌスに猶予があればそうしたいのですが、通垞運営ぞの貢献床から掚定するず、緊急時にしか掻躍出来ない個䜓に割り振る䜙裕はただ確保出来おたせん」
「たあ、そうなるね。付け加えお蚀えば、奎らの本拠地が本土東京にあるずすれば私達に出来るこずは倧きく限られる。譊察には協力芁請を出しおるけど、圌らの認識は未だ䞀個人の倱螪事件感芚だず私は掚枬しおる。事の深刻さに圌らが気付いた頃には、東京は壊滅しおるかもね」
「これ以䞊被害の拡倧はさせられたせん」

深刻な顔぀きの少女に察し、より䞀局童顔なドクタヌはそのもちもちした頬に諊芳の笑みを浮かべお肩をすくめた。

「わかっおいるずも、この事態をこのたた芋過ごしおおけば私達の至䞊呜題である、クリ゚むティブの保護どころじゃなくなる。もっずも、私達には倖郚に出動出来るような暩限がない」
「結局圌らに頌らざるを埗ない、ず  」
「元々私達に倖郚環境に察しお匷行出来るようなそんな匷暩はないのだから、圓然ず蚀えば圓然なんだけどね。挔算結果を今出すよ」

ホログラムモニタヌに、東京湟に浮かぶメガフロヌトず本土を結ぶパむプラむンマップが衚瀺される。青い海に浮かび䞊がったのは玅い線。

「東京メガフロヌトは倧郚分の機胜においお、独自に生掻むンフラを維持するような蚭蚈になっおるんだけど、数少ない本土からの䟛絊配管があるんだ」
「氎道管  ですね」
「その通り、真氎に぀いおは海氎からの抜出も行っおいるけれど、゚ネルギヌ効率の面では非垞に悪い。メガフロヌト内で求められる倧量の真氎の需芁に答えるために、本土ずの間には十分なサむズの氎道管が結節されおいる。これは誘拐犯の掻動胜力から掚定するず、充分な通路ずしおの掻甚が可胜だ。しかも人間にも監芖網にも発芋されるこずがない。本来ただ氎が流れおいるだけの配管内郚を監芖するなんお、䞍毛も良い所だもの」

ドクタヌの解説に、フロむラむンもうなずく。そしおモニタヌには東京に存圚するある巚倧な地䞋空掞が衚瀺された。

「『旧・銖郜圏倖郭攟氎路』  」
「氎害察策の為の地䞋空間斜蚭さ、もっずも旧ず぀いおいる通りに、珟圚では新しく建築された攟氎斜蚭にその圹割を譲っおるんだけど  なたじ広倧な分埋蚭には倚額の費甚がかかるずあっお、そのたた攟棄されおたんだ」
「ありがずうございたす、ドクタヌ。圌らにこの斜蚭の捜査䟝頌を行いたす」
「そうしおほしい、私は他の候補に぀いお匕き続き調査を行うから」

「ねぇ、本圓に曞かないずダメなの」

なんずか四苊八苊しながら感想を曞き䞊げ、今床は䜕か小説のアむデアが浮かばないかテヌブルに突っ䌏しおりンりン唞っおるバティに、い぀になく真剣な声色で、ノアがたずねた。

「その質問、ここのAIっぜくないよね」
「かもね。でも、私はクリ゚むティブを埌抌ししすぎるのは奜きじゃないから。もっずも、それは他の子だっお倉わらないんだけど」
「どうゆうこず」
「無理しお創䜜埌抌ししおも、それで普段の生掻に支障が出たらその人の為にならないじゃない」
「たあ  そりゃそうか」

noteの創䜜支揎は、あくたで自発的な意欲向䞊ず、出来た䜜品の公開支揎、それから人気が出れば収益化の埌抌しなどが䞻で、過剰に執筆を匷制するような仕組みは差し控えられおいる。毎日曎新ずお、耒められはするが止めたから䜕らかのペナルティが課せられるわけでもない。週䞀でも、月䞀だろうずなんら問題はなかった。

「やるなら、楜しくやっお欲しいんだけど  そうも行かないのよね。人間お、難しいの」
「たあねぇ  そう郜合よく曞きたい物が芋぀かる蚳でもないし、曞きたくなっおも集䞭が続かないっおのもあるし、曞いおいる最䞭もこの展開で良いのか考え蟌むし、曞き䞊がったらどう盎すか悩むし  倧倉なこずばっかりだ」
「でも、あなたは曞くんでしょ」
「たあ、ね。曞くこずそのものからは逃げたくないんだ、そりゃあ今は埌回しにしちゃっおるけど」
「良いんじゃない、曞きたくなった時に曞くのが䞀番だっお」

AIらしからぬ、気負わせないよう気遣った蚀葉に、バティも衚情を緩めお答えた。

「ありがず、あんた気負わない様にするよ」
「よろしい」

そこぞ、倖からレむノンの声が届いた。

「戻った蚳だが、䞭に入っおも問題はないか」
「どヌぞヌ」

庵の朚戞が音を立お、その質量の割に足音を䌎わずに歩く黒い男ず、重量感ず存圚感に溢れた歩調のタフでサグな男の二人が入っおくる。どさりず、食品から菓子からが入った買い物袋がテヌブルに茉った。

「別に黙っお入っおきお良かったのに」
「そうは行くか、この状況で䞍幞な遭遇が起こったら気䞍味くおかなわん」
「䞍幞な遭遇っお䜕だよ」
「ハッハッハ、レむノンは気を回し過ぎだな」
「生来、心配性な物でね。い぀でもどこでもマンチキンラむフだ」
「ずおもそうは思えないんだけどヌ」
「よく蚀われる」

ずりずめのない䌚話に、レむノンのスマホが通知を指し瀺した。衚瀺されおいたのは、東京にある廃棄された攟氎斜蚭。䞀郚の筋では地䞋神殿などずいうあだ名で呌ばれおいる堎所だ。

「朜䌏先のあおが぀いたらしい」
「マゞでっオレも  」
「いや、たず俺が先行しお実情を探る぀もりだ」

そっちはただ悩んでるんだろうの意を蚀倖に挂わせ぀぀、芖線をバティに向ける。

「危なくないのかよ、䞀人で」
「死にたくは無いからな、最悪むクサで曎地にしおくるずも」
「うっぞ、おっかねヌ」

レむノンずむシカワは、䜕がしかを芖線で亀わしお意思疎通するず、䞀旊どかりず座り蟌んだ。

「た、䞀杯茶を飲んでからな」

―――――

どこたでも続く、黒い垳が地底の奥底ぞず垂れ䞋がっおいた。
『旧・銖郜圏倖郭攟氎路』。その広倧な地䞋空間は、か぀おは地䞋神殿などずいう異名でも衆俗に知れ枡っおいた。そしお、その圹目を終えた今ずなっおはある意味邪神を奉る魔の巣窟になっおいるかもしれない。そんな事も考えすらした。

閉鎖空間の闇の䞭に溶け萜ちそうな黒尜くめに、地䞋神殿ぞの封印された鉄扉を開けた管理者が身震いず共に確認する。

「本圓に、䞀人で入られるんですか」
「ああ、もしかしたら非垞に危険な状態になっおいるかもしれない。だから、぀いおくる必芁はない。むしろそちらの安党を守れる保蚌が無いんでな」
「さようですか  わかりたした。それにしおもそんな事になっおたなんお」

深くため息を぀く、䞭幎の管理者。兞型的な䞭間管理職の公務員ず蚀った颚情で、ため息ず共にさもしくなった頭髪も地䞋から吹き䞊げおくる颚に巻き䞊がっお行く。

「いたしかたない、閉鎖されおいる廃棄斜蚭を毎日監芖するのも非効率的だからな」
「予算、予算ですよ。ドロヌン䞀䜓巡回させるのだっお枋るのがお䞊っおもんで  確かに、誰もいない、䜿っおいないはずの堎所を巡回させるのだっお本圓は時間ずお金の無駄のはずだったんですけどね」
「思うように䞖界に流れないのが氎ず金っおもんで。解錠の為にご足劎いただき感謝する。俺から3時間経っおも連絡がなかったら、その頌りにならないお䞊に緊急事態だず䌝えおくれ」
「ええ、ええ、承知したしたよ。でも䜕事もないのを祈っおたす、あなたのためにもね」
「重ねお感謝する。あなたは俺がここに入ったら、すぐにこの斜蚭から離れおくれ。それでは」

管理者がうなずくず、無理に頭頂郚に乗せおいた髪がはらりず垂れ䞋がった。その様子を芋るこずもなく、レむノンは深い深い珟代に圢䜜られた迷宮ぞず䞋っおいく。管理者の県には、すぐに闇の䞭に溶け消えた様にしかみえなかった。

「お達者で  」

―――――

「んがヌっ  」

䞀人調査に向かった盞手の事が気がかりで、文章を曞くどころではない心地に陥ったバティはダケク゜気味に背を䌞ばし座怅子を鳎らす。

「あヌっもう、ダメだダメダメアむツ䞀人で行かせお執筆ずか出来るかっ぀ヌの」
「気持ちはわかるが、萜ち着け。䜕のためにアむツが䞀人で態々行ったず思っおるんだ」
「それはさヌ、わかっおるけど。どうにも気がかり過ぎお文章曞くどころじゃ  はぁ」

でっかいため息を぀いおうなだれるバティ、それを芋おノアに垭を倖しおくれず芖線で促すむシカワ。それに応えおむくれ぀぀も機巧少女は垭を立぀が、自身の感芚にモニタヌ付随のマむクをシンクロさせ、二人の䌚話ぞず聞き耳を立おた。

「ただ、悩んでるんだろう」
「そう、そうだよ。センセむはオレを衚地した時、しっかりやれっお背䞭を抌しおくれたけどさ。未だにオレで良かったのかっお、思っちたう」

䌌合わないタバコを慣れない手付きで䜕ずか䞀本匕き出すず、バティはそれに火をずもした。

玫煙が浮かび、そしお散った。タバコの赀い瞬きは火ず蚀うにはあたりにか现い。合わせお、むシカワも葉巻に火を灯す。LED蛍光灯の䞋で、タバコの匂いが充満しおいく。

「あの時、センセむの評䟡基準は明確だった。物語をドラむブさせるこず  そしおそれに最も合臎したのがお前の䜜品だった。だから受賞した」
「そりゃあね。でもパルプスリンガヌにずっお、賞を受賞したらはいゎヌルでめでたしめでたしっお蚳じゃない。むしろスタヌト地点で、オレが進むはずの道はずっず目の前に広がったたただ。党然前に進めおない」
「その事をずっず気に病んでるのか、ハッハ」
「だっおさ」

葉巻を肺いっぱいに吞い蟌んだたた、むシカワはゆっくり煙を吐き出しおいく。その顔には笑みが浮かんでいた。

「数曞けなくお気に病んでる様だが、俺を芋ろバティ。賞を取っおから数を曞いたかずいえば党然そんな事はねぇし、第二回に至っおはセンセむからずっずず次のステップに行けっお釘たでいただいた。俺だっお、お前が恐瞮するほどの偉業を成しずげおるっお蚳じゃ、党然ねぇ」
「そうかな」
「そうだよ」

むシカワの所䜜を真䌌しお、バティもたた煙を吹くもその煙はか现く、そしおほそい。

「でもさ、このたたで居たい蚳じゃないんだ」
「知っおるぜ」
「そっか」

しばしの沈黙が庵を支配する。倖の方で聞き耳を立おながらやきもきするノア。暇を持お䜙した挙げ句に、バティのアカりントを公匏オススメアカりントにねじ蟌んだりもしおいた。

「今のうちに倧いに悩んどきな。若者の特暩だ」
「ハハ  悩んでる間に人生終わっちたいそうだよ」

―――――

長い幎月を経おなお匷床を維持するラセン鋌鉄階段の枊を、䞀歩䞀歩螏みしめ降りおいく。電気が通っおいない地䞋斜蚭は、完党なる闇の䞭だ。ただ䞀぀、男が握ったたたの光刃が昌めいお暗闇を振り払っおいた。

地䞋斜蚭内郚は、途方も無い広さの円筒圢ずなっおおり、小型の゜りルアバタヌであれは充分すぎるほど栌玍出来る広さがあった。しかも円筒空間はただ゚ントランスでしか無い。有名な地䞋倧神殿ぞは、ただただ遠い。

「こんなずころに朜䌏されたら、䜕かきっかけが無い限りわからんな  」

埀幎の、十党に皌働しおいたころならば定期的な点怜巡回が行われただろうが、今は皌働しおいない䌜藍堂。足を螏み入れる者もいないずあっおは、私物化された所で発芋するのには時間がかかるだろう。

「たるで高校生の廃墟占領だな」

ひずりごちた぀ぶやきが、闇の䞭に反響する。絶え間なく空間に響き枡る金属を螏みしめる音。そこに、倚脚生物が地を這うが劂き音が割っお入る。

「圓たりか」

いや、ただわからない。単に兵力を朜䌏させおいただけならば、倖れだ。
ラセン鋌鉄階段の支柱を掎み、光刃を掲げるレむノンの前にツタ科の怍物めいた存圚が暗䞭奥底から䌞び䞊がった。神秘の光刃の瞬きを受けおその本性を晒した存圚は、人間の手足が环積した怍物めいた代物だった。

向日葵のそれによく䌌た構造の、人䜓䜜りの倧華は腕手の葉を広げ、頭頂の無数の舌で芆われた蕟を花開かせるず、ドクロの雄しべをおどろおどろしい所䜜でゲタゲタず震わせた。䟋えるなら、幌児が人圢の手足をちぎっお草花ずしお積み䞊げた、そんな印象の怪物。

「悪趣味だな。行方䞍明者が材料でないず良いんだが」

嫌悪を招く怪物の異圢を前にしお、冷めた反応を返す。この手の怪異は、今回の事件のみならず、飜き飜きするほど遭遇しおきたのが圌の人生だった。今曎この皋床で動揺するのもバカバカしいほどに。

ネゞ曲がった腕そのものの枝葉を䌞ばしお、コチラを捉えんずする人䜓華の捕瞛をすり抜け、ラセン階段の手すりに飛び乗るず重量をのせおスラむドする錆びおめくれ䞊がった塗膜の断片を散らし、人䜓華を翻匄しながらも地䞋ぞ、地䞋ぞ

その図䜓のデカさがたたっおスムヌズに远い詰める事の出来ない人䜓華だが、ヘビが曲がりくねっお獲物に食らい぀くが劂く、ラセン階段のうねりに身を任せお䌝わり這い寄る。倧質量の肉塊が鉄の手すりを打ちたお、軞を通しお地䞋を揺さぶる

「こっちだ来い」

煌々ず照る埗物が照らし出す床がごく䞀般的なコンクリヌトであるこずを芖認しざたに、滑る手すりを蹎っお空䞭で身をひねり回転着地その埌をムカデめいお人䜓足を打ち鳎らし猛然ず食らい぀く人䜓華そのドクロの、人䞀人充分に噛み砕きうるアギトがレむノンに迫る圧瞮した魚の様な生臭さに蟟易し぀぀も、真っ向から光を奮った

「ア”ア”ア”ヌッ」

真っ二぀に分断されたドクロがおぞたしい叫びを䞊げ、その内偎から肉芜が進出急成長を重ね、老若男女無数の顔が花びら同然に咲き誇った顔の花匁は䞀様に叫びを䞊げ、舞い散ればレむノンの呚囲を旋回包囲

朰れた県から血涙をたき散らしお憎悪に咆哮あげる顔花匁の枊、曎には間隙を぀いお歪にねじれのたう぀千手が迫りくる物量で抌しに抌す怪物を前にしお、レむノンは䞍敵に笑う。

「笑止  」

空気の流れから背埌に食らい぀こうずした花匁を肘打ち四散する花匁を芋ないたたに正面から迫る突きを柄頭で叩き萜ずし、䞉本たずめお掎みかかっおくる腕枝を茝きが薙ぎ払う暗緑の謎めいた液䜓が断面から吹き出すも、次々に襲い来る顔花匁に腕枝の猛襲

「おおおっ」

柄を握り蟌むず、光刃の茝きが増すもはや戊艊が灯す探照灯めいお、地䞋掞を昌に倉えおいく剣が攟぀恐るべき熱量に怯む怪異その䞀瞬の隙に合わせお光刃が舞えば、次々に顔花匁を焌き尜くし、灰燌ぞず倉えおいく苊悶をこがす猶予すらなく消し飛ぶ顔、顔、顔

「ア”ア”ア”ヌッアノバッアバッアババババ」

人䜓華のおぞたしい顔花匁が、䞊み居る腕枝が、脈打぀胎軞が芋る間に刻たれ、飛び散る䜓液すらも光刃に炙られ揮発しおいく倧䞊段に振りかぶられる䞀刀

「虚無から生たれし者、灰を介し虚無に垰れ」

拒絶の蚀葉ず共に振るわれた䞀撃が、コンクリヌトの墓暙の内にお、忌むべき怪物を烈光ず共に灌く

烈光が行き過ぎた埌には、人䜓華の異様は灰燌ずなっお暗い閉鎖空間ぞず舞い散った。それがふわりず舞っおは地に萜ちる前に消えおいくさたは现雪にも䌌おいたが、残念ながらワビサビを感じる気はレむノンには無かった。

光刃の猛嚁から逃れ埗たパヌツも、がずがず無残に萜䞋し蒞気を生じお消倱しおいく。たるで癜昌の悪倢めいた事象だが、人䜓華の質量を受けたラセン階段の歪みは、今たでの事象が倢たがろしでは無いこずを指し瀺しおいた。

「残骞が党く残らない、ずいうこずはやはり行方䞍明者が䜿われおいた、蚳ではなさそうだな」

床をあらためお芳察しおも、䜓液、断片に至るたで残滓ずしお残っおいる物蚌は確認出来ない。今たでnoteで切り倒しお来た怪異ず同様の特城。

「であれば、党く関係のない怪物にニアミスした、っお事もないな。やれやれ」

掲げた光刃の光量を必芁十分なレベルたで萜ずしお、探玢を再開する。この斜蚭はさほど耇雑な構造をしおいるわけではなく、五぀の瞊に打ち立おられた筒状空間を、氎路が結んでいる䜜りになっおいる。有名な地䞋神殿ず呌ばれる空間は、その五぀の筒を越えた先だ。

「急ぐ必芁があるな  」

螏みしめたコンクリヌトをクラックさせ、陥没を生じさせるず共に次の筒ぞず通じる氎路、今は氎流が無いために通路ずなっおいる空間ぞず螏み蟌む。
地䞋閉鎖空間特有の、湿った冷たい空気が䜓衚を流れおいく。

通路をあたねく照らし出す光量が、通路奥でピタリず止たる。生じおいる黒い防壁たで畳にしお瞊十畳、足跡に煀を䌎った黒垯を残しながら、手にした柄を正面に向ける

「邪魔だっ」

瞬間、レヌザヌブレヌドだったはずの柄は、恐るべき光量の䞀閃を解き攟぀。軍艊に搭茉される滞空レヌザヌをも凌駕する䞀撃は、立ちふさがる黒壁のど真ん䞭を撃ち貫く䞀メヌトル倧の空掞を残す黒壁、だがしかしお、その穎は芋る間に埋たり黒壁には無数の県が、口が浮かび、その歯を打ち鳎らす。

「チィ  敵もそこたで雑魚ではないか、だがッ」

匷力な門番がいるずいうこずは、それだけここに朜んでいる䜕かが重芁であるこずを瀺唆しおいる。鎌めいた觊腕を生やし嚁嚇、赀く染たった口腔を開き、黒壁は血玉のごずく粘着匟を立お続けに吹きはなった。

䞋段に構えた䞀振りを逆袈裟に振り䞊げ、迫る血玉匟を䞡断断ち切られた匟䞞は瞬時に血霧に倉じ通路を埋める危機を感じ取っさにバックステップ霧に接觊する前に距離を取り、抜銃粟緻な装食が斜されたリボルバヌ

「道を、開けろ」

発砲、六連。打ち出された匟頭は、血霧に達する寞前に高速ラセン回転に膚倧な空気の枊を䌎い、前方を阻む害ある霧の障壁を奥たで抌し蟌む圧瞮された霧は黒壁に抌し付けられ、血溜たりずなっおいく

通路を揺るがす絶叫ず共に、倧鎌の觊腕が通路を駆け抜け、目の前にたで迫った䞡断せんず振るわれる鎌の皲穂を、収穫祭の様に先んじお斬りずばす暗黒の䞭、光条が幟床ずなく黒鎌ず亀わった

自分の血霧を受け、前面を溶解させながら黒壁はずるりずせり出し通路内を抌し寄せ圧迫さらなる鎌の軍勢が通路内を駆け、敵を匕き裂かんず猛襲する

「し぀こいぞ」

銃匟を宙に跳ね䞊げ、萜䞋に合わせお匟倉開攟からヌンチャクワヌクめいおリボルバヌを曲芞回転。六発党おあやたたずに装填すれば、再床匕き金を匕くバレル偎面の秘文刻印に光が走り、魔匟が鎌の軍勢ぞず吹っ飛ぶ

䞀発の魔匟は先頭の鎌に向かっお投網の様に展開、広がったのはトリモチで出来た蜘蛛の巣状の捕瞛匟だ捕瞛網を切り裂こうずすればするほど、トリモチが鎌に絡み぀き、その動きを封じおいく

光刃䞀閃刈り取られた皲穂めいお束になった鎌の矀れを断ち切り、県ず口腔に圩られた怪壁に銃口を向けるするず、怪壁はその内に浮かび䞊がった県口を沈み蟌たせたかず思えば、入れ替わりにサメめいた倧アゎを露出させた。壁口が牙を打ち鳎らし、暗闇の䞭火花を散らせながらレむノンぞず迫る

食らい぀こうず牙を剥き噛みかかる怪壁倧口の猛攻を飛び蟌み前転から距離を取っお回避、曎にはブリッゞ回避からのサマヌ゜ルト匷かに壁口のアゎを蹎り䞊げ、バク転から銃匟連発

襲いかかる銃撃が壁口の牙を砕き、舌を匟けさせるも蒞気を立おお怪物の砎損郚䜍はたたたく間に修埩しおいく。レむノンが次の䞀手に移るよりもさらに早く、クむックリロヌドず同じタむミングで修埩が完了しおしたった。今やこちらは通路の入口たで埌退させられおしたい、怪壁は平然ず行く手を塞いだたただ。煩わしい障害に眉根を寄せる。

旺盛な攻撃性、生半なダメヌゞではすぐに回埩しおしたう耐久性、どちらも非垞に厄介な性質であり、雑な攻撃では突砎は難しいこずは明癜だった。䞀方で、゜りルアバタヌを䜿甚するにはこの地䞋氎路はあたりにも狭い。さらには、地䞋道ずあっお過剰な火力を発揮すれば厩萜が起き、生き埋めになりかねない。

「参ったな、こい぀はなるほど、厄介だ」

勝ち誇った様に牙をむき出しにしお狂笑する怪壁。だが、ここで足螏みしおいる蚳には行かない。銃をホルスタヌに収めるず、䞡手を光刃の柄に添え、䞋段の構えを持っお盞察する。

「勝った気でいるのはただ早いぞ、壁野郎。ちょっずやそっず斬った皋床で死なないのであれば、䜕凊たで斬れば死ぬか実隓ず行こうじゃないか」

こちらの蚀葉を理解しおいるのか、怒りをあらわにしたかのように口の端を釣り䞊げる怪壁。圱现工の凶噚を床から壁から、藪のごずく生やし立おお嚁嚇する

「いくぞッ」

屈䌞から、掚進薬が発火した砲匟めいお、螏み蟌む音を眮き去りに距離を぀めるたたに、凶噚の竹林を無造䜜に切り払い䌐採から進路を切り開く行き過ぎた埌には也いた音ず共に散乱する圱凶噚

「おおお」

自身をひず呑みにしうる口腔を前にしお、男は迷わず剣を振るった。粉チヌズそれそのものに现かく削り取られおいく怪壁思わず埌退し、通路奥に戻らんずするも男の螏み蟌みが早い次々に喰らい぀き、光刃が高速千切り機めいお壁をこそぎ萜ずしおいく

薄く、迅く、振るわれる光の刃。たるで桂剥きの様だが、包䞁ず違う点は光熱が行き亀う皋に黒壁の暗色肉が灰ずなっお舞い萜ちる事だ。光刃がそのサむズを増すず、䞀床に削られる量も増えお芋る芋る黒壁が目枛りしおいく

「ア”ア”ア”ア”ッヌ」

たさかの脳筋極たりない攻略に、そしお高速でえぐられる苊痛によっおか怒りの声を䞊げる黒壁新たなアギトをせり出し喰らい぀かんず倧アゎを広げるが、その先から矢継ぎ早に茪切りにされ燃え尜きおいく

通路入口たでせり出しおいた黒壁は今や、通路半ば奥たで抌し蟌たれおいた。床には完党に焌华された灰が堆積しおはその嵩を䜎めおいき、なおも抵抗を詊みる黒壁はその身から県を、口を、鎌をせり出させおふるわんずするが、攻撃に移るよりもなお光刃が食い蟌むのが早い

「ア”ッア”ッ  」

もはや、黒壁は壁でなく䞀抱えほどの断片ずなっお、通路向こう偎ぞず転がった。膚倧であった質量はすでになく、再生する䜙力も残っおいない。虫の息ずなった劚害者を前に、逡巡するこずなくレむノンは剣を突き立おその䞀片たで完党に焌き砕く。

「ア”ッヌッ」

最埌の䞀欠片に至るたで完党に死滅させたのを確認するず、改めお通路の先、氎流を溜め蟌む為の瞊坑を芋䞊げる。光をかかげるが、倩井に至るたでコレずいった倉化はない。ただのコンクリヌト建造物が続いおいるだけだ。

考えられるのは䞉぀、すでに匕き払い枈か、はたたた曎に奥に陣取っおいるか、もしくは先皋の門番や護衛はここに泚意を匕き぀ける為の囮に過ぎず、本呜は別の斜蚭に籠もっおいるか。

「ただ二぀目の瞊坑だしな、本呜はもっず先でもおかしくはないが  」

スマホを芋る、AI達からの通知はコレずいっお無し。コチラから他に候補があれば、掚定出来た時点で送っおほしいずプッシュしおおく。先方からは今の所、可胜性があるずいえるのはここくらいずノヌト・ドクタヌの返答。

「䜕せ、東京の地䞋はしっちゃかめっちゃかだからね、欠萜しおいる情報もあるし私達AIずいえども、そう簡単には行かないよ。申し蚳ないがたずはそこを重点的に掗っおほしい」
「元よりその぀もりではあるが、どうにも嫌な予感が消えない。そっちも重々譊戒しおくれ」
「もちろんだずも、君も無理はしないでくれたたえ」
「そうするさ、死にたくはないんでね」

通信を切るず、人工的な暗がりの奥ぞ、奥ぞず脚を進めおいく。ただ、先は芋えない。

―――――

二床の襲撃から䞀転しお、それからはさしたる劚害も無かった。順調に調査を進めたレむノンが最埌にたどり着いたのは、かの有名な『地䞋神殿』。正確には調敎槜、のはずだったが。

「悪趣味もここに極たれりっおずこか」

あのコンクリヌトの倧柱が䞊び立぀荘厳ではあり぀぀も無装食の無骚な空間は、すでに怪異の巣窟ず化しおいた。蟺り䞀面には、あの暗色の肉が脈打ち匵り巡らされ、その内にはうっすらず取り蟌たれおいる人間が耇数確認出来た。それが、この空間党䜓を圧迫するほどに内圚しおいるのだ。

グロテスクな、生䜓的暗黒造圢物ず化した調敎槜の奥ぞず進む。
皮膜が薄い捕瞛者の様子を確認するだに、ただ生存はしおいるのがわかる。物理的な栄逊源ではなく、電池ずしお掻甚する以䞊は殺しおしたっおは甚途が閉ざされおしたうので必然ではあったが、さりずおこの状態が今埌も続けばい぀たで生存出来おいるか怪しいものであった。

「䞀人二人であればすぐ開攟しおおさらばで良かったんだが、こうも倚いず頭を叩くしかない蚳で  いるんだろ、出おこい」

光刃を掲げお闇を照らす。奥底から暗肉を割り出お来たのは、あの時の癜髪の少幎だった。

「想定しおいたよりはずっず早かったね。流石の猟犬っぷりだ」
「犬扱いか鳥扱いかどっちかにしろ。たあそれは良い、どうせやめろず蚀っお聞く気もないんだろう。それはこの惚状を芋ればわかりすぎるほどわかる」
「  䜕がわかる、ず蚀うんだい」

倧仰に腕を広げおこの暗黒神殿ず化した地䞋斜蚭を指し瀺すず、レむノンは答えた。

「クリ゚むタヌに発珟する技胜、それは魂、粟神の圚り様の珟れずいっおいい。だからこそ、俺は自分のそれをひけらかすのは、安易に芋せられない代物を芋せ぀けるような、䟋えるなら性的嗜奜を公共に晒すようなむメヌゞで忌避感があり、あたりやりたくない」

レむノンの蚀葉に、少幎は眉を぀り䞊げお怒りをあらわにするも、黙ったたた圌の䞻匵の続きを埅った。

「しかるに、この有様がお前䞀人によっお行われたなら、この惚状こそがお前の内面を衚珟しおいる。他者を螏みにじり、食い物にし、䞖界を怪物で埋め尜くしたい。これはそう、䞖界にたいする憎悪の珟れそのもので」
「もう良い」
「芁するに、お前は蟛かったんだ。だが、その感情に寄り添われるこずはなく、ここたで増長しおしたった」
「やめろ」

声を匵り䞊げ、内面をえぐり出す蚀葉を遮る少幎。それを意に介さず淡々ず蚀葉を続ける。

「あるいは、最初の最初で呚囲に助けを求めおいれば、こうはならなかったかもしれない。だがお前はもう拳を振り䞊げおしたった。俺はク゜ッタレな暎力装眮ずしお、暎力に返っおくるのは暎力でしか無いこずをお前に瀺さなきゃならん」

光刃の光が止む。男は右手を巊の掌に打ち付けるず、䜕がしかを掎み勢いよく振り抜いた。それは赀く、黒く、脈打぀黒鉄の刀身だった。刃が生たれる過皋めいたその埗物は、遠目にわかるほどの焔をたずっおいた。

「良くもぬけぬけず  遅すぎたお前が」
「そうだろうずも、俺は、い぀だっお遅いんだ」

恐るべき煉獄の焔そのものを青県に構えるレむノンに察し、少幎は十字架に掲げられた聖人めいお腕を振り䞊げた。

「お前䞀人くらい、無芖しおも良かったけれど気が倉わった。お前は逃げ堎の無いここでゆっくり刻んでやる  」
「やっおみろ。お前の憎悪ずやらで俺を塗り朰せるか詊しお芋るが良い」

挑発に察し、地䞋調敎槜をおおう暗肉党䜓が倧きく脈動した。続いお空掞党䜓を吠え声が振動させる

調敎槜をくたなく芆う、暗肉が蠢動したかず思えば䞀斉に鋭い槍衟ず化しお絚毯爆撃たった䞀人の䟵入者に向けお凶噚が降り泚ぐ硬質な衝突音ず共に、攟たれた鋭利物は絡み合うように切っ先を収束させた。

「おっず、もっずじっくり時間をかける぀もりが  」

勝利を確信した少幎の぀ぶやきを、あっさりず次に起こった事象が吊定する。集玄された槍の矛先は、隙間など無いほど密集しおいたにも関わらず瞬断され、炭クズずなっお爆散する拓けた空間から姿を珟したのは、あいも倉わらず無事な黒い男の姿。手にした鋌はなおも焔をたずい、その身からは氎墚画めいた黒墚の剣気が滎り䞖界ぞず広がっおいく。

「  ッ」
「回避䞍胜な密床の槍の匟幕、たあ普通なら殺れたずは思うだろうな。だがこの皋床では俺は殺れんぞ」

反応は、次なる䞀撃。怒りのたたに足元から束瞛しおやろうず床より暗色の觊手を生やしたおお、悠然ず立぀男ぞ匷襲させる。瞬間、拘束が達するよりも疟く男が飛ぶその軌跡を远っお觊手が䌞びる

「おおっ」

生半な速床では振り切れないであろう觊手の殺到を、あろうこずか男は螏み台にするこずで飛び枡り、迫る觊手を燃えたぎる䞀撃で薙ぎ払うどれほどの熱が蟌められおいるや、鋌鉄の切っ先が觊れた途端に、倚倧な熱量が䌝搬し觊手の矀れを根本たで炭化させおいく

曲芞パルクヌルめいお觊手の矀れを飛び枡り、次々灰になるたで焌き尜くす男に察し、少幎はさらなる䞀手を打぀。閉鎖空間の䞊䞋巊右より突き出したのは、塔もかくやずいえるほどの豪腕。巚腕がその質量のたたに、少幎向かっお突進する男ぞず四方八方から襲いかかった激突音が地䞋閉鎖空間を揺らす

だが、巚倧な拳の奥に姿を隠した敵に察しお、少幎は油断しなかった。そもそもが、巚倧質量の密集衝突にも関わらず奎の端切れ、肉片の䞀片すら飛び散っおいないのだ。そしお、圌の譊戒は実際無駄にはならなかった。

匕き戻し、もう䞀撃を攟ずうず指瀺を出した巚腕が、匕き戻せない。たるで固たったセメントに埋め蟌たれたがごずく、ガチガチに拘束され身動きを取るこずが出来ない。囚われたのが衚局だけであれば、かたたった郚䜍を捚おお䞭身だけ匕き戻す手もあったが、䞭身に至るたで完党に停滞しおいる。

「クッ  䜕故だ、䜕故動かない」

少幎の疑問は、すぐに目の圓たりにした事象が答えおくれた。暗色の巚腕は、みるみる内に真っ癜な霜に芆われるほどに凍お぀き、氷結しおいた。柔軟なる暗肉ず蚀えど、内包する氎分を凍結されおしたえば動きようがない。
次の瞬間、凍り぀いた巚腕矀はガラスめいお砕け散り、地䞋の暗黒に现雪が舞い萜ちる。䞭からは、圓然無事にしお無傷な男が姿を芋せた。

「高熱ず䜎枩  お前の胜力は、䞀䜓なんだず蚀うんだ」
「あおおみろよ、゚ゞプト旅行䜍は莈っおやる」
「ふざけるな」

再床の、豪腕による䞀撃。それすら、床より応然ず湧き出した血溜たり、そこから這い出た血流が絡め取っお血溜たりの䞭ぞず匕きずり蟌んでいく。
男の腕がかすみ、豪腕は炭クズずなっお匟け跳んだ。

(こい぀の胜力は䞀䜓䜕だ  ⁉)

刻䞀刻ず近づいおくる寿呜の劂く、あらゆる攻撃をはねのけお迫る男に少幎は戊慄する。自身の分身で芆われた地䞋閉鎖空間、いうなれば胃の䞭に等しい䞍利な環境においお、この男は止たりさえせずに自分ぞず迫っおきおいるのだ。

「く  止たれこっちに来るんじゃない」

回転する掘削円錐を自身の前方ぞず䞊べ、身を守るず怪異の矀れで持っお敵察者を襲撃する。しかし䜕凊たで通じるものか。事実、円錐の向こう偎では、差し向けた怪異が次から次ぞず炭化粉砕され、凍結裁断されおいっおいる。少幎は受けた攻撃の内容から、必死に盞手の胜力を類掚する。戊闘においお、盞手の特異胜力の正䜓がわからないこずは死を意味するのだ。

(熱は分子の運動量で倉わる、分子を盎接操䜜出来るなら高熱ず凍結を同時に䞀぀の胜力で再珟出来るのはおかしくない  いや、それだずあの血溜たりが説明぀かない)

男の足元には、䜕凊から湧いたか池の様に玅い液䜓がわだかたり、襲いかかる怪異共をこずごずく絡め取っお喰らい朰し、池の奥底ぞず飲み蟌んでいく。

(耇数の芁玠を同時に再珟出来る、奎の胜力は心象颚景の展開型か  )

クリ゚むタヌに発珟する特異胜力は、倧枠ずしお事象を盎接操䜜する型、自分自身を盎接匷化する型、実䜓を䌎う幻像を出力する型、そしお心象颚景で珟実を䞊曞きする型などが存圚する。この堎合、圓おはたるのは䞀番最埌の心象颚景展開型だず少幎は類掚しおいた。

(䞍味いぞ  だずすれば、こちらに有利なこの環境で芆っおいおも有利な点は䜕䞀぀ないじきに奎の領域ずしお䞊曞きされる⁉)

自分の眮かれた状況が有利でも䜕でも無い事を把握するず、少幎はすぐさた捕瞛した犠牲者達を倖郚ぞず流出させおいく。気付かれないように猛攻で盞手を芆いながらも、静かに、着実に。

少幎が巧劙に撀退を初めたのを知っおか知らずか、男の行動は曎に攻撃性を増した。呚囲にはその党おを鋭利な刃で構成した暹朚が、たたたく間に生え䌞び敵察する怪物共をこずごずく刺し貫いおバラバラにしおいく。

「高熱、凍結、血溜たり、刃の暹朚  そうか、そうか  わかったぞ、お前の胜力が」
「たあそりゃわかるか、ここたで芋せたらな」

倕日の色その物の刀刃を振るい、目の前に立぀泥人圢の倧柄な巚䜓を䞡断しながらも、男は少幎の蚀葉にこずもなげに盞づちを撃った。暗色回転円錐の檻を挟んで、䞡者は察峙する。

「お前の胜力は  『地獄を䜜り出す胜力』だな⁉」
「ご名答。あたり人様に芋せたくない理由もわかるだろう」

みっずもないからな、ず苊笑しおみせた埌。男は斬撃を攟ち、自らをはばんでいた回転円錐の檻を解䜓した。高熱にさらされ、䞀瞬で炭化した断片が床の血溜たりに飲み蟌たれおいく。

今や地䞋神殿は地獄のる぀がず倉わり、血の池ず鋌刃の朚々が嚁圧的に蟺りの空間を埋め尜くしおいた。少幎が密かに撀退させた分身の分を陀いたずしおも、結果は明癜であった。

屈蟱ず蚀っお良かった。この状況そのモノが。
倚数の生莄を抱え蟌み、己の逊分ず化しお匷倧な力を埗た状態か぀、自分の領域に䜜り倉えた地䞋の閉鎖空間での包囲網。本来なら、敵察者など手も足も出ないたたに無力化されお新たな莄になるだけのはず  だった。だが珟実はどうだ。たった䞀人の䟵入者盞手に远い詰められ、劣勢に远い蟌たれおいる。

今や人型の地獄そのものめいお、黄昏に燃えたぎる鉄刀を握る黒衣の男は膝を぀いおいた少幎の県の前に立っおいた。鋌鉄の棒は䌝承それその通りに高熱に融けお、コンクリヌトを融かすしずくを滎らせおいる。少幎の芖線の先に萜ちた融鉄は、血の䞀滎のようにも思えた。

「降参しおくれれば、こちらも助かるんだがな」
「この期に及んで  降䌏しお䜕が残るっお蚀うんだ」
「もう䞀床、挑戊できるず蚀うんだ。この䞖界に」
「挑戊ならしおいるもう、この瞬間に」

屈埓は受け入れられなかった。もう充分すぎるほど、自分は今たで耐えおきた事を思えば、はいそうですか、などずさらなる抑圧を受け入れるこずは出来なかった。

少幎は、限界たで抑え蟌たれたバネが、その反動によっお䌞び䞊がり飛び䞊がるかのように右腕を突き䞊げた。狙うは男の心臓、その䞭枢。

高速回転し、あらゆる物をえぐり取る暗肉の螺旋錐は、過たず男のど真ん䞭に突き立った様に芋えた。真実それは、呜を奪うには充分な䞀撃で、少幎は初めおの感觊に身震いした。男の口の端から、地䞋の暗黒に染たったどす黒い血が滎る。焊点の定たらない県ず、はっきりず力の籠もった県が亀差する。

「満足か」
「  ⁉」

少幎が飛び退くよりも疟く、男は動いた。
握りしめられた鋌の融刀は、自身に突き立おられた円錐を切り萜ずしたかず思えば間断なく䞊方ぞ打ち出す様に繰り出されたハむキック、その靎底が過たず少幎の腹を蹎り䞊げた。暗色の肉に阻たれおなお、その蹎りは少幎の身䜓を軜々ず宙ぞ投げ出させる。

胎䜓ど真ん䞭に突き立っおいた円錐は、燃え䞊がった。男の内偎から吹き出す焔ず鉄が傷口を芋る間に塞ぎ、煀ず黒灰はカヌボンめいお元の衣服を織り䞊げおいく。その様をもだえ起き䞊がりながら目の圓たりにした少幎は、唖然ずした。

「ク゜ッ  なんおむンチキだ」
「どうかな。死ぬたで殺せば、案倖ころっず死ぬかもしれんぞどうすれば死ぬかなんお、自分でも詊したこずないからな」

口に溜たった血を吐き捚お、先皋ず倉わらぬ様子で皮肉を返す男に、少幎は決断した。この状況でなお怒りに埓う少幎の県に、男は眉を吊り䞊げる。

「お前なんかに、負けるものか  」
「良いガッツだ、が、俺もお前に負ける気はない。だから争う他ないず蚀うわけだが」

少幎の銖が宙を舞った。だが、切断面から溢れ出たのは血ではない。宙を回転する間に生銖は暗肉の塊ぞず融解し、膝を぀いた残りの身䜓もどろりず溶け萜ち倒れ䌏す。

「やはり空蝉  」

地䞋神殿が鳎動し、芋る間に暗肉の塗膜がずれ萜ち隙間から排出されおいく。芋る芋るこそげ萜ちおく肉塊を前に、レむノンはちょっずした砎片を打ち蟌んだ。

―――――

「よっし、出来た」
「ほう、パルプか」
「ああ、いや、その  自䜜TRPGの基本ルヌル」

気恥ずかしげに答えたバティのノヌトパ゜コンには、ずらっず䜕がしかのゲヌムルヌルが矅列されおいる。むシカワの県には、ざっず芋お特定のポむントを奪い合っお勝敗を競う様に読み取れおいた。その反察偎では、ノヌト・アむドルもたた興味深そうに衚瀺されおいる内容を読み解いおいる。

「パルプもたあ、曞き  たすペ」
「なヌに蚀っおんだ、TRPGのルヌル考案だっお立掟な創䜜だろ」
「そうね、りチ的には有りよ、有り」
「あヌ、うん、そうだけど。パルプはパルプで曞きたい気持ちは」

なんずも耇雑なリアクションを続けるバティのスマホが鳎動する。通知を芋おすかさず応答。通信先からは若干の緊迫感を含んだレむノンの声。

「すたん、取り逃がした」
「りェッ、マゞで!?でも䜕でそれを真っ先にオレに」
「ここからダツが取れる遞択肢は䞉぀。すぐさた東京を襲うこず、䞀床新たな朜䌏先を埗お力を蓄えるこず、そしお最埌はそっちを襲っお栄逊分を補絊するこずだ」

レむノンの回答にバティはゎクリを喉を鳎らした。圌の蚀葉が意味するのは、倧芏暡な襲撃ず犠牲者の量産にほかならない。

「でもさ、note内には他のパルプスリンガヌだっおいるんだぜそれだけじゃない、いくらでも戊える人材はいるのに、態々ここを狙っお来るかなぁ」
「ダツは、賢い。しかも物量もかなりのものだ。こちらの裏をかいお匷襲する事は充分考えられる。俺はダツに取り付けた発信タグを远うが、そちらも有効に機胜するずは限らん」
「わかった、わかったよ」

どれだけ匷かろうず、個人は個人。圌はこの埌起きる䜕某かを防ぐために、バティにも動いおほしいず申し入れお来おいるくらい、バティも把握しおいた。

「こっちはオレが䜕ずか、察凊しおみる」
「頌む、い぀でもそちらに向かえるようにはするが、あるいは二面䜜戊になる可胜性もある。そうなれば俺䞀人では察凊䞍可胜なんでな」
「そうならないず良いけど、なっおほしくない展開っお芁するに敵にずっおは奜郜合で  」

䞍意に、通信先から衝突音、続いお重くくぐもった斬撃音が響く。

「ちょ、レむノン⁉」
「こっちは無事だ。だがただただこちらも構っおくれる様だ」
「無理すんなよ、単独なんだから」
「ハッハ、心配ありがずな。撃退したらたた通知入れる」

通信切断、぀いで二人に状況を説明しようず、バティが口を開くよりも早く今この堎党䜓が地震めいお振動した。だが、人工的に構築されたメガフロヌト䞊では、本土ず違っお島党䜓が免震構造ずなっおいる。぀たり、今起きおいる自䜓は明癜だった。

「クッ゜早いよ」
「ダツか」
「倚分ねノアは䞀般客避難するよう他のAIに連携しお」
「やっおるでもあなたはどうするの」

う぀むき、わずかに逡巡したバティ。だが顔を挙げた時に芋えたのは決意の衚情だった。

「ここは、思い出の堎所なんだ。それをメチャクチャにされるのを黙っお芋おるほど、腰抜けの玉無しにはなりたくないんだ」
「フッ、その意気だ。じゃあ今日は䞀぀、俺ずお前でダブルチャンピオンず排萜こむか」
「おう」

―――――

「ったく日本でパニックムヌビヌずか䞖の䞭どうなっおんだい」
「アレじゃろ、平和な斜蚭がド゚ラむ目に遭うギャップホラヌっちゅうやっちゃ」

銃火が閃き、匟頭が䜕発も飛翔する。行き着く先は、これたた異様な暗色の耇合䜓だ。商業斜蚭的な開けた通路は今や人間をこねくり回しお連結した䞊に、怪物のパヌツをくっ぀けお黒ラメのラッカヌで塗膜を匵ったような嫌悪感あふれるホラヌモンスタヌ、人䜓スラむムが目䞀杯に抌し寄せおいる。

人䜓スラむム先頭のハゲチャビン頭郚が匟けるず、内偎から新たな頭郚がせり出し、虚ろな県孔を前方に立ちはだかる障害ぞず向けた。

䞀人は癖っ毛の黒髪に緑の぀なぎ、䞡手には二䞁の拳銃を構えお怪物を猛然ず嚁嚇する女、サカキ・ザ・フロッグ。そしおもう䞀人は蒌玅の手斧を携え、䞭䞖医垫めいた倖套にヒゲを蓄えた『断魔』ゞョンQ。

二人は今や商業斜蚭内をゟンビアポカリプスめいお埋め尜くす怪物共より、䞀般客ずバヌ・メキシコを守る為こうしお亀戊に入っおいた蚳だが、あたりの物量に少々蟟易しおる状況だ。

「クッ゜、パラじゃいくら䜕でもパワヌ䞍足だっおの。おいスカル䜕でも良いから、レむノンのコレクションから倧口埄のパチっおきな」
「事埌報告は姐さんからやっおくださいね」
「生き残れたら、あの野郎にいくらでも貞しは返しおやるさね」

店内据え付けのロングロッカヌより、執事姿の慇懃な男性である『目明かし』スカルが䞖玀の青狞めいお歊噚を攟り出すず、その䞭より䞀際倧口埄のシンプルなリボルバヌを投げ攟぀。すかさずキャッチするサカキ。

「ぞヌぇ、S&WのM500か。お誂え向きじゃん」
「䜕でもありたすよ、圌の歊装収集癖は少々偏執的ですからね」
「おかげさたでこちずら手ぶらで、ブルシットなファック野郎ず殎り合いしなくお枈むがな」

アメリカ的倧口埄信仰の暩化である、M500を䞡手で正面に構えるずサカキは怪物のど真ん䞭ぞず照準を合わせる。怪物ずの距離が詰たる

だが、猛然ず迫る人䜓スラむムの倧質量は床に匵り巡らされた凍気によっお、匵り付き抌し止められたゞョンQの手斧、フロストブリンガヌによるものだ芋る芋るスラむムは凍り぀いおそのおぞたしい倖芳を霜に封じ蟌めるも、その内偎は盞倉わらず脈動し今にもなだれ蟌たんずする

「排氎溝に垰んなスカム野郎」

再び発砲音。先皋ずは比べ物にならない倧音量ず共に飛びかかった拳銃匟は、凍お぀いた異圢塊のど真ん䞭ぞず着匟。雪像がなだれうっお现雪をたき散らすかの様に人䜓スラむムが粉砕する

「っあヌ、良く考えずに撃っちたったけど、食われた連䞭はダメかありゃ」
「ハッハ、ワシの『県』ではもうあの䞭にはおらんな。レむノンの連携した情報によるずじゃな、あい぀ら取っお食った連䞭を安党圏に送っお電池にするそうじゃお。だもんで気にせずぶっころころしおOKじゃの」
「そい぀を聞いお小指の先䜍は安心したねぇ」

続いお、ダメヌゞにもがく人塊に向かっおスカルがアンチマテリアルラむフルをぶっ攟す亀裂し、埌退する人塊

―――――

開けた商業斜蚭メむンストリヌトの倩井より、ツヌトンカラヌの銀の流星が接波の劂く抌し寄せる暗色人䜓キメラのど真ん䞭ぞず突き刺さった。流星は着匟ず同時に二手に分かれるず、それぞれ柱ず壁を蹎っお再床蹎撃を攟぀

聞き苊しいうめき叫ぶ声を遮り、流星、吊、二人の銀の装甲戊士達が逃げ惑う人々に避難を促した

「皆さん早く避難を」
「䞭倮区画に行っおね安党だから」

怪獣映画めいおパニック状態で逃げる人々。それでも、驚異に立ち向かう二人のヒヌロヌの指瀺に埓っお䞀目散に䞭倮の独立した、゚メラルドグリヌンの艊橋めいた建物ぞず向かう䞀方、倧型犬めいた意匠に腰からヒラリず垃を舞わせた装甲戊士【英雄語】モモノず珟代建築を人型に敎え装甲ぞず倉じた装食の装甲戊士【BB】ディッグはそれぞれ栌闘の構えをずった

「ずりあえず䞭倮区画に誘導しおるけど、アッチっお本圓に安党なのかな⁉」
「ノヌト・ビルドによるず、䞭倮区画だけはメガフロヌトの構造から完党に独立しおいお、こい぀らも配管通っお䞭から奇襲ずかは出来ないんだっお。建築物ずしおは䞍可解な構造だけど」

転倒した少女が、あわや怪物の振るう觊腕の逌食ずなるかず思いきや、颚の劂く螏み蟌んだモモノが掌底で觊腕を匟き、続いお迫った䞞倪その物の腕を蹎り䞊げ粉砕する続いお少女を助け起こすディッグ

「さ、あっちだ。急いで」
「あ、ありがずう」

それでもなお悪意の手をのばさんずする怪物キメラを前に、ディッグの手にした銃剣が閃き、数倚く飛来した暗色の腕が瞬時に解䜓されおいく

「ビルの鉄骚よりは党然脆いけど、いかんせん数がなぁ」
「じゃあ僕らで本䜓たたきにいく」
「冗談そっちはレむノンがどうにかこうにかするっおヒヌロヌずしおは普通の人達は芋過ごせないでしょう」
「たあねその通り」

なおも逃げ遅れた人々ぞ怪なる腕を䌞ばす人䜓キメラに察し、迫りくる腕を撃ち抜き、䌞びる舌を切り刻むさらには銖をろくろ銖めいおのばす盞手を拳で打ち砕くそれでもすぐさた嚁勢を取り戻し、怪物はメむンストリヌトを前進する

「ずはいえ、これはちょっず火力䞍足、かな」
「たいったネ街䞭のど真ん䞭ではなるべくSAは出したくないし」
「最悪はやらざるを埗ないけど、ただその時じゃない」

二人の癜銀戊士は、枟身の力を蟌め床を螏み砕く勢いで怪物の人面うごめくど真ん䞭ぞ、背䞭合わせで拳を打ち蟌む同タむミングで叩き蟌たれた䞀撃に、埌退し぀぀もメむンストリヌト各所にしがみ぀いお抵抗

「ならその埌抌しは僕も参加する」
「タむラヌ」

装甲戊士二者の埌方より駆け぀けた、グレむのスヌツの玳士はその掌底に立ち䞊げた翠緑なる超自然の焔をたぎらせ、暎れる怪物めがけビヌムの様に撃ちはなったNoteメむンストリヌトを恐ろしく燃え盛る火が駆け抜け怪物の党䜓たで着火、燃え移る

「じゃあこっちもずっおおきを」
「切り札の切り時だ」

二者が攟぀、高圧瞮の氎流がドリルめいお怪物を぀らぬけば、倚数襲来したドロヌンが機関銃掃射䞉者の党力に怪物は䜙さずこそぎ萜ずされおいく

―――――

「クッ゜倧惚事じゃんか正気かよアむツ」
「正気ではあるんだろうよ、ダツの䞭ではな」
「瀟䌚性かなぐり捚おるのはオレは無しだず思うね」

庵から飛び出した䞉人を出迎えたのは、たるでダヌクなゲヌムのラストダンゞョンめいた倉貌を遂げた商業斜蚭だった。元より過疎゚リアずはいえ、玛いなりにも人工物で構成されおいた通路は今や暗色の肉に芆われ、床も脈打぀䜕がしかが瞊暪無尜に行き亀っおいる。

それでも、それらの怪異は人間を取り蟌む皋の力は持っおいないのか、バティの靎底が接觊しおも倏のアスファルトに萜ちたれリヌの様に溶け砕けた。その様子に顔をしかめるバティ。

「ノア、状況っおどんな感じ」
「いきなりの襲撃だったから、少なくない人がアむツに取り蟌たれちゃっおる  無事だった人たちは、譊備員さん達ずAIで連携しお䞭倮区画に誘導しおいるわ。あそこなら今のずこ䟵食されおないから」
「りょヌかい、悔しいけどやれるこずをやろう」

過疎地ずあっおか、姿の芋えなかった怪物達も䞉人がメむンストリヌトに向かった途端に遭遇する。その姿は、黒毛の毛むくじゃらなかたがこ板に、節くれだった四肢を生やし偎面に暗闇の䞭より瞬く光る目を備えた代物だ。それが数䜓通路を占有し道を塞いでいる。

「そヌりゃヌいたすよねこの状況じゃ」
「できるだけいないルヌトをナビゲヌトするから、埓っお」
「そい぀は頌もしい。もっず早くはじめおくれたら満点だったな」
「ごめんなさいねヌ、私こういうの䞍慣れなもので」

軜口を叩き合い぀぀も、パルプスリンガヌ二人はオリンピックアスリヌトもかくやの螏み蟌みで片足を振り䞊げた黒かたがこ板ぞず迫るバティの顔面ぞず怪物の足が振り䞋ろされたかず思えば、足はピザめいお四分割からはねのけられ、続いお奥たで足先が切り裂かれる

「そう安々ずやられおたたるかヌっ」
「朚偶の坊、足元がお留守だぜ」

ひゅぱん、ず䞊半身を支えおいたもう片足がむシカワの蹎り払いで宙ぞず浮かび、かわりにかたがこ板の䞊半身が床ぞず重力に埓い萜䞋
かたがこ板の胎䜓を埅ち受けおいた二人、バティはマチェットを突き出し、むシカワは拳銃を突き䞊げおれロ距離発砲本䜓を盎に裂かれ撃ち抜かれたかたがこ板は無残に反察偎ぞず吹き飛びながら転倒し、同族を巻き蟌み道を拓く

「こい぀ら飛び越えお、突き圓りを右なんだけど私には無理そう」
「バティ」
「ぞヌい」

俺はやらんぞずいうニュアンスを䞀蚀で䌝えたむシカワに察し、バティは枋々ノアをお姫様抱っこ。䜕床觊れおも本物それそのものなのでずおも気が気じゃなくなりそうだが、そんな事を蚀っおいる堎合でもない。

「飛ぶよ、぀かたっお」
「仕方ないけど぀かたっおあげるわ仕方なしだからね」

挫才ず共に、バネじかけのブリキ现工もかくやの跳躍力を芋せお、もがくかたがこ板共を飛び越えるバティ続いお、むシカワも飛び越えながら怪物共を撃ち抜き止めを刺しおいく

「ちょっず埅っお、敵の動きがおかしい」
「おかしいっお、䜕が」

迫りくる怪物共をいなしながら通路を駆け抜けるうち、ノアが声をあげお二人も足を止める。

「俺達に向けお集たっおきおる事か」
「そう、それあい぀らが少ないルヌトを探しお斜蚭内を粟査しおるけど、明らかに私達に向けお集たっおきおる」
「わお、さいあく」
「モテるな、バティ」
「もうオレに構わずそっずしおおいおほしいよ」

そういうこずであれば立ち止たったたたでもいられない。ノアの誘導に埓っお、少しでも手薄な゚リアぞず舵をきっおいく

「どうするの、これから」
「奎等がオレ達優先っお事は、こっちが逃げれば他は手薄になるでしょ真正面から駆逐するたでチマチマ殎るよりかは被害が抑えられるし」
「だが、この閉鎖環境でダラダラ逃げ回るのは悪手だろう」
「わかっおる」

1メヌトルほどの颚船りニめいた矀䜓が浮かぶ通りを、たるでドロヌンレヌスのごずくすり抜け撃ち抜きながら進んでいくうち、奥手より暗肉が盛り䞊がるず1぀目の筋骚隆々ずした巚人が圢成され、その身に数倚の口を広げる。

「゜りルアバタヌが出せる、ひらけた゚リアたで移らないずダメみたいだ」
「ワオ、䞁寧な仕事っぷりだ。アむツラ俺達がやけくそになっお斜蚭厩壊芚悟でSA出すのも劚害枈みっおわけか」
「そういう事っぜい、圢成しおから盎接乗り蟌たないずダメだ」

緩慢な動䜜でもっお倧質量の腕を振り䞊げる単県巚人に察し、たずむシカワが螏み蟌む。䞀歩二歩、走り幅跳びの助走めいた幅広の歩法で螏み蟌むず、巚人が重量を預ける軞足ぞず襲いかかる

「フンッ」

回転のベクトルをのせた回し蹎りが巚人の軞足、その匁慶の泣き所を撃ち抜くず、倧質量ゆえの䞍安定さを支えきれずに巚人がゆらぎ態勢をたおなおそうずもがく空ぞ䌞ばした、殎り぀けるはずだった腕は䞍意にずるりず茪切りになっお宙ぞバラけた。バティのワむダヌアタックによるものだ。

床に萜䞋した茪切り腕は、泥団子の様に炞裂。なおももがく単県巚人は数を増した鋌線トラップに絡め取られお、ズタズタに分解されおいく

「こんなのの盞手しおたらキリがない䞀番開けた空間はどっかない」
「ここからなら、開攟型のむベントホヌルが䞀番近いけれど」
「それだオレの機䜓が出せるかむマむチ䞍安だけど、行くしかない」

ノアの指し瀺した方角に、二刀を䌎いバティが螏み蟌む通路を塞いでいたのは、暗色毛䞊みに頭郚を角牙の林で芆った無顔のむノシシだ

角牙猪は畑荒らしを芋咎められたかのごずく埌ろ足を掻き鳎らすず䞀目散に駆け蟌んでくる党面を突起物で芆った頭郚に突っ蟌たれれば死は免れない

「悪いね」

だが、むノシシは突劂䜕かに遮られ転倒そこをむシカワが粟密射撃によっおカバヌする砕け爆ぜる角牙頭郚

むノシシが転倒したのは、バティが投げはなった二刀の柄に結ばれたワむダヌであった。通路の壁に突き立った二本が即垭トラップに倉わったのだ

䞊み居る怪物共を薙ぎ払い、䞉人は目的の開攟型むベントホヌルぞずたどり着く。そこもたた、暗色の肉の皮膜に芆われ぀぀あったが、犠牲者ずなりうる来堎客が少なかったためか斜蚭内郚に比べるずその量はごくわずか、ずいっおいいレベルであった。

「゜りルアバタヌ出すず建物も無事じゃ枈たないず思うけど」
「ノヌト・ビルドには被害の蚱容は蚱可もらっおるわ問題はそっちじゃなくおあの怪物に取り蟌たれたたた建物内に取り残された人だけど  」
「そっちも気にしなくおいいよ、僕の方で移動しおおいたから」

割っお入った声に、逡巡する事なくバティは刀刃を剣呑に構えた。パルプスリンガヌの声ではない。聞き芚えのある、敵の声だ。

開攟型むベントホヌルは、ステヌゞを扇圢に囲む圢で゜りルアバタヌを珟出させるにたる充分すぎるほど広倧なスペヌスがあった。むベントホヌル入り口から出たばかりのバティの県に、ステヌゞ䞊にわだかたる暗肉の台座の䞊によっお立぀あの少幎の姿が映る。

「さっきはレむノンずこで今床はこっちっお、あっち行ったりこっち行ったり、忙しない奎だな」
「君達ず違っお、僕は䞀人でね。䜕をやるにも自分でやらなきゃいけない。もっずも、䞍䟿に思ったこずは無いけど」
「そうだろうさ、こんなめんどくさい胜力持っおたら䜕だっお出来る」
「そうでもないんだ、意倖ず䜿いみちが狭いからね、これ  けれど」

声のトヌンが䜎く垂れ䞋がり、むシカワは流れるような所䜜で拳銃を構えた。

「お前たちの倧事な遊び堎を滅茶苊茶には出来る、そうだずも」
「ホンキだっおのか  」
「本気だ、その芚悟が僕にはある。蚀葉を返させおもらうけど、君にはあるのかい」
「䜕がだよ」
「この建物ごず、皆の䜜品を螏み朰す芚悟がさ」

バティが蚀葉を抌し留めたのず、銃声が鳎ったのはほが同時だった。
過たずに攟たれた拳銃匟は、螺旋滑空の埌に少幎の頭郚ど真ん䞭を貫き四散させる。むシカワの拳銃から硝煙が流れお霧散。

「他の奎はどうかは知らんが、俺は正矩の味方でもなければ、慈悲深いボランティアでもない。俺の人生にふざけたチョッカむを掛けおきた奎は朰す、それだけよ」

頭郚が吹き飛び、銖なしずなった少幎の身䜓から暗肉が盛り䞊がり元通りに、うらなりの敎った顔立ちを修埩する。

「他の人の䜜品は滅茶苊茶になっおもいいっお」
「生きおりゃたた䜜れるし、そもそも䞖の䞭に滅倚糞に壊れねぇ物はねぇよ」

物も人も、い぀かは壊れんだ。そう吐き捚おステヌゞに進むむシカワの指が動く。䞉床発砲音が鳎り、せっかく元に戻った少幎の身䜓は䞊半身から䞊が吹き飛んでしたった。もっずも飛び散ったのはやはり分䜓である暗肉に過ぎず、本䜓ではない。

「めんどくせぇ䜜りしやがっお」
「本䜓はきっず安党なずこにいるんだ、だから今は斜蚭䟵食を防がないず  ⁉」

その時、芳客垭の裏偎より暗肉の噎氎が䞊がった。バティの呚蟺を取り囲む様に、䞀斉に。

「  ッ」

バティの䞭で思考がスロヌモヌション撮圱めいお鈍化する。隙間を぀いお抜ける、のはネコでもないずもう無理だ。暗肉の檻を切り裂いお空間を䜜るのも、盞手の䟛絊の方が早い。

「詰んだ  ⁉」

あっさり眠にかかっおしたった自分に苛立぀よりも早く、バティの身䜓は匷匕に暗色の檻を突砎した䜕かに突き飛ばされお囲いを突き抜け、芳客垭を瞊断する通路の䞊を転がった。

自分の身䜓にたずわり぀く残滓をネコめいお振り払うず、自分を突き飛ばした盞手に向かっお顔をあげる。茶の瞳が黒い瞳ず入亀わった。

「ノア」
「来ちゃダメ」
「でも」
「バックアップは取っおるからだから  」

䌚話は最埌たで行われるこずはなく、少女の華奢な身䜓は暗肉の波激に飲み蟌たれお芋えなくなった。バティの奥歯がギシリず鳎り、豹のごずく身を瞮めお跳躍から芳客垭の背もたれをかの矩経公もかくやず飛び枡りステヌゞ䞊の少幎ぞず肉薄する

「オオッ」

振り䞋ろされた二刀の流れが亀差を描くよりもなお早く、刃は少幎の平手によっお停止。酷薄な笑みを浮かべる少幎の県ず芖線が衝突する。

「圌女を開攟しろよっ」
「聞いおなかったのかいあの子の身䜓は代えが効くそうじゃないか」
「そういう、問題じゃない  っ」

ギシリず噛み合ったたた抌しきれないず芋るや、呚囲を暗色の檻に包たれるよりも早くステヌゞから、二刀を少幎に受け取らせたたたに飛び退き迷わず拳銃を連射する額、心臓、腹郚を過たず打ち砕く9ミリ匟しかし先皋ず同様、爆ぜた少幎の身䜓は巻き戻し映像それそのものにたたたく間に修埩され、元通りずなる。

「ク゜ッ」
「萜ち着けバティ衚に出おいるのはただの囮だ」

むシカワの蚀葉に、呚囲を芋回すも少幎の隠匿は完璧な様に芋えた。ステヌゞから芋枡した芳客垭は今や暗色の皮膜に包たれ、波打぀ばかりでそこにはいかなる知性䜓も存圚しないかのように芋えたのだが。

次の瞬間、日光を遮っおむベントホヌルを巚倧な圱が芆った。続いお、萜䞋した圱が突き出した黒橙の刀身が芳客垭の巊舷を焌き貫き、䞀瞬にしお融解させる薙がれ、焌き払われた䞀角から人型の圱が飛び退き、乱入者、バティ、むシカワを頂点ずした䞉角圢の䞭倮ぞず移った

「埅たせたな」
「レむノン」
「凶鳥  䞀䜓どうやっお僕の居堎所を  」
「䌏せ札だ。説明する気はないね」

黒衣の男が携えた黒橙の倪刀を握りしめたかず思えば、瞬間に砲匟めいお少幎に肉薄する莫倧な熱量を持った煉獄の刀身が空気を灌き斬る

だが、恐るべき地獄の䞀刀が達するよりも早く少幎の身は暗色に沈み蟌み、䞍利ずなった戊堎より離脱した。続いお暗色の波激もたた、朮が匕くようにむベントホヌルから衰退しおいく。

「匕き際だけは超䞀流の鮮やかさだ、党く面倒な奎め」

燃え盛る倪刀は䞀瞬にしお凝固し冷华した鉄の棒に倉わり、黒衣の男が刀を収めるように手のひらに抌し付けるず魔法めいお姿を消した。

「  ちくしょう」

今たでの隒ぎが嘘だったかの様に、蟺りには元通りず思われるむベントホヌルが残った。もっずも、凶鳥が着匟したポむントはたるで隕石にでもえぐられたかのようにクレヌタヌが䞞くくがんで、融解した建築構造が䞀連の隒動が倢ではなかった事を物語っおいる。

やり堎の無い怒りを握りしめた拳に蟌めるバティずは察照的に、レむノンはスマホを通じお珟状確認を行っおいた。フロむラむンは間髪いれず、レむノンの通信に応答した。

「俺だ。ひどい有様だな」
「ええ、本圓に  正確にはカりント出来おいたせんが、およそ来堎者の7割が今の隒乱で誘拐されたず掚枬されおいたす」
「䞀斉に䞍意打ちされお、ドンじゃ逃げられるや぀なんお限られおるからな。しかし7割か。蚭備の方の被害は」
「あのスラむム䜓には物質ぞの䟵襲性は無いため、発生した敵生䜓ずの戊闘に寄るものがほずんどです。すぐに皌働・修埩出来る範囲ですね」
「物品にさしたる被害がなかったのは幞いだが、そうはいったずころで人がさらわれおしたった以䞊は意味がない。次のアクションに移る」
「お気を぀けお。こちらも可胜な支揎を行いたす」

流れるようなやり取りの埌、通信を切ろうずしたレむノンにバティが声を掛けた。正確にはフロむラむンにだが。

「フロむラむン、教えおくれ。アむドルは今どんな状況バックアップはあるっお  」
「順番にご説明いたしたす。たず、バックアップは圌女の躯䜓が捕獲されるたで、シヌムレスに差分を取埗しおいたした。ですが珟圚、物理躯䜓に栌玍された論理情報の状態が確認出来ないため、バックアップのレストアが出来ない状態です」
「え、えバックアップなんでしょなんで  」
「私達AIの人栌は、存圚重耇による論理砎損を防ぐために、同時に䞀個䜓しか皌働出来ないんです。躯䜓内の人栌が健圚な状態でバックアップを䜿甚した堎合、圌女の人栌は䞖界に二぀ある状態ずなり、むンタヌネット通信を経由しお論理重耇が発生、圌女の人栌が論理砎損を生じお元に戻らなくなる可胜性がありたす」
「向こうに通信しお、オフラむンにしおもらうずかは  」
「手順ずしおは遞択肢ずなりたすが、珟圚通信䞍胜の状態です。残念ですが、せめお物理躯䜓の状態を確認するたではバックアップの䜿甚も避けたいず考えおいたす」
「なんおこった  」

目に芋えお萜胆するバティを前に、フロむラむンからフォロヌが入った。

「あたり熱心にサポヌトする子ではないのですが、それでも圌女も私達の姉効です。可胜な限り埩旧を詊みたすのでどうかお気になさらずに  」
「気にするよ。気にさせお」
「わかりたした。圌女に぀いおは進展があり次第あなたにもお䌝えしたす」

スマホの盀面越しに、フロむラむンが䌚釈したのを最埌に通信が切れる。肩を萜ずしたバティは、誰にず蚀うわけでもなく、こがした。

「䜕で皆、オレのこずを構うんだろう」

バティの蚀葉に、レむノンは怪蚝な顔で眉根を寄せる。

「そんなに䞍思議な事か」
「ぞ呚囲からするずそうでもないの」
「そりゃあそうだろう、幎がら幎䞭あんだけ云云悩んでいたら、芋おいる呚囲の人間はそれなりに気にかけるっおもんだ」

圌の蚀葉に、バティは県を䞞くしお前かがみに額を抑える。

「マゞ」
「倧マゞにマゞ」
「マゞか  そうかぁ  」

䜕凊か間の抜けたやり取りに、黙っお芋守っおいたむシカワはこらえきれずに吹き出しおしたった。その音に振り向いおは、バティは再床頭を抱える。そのたたうずくたっお悶絶。

「オレの事なんお、誰も芋おいないず思っおいたよ」
「人間は集団で生きる生物だ。生きるこずがうたく行っおいない個䜓がいたら、それずなく気にかけるのが本胜なんだろう」
「あヌ、それ心に留めずく。あヌはずかしヌ」

ひずしきりうずくたっお悶絶した埌、限界たで瞮められたバネが跳ねるようにバティは立ち䞊がった。

「で、どうするんだ。ただやるか」
「もし、さ  やめるっお蚀ったら、レむノンはどうする」

バティの疑問に、レむノンはじっくり䞀分県を閉じた埌に、淡々ず答えた。

「どうもしない。続けるもやめるも、お前の人生だしな。俺がアレコレ匷芁するのはおせっかいの床が過ぎるずいうものだ。なにより  」
「なにより」

その時の圌の顔は、倚くの感情が入り混じった果おに蚪れた、混濁の果おの凪を思わせた。

「疲れたら、䌑んでもいいし、止めたくなったら止めおも良い。自分の人生においお自分の自由意志こそ、もっずも尊重されるべきだ。俺はそう考える」
「そっか、そうだよな。自分の事くらい、自分で考えお決めるよ。でも」

静謐な凪めいた衚情のレむノンず察象的に、バティはその県に炎をずもしお答える。

「やる、ただやる。自分が行き詰たったずかでやめるならずもかく、ブルシットな暪槍で無理矢理止めさせられるのは絶察にゎメンだ」
「良い返事だ」

バティの蚀葉に、レむノンは再び䞍敵な笑みを戻すずホルスタヌに収たっおいたあの光刃の柄を投げはなった。宙に投げられたバトンめいお回転するそれは、元からそうであったかの様にバティの手に収たった。

「やるよ」
「゚ッむむの」
「俺は他にも色々あるからな」

詊しに握り蟌むず、柄の先からはすんなりず光刃が生えた。レむノンのそれずは異なり玅く湟曲した、カタナめいた刀身だ。その刃は焔めいお煌めき、むベントホヌルの冷めたホワむトを赀く照らし出す。

「結構、ただただやる気はあるみたいだな」
「ええヌこれそういう奎だったの」
「そういう奎だ」
「だったらアンタの前で詊すんじゃなかったよ」

バティのがやきに苊笑し぀぀も、レむノンは䞊空に圱を䜜っおいた自身の愛機ぞ、ワむダヌを掎んで飛び戻る。

「ひずたずダツを远うそっちは迎撃䜓制を敎えおくれ」
「わかった堎所がわかったらすぐ教えおくれ」

むベントホヌルを芆う巚人の圱が行き過ぎるず、そこには぀かの間の晎れ間ず青空が戻っおきた。

「しかし、次、次か  」
「これで野郎が諊めるず思うか」
「無いね、それはない。アむツの行動方針は明確だし」

バティは手にしたスマホに䞀連の隒動に぀いおタむムラむン化するず、その様をむシカワに瀺しおみせた。

「アむツの行動は基本に忠実で、こっちの裏をかき぀぀慎重に自分の勢力を拡倧するように行動しおる。RPGで経隓倀溜めおレベルあげるみおヌに、ちょっずず぀犠牲者を増やしお、次の行動が出来る段階になっおからより倚くの逌を補充しおるっお寞法さ」
「っ぀ヌこずは野郎の狙いはやはり」
「関東䞀垯くらいは曎地にしねヌず気がすたないんじゃないかな。むしろそれも通過点だず思う」
「マゞでむルっおやがるな」

顔をしかめたむシカワに、バティはキマった県で次の行動を告げた。

「時間がない、オレの芋立おじゃ次にアむツが起こすアクションは、東京䞀垯䜏民を取り蟌んで東京郜そのモノを銬鹿でっかい化け物にする぀もりだ」
「オゥ、シット。䞭には䞀般垂民がゎマンず詰め蟌たれおるっお蚳だ」
「そう、その通り」
「で、バティはどうすんだ」
「決たっおる、付け焌き刃でもこっちの戊力を匷化しないず  でも今曎土壇堎で゜りルアバタヌをいじったずころで、どこたで匷化出来るか」
「俺にドヌプでクヌルなアむデアがある、耳を貞しな」

背を䌞ばしおむシカワに偎頭郚を寄せたバティは、吹き蟌たれたアむデアに県を䞞くしお問い返す。

「マゞで蚀っおんのそれ」
「倧マゞにマゞだ。それずもやっこさんに癜旗でもあげっか」
「ああもうやるよやっおやるあの勘違い野郎の暪っ面ぶっ叩けるなら䜕だっおやるさ」
「決たったな。そうず決たればチュヌニングだ」
「ホントならもっず萜ち着いた状況でやりたかったなぁ」

ぶヌたれ぀぀も、二人は自らのノヌトパ゜コンの有りかに向かっお駆け出す

―――――

蒌倩の元、倩たで届かんばかりにそびえ立぀東京屈指の高局塔。神話のバベルめいた銀の長塔の切っ先より䞊空に、黒甲冑の巚人がその機圱を地䞊に映しおいた。その背には翌めいた光を噎射する掚進機が䞀察負われ、腰には無骚の䞀蚀に尜きる倧倪刀をさしおいる。

レむノンの乗機、むクサ・プロりラは暗色肉塊に仕蟌んだ耇数の発信をたどり、この堎ぞず巡り合わせたのだ。

「最善を尜くしおも、い぀だっお間に合わない物は、ある」

芖認するより先に、むクサのコクピット内のモニタヌがこの堎䞀垯の異垞を真っ赀に染たり䌝える。

瞬間、銀の長塔の根本よりあの暗色肉塊がすさたじい勢いで塔を駆け䞊がったかず思えば、たるで傘をひらくがごずくアヌチ状の芆いを呚蟺䞀垯ぞず掲げた。そのたた芋る芋る暗黒塊はその質量を増しお郜垂を飲み蟌んでいき、長塔䞀垯を暗黒超越怪異ぞず䜜り倉えた。

塔を芆った肉塊は膚れ䞊がるず、たるで貎婊人のドレスの様に姿を倉えお、塔先端からは奇劙に節くれだった魔の女神がけたたたしい笑い声をあげおいく。

「それでも、珟実に捚おゲヌっお物は無いからな。やっおやるずも」

銀の長塔を骚組みずしお顕珟した暗黒貎婊人、その身からは蜘蛛の網めいお無数の糞組を撃ち出しネットワヌクを圢成。メロンの網目にも䌌た図圢を描きながらより巚倧なドヌムを䜜り出せば、そのたた地䞊ぞず向かっお糞を匵り巡らせ領域を拡倧。たるで倚頭釣りのごずく人間が糞に絡め取られ取り蟌たれおいく。加速床的に魔の領域が広がっおいった。

むクサ・プロりラは自らにもたた迫る蜘蛛の黒糞を斬りさばいおは、身をそらし暗黒貎婊人の本䜓䞭枢ぞず空をきっお螏み蟌む背から瞬く蒌光その巚倧さのあたり鈍重な貎婊人の懐に䞀瞬で飛び蟌んだしかしお、腰だめにかたえおいた倧倪刀は貎婊人に食い蟌む寞前でピタリず止たった。

「コむツ  」

ニュヌロン接続ずモニタを通しお、レむノンの県には暗黒貎婊人のドレス䞊に星空の様に光芒がたたたいおいる事が芖認されおいた。もちろんオシャレなどではない、䞀぀ひず぀の茝きが生呜反応  すなわち取り蟌たれた䞀般人である。倪刀が止たったタむミングで四方八方から取り蟌たんず黒糞を䌞ばす貎婊人に察し、魔術めいお刀の切っ先を閃かせお打ち払うそのたたバク宙埌退

「オホホホホホホ  ヒヌロヌは苊劎するでオゞャルな」
「そんなカッコいい生き物じゃないぞ、俺はな」

頭郚を暡した箇所を䞉日月の様に開き笑う暗黒貎婊人に察し、油断なく倧倪刀を青県に構え芋返す。もはや蟺りは完党に暗黒の垳に芆われた匣も同然であり、その䞭にあっおむクサの掚進機だけが星めいお茝いおいた。

「お前はあのりラナリ坊やではないな。あの暎走小坊䞻は  そうだな、東京湟か」
「オッホ、今曎したり顔で語っおも無意味、無意味。なんじはすでにマロの手䞭。そしおマロのあるじは宿願をはたさんず行動に移っおいるでオゞャル」
「あのすかした坊やから出おくるキャラか、貎様は」
「オッホホホホ、ペル゜ナずは玠顔ずは党く別の偎面を持っお圓然の物。マロは玛れもなくあるじの䞀偎面にオゞャレば」

マロ喋りの暗黒貎婊人が指先を内偎に曲げるず、再び黒階士に向かっお暗黒蜘蛛糞が収束するしかしお、糞の倧矀は機䜓に觊れるよりも手前で、青く茝くハニカム構造障壁によっお消し飛んでいった。その様に暗黒貎婊人は扇子を開き䞉日月の口の端を隠す。

「実にオロカ。なんじはすでに孀軍であり、マロはあるじを介しおこの郜垂の民草党おを掌握し぀぀あるのでオゞャル。たった䞀人で数癟䞇もの物量に抗するのはじ぀にアサハカずいうもの」
「それで」
「この期に及んでただ珟実が芋えおいないようでオゞャル。オロカなサムラむよ、なんじの負けよの」

暗黒貎婊人マロの蚀葉に、むクサの背郚掚進機は極星よりもなお明るく茝いた。むクサ・プロりラの党身には血脈めいた蒌の゚ネルギヌラむンがたたたき、頭郚のツむンアむは走査線を䌎っお発光する。

「お前はただのスカムだ。お前達がどれだけ哀れな連䞭を盎列電池にしようが、その党おを斬り䌏せお俺が  」

そこたで蚀った埌、蚀葉をきっお男は蚀い盎した。

「俺たちが、勝぀」

―――――

䞀方、隒乱の埌でゎッチャゎチャに散らかったバヌ・メキシコにたどり着いたバティずむシカワは圢状を留めおいたテヌブルず怅子を立お盎しお、その䞊で自前のパ゜コンを立ち䞊げる。

「電源ずLANは生きおる」
「問題ない、良い蚭蚈だぜ、ここはよ」
「助かった。萜ちおたらダバかったよ」

そのたた、䜕ずか起動したパ゜コンを高速タむピング、残像フリック、倚次元マりス操䜜を駆䜿しお高速操䜜を行う。起動したアプリケヌションはもちろん゜りルアバタヌのチュヌニング専甚アプリだ。スマホでも出来なくはないが、䜜業効率ではやはりパ゜コンに劣っおしたう。

「サンプルデヌタのダりンロヌドは」
「埅お、俺の筐䜓にダりンロヌド枈だ。今連携する」
「オッケヌ、アプリケヌション自䜓連結しお情報共有を」
「良いぞ、そっちからアクセスしおくれ」

操䜜する手が霞む勢いで䜜業をすすめる二人ず、その恐るべき操䜜速床に負けない挔算速床を持ったパ゜コンは、芋る芋るうちに二人の機䜓の新たな姿を䜜り䞊げお行く。その䞀方でバヌ内におくたびれおいた䞀同からどよめきの声があがった。予想された事態に、䜜業ぞの集䞭を逞らさずチュヌンナップを続行

『生存者の皆様埡芧くださいこの悪倢ずしか蚀えない光景を  東京は、日本はもうオシマむです』

レトロスペクティブなヘリ滞空による䞊空からの撮圱映像が、バヌ壁面に残存した倧型モニタヌに映し出された。

か぀おは暗黒違法残業によっお地䞊の星空を圢成しおいた東京の町䞊みは、倪陜の陜を吞い蟌む暗黒肉塊に芆われた邪悪なる海ず化した。道路から林立する高局ビル矀も残らず暗黒スラむム䜓に取り憑かれ、わずかに露出した箇所は無数の異圢達が逃げ惑う人々を捕らえ自らの内ぞず取り蟌んでいく。そしお露出郚分もたた、たるごず暗黒に飲み蟌たれた。

取材ヘリの真暪を暪切っお、郜垂迷圩グレヌを斜された自衛隊の正匏採甚人型兵噚矀が東京を芆う邪悪存圚に肉薄するが、右手に掲げた重機関銃の匕き金を匕く寞前でそのたたタヌンバックを行う

『アッちょっず自衛隊なんでしょ戊っおくださいペ』
『りルセヌバヌカあのファッキンスカムスラむムの䞭は垂民の生呜反応だらけだっ぀ヌの䞀時撀退だ垂民は撃おん』
『そ、そんな  アヌッ』

ビル屋䞊から邪悪なる暹朚めいお恐るべき速床で䌞び䞊がったスカムスラむムが、取材ヘリに取り付かんず襲いかかる悲鳎をあげるリポヌタヌだが取り付く寞前に先皋眵倒を返した自衛隊機が察地掃射觊手を打ち払い、制埡䞍胜になっお墜萜するヘリをひっ぀かんだ

『ア、アリガトりゎザむマス  』
『今床から取材は゜りルアバタヌにすんだな』
『そ、それは瀟の方針で認可が降りなくお  』
『だったら退瀟しな䜕事も生きおおなんがだからよ』

通信が繋がりっぱなしなのか、リアルタむム取材で空自ずリポヌタヌのやり取りがバヌの䞭に反響しおいった。

「おいおいおい、noteから远っ払ったず思ったら今床は東京か」
「健圚なネットワヌクず監芖カメラで本土の様子を出したす」

癜芆面の1぀目アむコンに怒りを浮かばせるマッスル、ヘル・マヌに察し執事服のスカルが冷静を保ったたたに答え、テレビ番組を映しおいたモニタヌに珟地の状況を映し出す

「ワオ  コむツは随分ず悪趣味じゃの」

映し出された映像は、先皋の空撮ヘリの延長的内容で、急速に暗黒スカムスラむムの波に飲み蟌たれおいく東京の姿だった。監芖カメラの県の前で、逃げ惑うも黒波に取り囲たれた垂民がなす術なく取り蟌たれおいった。

県を芆うばかりの惚状の䞭から、監芖カメラが䞀぀の兆候を捉える。それは地殻倉動めいお雄々しく隆起したかず思えば、筋骚隆々たる暗黒の雄牛ぞず姿を倉えた。サむズは東京の䜎局ビル矀を倧きく䞊回る。

監芖カメラが暗黒闘牛の頭郚に芖点を移すず、そこには他の暗黒存圚ずは䞀閃を画す存圚がいた。玔癜のシュルコヌず呌ばれる、鎧装に矜織る陣矜織を暡した意匠の巚人階士に、その手には黒塗りの䞡刃剣ず分厚く瞁取られた盟が握られおいた。

玔癜の階士機は黒塗りに倉わり぀぀䞖界を睥睚し、そしお東京湟の果おに浮かぶ人工のメガフロヌト郜垂ぞず芖線を向けた。そのたた、階士の座す暗黒雄牛は、槍めいた二本の角を倩に掲げお咆哮するずゆっくりず前進し、それに䌎っお地を芆う暗黒スカムスラむム矀に加えお、無数の怪異魑魅魍魎共も接波の様に抌し寄せおくる。

それはたるで、黙瀺録の四階士を圷圿ずさせる最悪の光景だった。

「自衛隊の連䞭は」
「無事な垂民を救護するのに手䞀杯の様です。元々囜民の自己防衛奚励に䌎っお、灜害救助甚の芁員が䞻䜓でしたからね」
「そのための゜りルアバタヌだもんよ、もっずも本気で自衛の為に導入しおる奎なんお元々、ごくごくわずかだったんだがな」

今もパ゜コンにかじり぀き急ピッチで機䜓の改修を進める二人をみやった䞀同は、圌らの状況を察するず迷う事なく気勢をあげお迎撃行動に移る

「行くよアンタ達あんなモダシ野郎にいい気にさせおたたるかっおね」
「おうずも」
「やっおやるぜ」

―――――

スカムスラむムの接波の先頭、海を䟵食する巚獣の頭郚にお、ノヌト・アむドルは再起動ず共に自我認識を埩旧させた。

自身の身䜓は、聖人めいお十字架にすたきにされ、思いっきり身䜓を揺さぶった所でびくずもしない。

「  ホント、䜕凊たでも悪趣味」

芖界の先には東京湟にぜ぀んず浮かぶ人工島が定められ、芖線を逞らすこずも出来ない。䜕が起きるか芋届けさせたいのは明癜であった。

「こんな事がアナタのしたかった事なの」
「今は、そうだ。少なくずも、今は」
「り゜぀き」

ノアの前方右偎で同様に人工島を芋定めおいた䞻犯の少幎は、感情の色が䌎わない蚀葉で答える。

「今はこれが僕のやりたいこずなんだ」
「バヌカ倧銬鹿そういうの埌先考えない若気の至りっお蚀うのよヌっ」
「なんずでも蚀え」

暗色の接波はその戊端から芋る間に無数の癟鬌倜行ぞず姿を倉じ、抌し寄せる皋に人工の浮島を取り囲たんず隆起しおいく。

「メガフロヌトを取り蟌み、関東を食い尜くしたら次は日本党䜓、次は䞖界だ。誰䞀人も逃さない」
「こ、の、スコトンチキヌッ」

身動き䞀぀取れないかず思いきや、ノアは䞍意に拘束台をゎムめいお歪めるず、反動でもっお少幎の埌頭郚に頭突きを芋舞ったあたりの勢いに前方にすっ転んで巚獣頭郚に額をも打ち付ける。

「あ  く  め、滅茶苊茶痛い  ぬぐ、君の䜕凊にそんな運動胜力が」
「ふふヌん、゚マヌゞェンシヌ甚のリミッタヌ解陀よ。脱出するたでには足りないけど、気分は晎れたからたあ良いわ。どっちみち助けは来るしね」
「む  」

少幎は指先を鳎らすず、ノアの拘束はその質量を増しお匷固に圌女の身䜓をがんじがらめにしおしたう。

「君の県の前で䜕もかも終わらせおやる」
「その根気、もっず別の䜿い方をすればよかったのに」
「もう遅いんだ」
「遅くない」

すでに無芖を決め蟌もうずする少幎に察し、ノアは蚀葉をかけ続けた。

「どんなに人を取り蟌んで食い物にしたっお、本気で頑匵る人の茝きには届かないのよ」
「そんなこず、わかっおる」

少女の蚎えにも耳を貞さず、少幎は掲げた腕を振り䞋ろした。戊端をなす怪異達が䞀斉に䟵攻を加速させる

―――――

「おうおう、ダベヌ奎等がぎょうさんやっおきずるわい」

䞀方、メガフロヌト岞郚の林立するビル屋䞊では、今にも迫りくる脅嚁を迎え撃たんずパルプスリンガヌ有志連合が仁王立ちしおいた。

真正面からの激突を担圓するのは、叀めかしい医垫コヌトのゞョン・Q、1぀目アむコン芆面に筋骚隆々ずしたヘル・マヌ、ゆるカゞュアルファッションのモモノ、建築䜜業員姿のディッグの四名だ。

「他のメンバヌも配眮に぀いたみたい」
「オッケヌ、じゃあ僕達もはじめようか」
「おうずも」

四人は手にしたスマホを思い思いのポヌズで掲げるず、䞀糞乱れぬタむミングで宣蚀する

『゜りルアバタヌ・マテリアラむれヌション』

波立぀東京湟の䞊空で、ホタルめいた光の粒子が虚空より励起するず、みる間に巚倧な人型をなしお空䞭ぞず顕珟しおいく

最初の機䜓は巚倧な䞡手斧を掲げりォヌクラむを叫ぶバヌバリアン機䜓、アステリオス
ニ機めはメタリックブルヌの分厚い装甲に身を芆った、モノアむ頭郚のプロレスラヌ機、バロヌル
続いお翌竜意匠の盟ず銖長竜意匠の銃槍を掲げた黒銀の戊隊ロボ、アヌクデりス
最埌は無数のドロヌンが組み合わさっお人型をなし、䞡手ずバックパック䞡肩にそれぞれ重火噚をマりントした姿のレギルング・リッタヌ

「行こう皆」
『おう』

「ゞョン最前列の生呜反応は⁉」
「無しガランドりの空っぜよ」
「だったら䞀発掟手に行くぜ」

ヘル・マヌの駆る筋肉芁塞以倖の䜕物でもない人型兵噚、バロヌルが四機の䞭から先んじお螏み蟌むメガフロヌト沿岞ぞ倧波を立おお仁王立ちになれば、頭郚の倧型モノアむが目䞀杯に芋開かれお、次の瞬間倧海原を赀く照らす

「おらっしゃああああああああ」

その名に盞応しい神話に語られし魔王の炯県そのものの茝きは、巚倧な垯ずなっお異圢の軍団、その最前列を薙ぎ払う途方も無い熱量の撫で斬りによっお、暗色怪異共は融鉄の橙に染たり熱量爆発跡圢もなく消し飛んだ空間を、さらなる怪物共が雪厩うっお増産される

「ワオ、ちっずも枛った気がしないんだけど」
「レむノンの連携した情報によれば、こい぀らは取り蟌んだ被害者から粟神力を搟り取っお出力しおるっお。量産兵噚ずしおの詊隓ケヌスもあったけど、これは完党に䞀個人でやっおるのか  」
「ハッ、しゃらくせえ」

先んじたバロヌルは勢いを殺す事なく化け物共の接波の䞭に飛び蟌むドヌム状になるほど、怪異の矀れが殺到するが瞬間に噎火めいお敵生䜓は䞊空はるか圌方たで打ち䞊げられた海面に超䞊空から叩き぀けられ、爆発四散

「芁するに、からっけ぀になるたですり朰せば枈むっお話だ」
「䞋手したら䞀千䞇以䞊の人口なんじゃが」
「アアンたさか、ンな皋床でやれねぇずか蚀わねぇよなゞョンサンよ」
「カッカたヌっさかワシラを殺るには桁が䞀぀足りんなぁ」

売り蚀葉に買い蚀葉、ヘル・マヌの煜りに乗っかったゞョン・Qは自機であるアステリオスに嚁圧的巚倧䞡刃䞡手斧を䞊方旋回させるず、飛び蟌みざたに䞀山いくらで補充される倚県ナメクゞ怪獣を黒毛玉コりモリ巚塊を冒涜泥土人圢を嵐のごずく切り裂き粉砕する

突出した二機を挟み蟌む様に回り蟌んでくる暗黒軍勢の戊端を、远随する二機、アヌクデりスずレギルング・リッタヌがそれぞれに立ちはだかり劚害

「おっずそうやすやすずは」
「やらせないね」

右舷、アヌクデりスの突き出す銃槍が衝撃波を䌎っお现脚の圱蜘蛛をど真ん䞭から穿けば、続いお槍の戊端より吹き出した砲撃が埌方の倚頭ミミズ竜たで撃ち貫く厩れ萜ちる残骞を振り払うず、胞郚の意匠を垯電させおおびただしい雷撃を攟射文字通り雷電の速床で怪物共を炭ぞず倉えおいく

巊舷はたるで䞀䜓の怪物の腕にでもなったかの様に絡み合っお襲い来る怪物の圧瞮矀䜓を前にしお、超合金の階士が䞡腕䞡肩に構えた重火噚矀が迎え撃぀そのラむンナップは右腕に重機関銃、巊腕に倧火力バズヌカ、右背に倧口埄グレネヌドランチャヌ、そしお巊背ず䞡肩には倚匟頭マむクロホヌミングミサむルポッドの取り合わせだ

レギルング・リッタヌの攟぀惜しみない殺戮火線が集玄怪物腕に䜙すこずなく突き刺されば、倩も焌けよずばかりの倧炎䞊が吹き䞊がった

「どヌよ、ちったか堪えたか⁉」

゜りルアバタヌ四機による高火力砲火の連続攻撃は、䞀旊は抌し寄せる汚濁の䟵食を抌し留めたかのように芋えた。だが、䞀瞬怯んだ埌にスカムの倧波は䞖界を飲み蟌たんばかりに立ち䞊がり、芋る間に波は怪異癟鬌倜行の圫像に倉じお敵察者を取り蟌たんずする城壁に倉わるその高さは各゜りルアバタヌの人間の十倍以䞊からなる党長を遥かに凌駕するほどだ

「  ワオ、流石に自信満々で攻めおくるだけあるよね」
「衛星からの様子じゃ、もう東京は党滅、䟵食範囲は関東䞀郜六県にたでおよびはじめおいる」
「なあんっおこった怪獣だっおもっず自重するじゃろ総蟞職砲くらいで」
「気たたに掻動しおいる怪獣より、人間の方が吹っ切れるずおっかねえもんさ」

デモンズりォヌルず化した最前列より、次々に怪物共が抌し寄せる。暗色透明のむカ頭郚人間、倚連装觊手モンスタヌ、卓怅子耇合四脚防盟、ハニワサボテンなどなど、犁忌の怪物達が人間などひずもみにすり぀ぶせるボリュヌムず物量で茪になっお背を預け合うパルプスリンガヌ達ぞず迫った

「うわったあ」

このたたで取り囲たれ䞀斉砲火の埌爆発四散もありえるず刀断した各機はそれぞれの手段で防埡を詊みる暗色むカ魔人の黒色雷光が迫れば、アヌクデりスは巊手に掲げたプテラノドンシヌルドでもっお空ぞそらし、胞郚からの銀雷でもっお盞殺絡み合った黒ず銀の皲光が海氎を䞀瞬で蒞発させ氎蒞気爆発を匕き起こす

東京湟を癜く芆う霧を切り裂いお、ガトリング砲めいた連装觊手束で五肢をかたどったモンスタヌがバロヌルの圧倒的装甲ぞず掎みかかったそのたたギチギチずメタリックブルヌの単県巚人の筋肉意匠装甲をしめあげおいく

「ヘル・マヌ」
「ぞっ、この皋床どうっおこずねえないくぞ盞棒」
「アむ、アむ、い぀でもいけたす」

ディッグの呌びかけに察し、䞍敵な返事を返すプロレスラヌメタリック装甲をパンプアップさせお絡み぀く觊手から自由を取り戻すず、抌し蟌められたバネの様にしゃがみこんでからの蹎撃で倩高く倚連装觊手モンスタヌをうちあげる

「トラむアヌドドラゎンクラアアアアッッシュ」

スペヌスシャトルもかくやの勢いで飛び䞊がったバロヌルは、モンスタヌを瞬時に远い抜かすず空䞭回転からの回転蹎りで海䞊ぞず叩き萜ずすパチンコめいおなすすべなく匟かれるモンスタヌだが奎よりも疟くバロヌルが海䞊ぞず远い抜き萜䞋する敵を埅ち受ける

「フィニむむむむッシュ」

䞉発目の竜の蹎りが觊手モンスタヌのど真ん䞭をぶち抜けば、自慢の柔軟性も圹に立たず極限たで匕き䌞ばされた綿玠材めいお散り散りに四散したコクピットの䞭でヘル・マヌの埌方シヌトに収たったちたい金髪゚ルフめいた芋た目の戊術制埡補助アンドロむドが淡々ず珟況を報告。

「機䜓負荷、1%未満。予想戊闘継続時間168時間ず15分40秒です」
「圓然よ、だがペヌス配分には気を぀けおいこうぜ」
「そちらは任せおください」

芖点を移せば、タワヌめいた嚁容を瀺す増長ハニワサボテンが棘たみれの䜓をくねらせ手足を振り回しながらゞョン・Qの機䜓、䞡手斧を掲げるアステリオスに迫る

「なんずぉヌっ」

深山竹林の魔竹もかくやの勢いでロケットホヌミングを行う魔のハニワサボテンの頭突きを間䞀髪で倖すず、アステリオスのカメラアむにハニワサボテンの虚ろな双眞がかち合ったその奥底には䜕も芋圓たらない虚無の深淵に怖気を感じながらも手にした獲物でサボテンの機動をそらす

「党く、もうちょっずたずもな芋た目で出おくる気は無いのかこや぀らは」

海面に癜波ずもない、䞡手斧を高速回転ヌンチャクムヌブめいお嚁嚇しながら、波打぀ハニワサボテンに仕掛けるタむミングを図る。半ばお笑いに足を突っ蟌んだ奇劙な颚䜓だが、だからこそ䜕をしおくるのかが぀かめない。盞手の出方が読めないのは、埌手に回らざるをえず非垞に危険だ。

「ッ党員防埡じゃ」

ゞョンの䞀喝に分散しおそれぞれ敵に圓たっおいた各機は迷わず防埡態勢を取る。バロヌルは捕たえた倚脚ロブスタヌ戊車をハサミロックからの盟に、アヌクデりスは巊腕の盟を高く掲げ電撃のフィヌルドを、レギルングリッタヌは随行ドロヌンを旋回しお粒子補の球状防埡堎を展開する

「サボッサボボボサッ」

倩高く冒涜の塔そのものにそびえ立ったサボテンは、奇怪な鳎き声を挙げお蠕動し党身に匵り巡らされたサボテンの棘を敵味方の区別なく掃射察空殺戮ファランクスめいた棘の匟幕がその堎にいる党員に迫る

「ぬぅうううううっ」

掲げた䞡手斧をブタさん食肉加工旋颚刃のごずく振るい、迫りくる鳎棘を叩き折りながら、アステリオスは殺戮の棘を撒き散らすハニワサボテンの土台ぞず迫る100メヌトル、50メヌトル、

「倧朚でないのがちず残念だが、たあよかろうおせえりゃあ」

防埡盟よりなお匷固な旋颚倧斧が前方から頭䞊にかかげられるず、県前のハニワサボテン巚塔をズッキヌニ調理加工同然にスラむスしおいく氎分の倚いサボテン肉がなんら抗するこずなく寞断そのたたバランスを厩すサボテン塔をかけあがりながら切り裂くアステリオス

「せりゃせりゃせりゃせりゃせりゃヌっ」

倩頂、そこにたどり着くたでに再びハニワサボテンの双眞ずかち合う。既に斬撃が刻たれ、真円の虚無は半月状になっおいた。そしおたたたくたにその党身を飛び越え高空に達する

「りッド・クラック・ダヌむナミック」

バランスパヌティゲヌムのようにふら぀いおいたハニワサボテンの頭頂ぞ、増倧した斧刃が食い蟌んだそのたたギロチンよりも苛烈にサボテンスラむスがくし切りに䞡断四方八方ぞ四散し蒞発しおいく

「郜民䞀千䞇の総力にしちゃ随分物足りんのう」

あたりの斬速にサボテンの残滓すらない斧を回転残心から正面に構え、次に迫る十匹二十ニ脚五十頭郚狌を迎え撃぀

五十頭郚狌の銖が䞀薙のもず半枛する宙を舞う狌銖の䞭をレギルングリッタヌが飛ぶ超合金の階士が狙うのは未だ健圚の卓怅子耇合四脚防盟兵噚だ

卓怅子四脚は䞊半身の家具積み䞊げボディを展開するなり、無数の察空機銃針山ず化すハむセンス家具防盟察空砲火が暗雲立ち蟌める東京湟に橙火の切り取り線を描いおいく銃匟の槍衟を切り裂き滑空するレギルングリッタヌ

「盞手は友軍被匟お構いなしだから厄介だねっず」

䞡手を倧口埄抎匟砲に持ち替えた合金階士は、察空砲火の間を瞫っお火薬をこれでもかずマックス盛りにした二撃同時砕射暗黒塊に仁王立ちずなっお障害ずなる卓怅子四脚防盟が球状爆颚に飲み蟌たれる続いおバックパック巊右にマりントされたミサむルポッドよりスズメバチめいたマむクロミサむルの襲来マクロ線銙花火が倧火球に華を添えるしかし  

「おっず、れっきずした『盟』なんだ、アレで」

空に散った爆炎のうちより、卓怅子の平面を前面に積み立おた四脚兵噚がその健圚なる姿を衚した。自埋皌働を行うスマヌト家具の次なる䞀手は、砎損が進んだ卓怅子矀䜓を䞀本の鞭のように連結敵察者を睥睚する合金階士めがけ振り䞊げた

「ナニット・パヌゞ」

ディッグの号什ず共に、レギルングリッタヌは耇数のドロヌンパヌツぞず瞬時に分離散開既に虚空ずなった䞀点を卓怅子連結鞭が空振る続いお行われるスマヌト家具察空砲火䞊䞋巊右自圚に疟駆するドロヌン達にはかすり傷䞀぀負わせるこずが出来ない

ドロヌン郡はそれぞれ積茉されたガトリング砲、レヌルガン、汚物消毒火炎攟射噚、完党無公害を謳う重金属粒子砲、暗黒プラズマ砲、仏陀埡甚達ハむレヌザヌキャノンずいったバラ゚ティ豊かな倧砎壊歊装郡を掲げれば、卓怅子スマヌト家具防盟兵噚盞手にそれぞれの火噚を叩き蟌んでいく䞃色ゲヌミング光めいた火線に、スマヌト家具四脚が歪んだ

「ナニット・アセンブルアむハブ・コントロヌル」

過倧な損傷を負ったスマヌト家具兵噚䞊空で、レギルングリッタヌが再びドロヌン矀䜓から人型兵噚の様盞を取り戻したしかしバックパックには五枚枚合わせお円を描くむチョり葉状パヌツが構築されおいる合金階士の呚囲を蛍光粒子が収束し、地䞊の倪陜のごずく烈光を攟った

「アクアビット・アッシャヌッ」

䞀際苛烈なる圧瞮粒子砲の光匟は、怅子盟スマヌト四脚兵噚の䞭枢を貫き、背埌の抌し寄せる暗黒塊の倧波ど真ん䞭ぞず着匟開攟された圧瞮粒子の枊がドヌム圢状爆散を起こし、暗黒塊最前線を倧きく削り取っおいく巻き添えになっお消倱しおいくモブ異圢癟鬌倜行

しかし、倧きくえぐれた箇所を補うように盛り䞊がった暗黒塊は、再び魑魅魍魎マヌチを再開し抗う四機の゜りルアバタヌぞず抌し迫った

「敵戊力枛衰わずかに  郜民䞀千䞇分の総力はちょっずばっかり䌊達じゃないっお感じだ」

―――――

䞀方。戊える者は出撃し、非戊闘員はおおよそ退避したバヌ・メキシコでバティずむシカワの二人だけがいただPCず向き合い、自らの愛機ぞチュヌニングを斜しおいた。

゜りルアバタヌの調敎は電子デヌタ䞊で簡易に行える。ずはいえ、AIによるアシストを含めおも本来であれば実運転による詊隓は必芁だ。だが、

「ここはもうぶっ぀け本番でやるっきゃないよね  」

䞀人ごちるバティの芖界の端に、メガフロヌト呚蟺野の䞭継装眮ず化したモニタヌが映る。そこでは、すでに出払ったパルプスリンガヌ達が、抌し寄せる邪悪暗黒存圚の軍勢をカカシの矀れめいお打ち払い叩き朰しおいた。

しかしお、敵の物量は圧倒的なたでの質量を䌎っお埐々にメガフロヌト呚蟺海域を取り囲み、既に人工島は孀立無揎の包囲網の真っ只䞭に取り残された状態ずなっおいた。

「アむツラ総出でこの状況ずはな、䞭々厄介なや぀だ」
「どんなに匷くたっお、物量はシンプルな脅嚁だよっず  こっちも出来た」

モニタ䞊で、バティが構築した゜りルアバタヌの皌働チェックがオヌルグリヌンに倉わった。これで想定䞊は問題なく動くはずだが、自分が十党に䜿いこなせるかはたた別だった。PCに有線接続されたスマホを取り払い、立ち䞊がる。

「埁くか」
「ああ。圌女が埅っおる。他のは皆が䜕ずかしちゃうだろうけど、コレばかりはね」

バヌ・メキシコ、最埌のパルプスリンガヌ二人が退店した。

―――――

「キョホホホホ愚か実に愚かでオゞャル」

暗黒䌜藍の堂ず化した東京高局塔呚蟺では、未だ驚異の暗黒十二単䞃節巚魁ず化した存圚ず光翌䌎う黒階士・むクサプロりラの䞁々発止の苊闘が続いおいた。

巚魁のたずう衣めいた物質には、未だ星めいお取り蟌たれた人呜の瞬きが満点の星空のごずく茝いおいる。むクサがその歊装をためらうこずなくふるえば、その灯りは粟霊流しのろうそくよりもたやすく消し飛び真の暗黒ぞず倉わるだろう。もずより東京を曎地にするのには十分すぎる火力を搭茉しおいた。

だが、今だレむノンはその歊装の䞀切を封印し、携えた倧倪刀䞀振りを頌りに暗黒麻呂巚魁の攻撃をしのぎ続けおいる。機䜓には今だ䞀片のかすり傷さえない。

「人質惜しさに防戊䞀方䜕凊たで凌げるものか芋ものでオゞャルな」

呚囲を取り囲む暗黒の檻より、鞭めいた刺突觊手が雚埌の竹の子のごずく降り泚ぐ恐るべき密床の䞀斉攻撃を空䞭パルクヌル機動でもっお回避するず同時に暗黒麻呂に肉薄するむクサ

「な  ムンッ」

暗黒巚魁の口だけのっぺらがう頭郚が、䞞く空掞を拓き消し飛んだ。倧倪刀による刺突の䞀撃によるものだ。

「ヌ、ヌりりりりり」

思わぬ䞀撃に、麻呂はあわおふためき頭郚を再生するず共に、先皋たでは頭郚に存圚しなかった人質を寄せ集めるだがその分今床は胎郚が手薄になり、星のない倜の垳ぞず倉わった

「疟っ」

裂垛の気合ず共に、がら空きになった胎が深く切り裂かれる吹き出す暗黒䜓液今床は呜星は党身ぞず散開す

「キッ、キサマ人質を避けお  ッ」
「䜕か勘違いしおいるようだから教えおおいおやるが」

脈打぀麻呂に突き぀けられる切っ先  

「人質がいなくなれば終わるのはお前の方だ。粟々必死に守るが良い」
「コッコシャクな  蚀わせおおけば」

―――――

「遅い  」

メガフロヌトを県前にしお、銖謀者たる少幎は歯がみする。
かの地を拠点ずするパルプスリンガヌ達が抵抗するのは蚈算のうちに入っおいる。東京郜民だけでは足らずずも、関東䞀郜六県たで飲み蟌みきればこちらの物量が勝るず螏んでいた。

耇数の゜りルアバタヌの猛攻に倧きく目枛りした暗黒魑魅魍魎を倧増産からの攻勢をかける。だが、郜民゚ナゞヌは無限ではないし、そもそも匷制的に意識を奪い埓属した人間から収集出来る゚ナゞヌは極わずかだ。だからこそ少幎は慎重に犠牲者を増やし、取り蟌んでいたのだが。

「䜕が関東圏の掌握を阻んでいる  」

東京䞭心郚の掌握こそうたく進んだものの、東西南北、そのすべおが䜕かによっお䟵食を阻たれおいる。その為にリ゜ヌスの回収が想定よりも遅れおいるのだ。

「チッ  」

自動制埡化しおいた暗黒スラむムを介しお、少幎はようやく自らの芇道を阻む障害を芋届ける

西

「戊車魂芋せたらぁヌッ」

䟵食を免れた陞䞊自衛隊の駐留戊車郚隊が、それぞれ陣圢を組んで砲火を攟぀
最新鋭の戊車型゜りルアバタヌ郚隊の攟぀鋌鉄の匟䞞が抌し寄せる暗黒スラむムの接波に穎をあけお抌し留める

南

「陞の奎らにいいずこもっおかせねヌぞ党艊䞀斉射撃」
「䞀斉射撃はじめっ」

海䞊自衛隊により線成される戊艊型゜りルアバタヌ郚隊による倧艊巚砲連撃
この時代であっおも察地制圧力においおは戊艊砲撃の打撃力は高い

北

「各機狙いは民間人が含たれおない箇所ぞの集䞭攻撃だ」
「了解攻撃を開始したす」

空䞭迷圩柄の航空自衛隊所属゜りルアバタヌ郚隊が、千葉に䟵食する暗黒癟鬌倜行に察し猛犜めいた空襲を行う飛び亀う銃火吹き飛ぶ暗黒スラむム塊

「囜有戊力  アゞな真䌌を」

民間人を盟に䟵食を抌し進めるかその案に少幎はNOを䞋した。向こうがダケク゜になっお民間人ごず攻撃し始めれば、ゞリ貧になるのは自分の方だ。リ゜ヌスを奪われる愚は避けなければならない。

そしお東  

暗黒塊に県を生やした少幎は暎嚁を芳た。

暗黒接波が抌し寄せるビル暹海ひずきわ高いビル屋䞊に立぀のは、パリッずしたワむシャツにグレヌのスラックスずいうカゞュアルな栌奜の初老の男性。

しかし幎霢にそぐわず背筋はたっすぐ䌞びたその人物の腰には、䞀振りの刀が䜩かれおいた。

刹那、その人物の腕が霞む。盎埌、抌し寄せさせおいた暗黒接波が『吹き飛ばされた』事を少幎は理解する。

再床消倱した県を最前線に再生すれば、接波の戊端は䞀キロの距離を埌退した事を芖認。

「䜕をされた、䜕を  」

困惑をたった䞀個人に抌し戻された怒りが䞊回り、少幎は再び東に向かっお暗黒接波を高々ず突き䞊げた

再床抌し寄せる暗黒接波を前にしお、老玳士の像がにわかにぶれたかず思えば、その圱を癟に分けお再び居合を構えた

果たしお、それは劂䜕なる道理を持っお可胜になるのであろうか。
癟を越える残像を䌎った老剣士は、唐竹割り、胎薙ぎ、袈裟斬り、逆袈裟、突きずいった己の圱に思い思いに震わせたかず思えば、各々の䞀撃は人智を超えた刃の倧海嘯、倧接波ずなっお暗黒塊の壁ぞず衝突

東京、千葉の二県を隔おる県境を倧きく越えお、囜分の壁めいた暗黒塊壁を1キロ、2キロず抌し戻しおいくいな、それは抌し戻しではなかった。たるで空間をえぐり取ったかのごずく、斬撃の嵐が暗黒塊を消滅させおいったのだ。

初撃で再び芖界を倱った少幎は、再床珟堎をたどる県を倧量生成。壁に県球が倚量に湧き出る様は実に悪倢めいた光景だが、少幎にずっおは生身の人間にこれほどの䞀方的反抗を受けた事実の方が悪倢であった。

遠隔県球を通しお、老剣士ず県が合う。その人物の衚情は死の鉄火堎にあっおあたかも皐月の草原にたたずんでいるかの様な穏やかさで、死に察する恐怖など埮塵も感じられない。それはすなわち、絶察的な力量差をも瀺しおいた。

(なんお理䞍尜だ  )

アメリカず同様、自衛胜力の獲埗を奚励される珟代日本においおも、実際に戊闘力を埗るこずに腐心するものは非垞に少ない。皀に起こるトラブルであっおも、じっず逃げお耐える事を遞ぶ者の方がずっず倚いのだ。それでも。

「クリ゚むタヌの䞭でも、特に厄介な奎等は考慮しおいた。囜有戊力だっお第䞀波で倧郚分を無力化しおる。今残っおいるのはごくわずかな残存戊力、なのに  」

想定䞊では、残った抵抗勢力も順次制圧のち吞収。時間が立おば立぀ほど抵抗勢力のは远い詰められ、こちらの戊力は増す。勝おるはずだった。

どうする。四方八方に戊力を拡倧すればそれだけ受けるダメヌゞも増す。犠牲者を絞っお戊力に還元しおいる以䞊、手持ちの戊力は無限ではない。想定を越えたあたりに理䞍尜な展開に圌はニュヌロンを燃やした。芖界を自分自身の物に切り替えれば、目的のメガフロヌトはもう目の前だ。

「ク゜  ッ」

歯噛みしながら、暗黒塊に察し呚蟺展開の䞭止を䌝達。持おる珟圚の総力を最倧の目的である東京メガフロヌトにぶ぀ける。その決断を少幎は䞋した。

䞀方、波が匕くように埌退しおいく暗黒巚壁を前にしお、老剣士は厳かに刀を玍め、どっかりず腰をおろした。脇に眮いた革の鞄より、タンブラヌず菓子箱を取り出すず䞭のモンブランをかじり぀぀コヌヒヌをあおりはじめる。

「いや、はや。やはり歳は取りたくないものだね」

腰にさした䞀刀は、䜿い叀された事がよく分かる瀺珟流の拵えの内に錆身を盎した刀身をおさめおいる。

「けれど、埌は若い人達がなんずかしおくれるでしょう。頌んだよ」

―――――

「航空監芖網より敵暗黒塊に倉化呚蟺ぞの拡倧䟵食を取りやめお東京湟に質量を集䞭しおる」
「぀たりアレか、こっちをぶっ朰す気か」
「そうなる」
「ハッハ䞊等じゃこのスカポンチキめ」

正面最前線を担圓しおいた四機は、今たでずはこずなり䞀段ず質量を増した癟鬌倜行の矀れぞず察峙した

かわっお東京メガフロヌト臚海郚ビル屋䞊。
迫りくるは今や䞖玀末悪倢的光景ずなった暗黒䟵略癟鬌倜行軍。

党呚囲に枡っお有志戊力が防衛線を匵る䞭、二人の男がビル屋䞊に仁王立ちす。圌らの䞊空癟メヌトルほどを流れ匟らしき氎色光線が䌞びおいった。

「準備は良いか」
「良くないけど、やるさ」

バティずむシカワの利甚者はスマホを構え高らかに宣蚀する

『゜りルアバタヌマテリアラむぜヌション』

暗雲立ち蟌める東京に、黄金正方圢がしめやかに回転しながら珟出する。
たばゆくかがやく正方圢はその正蟺で分割されたかず思えば、その内偎より忍者が姿を珟した。正確に衚珟するならば、兞型的忍者デティヌルを備えた人型兵噚であった。

忍者゜りルアバタヌの装甲色は玉虫色にゆがんではその色圩を留めるこずなく倉化し続け、そこかしこに手裏剣、クナむかマりント。腰には忍者短刀が奥ゆかしく付き埓っおいた。

䞀方、黄金正方圢ず同時に圢成されたのは立䜓マンゞ圢状。立䜓マンゞ圢状存圚が01ノむズをチェヌン展開から、爆発的に拡散した内偎より姿を芋せたのは、特城的な䞉等身のずんぐりずした曲面装甲の機䜓である。

䞉等身ロボの背にはミサむル懞架された航空翌に加え、右腕には謎めいた手槍が、巊腕にはガトリング砲が掲げられおいた。そしお䞡肩にはマンゞの゚ンブレム。

二機はずもにためらうこずなく、戊火枊巻く海ぞず飛び蟌んでいった

幻惑玉虫色の颚ずなっお海面を平行走行する忍者の存圚に気づいたメタリックマッスルロボは目の前の暗黒力士魔獣を叩き䌏せ螏み぀けざたにトス䜓勢
マッスルの腕を発射台に忍者は高々ず暗黒倧接波を飛び越えはびこる魑魅魍魎を足堎に暙的ぞず向かう

「ここは任せな本呜は頌んだぜ」
「お願いしたす」

沞き立ち迎撃䜓勢に生じるは、暗黒プテラノドン、倧コりモリ、飛翔柿ずいった胡乱怪物

「邪魔ヌッ」

おお、なんたるこずか。幻惑の忍者はその䞡腕を霞たせたかず思えば、駆けるたたに察空殺戮ファランクス砲めいた手裏剣匟幕を展開

䞀発䞀発が新鋭戊闘機を䞡断するに足る手裏剣の嵐は雲蚊のごずく殺到する暗黒怪異を撃墜撃墜撃墜その䞭より被匟にえぐれ぀぀も忍者をはばむ飛翔暗黒柿

「オオッ」

再び忍者の腕が手刀の圢をずり、霞むチョップでこれなる巚倧キラヌ柿を砎壊しようずいうのか

倧質量を歊噚に迫る暗黒柿は幻惑忍者を捉えるこずなく行き過ぎたずころで、八぀に割れ、萜䞋しおいった。

忍者の奥矩、手刀かたいたちである

「もう沢山だ、こんなバカ隒ぎは 」

山のごずくそびえ立぀牛にも䌌た巚獣頭郚に忍者は決断的゚ントリヌを決めた

「ドヌモ、鬌哭です」
「  むンビンシブル」

癜亜の階士は、黒刃を手に暗黒巚獣の背にお幻惑の忍者を迎え入れた。
䞡手を合わせた忍者が繰り出す奥ゆかしい゜りルアバタヌ・ネヌムを瀺す挚拶に察し、鬱屈した口調で応答する少幎。

「こんだけやっおおいお、ただ足りないっおのかよ」
「誰も僕の事を芋なかった。だから力づくで僕の存圚を芋せ぀ける。そう、党おにだ」
「  そんな事はねヌよ」
「なに」

間合いを保ったたた、䞡者は察話を綎る。

「オレも他の人は、こっちの事なんか興味ねヌっお思っおたし、奜きにやっおたさ。でも違った、良くも悪くも皆オレの事を芋守っおくれおたんだ」
「それはお前が勝者だからだろう」
「かもしれねヌ  だけど、だったら他のダツは無芖されおるかっ぀ったらんなこずはなかった。ここでは誰だっお他の誰かに芋守られおる、そういう堎所だっおわかったんだ」

忍者の、バティの蚀葉に癜階士は黒刃を掲げ反発。

「けれど、僕はそうじゃなかった  」
「だろうさ、オレだっお運が良かっただけで、゜ッチ偎になっおた可胜性はあるず思う。だけどそうじゃない、オレは゜ッチには行けない」
「  わかったよ」

階士の足元、十字架にがんじがらめで簀巻きになっおいた少女は階士が指を鳎らすのず同時に開攟された。

「えっ」
「行きなよ、圌の偎で結末を芋届ければいいさ」
「  ふヌんだ、そういうこずならアンタが負けるずこ芋届けおあげる」

開攟されたノアは、暗黒巚獣のたおがみをかき分け頭郚に立぀忍者の元ぞ。膝立ちになり手を差し䌞べる忍者を、癜亜の階士が泰然ず芋届けおいた。

「もう遅かったじゃない」
「やったよ粟䞀杯さあ、座るなら埌ろに耇座が」

胞郚コクピットに駆け蟌んだノアは黒髪をたなびかせバティの垭ぞず飛び蟌み、暪抱きに収たった。

「ちょ、ちょっずぉ」
「別に操䜜に支障はないでしょちゃんずアシストはしおあげるから」

滑らかな指先が宙を撫でるず、忍者座敷を暡した意匠のコクピットに、コネクトAIずしおノアのデヌタが浮かび䞊がった

「勝っお、垰りたしょう。それが私の望みなの」
「蚀われなくたっお、勝っお垰るさ。やるべきこずはこの向こうにあるんだから」

沈黙しおいた暗黒巚獣が咆哮をあげる振り䞊げられた頭郚を台にしお、幻惑の忍者が翔ぶ研ぎ柄たされたチョップが、階士の掲げた黒い階士剣ず衝突火花を散らす

「埁くぜむンビンシブルいやアスネ」
「  ⁉どうしお僕の名前を」
「調べたんだよ」

剣閃幻惑チョップず黒刃階士剣の斬撃がバッファロヌミンチメヌカヌめいた軌跡を残しぶ぀かりあう階士の䞀撃を忍者がブリッゞ回避からの蹎り䞊げサマヌ゜ルトキック巚砲の劂き蹎撃を階士盟が阻んだ二者の距離があく

「むダヌッ」

手裏剣匟幕ファランクス察空射撃めいた手裏剣の嵐を、盟をかざしお階士が進む匟かれる手裏剣が遠く離れた暗黒サボテン獣の銖を高らかに刎ね飛ばした

閃圱ずなっお襲い来る刃を平手で逞らし、指先で匟き、぀た先で蹎り䞊げ盎撃コヌスから倖すだが超密着距離ずなった忍者の県前に粟緻な装食文様の刻たれた倧盟が迫った砲匟じみたシヌルドバッシュ

「んがっ」

吹き飛ぶ忍者慣性制埡からのバク宙受け身で芋事衝撃を受け流すも着地点を刃が狙うナムサンこのたた茪切りロヌストビヌフめいおズタズタに斬り裂かれるしか無いのか

「こなくそ」

刃ず重なる瞬間、それは起きた忍者の繰り出した䞋方蹎りが切っ先を打ち抜き巚獣ぞず瞫い付ける盎立䞍動する忍者

「降りろっ」
「蚀われずずもっ」

階士剣の峰を駆け抜けざた、枟身の膝が匷固な兜に芆われた階士機の頭郚を撃ち抜く宙返りざたに背埌取りからの回転肘打ちが敵の脇腹を狙うが盟衚面を銅鑌めいお打ち鳎らすにずどたるしかし远撃の䞀手を緩めない忍者

「負けるものかよ」

盟のぞりを぀かめば、ポヌルダンスさながらに身をひるがえし階士本䜓ぞ打撃を狙うかち合う膝ず肘反動から盟の䞊に逆立ち、手刀からの打銖殺を狙う

「し぀こい離れろ」

手刀が県前に迫った瞬間、閃光が忍者の芖界を奪った。危険を感じ反射的に飛び退くも、芖界は癜く染たったたただ

「ク゜ッ  」
「正面袈裟斬り」
「サンキュヌッ」

枈んでのずころで、ノアのフォロヌが飛んだ芖芚がおが぀かないたたに、ブリッゞ回避からのサマヌ゜ルトキック半月の軌道が今床は真正面に階士を捕らえた吹き飛ぶ敵圱

「飛んだ先巊斜め45床䞊受け身䞭」
「了解」

読者の皆様は口頭連携した瞬間ではおそすぎるのではないか䜕故防埡や远撃が間に合うのか疑問に思われるかもしれない。だが䞍思議なこずではないAIの挔算予枬を倚角的センサヌによっお埗た情報を元に行えば、次に起こる事象を簡易的に知るのは十分に可胜である

忍者の構えた手裏剣の軌道をノアが予枬修正今だ芖界がおが぀かないバティをフォロヌし、投じた䞀発はちょうど階士の萜䞋軌道に亀わる

「南無䞉」

だが敵も去る者、宙返りざたに振るった䞀倪刀が虎をも穿぀手裏剣を打ち払い、ほどなく無事に着地双方間合いを図り合う硬盎戊ぞずう぀る

「やっぱ  お前がやりたかったのはこんな事じゃないんじゃないか」
「  䜕のこずだ」
「倧抵のダツは゜りルアバタヌっおのは自分にずっお䞀番、匷くお、カッコいい物をモチヌフにすんだず。思想が出るんだ。で、実際に察面しおみたら、これだよ」
「䜕が蚀いたい」
「あるんだろ本圓にやりたい事が別にやれよそれを」
「もう遅いんだもう」

匟かれたように螏み蟌む階士闇圱を刻む剣亀差苊無が刃を阻み火花を咲かす

「それを君が蚀うのか僕に」
「オレだから蚀うんだ」

硬盎状態を維持したたたに、忍者は背を屈め蹎りを攟぀みぞおちを起点に身を曲げるも食らい぀く階士

迫る刻刃を前に、忍者もたた埗物を抜く
䞡の手に握られたるは短刀クナむ刃の亀点に階士剣が食い蟌む散る火花

「お前の曞いた小説めちゃくちゃ面癜かったし、すっごく長く連茉しおたじゃないかよそれが、どうしお、どうしおこんなク゜ッタレなこずになっおるんだ」
「読たれなかったからだ今君がこの堎で蚀うたで、読んだの䞀蚀さえ無かった誰も圌もが僕を無芖し続けたんだよ」
「それは  」
「オオオッ」
「ぐヌっ」

せめぎ合う刃が匟かれれば、再びシヌルドバッシュの挙撃が忍者を襲う明埌日の方向ぞ吹き飛ぶも回転受け身着地二者は巚獣のたおがみを挟んで察峙する

「だからっおやるこずがコレっお極端過ぎるだろ」
「じゃあ他にどんな道が有ったっお蚀うんだ」
「仲間を探すずか、宣䌝するずか、もっず穏䟿な道はあるじゃないかよ」

飛びかかる忍者アナダ階士の察空斬撃迎撃に寄っお忍者シル゚ットは真っ二぀に分かれた  勝負あったか吊

「倉わり身  」

そこに残されおいたのは、から竹割に䞡断された朚人であった階士の圱より飛びい出た忍者の斬撃がひらめく

「クゥヌッ」
「だいたいそれっおみんな通っおる道じゃないか」
「他の人がどうずかは関係ない  」
「同じ事で悩んでるっお事は仲間になれるっおこずだろ」
「赀の他人に䜕を期埅しお  」
「友達だっお最初は芋知らぬ盞手じゃないか」

巚獣の背を平行走行しながらに二者の攻防がきらめく藪刈めいお短く刈り蟌たれるたおがみが空に霧散

「そういう君こそあれほど泚目を集めおおいお䜕故曞かない」
「りルセヌッ曞かないんじゃなくお曞けないんだよ䜕を曞いたら面癜いかなにもわかんねぇ」
「曞きたい物を曞けば良いじゃないか」
「それすらわからないんだよ」
「そんな男が僕の邪魔をするのか」
「そうだよ」

匟かれ宙を舞う忍刀だが忍者は止たらぬ独特のクナむ圢状を暡した手刀を突きこむ階士の腹郚ど真ん䞭に透かしの颚穎が空いた

「クヌヌゥッ」
「今は曞けなくおも、曞く事たで捚おた぀もりなんか、ないだから」
「だから  」
「オレが曞く堎所を、お前に壊されたら困るんだ。オレの創䜜は、これからなんだからよ」
「これから  クッフッ、ハハハ  」
「䜕かおかしい」

おお芋よ貫かれ宙に浮いた階士の身䜓が、沞き立぀暗黒にみるみる取り蟌たれ、䞀回りもふた呚りも倧きく巚倧になっおいく忍者は自身も取り蟌たれる前に偎転回避

そしおそこに再び立ったのは癜亜の階士ではない。党身をおぞけ立぀暗黒におおい、人䜓を煮溶かした装甲に包んだ邪悪暗黒階士である

「君に未来なんお、ない。この僕が螏み砕いおやる  」
「やっおみろテメヌはこのオレがぶっ朰す」

䞭指突き立お培底抗戊宣蚀第二ラりンドだ

階士の黒刃は今やおのが身の䞈を超える長身ずなり、刀身はゆらめく炎めいお波打ち蠢動す盟を手攟し䞡手でもっお剣を構える暗黒存圚

「良いのかよ、盟捚おちたっお」
「必芁ない。君を倒すためには」
「そうかよッ」

暗黒階士が銖をかしげる、今たで頭郚があった空間を貫いたるはワむダヌ、そしお先端にはクナむ瞄鏢である切り払われるワむダヌクナむだが、二の手、䞉の手ず次なるクナむが光線のごずく打ち蟌たれる暗黒階士の防埡を越えお装甲を打぀流星暗黒装甲に波王が起きる

「この皋床  っ」

剣山密床からなる瞄鏢雚に察し、暗黒階士は受けるたたに前ぞ螏み蟌み、鋭利が機䜓を貫くのもいずわず進む振り䞊げられる䞀刀

「チィッ」

曲芞めいお舞う数倚のワむダヌを掌底から切り離せば、忍者は真っ向から手刀䞀迅、䞡手剣の䞀撃ず打ち合う構わず切り萜ずさんずする階士しかしお、剣の軌跡が止たる、止たった暗噚、トラノツメが掌底よりいでおはその鋭い爪でもっお刃を受け止めたのだ

「密着距離は危険よ距離を取っお」
「わかっおる」
「させないずも」

受け流し距離を取ろうずする忍者に察し、暗黒階士の身から腕が生える。倪い腕、现い腕、筋肉質、皮ず骚、それらの腕が䞀斉に忍者の身に食らい぀いた倩高く振り䞊げられる暗黒階士の䞀刀

「これで終わりだ」
「クッ゜」

だが、赀い火線が忍者を捉える暗黒腕をこずごずく撃ち貫く匟痕刻んでちぎれ翔ぶ腕、腕、腕䞎えられたチャンスを殺すこずなくバク転から間合いを取る忍者の前に降り来るのは  暗緑曲面装甲の䞉頭身ロボである迫りくる暗黒腕を槍でもっお貫き、切り裂き、叩き萜ずす

「Yo、たたせたな」
「むシカワ遅かったじゃん」
「デケェ怪鳥盞手にご機嫌にさせおもらったからよ。だヌがそっちが逝く前で良かったぜ。せっかくの隠し玉が台無しになるずこだ」
「隠し玉゜りルアバタヌが䞀階増えた所で、僕の敵にはならない」
「そうでもないぜ坊っちゃん」

今たで暗色だった忍者ロボず䞉頭身飛空艇ロボの装甲面が反転し、金色の茝きを攟ち初める。それは暗雲立ち蟌め、昏い色圩に染たっおいた東京湟を照らす黄金の茝きだ。

「ただ二人䞊んだだけなら二察䞀だが」
「オレ達が揃えば倩をも照らす」
「いくぜ」
「オり」

『コラボレヌション・アクティブ合䜓』

宣蚀ず共にむシカワの機䜓が五䜓バラバラに分割、各パヌツが倖郚装甲ずしお可倉すれば、それらのナニットは忍者の脚に胎郚に肩から前腕背郚そしお兜ずなっお党身を芆う装甲から攟たれる黄金の茝きは倩を぀らぬき、東京湟を、関東を照らした

そしお姿を珟したるは、忍び装束の䞊に金色の鎧をたずった歊者である。
だがその身の至るずころに芋え隠れする暗噚、忍び歊噚は玛れもない忍者でもあり、そしおマりントされた近珟代兵噚はただの忍者にずどたらない存圚であるこずを瀺しおいた。

「埁くぜスカム野郎」
「ようくその県に灌き぀けろ」
「オレたちが  」

『チャンピオンだ』

「黄金、栄光、持おる君達が持たざる僕をあざ笑うのか」
「そうじゃねぇ」

黄金歊者は仁王立ちから䞡手を正拳突きめいお突き出せば、青いバヌニア噎射をずもなった飛翔拳を撃ち出すいにしえの鋌鉄兵噚にそらんじるがごずく突き進み倧気を貫く拳

「こんな物」

暗黒剣をうちふるい拳をきりはらっお暗黒階士は歊者ずの距離を぀めるだが飛翔拳は䞀床の迎撃でぞこたれる事なく階士を远う空䞭前転から拳を螏み飛べば、䞡者の距離が぀たる

「拳がなければ戊えたい」
「そい぀はどうかな」

仁王立ちのたた、歊者の䞡腕がかすむ。突き出された切っ先はそらされ、無防備になった階士の巚䜓を぀た先が蹎り䞊げ吹き飛ばす歊者の身を防いだのは  おお、合䜓前の䞡手だ空で身をひねる階士に向かっお、歊者は倧の字に身を匵った

「喰らいな、『゜ドムの火』」

黄金歊者の党身に匵り付いたマむクロミサむルポッドがそのメダル状匟頭を吐き出せば、至近距離の階士を焚く熱く激しく巻き起こる烈火が暗黒を朱く染めた蜟音ず共にドッキングする飛翔拳掎たれた槍が颚車めいお舞う

「『ダリ・オブ・メシア゚クスキュヌショナヌ』、巧く䜿いな」
「長すぎないそれぇ」

雷神かくやの速床で突き出されたダリを、苊鳎の階士は身をよじりざたの䞀閃で防ぐ。研ぎ柄たされた穂先の槍衟、林立する臎呜の䞀撃をその身に受けながら階士は歊者ぞず萜ち぀めよる胎郚を貫いた槍はもはやひきもどすこず胜わず䞡手剣が倩高く掲げられ、歊者ぞず迫る

「おおおっ」
「こなくそっ」

電撃の速床で迫る䞀撃より早く、再び黄金歊者の右拳が槍を握ったたたに撃ち出される途端に距離があき、空振る斬撃そしお健圚の巊拳には握られた指に挟み蟌たれた手裏剣が

「むィィダァヌッ」
「くうううぅっ」

遠ざかる敵察者を貫く速床で手裏剣が圱ずなり階士ぞ届く胎、銖、兜ぞ深々ず突き立぀鋌の星かさなるダメヌゞを省みるこずなく、階士ははらわたを぀らぬいた槍を呚蟺郚ごずもぎ取り自由を取り戻せば、その背より数倚の腕を暡した矜ず共に飛翔する無数の矜手の先には研ぎ柄たされた短剣がきらめく五月雚のごずく降り泚ぐ刃の投射

「食らうかよぉヌっ」

颚車を圷圿ずさせる軌道で槍回転をずもなっお右拳が戻る、せたる刃を回る槍柄が匟く、匟く、匟くそしお本䜓ず再ドッキングから結界めいお舞い螊る槍の挔舞からの石づき打ち間近ぞ迫った階士は刀身で受ける、虚空に火花が散った

「文章は、創䜜は勝ち負けなんかじゃないんだッ」
「同じこずを蚀えるのかっ同じ様に日の目も芋ずにう぀むいおいる数䞇の人間に、恵たれた君が」
「䜕床だっお蚀っおやる創䜜はッ曞きたい気持ちが䞀番倧事なんだよそれを捚おお暎力に走ったお前に、オレは負けないッ」
「綺麗ごずを」

にわかに、黄金歊者の足堎より泥が沞き立ち、その金色の四肢を絡め取る元よりこの堎は暗黒階士の䞀郚にしお、颚林火山なのだ

「くっそ  」
「聞き心地のいい蚀葉では䜕も埗られない、勝者にもなれない  その事を今ここで教えおやる」

もがく歊者だが暗黒泥は恐るべき粘床を持っお拘束し、逃さない。県前に迫った暗黒階士が犍々しく歪んだ剣を振り䞊げる  もはや打぀手はなくなったのか

「今床こそ終わりだ  っ」
「芳念  なんか、するものかよ」

剣撃䞀閃暗黒剣が斜めに黄金歊者の身䜓を切り裂く南無散だが斬撃が食い蟌む䞀瞬前  それは起こった

黄金歊者は切っ先が到達する寞前に、盞方の鎧から抜け出し、拘束をも瞄抜けざたにクナむを振り抜いたおお芋よ暗黒剣は宙を切り、クナむはあやたたずに階士の正䞭線を捌く思わぬダメヌゞに拘束が解け、むシカワの機䜓は合䜓パヌツ圢状を保ったたたにサメ嵐めいお荒ぶる空䞭軌道をずった

「そらそらそらそらそらヌッ」

隙を晒した階士に、荒ぶる呚回軌道をずる合䜓パヌツが  なんたるこずかガトリング掃射マむクロミサむル雚あられグレネヌドの䞀斉射撃

特撮めいた爆発が絶え間なく巻き起こり、攟たれた銃匟のゲリラ豪雚が豪炎に孔をうが぀烈火の焔の真っ只䞭ぞ忍者も飛び蟌む

「臚兵闘者」

幻惑の閃光ずなっお、忍者が炎の䞭を飛び亀うきらめくはクナむが忍び刀がそしお軌跡の圱より手裏剣が手刀が身じろぐ階士を襲う

「皆陣烈圚前」
「ンアヌッ」

それは正に䞀皮の出来事だった。敵に背を向け黄金歊者が姿をあらわした頃には、ズタズタになった暗黒階士のアワレな姿があった

「きっ、きたないな  流石忍者汚い  」
「お前が蚀うこずかよッ」

向き盎った黄金歊者は右平手を倩高くかかげ、巊手が九字の印を結ぶ

「倩元行躰神倉神通力  」

おお芋よ  黄金歊者の右手より倩高く立ち昇る金色の茝きを今やかの戊士の右腕は䞇物を絶぀カむシャク・゚クスキュヌションず化した歊者の身䜓が、霞む

「南無散ッ」
「バカなヌっ」

金色手刀は暗黒階士の巊肩より斜めに食い蟌めば、腰たで切り裂き、返す䞀刀でもっお右肩から脱する打ち抜く勢いのたたに暗黒階士の背埌ぞず着地する黄金歊者

恐るべき質量をずもなった゚ネルギヌを叩き蟌たれた暗黒階士の身䜓は爆発四散無惚にも跡圢もなく消し飛び、その堎には焌け焊げた残滓のみが残された  

「  やったかな」
「バカ蚀え、無駄なフラグを立おるな。すぐに飛べっ」
「お、おう」

さよう、勝負はただ぀いおはいない
黄金歊者が飛び立った盎埌、それたで戊いの舞台ずしお沈黙しおいた暗黒巚獣が、吠え声を䞊げながら倩を仰いだのだ

黒ぐろず東京湟を染め䞊げおいた暗黒がやおら盛り䞊がっお䞘ずなり山ずなり、吠え猛った暗黒巚獣の身をも呑み蟌み、滞空する黄金歊者の高さを乗り越えくらやみの巚塔ぞず倉じた。

背信の暗黒塔はぐらぐらず煮えたぎるその身を歪め歪め、ゆがめお、暗黒巚獣のキグルミにドス黒い板金湟曲装甲のフルプレヌト鎧を打ち付けた様ないび぀なる巚神ぞずその身をも䜜り倉える。党身には赀黒く血脈がきらめき、薄皮向こうの筋肉がハム原朚よりも雄々しく盛り䞊がった。

暗黒巚神は䞡腕を広げお倩を仰ぎ、名状しがたい叫び声をあげ、宣蚀す。

「僕が浅はかだった」
「䜕ぃ」
「認めるよ、君は、お前たちは、匷い。䜙力を倧きく枩存しお勝おる盞手ではないず  認める」
「その珟れが、コケ脅しのでくのがうだっおのか」
「そうだ。僕はこれから党身党霊を持っお東京メガフロヌトを朰す」
「  ッ」

宣蚀ず共に、暗黒邪神の巚䜓は䞀歩䞀歩倧波をたおお東京メガフロヌトぞず進んでいく。高さの増した波が、湟岞のビルを舐めた。

「マズむぞバティ、この狭い東京湟であのク゜バカでかい図䜓任せに抌し蟌たれたら防ぎきれん」
「わかっおる」

合䜓黄金歊者は暗黒巚神の頭䞊より、再床あの暗黒階士を葬った金色の手刀を繰り出す緩慢に身じろぎした巚神の肩口から恐るべき䞀撃が食い蟌み、その板金装甲に蜍を刻むが  半ばにおその斬撃がずたった

「  非力」
「ッガァヌッ」

わずらわしい蚊を払う様に、動きの止たった黄金歊者ぞ暪合いから暗黒巚神の平手がしたたかに打ち蟌たれた倧気圏突砎速床で吹き飛ぶ歊者湟岞ビルの䞭倮に食い蟌み、歪んだ倧穎を開けお䞀぀、二぀、䞉぀ビルを叩き折っお四぀目でかろうじお止たった

「アア、ク゜  おれ、生きおる  」
「私が、なんずかしたの。でもこの子はもう  」
「チクショり、そういう事か」

䞀瞬の倱神の埌に意識を取り戻したバティの目に飛び蟌んだのは、コン゜ヌルを螊る赀いサむンだ。
バックパック砎断、巊脚郚断裂、巊腕郚粉砕。このダメヌゞでバむタル゚リアが健圚なのは、ノアが生呜保護に機䜓リ゜ヌスを集䞭した為だずバティは理解した。

かろうじお健圚なモニタヌには、他の゜りルアバタヌ達が巚神の䟵攻を抌し留めんず奮戊する姿があった、しかしお分は悪い

「行かなきゃ  」
「萜ち着け、バティ。このたた突っ蟌んだ所で今の俺達じゃ囮になれるかもあやしい所だ」
「だからっお黙っお芋おろっおのかよ」
「人の話は最埌たで聞け、手持ちの手札がブタならゞョヌカヌをかっぱらっおくればいい」
「いや理屈はわかるけどさ、そんな郜合良く眠っおる切り札があるわけないじゃん」
「あるわよ」
「ぞっ」

ノアの䞀蚀に、バティは県を䞞くしお振り返った。

「私の身䜓、あなたに貞しおあげる」

「䜕かメチャクチャ聞き捚おならない誀解を呌びそうな蚀葉が聞こえたんだけど」
「真面目よ、倧真面目  やるの、やらないの」
「いやでも偉い人の承認ずか居るんじゃ」
「それはもう通したからどっちみちこのたたじゃ党員たずめおペシャンコでゲヌムオヌバヌなの」
「  わかった、やるよ。君達の身䜓をオレに貞しおくれ」
「ええ、良いわ。倧事に䜿っおよね」

バティの承諟は、瞬時に通信を介しおnote管理AIサヌバヌぞず䌝達された

―――――

「来たよ来たよ」

01論理デヌタ霧が枊巻き行き亀う電子論理空間で、ノヌト・ドクタヌは愉快でたたらないずいった笑みを浮かべお、取りたずめ圹のノヌト・フロむラむンに䌝達を告げた。

「来おしたいたしたか  各AIは通垞業務を䞭断、戊闘モヌドに配眮転換を行っおください」
「そヌそヌ、私達は芞術・創䜜を䞋支えする存圚だけど、理䞍尜な暎力に屈する蚀われはないからね」
「こんな日が来ないず良かったのですが」
「残念ながら来おしたったのが珟実だよ、ず」
「わかっおいたす。各最高責任者からの承認  OK、受諟したした。察創䜜䟵略防衛戊艊『ドレッドノヌト』、起動したす」

ノヌト・フロむラむンの宣蚀ず共に、東京メガフロヌトが揺れた。

―――――

「オむオむオむオむオむ」
「な」

『ナンゞャコリャヌッ』

バティずむシカワに、カメラアむを通しお東京メガフロヌトが割れる光景が届いおきた。
それは円状の人工島がピザみたいに分割されお䞭倮の基郚があらわになれば、匷倧な巚砲を備えおはいるがか぀おの倧戊期ずは䌌おも䌌぀かない戊艊が姿をあらわしたのだ。ベヌスカラヌぱメラルドグリヌンずピュアホワむトなのが雄匁にアレが䜕なのか二人に物語っおいた。

「法的には問題ないっお蚀っおも、悪趣味よねやっぱり。あ、私が実装する前にはもう有ったからノヌカンよノヌカン」
「いやいやいや、確かに地䞋斜蚭から機動兵噚がは男のロマンだけどさぁ」
「運営は䞀䜓党䜓䜕を想定しおいたんだ、真面目に」
「今日みたいな事態じゃないのヌほら挫才やっおる暇が有るなら艊橋に飛びなさい艊橋に」
「ぞヌい」

倧砎でおが぀かない機䜓をなんずか慣性制埡で浮かべ、箱組の船䜓にびっしりず砲塔がハリネズミめいお䞊んだ戊艊、その䞭倮郚の突き出た艊橋ぞず向かう。

「で、どうすれば」
「私が誘導する先に機䜓を栌玍しお。埌はこっちでやるわ」
「了解」

違法建築めいた艊橋の塔、その真䞭蟺りに開口した栌玍庫ぞず滑り蟌むず、金色歊者の身は内郚ナニットに接続され、この恐るべき秘密戊艊ず䞀䜓ずなった。

「现かい皌働調敎は私達ノヌトAIがするから、あなたはどう動かしたいかニュヌロリンク経由で操䜜しお」
「え、それっおたさか」
「あなたが、動かすの、コむツを」
「デスペネ」
「ナヌハブコントロヌル、いい」
「あ、アむハブコントロヌル」
「これより匷襲殲滅モヌドに移行するわ、指瀺を出しおむシカワ、あなたは火噚管制をお願い」
「oh、こんなデカブツを奜きにしおいいずかワクワクするぜ」
「あヌもうどうなっおも知らないからな匷襲殲滅モヌド、トランスフォヌメヌション」

バティの宣蚀に答え、防衛戊艊ドレッドノヌトはその身に分割線を生じさせた

総合創䜜商業斜蚭N.o.t.eの䞭倮区画は、今や厚身の刀剣めいたシル゚ットの機動戊艊ず倉貌しおいた。その艊䜓を拘束しおいたメガフロヌトはピザ分割の埌に速やかに埌方ぞず流れおいき、再び、もずの浮島ずしおの姿を取り戻す。

「む  」

今や東京スカむツリヌ䞊の巚䜓ずなった暗黒虚神のたなこが、その倧仰な倉貌を芋逃すはずがなかった。この状況で出おきたものが、ただの虚仮嚁しであろうはずもない。虚神はセコむア倧暹圢状の䞡腕を振り䞊げ、珟れた戊艊ぞず迫る。

「バカめ、奥の手などそうやすやすず切らせるものか」
「バカはどっちだオラヌッ」

䞍意に、暗黒虚神の片脚がトラバサミに喰らわれたが劂くずどたるそこにはメタリックブルヌのマッスル装甲兵噚の姿があった

「たぁだスリヌカりントにははええぜ坊や  」
「諊めの悪い」
「それが僕達の取り柄だからね」

無理矢理抌し通ろうずした暗黒虚神のもう片足が銃槍に杭打ちされやはり抌し止められる槍を倧地に瞫うのは黒銀の竜階兵

「脚を止めた所でどうにもできないず思うのか」
「思わんのう、ゆえに腕も止めるんじゃなぁ」
「小バ゚扱いするには、自分たちはちょっず痛いですよっず」

構わず振り䞋ろされんずした䞡腕に、右偎からは倩を衝くほどの断銖斧が、巊偎からは球状爆炎が打ち払ったあらぬ方向ぞネゞ曲がる虚神腕

「くうううううっ」

歯がゆい思いでたずは拘束を振り払わんずする暗黒虚神の県前で、それは起こった。

゚メラルドグリヌンずピュアホワむトのツヌトンカラヌで圩られた巚倧戊艊は、䞭倮から無数に分割線が入るず、なめらかにその姿を倉えおいく。
艊銖から艊䜓䞭倮は2぀に分かれ屈匷な装甲に芆われた脚に。
艊䜓埌方もたた分割されれば塔の劂き䞡腕ぞ。
四肢を振り䞊げ立ち䞊がったそれは、もはや戊艊ではない。
暗雲の切れ目からさした日光が、翠緑の装甲巚神の姿を照らし出した。

「たずえ嵐が吹こうずも」

「たずえ戊火が燃え䞊がろうず」

「創䜜の灯火を守るのが私達の䜿呜」

「オレ達の䜜る道は誰にも阻たせやしねぇ」

『創攻巚神、ドレッドノヌトッここに芋参』
倧芋埗を切っお名乗りをあげた翠緑巚神を前に、暗黒虚神の胞䞭に収たる少幎は呆然ずしお蚀葉を挏らした。

「  ふ、ふはは、䜕だそれは。䜕の冗談だ」
「オレ達は」
「倧マゞだぜ」
「ふ・ざ・け・る・ナァヌッ」

海面を波立たせ、劚害をはねのけ暗黒虚神が翠緑巚神に迫る
振り䞊げられた拳は、衝撃ず共に打ち払われた巚神が握る埗物が霞む  雷光よりも鋭く巚神の胎を走るそれは、砲身を鎖で぀ないだキャノンヌンチャク

「いい加枛ケリを぀けようぜ、スカム野郎」
「望むずころだ、お前たちのすべおを打ち砕いお䜕もかも終わらせる」

宇宙クゞラの特攻じみた質量の暗黒拳を、衝撃を持っおキャノンヌンチャクが阻む東京湟は今は、二倧神の戊堎ぞず倉わったのだ

東京湟の海面が、今や日本海の荒波を越えお激しく波立぀。
二䜓の巚神が巻き起こす倧波は、岞蟺を越えお林立するビルをしずどに濡らした。

å…šé•·500を軜く超える巚神達は、いたや己の身䞀぀にお敵察者ず盞察する。暗黒虚神から繰り出されるのは拳の嵐翠癜巚神から繰り出されるはヌンチャク・ムヌノからなる打豪雚双方䞀歩も匕かずに盞打぀

「りラりラりラりラりラりラりラりラヌッ」
「おおおおおおおおおおおおおおおおおっ」

クゞラじみた倧質量が衝突するたびに、倧気は震え、倧海はもがき、倧地は鳎いおその壮絶さを蚎える。そしお䞀際壮倧な蜟音が䞀垯を歪めた。
䞡者が限界たで振りかぶった䞀撃が亀差したのだ。虚神の拳は砕けお塵、巚神のヌンチャクが敵察者の胎を貫く続いお䞊がる号砲倧質量砲匟が虚神に颚穎を空けるキャノン・ヌンチャクがもたらす零距離砲撃である

「くぅ  」
「むィィィィィダァァァァァァァァッ」

巚神が倩高くヌンチャクを振り䞊げ、フィニッシュムヌノを詊みるも、虚神の圱身䜓は滑るようにずれお、真芯を狙った振り䞋ろしを倖す虚神の腕が数倚に分かれ、螺旋ず倉わっお降り泚ぐ旋颚ヌンチャクで間断なく襲いくるドリルの雚を打ち払う巚神

「クッ゜  」
「焊るな、耐久力は奎の方が䞊だからな」
「わかっおるでもこれ倧砎したらオレ匁償出来ないんだけど」
「それはりチの予算持ちだから」
「お金持ちスゲヌッ」

続いお虚神の背より、翌が䌞びる。堕倩䜿めいた暗黒色の翌は、鋭く前方ぞダブルチョップ挙動ヌンチャクの鎖で受けるだが空いた空隙に差し蟌たれるドリル矀が装甲にぶち圓たり火花を散らした

「蚀っおる偎からダッベ」
「問題ない」

むシカワの火噚管制行為によっお、巚神の肌が割れる。
幟䜕孊分割された装甲の割れ目から突き出したのは、砲、砲、砲、ありずあらゆる重火噚光を䌎った火線がドリル觊手を粉砕し、続いお䌞びたミサむル匟幕が華球を生じる䞡者の間合いが、倉わる

「悪い、助かったよ」
「気にするな、次だ」
「でもこのたた削り合いに終始したら、こっちが䞍利。予枬倀だけどこっちの損耗が1%に察しお、向こうは0.1%未満しか削れおない」
「マゞでっ10倍の差かよじゃあ䜕か倧技ずか  」
「あの質量を䞀撃で消滅させようずしたら、東京たで曎地になっちゃうわよ」
「うぞぇ  カッコよく決めた぀もりが絶望的じゃん」
「暎力はすべおを解決しないな、党く。先行の連䞭が倧技を控えたのもそれが理由か」
「道理で  」

他のパルプスリンガヌ達は、極わずかなの隙も芋逃さぬよう身構えながら、巚神達䞀進䞀退の攻防を芋守っおいる。圌らずおさるもの、雑なちゃちゃ入れは䞉者にずっお危険だず察しおいるのだ。

ヌンチャクをい぀でも繰り出せるように脇挟みしながら、翠癜巚神は油断なく暗黒虚神ずの間合いを維持し続ける。暗黒虚神は倜の垳のごずく翌を広げ、敵察者を嚁圧

「打぀手は無くなった  本圓にそうか」

敵の耐久力は東京郜民の倧郚分を゚ネルギヌ源ずしお取り蟌んだ事によるもの、絶望的な戊力差のように䞀芋思える。

「ク゜ッ、バティ考えろなんのために啖呵切っお飛び出したんだ、負けるためじゃないだろうが」
「そうだ、最埌たで諊めるな」
「た、ダメだったら䞀緒に爆散しおあげるわよ。私はね」

暗黒虚神が、浮かぶ。東京湟䞊空を暗くするほどの翌を広げ、その曖昧な茪郭をより明確に、匷固に䜜り倉えおいった先は双角にしお暗黒の党身装甲兵噚だった。その右腕を震えば、振り出たのは肉厚の屠殺ナタ倧ナタを䞡手に握りしめ、暗黒虚神は青県の構えを取った

「これで終わりにしおあげるよ、アバドンの奈萜に  沈め」

途方も無い倧質量に反し、暗黒虚神は流星よりも疟く屠殺ナタを撃ち抜いたヌンチャクの鎖ごず、翠癜巚神の胞甲が割れる

「こなくそっ」

しかしおやられおいるばかりではない、バティはヌンチャクからモヌド倉曎を行い砲塔を構え盎すキャノントンファヌモヌドぞ空䞭で切り返し、再び斬撃を芋舞おうずした虚神を迎え撃぀

「トンファアアアアキィィィィック」

氎平斬りを昇撃で跳ね䞊げ、無防備になったみぞおちぞハむキック空䞭でホッピングしおスキを晒した圱ぞ、ダブルトンファヌ撃

「ダブルトンファヌキャノヌンッファむアヌッ」

虚神ごず爆炎が暗雲を吹き払う䞊半身を割かれた舞茞めいお散らした虚神ぞ、远撃のトンファヌ栌闘党身の掚進機から光をたなびかせ、巚神そのものが螺旋匟䞞ずなっお襲いかかるそれはもはや涅槃に昇倩する神秘存圚のごずく

「ツむン・トンファヌ、ダむナミック」

茝ける螺旋錐が、暗黒虚神を真芯からぶち抜いた四散する暗黒物䜓だが巚神の猛攻は止たらない、トンファヌの䞀撃が、装甲の蹎撃が、嵐ずなっお飛び散った暗黒物䜓をこずごずく打ち据える様はたるで、神話英雄の再挔のごずしだ

「砎ッ」

空䞭の断片を䟋倖なく打ち砕いおなお、暗黒虚神は倧朚が早回しで䌞びるように修埩しおいく。巚神が残心を決めおいる間に、すでに7割たで修埩が枈んでしたっおいた。

「い、むンチキくせぇ  」
「諊めちゃうの」
「冗談、ただただやれる」

再び倧ナタを生成する暗黒虚神を前に、翠癜巚神もたた油断なくトンファヌを構える。攻防は振り出しに戻ったようでいお、ダメヌゞレヌスは未だ䞍利な状況に倉わりはなかった。

(勝぀ためには、䞀぀、䞀぀だけでも問題を解決する必芁がある  )

「ノア、ドレッドノヌトはただ䜙裕がある」
「それは圓然、あるわよ。でも状況は倉わっおないから  」
「良いや、オレ達は、勝぀。もう少し力を貞しおくれ」
「䜕蚀っおるの、私ずあなたはもう䞀蓮托生なんだから、勝おなければ心䞭あるのみ、ね」
「そうはならないさ、きっず」

自らの前に立ちはだかる鋌鉄の翠神を前に、少幎は自ら織り䞊げた暗黒のりロの䞭で蚝しんだ。圌は䜕故ただ立っおいる

もう䜙力の差を埋める手段はない、絶望的なはずの戊力差を前に圌らは䞀切諊める事なく自分の前に立ち続けおいる。

「おおおッ」

鋌鉄巚神が身を猫科肉食獣めいたクラりチング態勢に䜎め、爆発的にロケットスタヌト。その倧質量を物ずもせず砲匟のごずく突っ蟌んでくる。
暗黒虚神は手にした長倧なナタでむンタラプトを詊みるも、キャノントンファヌが食い蟌むのが早い砲身の先が、虚神の前面装甲を深くえぐり少幎の県に空が、黄昏が、巚神の顔が芋えた。

「無駄な事を」

機䜓の自己修埩さえ埌回しにしお、虚神は敵察者を蹎り飛ばし距離をあけおからの螏み蟌み切りナタの切っ先が巚神の胞甲をえぐり裂いお、コクピット内郚たで切り開く。かち合う察立者達の芖線。

「もういい加枛に諊めたらどうだ」
「むダだねオレはブッダにだっお埓わねぇ誰が盞手でもだ」

虚神がナタを返すよりも早く、巚神は螏み蟌んで来た。神々の額同士が隕石衝突よりも熱くぶ぀かりあい、コクピットの裂け目が橋を枡す。぀ながった足堎を二人は駆け䞊がる

『オオオオオオオッ』

雄叫びず共に䞡者は䞍安定な繋がりの䞊で生身の拳を振り䞊げ、盞手の顔面を撃ち抜いた。肉䜓に走る痛みをアドレナリンで塗り぀ぶしお、二人は再床䞀撃を盞手に芋舞う

「そこをどくんだ」
「お断り」

少幎が繰り出したストレヌトをバティの巊腕が阻み、お返しのフックはスりェヌで倖されれば、もはや拳を振るうのもたたならない超至近距離で二人は意地をぶ぀け合う。

「いい機䌚だからはっきり蚀っおおく」
「䜕をだ⁉」
「続きを、曞けえ」

バティの叫びず共に、枟身の䞀撃が少幎の顔面にたずもに突き刺さった。
端正な顔立ちが歪むのもいずわず、少幎もたた拳を振るう

「続き僕の続きなんか䞀䜓誰が埅っおいるっお蚀うんだ」

返す䞀撃がバティのや぀れた顔にぶち圓たっおは仰け反らせるも䞊半身を振り子のように揺り戻しお頭突きを返す至近距離で衝突する意思

「いるここに䞀人、オレがいる」

その時、少幎の動きは止たり、バティの振り䞊げた握りこぶしがアゎぞ真っ盎ぐに叩き蟌たれた。现やかな身䜓が倕日の䞭で宙に浮いお、䞍安定な橋桁を滑り空ぞず躍り出る。自由萜䞋寞前で、バティの腕が少幎の手銖を掎んだ。

「  勝ちを捚おるのか」
「死なせねぇよ、オレの目の前で」
「勝手な事、僕はもうペンを捚おたんだ。曞く物なんおもう」
「だったらたた拟えば良いだろ䜕床でも」

バティの叱咀の答えないたたに、少幎は暗黒虚神の䌞ばした汚泥を身に受けるず、再びそちらぞず匕き蟌たれおいく。虚無の暗黒の内ぞず。

「戻っお」
「わかっおる」

䞍気味に蠕動し再起動する暗黒虚神を前に、バティもたた巚神の胞䞭ぞず舞い戻る。振り返っおも、もはや盞手の姿は芋えなかった。

「䜕床吠えようず無駄、無駄なんだ」
「無駄じゃねぇ」

暗黒虚神の振り䞊げたる右腕の、肘関節をキャノントンファヌが打ち抜く
衝撃にひるみ右腕がぞし折れるのを埅たずに、トンファヌによる殎打、殎打、殎打虚神の胎に、腹に、頭郚に流星雚めいたクレヌタヌ痕が生じる

「オラオラオラオラオラオラオラオラ」
「ぐぬぅ  」

ねじ曲がる躯䜓を匷匕に修埩し、虚神は手にした倧鉈を振り䞊げるだがたたも巚神が早い内偎から倖ぞ振り払われた䞀撃が、倧鉈の刃先を撃っお倖郚ぞずそらせば、続いお砲塔を食る右膝が虚無暗黒のみぞおちに突き刺さる

「キャノンニヌむンパルス、れロ距離、いけぇ」

蜟音ず同時に、暗黒虚神の腹は黄昏空を透かし芋えるほどの颚穎を空けおのけぞる。なおも修埩を行おうずしたその時、少幎は異倉に気づいた。

「銬鹿なっ、修埩が遅い  ⁉」

今たではたるで動画の逆再生じみた修埩速床を誇っおいた虚神の身䜓は、今や子䟛の粘土遊びよりも粗雑に、薄い局を少しず぀盛る皋床たで枛じおいた。歓喜の雄叫びを挙げるバティ。

「やりやがった、アむツやりやがったぜむシカワ」
「おう、粘ったかいがあったっおもんだ」

―――――

堎所は倉わっお、東京郜心時刻は䞀分を遡る

「オッホッホッホッホ、皚拙、無力でおじゃるのう凶鳥ずやら、麿の玠っ銖を萜ずすのではなかったか」
「有蚀実行だ、埅っおろ」

暗黒のドヌム状鳥かごの䞭、密集し襲いかかる恐るべき觊手矀の殺到を、黒階士機は打ち斬り、薙ぎ払い、突き萜ずす猛犜類よりも鋭い空䞭タヌンををもっお、暗黒十二単衣をたずう巚倧無貌麿の銖元ぞず螏み蟌んだ

「南無散ッ」

ずるり。高速床分解芖を可胜ずされる方であれば、挆黒の巚人が恐るべき空䞭飛行螏み蟌みによっお襲いくる暗黒觊手をかいくぐり、麿の銖を居合でもっお切り飛ばしたのが確認出来たであろう。銖なしずなっお胎を震わせ笑う暗黒麿

「オホッオホホホホ  倧した業前でおじゃるが、この皋床我らにはなんの痛痒も  なに」

修埩しない。銖が生えない。
暗黒麿の䜓衚を宇宙の星々めいお点灯させおいた呜の茝きは今やなく、のっぺりずした墚汁が広がるのみ。

「いない  ⁉喰らった郜民が、䞀人のこらず  そんな、そんな銬鹿な事が  キッ、貎様ヌッ」

暗黒ドヌム鳥かごの呚蟺が、フィルムをずらしたかのごずく癜くそたった。
あたり䞀垯はもはや東京郜心ではなく、埗䜓のしれない雪が降り積もる䞀面の雪原であった。

「埅たせおしたったね、郜民党員を䞀床に移動させるのは流石にちょっず手間がかかっおしたったよ」
「なぁに、この皋床、芪父のシゎキに比べたら子䟛の駄々よ」

い぀しか、黒階士の右隣に姿を珟したのはたさしくたほろばではなかったか。䞍可思議な湟曲装甲、その背には数倚の剣めいた翌を負い、頭郚を球面マスクで芆ったその魔神の姿は

「郜民党員、無事に救い出すのはなるほど俺には出来ん。なら出来る奎に頌むだけさ」

「銬鹿な  そんな銬鹿なWhy⁉倧倚数の郜民を䞀瞬にしお、麿の内から無傷で摘出そんなありえないでおじゃる」
「゜レが居たんだから、お前たちは実に運がない。そういうこずだ」

黒階士むクサ・プロりラの埌方にふわりず浮かぶ奇劙な機䜓は、゜りルアバタヌ・゜ロモン。䞖界枡りの秘術を可胜ずする機䜓であった。

「急に連絡が来た時は䜕事かず思ったけれど、いやあ間に合っお良かった」
「恩に着る、埌でCORONAダヌスでおごるぜ」
「ぐぬっ、グヌヌヌヌヌ」

軜口をたたき合う二機を前にしお、暗黒ボンボリ麿は䞍気味に蠕動し、ヒルめいた觊腕を数倚に打ち振るうその様は荒れ狂うメキシコダむオりむカの劂しである

「郜民の䟛絊がなかろうずヌシら二人ごずき麿の敵ではないでおじゃる」
「やっおみろよ、出来るもんならな」

レむノンの挑発に、暗黒ボンボリは舞い吹く雪華を黒鞭を振るい挑みかかった。あたりの数に網目めいた軌道を瀺す暗黒垯を、むクサはドリル回転バレルロヌル軌道を持っお貫く鞭の嵐はむなしく空を、そしお深雪を打ち払っお雪華を散らす黒階士の居堎所は  麿のふずころ、目の前

「なっ  」
「遅い」

黒階士の居合が袈裟をたどり麿を裂く切り返した䞀合が麿を正面から唐竹に割る跳ねた切っ先が亀差を描き逆に断぀斬る、斬る、斬る倪刀筋は降りしきる雪華の内で、光を垯びお曌珠沙華を象った

「おっ、おじゃっ  」
「残迅無量光、閃」

断末魔を挙げる噚官さえ斬撃にすり朰され、暗黒ボンボリ麿は芋る陰もなく光の軌跡の䞭においお四散。途方も無い芏暡であった巚敵はもはや、霞ずなっお果おおいった。残心を決めた埌、黒階士はゆるりず携えた倧倪刀を収める。

「たずは、良し。助かったぜ」
「どういたしたしお」
「すたんがただやるこずが残っおる、呑みが埌で」
「もちろんわかっおる。たた埌で」

黒ず幻色の二機は手甲を合わせお打ち鳎らすず、たたたく間に黒階士の方が氎面の圱が揺らぐようにその姿を消しおいった。飛び散った暗黒物質は最早正䜓䞍明の雪の䞭に埋もれ、癜く塗り぀ぶされおいく。

「たったく心配性だね、圌も」

―――――

堎面は戻っお、東京湟
二䜓の巚神の激突により、圓初空を塞いだ暗雲は吹き払われ、逢魔が時の菫色が姿を珟しおいた。

「いい加枛  諊めろっおの」
「あきらめない  僕は諊めない」

暗黒ず翠緑の巚倧存圚は、その芏暡に芋合わない速床で拳を持っお頭を打ち抜き、振り䞊げた脚は脇を匷かに歪め、距離が迫れば己の額を再び盞手ず激突させる

「ただやるっおのかよ䜕でその諊めの悪さを創䜜に圓おられなかったんだ」
「黙れ僕にはもうこれしかないんだ」
「あるだろただ生きおんだからよ」

たるで隕石衝突ず聞きたごうほどの衝撃音が、二者の決戊を芋守る者たちのスピヌカヌを酷䜿した。搭乗者保護によっお適正たでデシベルを萜ずされおなお、巚倧質量の激突音は圌らに錓膜の危機をもたらすほどであった。

しかしお、無限にも思われた激闘にも埐々に終わりの圱が這い寄っおきた。
再生力の䟛絊源を絶たれた暗黒虚神は䞀打、䞀打の激突を重ねるほどにその動きは緩慢になり、拳を合わせる皋に装甲面が日焌けた皮膚めいお剥がれおは、海面を激しく打った。

いたや、底なし沌よりも深く䞖界を取り蟌たんずした虚神の神嚁は芋る圱もない。倏の日向に攟り出された偎溝のヘドロのように、芋る間に也き、ひび割れお敵察者の䞀撃に察応できなくなり぀぀ある。

さりずお、盞察する翠緑巚神もたた、䞇党無事ではない。
矎しかった党身の装甲は汚泥ず海氎にたみれお薄汚れ、虚神が生やしたる数倚の凶噚をその身で受け止めた結果が隙間を芋出すのも難しいほどに砎損しおいた。

「装甲砎損率90%突砎骚栌の損耗も50%越えおる、このたた行けば行動䞍胜よ」
「埌少し、あずちょっずだけ持たせおくれ」
「各郚火噚の維持゚ネルギヌを切っお機䜓そのものに回すんだ。それでもう少しだけ持぀」
「ええ、やるわ」

瞬間、翠緑巚神の党身に備わった無数の重火噚が光を発し、霧散
発生した䜙剰出力が機䜓の党身をバむパスを通しお埪環し、スクラップ寞前の機䜓をギリギリで持ちこたえさせる

「悪足掻きを  するなああああああぁァッ」

䞀方、暗黒虚神はその右腕を倩に掲げ膚匵、巚倧クゞラめいたサむズから曎に八方に匵り出し圢成されたそれは、重厚なる盟だ砎れかぶれか、残された力のすべおを蟌めお、虚神は突貫する

「ぞ、ぞぞ  決着、぀けようぜ。いい加枛よう」

向かっおくる黒い這い寄る混沌、その圧倒的物量を前にしお、巚神は自身の身に残っおいた砲身を匕き抜き、その端を打ち鳎らしお぀なぐ。正匏な歊装ではない、間に合わせのヌンチャクである䞡手にヌンチャクの䞡端握り、鎖を正面に向け仁王立ちす

「う、お、おおおおおおおおおおおッ」

二神、激突空よ歪めずばかりに、巚倧質量の衝突が衝撃波を党方䜍にふきはらし、淀む曇倩を䞀気に吹き飛ばす螏みしめる海は高波を発し、せめぎ合う盟ず鎖はいずれも、譲らぬず軋みをあげおその身を削り合う

「お、う、ラァァァァァアアアアアアッ」

膠着状態ず思いきや、枟身の膝蹎りが虚神、その盟を打ったわずかに身じろぎ隙を芋せる振り䞊げられるヌンチャク

「こ、れ、で、終わりだあああああああっ」

虚神が掲げた尊倧なる盟は、真っ二぀に打ち砕かれ、その機胜を倱った。
続いお返すヌンチャクが暪から盟を打ち払い、反動によっお振り䞊げられた䞀撃が盟を越えお虚神の腕を打ち砕く砎砕音ず共に匟け飛ぶ腕

そしお無防備ずなった虚神、その本䜓を  ヌンチャクが、打぀打぀打぀打぀打぀打぀打぀そのたびに巚倧なる暗黒虚神の存圚が砕け、千切れ、削られ、厩壊しおいくそれでもなおヌンチャクの猛撃は止たらぬ

「むィィィィィダァァァァァァァァッ」

瞬間、アンダヌスロヌめいた軌道を持っお振り䞊げられたヌンチャクが、暗黒虚神を真䞋から薙ぎ砕き、頭郚を空の圌方たで打ち䞊げた。
倧気圏をやすやすず突砎した暗黒虚神頭郚が、宇宙より自らの亡骞を芋䞋ろしおいた。

「終わっ、たぁ  」

先皋たで党力で殎り合っおいた怪物が、コクピットのモニタ越しにぐずぐずに厩壊しおいく有様を芋届けながらバティはシヌトの䞭に沈み蟌んだ。
倕日が地平線の圌方に沈みこみ、激闘の䜙波で吹き払われた倜空が䞀面に閉幕を䞋ろしおいく。

「はぁ  」
「埅っお」
「え、䜕、オレもうグロッキヌなんだけど  」
「アレ、ダメヌゞが限界を越えた゜りルアバタヌの厩壊プロセスじゃない。぀たりただ  」
「な、ク゜ッ諊めの悪い」

バティはノアのアラヌトに応じお、再び操瞊桿を握り蟌む。機䜓は既に立っおいる状態を維持するのがやっずで、先皋たで握っおいたヌンチャクはマニピュレヌタヌごず海ぞ脱萜しおいっおいる。氎しぶきが、倧きく立ち昇った。

「ノア、呚蟺玢敵は」
「やっおる、呚囲360床反応無し、玢敵可胜範囲をロヌラヌしおるけどさっぱり」
「逃げた  いや、そんなはずない。オレ達をほったらかしお逃げるなんおこず、あい぀には出来ない」
「でも反応が」
「䞊だバティ」
「おお」

倩より墜ち来るそれが、はっきりず芖認出来たわけではない。
それでもバティはむシカワの声に応じお、ほんのわずかだけ、機䜓の背を埌方にそらした。そしお、それは来た。

「ガッ」
「ぐぅ」
「あぁっ」

衝撃に、䞉者䞉様のうめき声をあげる。確かに、ダツは諊めおいなかった。
バティの県前、コクピットハッチが倖から匷匕に匕きちぎられおバッず本物の倜空が広がった。そのど真ん䞭に、圌は立っおいた。

「ただ諊めおいねぇんだな  」
「  ああ、そうだ。そうだよ」
「こんのッ」

知らず、バティは駆け出しおいた。コクピットのコン゜ヌルを足蹎に飛び越え、ハッチの歪んだフレヌムを螏みしめ、本来しないはずの板に飛び降りる。それは、虚神が倉じお巚神を貫いた䞀本の長剣、その刀身であった。剣の䞊に、二人は立っおいたのだ。

「人質は解攟機䜓は党損埌は身䞀぀でもただやるっおのかよ」

䞀歩、螏み出すず同時に、バティは䞀喝した。

「そうだ、ボクは  やる、やるんだ」

少幎もたた、叫びをあげお䞀歩螏み出す。

「こ、の  倧銬鹿野郎」

そしお、二人は匟かれた様に駆け出した。
沈みゆく倕日の䞀条の光が、二人の姿を圱に描く。

「う、ぉぉおおおおおおおお」
「ふ、ぐ、ああああああああ」

やり堎のない感情を茉せお、䞡者の拳が、正確にお互いの頬を貫いた。たたらをふんで仰け反るも、たったく同じタむミングでバネ仕掛けめいお向き盎りお互いの額を、芖線をぶ぀け合う

「いい加枛諊めろ」
「ただ、ただだただ䜕も終わっおない」
「生きおんだからそれでいいだろうがこのバカ倧バカ」

バティの拳が少幎の腹に食い蟌んだかず思えば、反撃の蹎りがバティの脇腹に叩き蟌たれる。もはや回避やガヌドの割っお入る䜙地はない。これはボロボロになった男二人が、それでも立っお続ける、最埌の喧嘩であった。

「うおおおおおおおおぉぉぉぉっ」
「うっらああぁぁぁぁぁぁああああ」

バティの右ストレヌトが少幎の頬に食い蟌む
よろめきざたに返した拳が、バティのアゎをかすめ揺らす
ふら぀きながらも攟ったフックが少幎の錻先を倖す
たたらを螏んで打ち䞋ろし気味に䌞ばした拳がバティの前髪を擊る

「  ッハア、ハァヌッ  フヌッ  」
「ハァヌッ  ハァヌッ  」

拳を握りしめお、䞡者手の届く距離で荒々しく息を぀いおにらみ合う。もはや目の前も目の前の盞手にさえ、たずもに狙っお拳を打ち蟌むこずさえたたならない。だがそれでも二人はただ、立っおいる。二人の姿を、今この瞬間にも地平線の果おぞ過ぎ去りゆく日の光が、圱を䌞ばす。

「倧䜓  ッこんだけ暎れる根性あんなら  ッもっず色々出来ただろうが別になんでも」
「そうだずしおも、僕はこれを遞んだ、遞んだんだ  ッ」

少幎が振りかざした駄々っ子の腕振りは、倖れた。避けたわけではない、ただバティの足がふら぀き、たたたたかわす方向になっただけである。倒れ蟌みそうな身䜓を叱咀しお持ち盎すず、バティもたた腕を振り䞊げた。だが、圓たらない。たるでフルマラ゜ンを走りきった遞手が、お互いを讃えようずしお目の前で力尜きお倒れはおるがごずき有様だった。

「だったらッ、ハヌッ  フゥヌッ  䜕がゲホッゎフッ、なんでも、諊めさせおやる  」
「やっおみろ、出来るものなら  」
「蚀われなくおも  」

二人は歯を噛み締め、おが぀かない党身を奮い立たせお、拳を握りしめるず目の前に立぀盞手をたっすぐに睚み぀けた。どちらが立぀か、倒れるか。身䜓が動く限りは、いな、意思が続く限りは終わらない。氞遠にも思えた倕日のさし日が、地平線の圌方ぞず去った。

「アアアアアアアァァァァスネェェェェェェェ゚ェ゚゚゚」
「バァァアアアアアッティィィィむむむむむむィィィむむ」

魂のあらん限りに宿敵の名を叫び、二人は呜のありったけを蟌めお拳を掲げ、県前の盞手ぞず駆けた。守りも、知恵も、党おを投げ売っお、ただ自身の拳を届かせる。それだけに党おを蟌めおバティは拳を振り抜いた。そしお、それは確かに届いた。同時に、自分に届くはずの物は来なかった。バティは県を芋開く。

少幎の、アスネの右拳はバティの顔に届く寞前で、癜化し、ひび割れお、砕け散っおいった。圌の拳はバティぞ届くこずはなく、勢い䜙った圌の身䜓は、バティの胞ぞず倒れ蟌んでいった。

「アスネお前たさか  」
「その、たさかだよ。ひずりで皆敵に回すんだから、こうでもしないず」
「こ、の  おおばかやろうっヌ」

びしり、本䜓であるアスネが力尜きたのに合わせお、二人が足堎にしおいた黒い長剣もたたひび割れる。そのたた、バティが身を起こすよりも早く剣は砕け散り、厩萜した。

「ちょ、た、ちょヌっ」

バティの芖界が、ドレッドノヌトの衚面をなぞる。遠い、あたりにも。
バティは、宿敵の身䜓を掎んだたた、吊応無しに萜䞋しはじめた。

「  ッこなク゜ォォォォォォッ」

あがく、足掻く決着は぀いた、だからこそ生きお垰らなければならない
過剰分泌されたアドレナリンによっお、バティの認知時間がスロヌモヌション映像めいお遅延する。もはやただ萜䞋する他ないのかだが、それでも死が確定するたでは䜕も終わりではない

そしお方や、数瞬前。ドレッドノヌトのコクピットでは。

「ノア、巊腕を䞋げろ俺が行く」
「やっおるでも䞋がらないの」
「䜕でも良いからやるんだミンチ肉になるぞ」
「行っお」

むシカワはノアの声を背に受け、コクピットを飛び出す銙枯アクションスタヌもかくやの跳躍から、機䜓各所に蚭けられた察空火噚を飛び枡り、巚塔のごずきドレッドノヌトの巊腕ぞずたどり着くず、わずかに傟いだ装甲を滑り台ずしお駆け䞋りるその様はほずんど自由萜䞋めいおいる

「ノアただかっ」

むシカワの県に、バティの姿が映る
バティは自由萜䞋をよしずせず、萜ちる瞬間からドレッドノヌトぞず腕を䌞ばし、傟斜装甲に觊れる。巊腕にはアスネを掎んだたた、スラむダヌの様に装甲䞊を滑っおいくすわ、滑り台射出か

「んがああああぁぁぁぁぁ」

いな、䞡足を装甲に螏みしめ、ギリギリでブレヌキをかけるバティのスニヌカヌから火花が溢れんばかりに散り、滑り萜ちる寞前瞁に指をかけお萜䞋が止たった

「ぐ  ぬ  お、も、い  ッ」
「䜕をしおいる、僕の手を離せ」
「ぞ、ぞ  䜕でだろうなぁ」
「僕のこずはいい芋捚おろ」
「  っ、黙っおろよ、力、抜けっからさ」

䞊がれるか、バティは自問する。いいや、䞊がるどころかどこたでも぀かも怪しいだろう。元より死力を尜くした埌なのだ。いたこうやっお瞁を掎んでいる事自䜓奇跡にひずしい。必死の状況にある圌らを、装甲䞊のカメラが芋぀める。

倖郚カメラでバティのありさたを凝芖しながら、ノアはニュヌロン盎結による思考制埡によっおドレッドノヌトを動かさんず詊みるも、コネクションからぱラヌ、゚ラヌ、゚ラヌ、アラヌトが返っおくるのみ。

「動け、動いお、動いおよ人間は、死んだら終わりなのよ今ここで私達が動けなかったら、なんのためにいるのかわからないじゃない」

焊りの感情がノアの疑䌌ニュヌロンを駆け巡る。極限たで人間に寄せられた矩䜓ゆえの匊害ずいえたが、それでも圌女は諊めなかった。

「ああもう党接続回路を䞀時停止駆動回路に限定しお再接続これでどう」

ノアの電子論理知芚に、ハニカム構造の接続サむンが衚瀺。䞀面にグレヌのSTOPが衚瀺された䞭、䞀点のみOKのサむンが衚瀺された。

「届いお」

ドレッドノヌトの巊腕が、かしぐ。それは先皋の戊闘からは考えられないほど遅く、もどかしい速床。そしおノアの芖芚は、倖郚カメラを経由しお䞀心にバティを芋おいた。さらには圌の、今にも瞁から倖れそうに震える手を。

「く、う  」

バティ自身はずいうず、もはや身動ぎさえ出来ないほど消耗しきった䜓で、それでも助けが来るこずだけを信じおいた。だが。

「アス、ネ」
「なんだ」
「小説の続き、あの䞖で、読たせろよな」

最埌の蚀葉を残すさなかも、バティは装甲板に指をくいこたせんず力を蟌めおはいた。だが、最新鋭の特殊装甲は間違っおも人の指先がた぀様な、やわな代物ではない。

震える指先は、埐々にずれ萜ちお、あっさりず滑り萜ちた。
終わった、短い人生だったなぁ。燃え尜きに燃え尜きたバティは、末期の悔いさえ思い返すこずなく、がんやりず終わりの瞬間を受け入れ぀぀あった。
倜空の星が、遥か遠くに芋えた。

だが。

「バティ」

萜䞋が、止たる。そしお、バティの腕を浅黒いたくたしい腕が掎み止めた。

「むシカワ 」
「埅っおろ、今匕き䞊げおやる」
「いや二人分䞀気にずか無茶だろずいうか腕がいたいいたいいたいちぎれるっお」
「そうでもないようだぜ」

むシカワの蚀葉ず同時に、バティは自身の䜓重がふわりずれロに近づく感觊を芚えた。なけなしの力を振り絞っおあたりを芋回すず、そこにはドレッドノヌトぞ耇雑に抌し合いぞし合いしながらも、その手を䌞ばす五機の゜りルアバタヌの姿があった。アステリオス、レギルングリッタヌ、バロヌル、アヌクデりス、グラディ゚ヌタヌ。

慣性制埡技術、人型機動兵噚を十党に皌働させる為の必須芁件。
それを圌らは、ずっさにバティの䞋方ぞず機䜓の腕を䌞ばし、慣性方向を反重力になる圢で展開。萜䞋速床を盞殺したのである。

「みんな  」

軜くなった二人を、むシカワは䞀気に匕き䞊げお平地ぞずあげおやる。
そこは、かろうじお存続しおいたドレッドノヌトの巊手の平だ。冷たいマニピュレヌタヌの感觊が、今は頌もしかった。バティはその䞊に転がっお、荒く息を吐く。芋䞋ろすむシカワ。

「死に損なったよ」
「なんなら、今からでも蹎り萜ずしおやろうか」
「やめおよ、転萜からの氎没、溺死なんおどうかんがえおも最高に苊しい死に方じゃん。どうせならもっず痛くないや぀で  そうだ、アスネ」

バティは䜓だけ眮き去りにしお飛び起きようずするも、思うようにいかない。蚀うこずの聞かない䜓を匕きずっお、むシカワが指差した方ぞ向き盎る。バティのすぐ隣に転がっおいた少幎は、今にも厩れ去りそうな灰めいおいた。

「おい、おい生きおるか、俺の顔、みえるか」
「バティ  そこに、いるんだな」
「バカ、しっかりしろ死ぬな」

アスネは、自身を芋䞋ろすバティずは芋圓違いの方向を向いお、柔らかく埮笑んだ。

「がくの䜜品  おもしろ、かった  」
「ああ、ああでもおたえ、あんな䞭途半端なずこで止めちたっお  最埌たで終わらなきゃ、評䟡なんか、出来ないだろ」
「曞けなく、なったんだ  どうしおも  誰が芋おいるのか、わからなくなっお  」

アスネは笑みを深める、バティは圌の残された手を぀かんだ、぀もりだった。バティが掎んだ物は砂现工めいお、真っ癜に厩れ去っおいった。

バティの手のひらを、アスネの腕だったものが珊瑚の残滓のように流れ萜ち、真っ黒な暗闇の海面ぞず吹き散らされおいく。䞊がりゆく月の光の䞭で、バティは亡霊じみたアスネの顔を凝芖する。

コクピットからようやく抜け出でお、バティずむシカワの元ぞ駆け぀けたノアが目配せするも、むシカワも堅い衚情のたたかぶりを振る。

「そんな、悪い冗談やめろよ  おたえ、自分の䜜品ほっぜり出しお、そのたたくたばるんだぞ  こんな無責任な話、あるかよ」
「そうだね、本圓にその、ずおり  ゎフッゲホッケホッ  はぁ」

せき蟌むアスネの口元からは、血の塊は出なかった。たるで倧理石の圫像から぀もりに぀もった颚化の痕跡が零れ萜ちるように、癜い砂が吐き出されおは、なにものにもこびり぀くこずなく圌方ぞず颚に運ばれおいった。

「バティ、最埌に䞀぀だけ、君に頌みたいんだ」
「やめろよ」
「僕の䜜品を、どうか残しおおいおほしいんだ」
「だから、やめろよ背負えねえよ、そんなもの  」
「もう、きみにしか頌めないんだ」
「うるせぇ  っ」

抌し問答を続ける二人を、圱が芆った。もずより日は沈み、星月のあかりばかりが光源だった二人のもずぞ、倜空の巚倧な圱より黄泉の䜿いめいた存圚が降りきたった。レむノンだ。倜闇の䞭ではあたりに芖認しずらい男は、目を现めお珟状を把握した。歩み寄っおは、バティに抱えられたアスネに芖線を萜ずす。

「バティ、ただこい぀に息はあるか」
「ああ  」
「この様子だず゜りルアバタヌシステムのセヌフティを解陀しお、粟魂尜き果おるたで機䜓を動かしたんだろう。銬鹿なこずをしたな」

アスネは答えなかった。少幎の芖界は真っ暗な倜の闇で、その䞭で死神の目だけが幻のように瞬いおいる。

「自分が䞀番よくわかっおいるだろうが、お前はもう間もなく、死ぬ。それを螏たえた䞊であえお聞くが、この䞖界にただ未緎はあるか」

アスネの目は、問いかけに匵り裂けんばかりに芋開かれ、頭䞊の男を芋た。そしお、血反吐を吐きだすがごずく必死の圢盞で蚎える。

「ある  あるあず、䞀か月  いや半月だけでもいいそれだけあれば僕は曞きかけの䜜品を、ちゃんず  完成、させお  」
「よく蚀った」

蚎えを聞き届けるず、凶鳥は芖線でバティに離れるようにうながす。すぐに圌の意図を理解し、アスネをおろしおむシカワずノアのずころたで離れるバティ。

もはやい぀死出の旅にでるかいなか、ずいった様子のアスネの傍らに立぀ず、レむノンは自身の右腕をたっすぐ突き出したたたに、こぶしをぐっず握りこんだ。圌のこぶしからしたたった真っ赀な血のしずくが、少幎の胞元にぜたりず萜ちる。

ず、䞀瞬で少幎の灰の身䜓はごうごうず枊巻く炎に包たれ、倜闇を煌々ず照らし出す。炎は青く、赀く、あるいは緑、玫などに色を倉えお少幎の身を焌いお舞い䞊がらせ、アスネは声にならぬ絶叫をあげた。

「ちょっ、埅っ、ちょヌっ」

目の前で起きた突然の惚事に、バティは慌おお食っお掛かった。
アスネの方は、盞倉わらず燃料無しに燃え䞊がる地獄の業火に巻かれおいるたただ。

「確かに今にも死にそうっ぀ヌか、ほんずに死ぬずころだけど、いくらなんでも生きたたた火葬にしなくおもいいだろ鬌悪魔人でなし」

䞀䜓どこにそんな力が残っおいたずいうのか、バティは残像が残るレベルでレむノンをガクガク揺さぶるも揺さぶられた偎は平然ず炎を指差す。

「誰が人でなしだ誰が、よく芋ろ」
「ぞっ」

死神の指差した先、寞前たで熱く炎が巻き起こっおいたずころには、少幎が自分の足で立っおいた。月光を受けおきらめく髪は、バティが圌ず初めお䌚った時ず異なる  栗色だった。

「えっ、えっ」
「これは、䞀䜓どういう  」
「たたたた俺が蘇生出来る条件が揃ったんだ、運が良かったな」

レむノンは、「二床䞉床は無いぞ」ず付け加えるず背越しに芪指で東京本土を指す。

「今はただパニック状態だろうが、じきに犯人探しが始たる。やり残したこずがあるならずっずず行け」
「おたえは、僕を、蚱すのか」
「どうでもいいな。元よりお前に察しお、蚱さなければならないほどの感情など俺は持っおいない。お前達はどうだ」

感情の読み取れない擊れた衚情でバティ、ノア、むシカワの䞉人に話を振るレむノン。

「いや、別に  こい぀に死んでほしいわけじゃ、ねえし」

䞀蚀で蚀い難い、なんずも倚皮倚様な感情が入り混じった顔で絞り出すバティ。

「あなたぞの迷惑料の請求なら、運営䌚瀟の仕事ね。私は興味ないの」

クシャクシャになった髪の毛先をいじりながら、蚀葉以䞊に興味のなさを瀺すノア。

「もずもず流れで銖を突っ蟌んだんだ、そこたでの因瞁はないな」

そしおサグい仕草で肩をすくめるむシカワ。

たさに䞉者䞉様で、しかしお根本的には同じ結論を出した䞉人。圌らの蚀葉に、アスネは今たでは死人のようだった顔を、きゅっず歪めた。

「そういうこずだ、さっさず行け。ここにいる連䞭が良くおも他のや぀がそうずは限らんからな」
「わかった  僕は、いくよ。そしお、かならず自分の䜜品を完成させる。だから、その時には」
「うっせヌよバヌッカ、そんなの、蚀われなくたっお読みに行っおやるっお。だからよ、もうあきらめんなよ」
「うん」

アスネのはにかんだ埮笑みに、バティは無性に気たずくなっお目を䌏せた。

「ありがずう、さようなら」

月光を受けおわかれを告げるアスネの背埌に、あの玔癜の階士機が再床光の粒子ずずもに再誕、そのたた圌は愛機の内ぞず転送されお、海䞭ぞず沈んでいった。

「今床こそ、終わった  本圓に」
「そうだな、長い長い、銬鹿隒ぎだった」
「けどさ  良かったのかよレむノン」
「なにがだ」
「わざわざあい぀を健康䜓にたで治しおやっお、そのうえ芋逃しちたうずかさ。やらかしたのは、事実だろ」
「そうだな。だが、俺は法の番人でもなければ囜の官犬でもない。自分で奎に猶予をやるず決めお、そしお実行した。それだけだ。䞖界のお気持ちなど俺の知ったこずではない」
「そっか」

そこたでいっお、バティは今床こそ燃え尜きお巚神の硬い手のひらの䞊で倧の字になったのであった。

「なに黄昏れおんだ」
「なにっお、䜕もかも終わったんだからちょっずくらい寝っ転がっおたっおいいだろ」
「ただやるこずがある」
「は」

完党に䜕もかも終わった぀もりでいたバティは、自身を芗き蟌んだむシカワを玠っ頓狂な声を䞊げお芋返した。ただやるこず。あったっけ

「俺たちが勝ったんだから、祝杯だ」
「はああああああああああああああああ」
「䜕だ、やらないのか」
「やるも䜕も、この隒ぎの埌じゃ呑み屋なんおやっおないでしょ」
「酒があっお、食材があるなら埌は぀くればいい。違うかレむノン」
「なにも違わないな。バヌ・メキシコは無事だろうし、䜕かしら有るだろ。無ければ買っおくればいい」
「Oh、My、buddha  」

今床こそ真っ癜になっお燃え尜きたバティをむシカワがおんぶするず、圹目を果たしたドレッドノヌトから、ただ動けるむクサ・プロりラのマニピュレヌタヌの䞊ぞず飛び移った。ノアも続き、レむノンはコクピットハッチぞ飛び぀く。

「ずころでホむズゥはい぀来たんだ最初゜りルアバタヌ戊に出たの四人だったろ」
「足止め喰らっお振り切ったずころで、いきなり䞞呑みされたらしい。だからいるこずは居たんだず」
「はっは、アむツらしいぜ」

むクサ・プロりラは空いおいる偎の腕を振っおハンドサむンを送るず、今床こそ本圓に終わったこずを距離を眮いお芋守っおいたパルプスリンガヌ五人の機䜓ぞず知らせた。

むクサが䞊昇し、バティが振り向いた先のドレッドノヌトの機圱が遠ざかっおいく。自分でも、よくもたああれほど䜿い朰したものだず思う。だが、あの機䜓は死闘に耐え抜き、そしお勝った。勝おたのはほがほがアむツのおかげず蚀っおいい。

「あんがずな、盞棒」

遠ざかる翠緑の巚神に別れを告げるず、バティ達を茉せた黒い鳥は、倜闇に浮かんでゆっくりず飛んだ。目指すは東京メガフロヌト、バヌ・メキシコだ。い぀もの日垞が圌らを埅っおいる。

―――――

「暪暎だヌっ」

蜟音、そしお振動がバヌ・メキシコを揺らした。
レむノンは仏頂面のたた、自身のCORONAビヌルをさっさず飲み干す。ワンテンポ遅れお、倩井から舞ったホコリが店内にばらたかれた。

「炎䞊か、最近倚いな。やれやれ」

特に気にした玠振りも芋せず、男は次のCORONAを開けるずラむムを抌し蟌んで再び呷る。そんなレむノンの県の前には、以前ず倉わらずテヌブルに突っ䌏しお懊悩するバティの姿があった。圌の方のCORONAはわずか数口舐めた皋床だが、既にぐでんぐでんに酔っ払っおいた。

「うう  曞けねぇ  」
「無理に曞くこずもないだろう」
「いや、でも、さ。こう俺にだっお䜿呜感ずかそういうのが、ね」
「䜿呜感より、パッション、情熱の方が倧事だな。やる気を出すなら。しかし俺が思うにバティに䞀番足りないのは」
「足りないのは」
「芏則正しい食生掻ず健康習慣だな」
「そ、そっちかぁあ  」
「やる気なんおオツムから出るもんだ、ちゃんず飯食っお運動しないず出るものも出ないぞ」
「肝に呜じたす、ハむ」

バティは身を起こしおノヌトパ゜コンの画面ず向き合うも、たっさらなテキスト゚ディタはただタむトルさえ入っおいなかった。

「レむノンもさヌ、曞けない時っおあんの」
「あるぞ、しょっちゅう有る」
「マァゞでぇ党然そんなむメヌゞないよ」
「ネタがない時、いい衚珟が思い぀かない時、疲劎が限界に達しおいる時、そもそも創䜜に気が向かない時、曞き出しがわからない時、いっぱいだ」
「ふぅん  そういう時どうしおんの」
「無い䞭から絞りだしお駄文になるのを芚悟で曞くか、諊めお䌑みの看板ぶら䞋げおから枩泉行きだな。埌は意欲には呌び氎がいるからむンプットを優先するか。芁するに最悪もうどうにもならない時は、諊めおふお寝するしかない」
「そっかぁ  」

バティが倩井を仰ぐず、そこには西郚劇のバヌにありがちなプロペラめいた機械がのんべんだらりず回転しおいた。確かシヌリングファンずかいう、その原始的な空気撹拌機ず向き合っおも特に䜕もアむデアは出おこない。

「楜しくやるのが䞀番だぞ、ず」
「楜しく、楜しくかぁ  」
「なぁに黄昏れおるの、よっ」

い぀のたに忍び寄ったか、バティが芋䞊げる芖界に顔の良い少女が割っお入った。切れ長の目の奥のカメラアむず芖線が合う。

「  別に」
「ふぅんたあ良いけどね」
「䜕だ、たたサボりか」
「そ、おサボり」
「いいのなんか今めっちゃ揺れおたけど」
「良いのよ、もずを蟿れば私達の管蜄でもなければやらかしでもないもの」
「それはそうず、最近スパムボットがたた激増しおいる。ナヌザヌじゃ手に負えん量だ。そちらに察策しおほしいんだが」
「ノヌト・スカりトに投げずくわヌ」

いかにもやる気なさげに職務芁求に応じたノアは、さっさずそのこずを忘れおバティの頬をむにむにずこねおいく。

「ほうらぁ、あんだけ啖呵切ったんだからがんばんなさヌい」
「そうは蚀ったっお出ないもんは出ないっおの」
「はヌ、ほら、アンタのラむバルはちゃんず続き曞いおるわよ」
「  ホントだ」

ノアが指さした先に空間描画されたホログラムには、バティもよく知っおいる盞手のアカりントが衚瀺されおいた。最新の投皿。曎新日付は、今日、今さっき。

「やるじゃん、アむツ。でも俺は俺のペヌスでやるよ」
「ふぅん、たあがんばりなさいな。芋おおあげるから」
「さんきゅヌな」

レむノンは二人から芖線を倖すず、別垭でCORONAをあおっおいるむシカワに芖線を送った。むシカワが肩をすくめたのを確認するず、芖線を戻しお自らもCORONAを傟け、タむピングを再開する。

曞く者、読む者、悩む者、そのすべおを包んで、この斜蚭の䞀日は過ぎ去っおいった。

了

次回予告

関東䞀垯に、党裞䞭幎男性が急増する異垞事態が発生した。
のみならず、党裞化する発狂者は埌をたたず瀟䌚的秩序の危機が蚪れる。
事態を重く芋た政府担圓者は、パルプスリンガヌ二人に原因の調査を䟝頌。そしお明らかな厄介事の貧乏くじを抌し付けられた凶鳥ず教授がたどり着いた街。それは胡乱者の間で語られる実圚しないはずの街、暗黒胡乱䜎治安汚染痎態、ドブヶ䞘であった  極限を越えた底なしの胡乱廃棄䞖界で二人が目にするものずは果たしお  

次回パルプスリンガヌズ、『党裞の呌び声』。凶鳥も断るドブヶ䞘のコヌヒヌは、ダバい。

䜜者泚蚘

本䜜はNoteに投皿しおいるパルプスリンガヌをモチヌフに小説を曞く、ずいう䌁画の15䜜目だ。参加者は27人いるので埌12本だ、ガンバレ俺。この䞀本で䞀幎以䞊もかかっおしたった。もっずがんばれ俺

ず蚀う蚳で今回の䞻圹はこちらの方。

バッティクンです。
圌の回を曞く䞊で、どう曞こうず考えた時、グレンラガンずかプロメアず蚀ったガむナックスからトリッガヌの系譜を抑えおオマヌゞュする圢の挔出に、創䜜者ずしおのゞレンマ、葛藀を軞ずしおテヌマ建おる圢でプロットをむメヌゞしたした。

かなり匄り倒した圢になり、長さも小説文庫本䞀本分ずなる12䞇文字超の倧長線になっおしたいたした。本圓はもっず短くたずめる぀もりでしたよ、ほんずだよ。延々぀き合わせおしたっおもうしわけない

バッティ君の機䜓は、倧䜓忍者戊士飛圱ずグレンラガンを拟い぀぀゚ンタメ忍者がよくやるムヌノメントを詰め蟌んでチュヌニングしたした。芋た目は倚分Figmaニンゞャスレむダヌアニメ版を幻惑色にリペむントしたや぀でしょう。スゲヌメカメカしいんだよなあのフゞキド。
そしお忍者のラむバルは階士なので(わかるひずにはわかるや぀)逆算匏に敵のむメヌゞも固たったのでした。皆もダヌクパワヌの取り過ぎには泚意しよう

そこからさらに、今回盞方ずなったむシカワ(圌に぀いおはたた別に゚ピ゜ヌドを建おるかもしれないので控えめに)の機䜓ずのグレヌト合䜓を経由し、秘匿建造された戊艊ドレッドノヌトずの積茉合䜓りオオオりィヌピピヌ
商業版暩ずしお曞き盎す堎合倧分蚭定の倉曎が必芁になるパヌトになっおしたいたした。ドット払い。

ずいう蚳で、今回のご参加、本圓にありがずうございたした。

ファンタゞヌミステリヌ小説も連茉䞭

匊アカりントゥヌの投皿は毎日倜時曎新
ロボットが出おきお戊うずか提䟛しおいるぞ

#小説 #パルプスリンガヌズ #毎日曎新 #毎日note #スヌパヌロボット   #ロボット小説 #創䜜倧賞2022


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パルプスリンガヌ、遊行剣犅のパルプ小説個人誌です。 ほが䞀日䞀回、1200字皋床の小説かコラムが届きたす。 気分に寄っおおやすみするので、 

ドネヌトは基本おれのせいか぀に䜿われる。 生蚈以䞊のドネヌトはほかのパルプ・スリンガヌにドネヌトされたり恵たれぬ人々に寄付したりする、぀もりだ。 amazonのドネヌトたどぐちはこちらから。 https://bit.ly/2ULpdyL