安心して選べる真昼の一食——地元に寄り添うラッキーバーガー/シェムリアップ【海外での記憶 #20|カンボジア編-04】

旅行ガイドに、
カンボジア発のハンバーガーチェーン店。
「ラッキーバーガー」とあった。
シェムリアップの暑い午後、歩いて店へ向かう。

店はこの中にある。
冷房がよく効き、清潔。
車やバイクの生活の流れが、
そのまま店に入っていく造りだ。
カウンターに立つ。
メニューの並びは世界標準。
バーガー/ポテト/ドリンク/チキンの小皿/デザート。
その端にライスのセットが、
控えめに置かれているのが見える。
一瞬、迷うが
今日は「カンボジア発のハンバーガー」を食べにきた。
バーガーセットを注文。
ついでに、イカリングも頼んだ。
期間限定品のようだ。
支払いのトータルは、日本(当時)より少し安いくらいの感覚。

実食。
一口目で「だいたいマクドナルド」と思う。
バンズの甘み、パティの塩気、ソースの輪郭。
少しだけ粗いけれど、系統は同じで安心する。
「カンボジアのマクドナルドみたいだ」
という、巷の人が言う感想にうなずけた。
イカのリングは衣サクッ、中はむっちり。
下味はひかえめで、ソースをつけるとちょうどいい。
もしマクドナルドなら、
ここはオニオンリングが並ぶのだろう、
と思いながら食べた。
店内を見渡す。
暑い午後、
席は満席ではないが地元の人が目立つ。
買い物や涼みのついでに、ふらりと寄る感じ。
トレイの多くはバーガーだった。
「カンボジアだから米が絶対」ではない。
ここでは、パン(バーガー)が中心に見えた。
ただ、
家族連れやしっかり食べたい人のために、
「ごはんもある」がそっと用意されている。
言い換えれば、芯はパン、そばに米。
この「選べるようにしてあるつくり」が店を使いやすくしている。

メイン通りに出ると、人と熱気がぐっと増した。
通りのKFCは、
入口に「米のメニュー」と、
「チキンとバーガー」を並べた大きな幕。
歩きの観光客にひと目で届く見せ方だ。
駐車場はない。
ターゲットは通りを歩く人、観光客中心だとわかる。

図で見ると、
KFCは観光の核(パブストリート)に面し、
ラッキーバーガーは半歩だけ「北」。
KFCは表通りで「食べ方を前面に掲げる」。
一方、ラッキーバーガーはラッキーモールの中。
買い物や涼みに来た地元の人が入りやすい。
だから、同じ「米」でもメニューの置き方が違う。
KFCは大きく見せて誘う。
ラッキーはメニューの端に置いて「必要ならどうぞ」。
立地の違いが、そのままメニューの置き方に出ている。
——そう感じた。
KFCは呼び込み、ラッキーは受け止める。
呼ぶ店は米を掲げ、受け止める店はそっと置く。
その違いが、真昼の一食を分けていた。
このラッキーバーガーの
「地元らしさ」、「カンボジア発」は、
味よりもメニューの片隅に宿る。
——米がそこにいるか、いないか。
メニューの「片隅」で
シェムリアップ、地元の人に寄り添っていた。
*これは2017年の記録です。
追記|その後
ラッキーバーガーシェムリアップ店は2023年閉店。
プノンペンでは営業継続。
KFCシェムリアップは営業中。
現状のカンボジアにおける、
ファストフード店を紹介した記事によると、
配達アプリが普及し、
立地(モール駐車場/表通り)よりも
「届き方」が選択理由になる場面も増えたと感じる
という指摘もある。
なお、
2025年時点でもカンボジアにマクドナルドの公式店舗は
確認できていない。
(国内紙 Khmer Times・Phnom Penh Post の報道および McDonald’s の国別出店一覧による)。
「カンボジア発のラッキーバーガーよ。まだこれから。これから。カンボジアのマクドナルドへと名実ともに突き進め。」
参考資料:
KFCカンボジア公式/ラッキーバーガー公式SNS など ほか。
注記
本稿は2017年の体験記にもとづく記述です。店舗の営業状況・価格・メニュー・営業時間・取扱品は時期や店舗により変わることがあります。また、外食チェーンの出店状況は変わる可能性があります。
海外での記憶
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#19|長椅子の沈黙——ロータスを訪れたあとで|インド編-04【戻る→】
#00|目次:エジプト編 /カンボジア編/ラオス編/ミャンマー編/インド編
