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長男は、駆け抜けなかった

一昨日の土曜日は、家族で水族館に出かけた。開館とともに入り、空いているうちに鑑賞、早めのランチまでしてしまおうという計画。

次男はこれが水族館デビュー。長男はもう片手で収まらないぐらいの経験者。ただ、水族館との相性はイマイチ。

動物園ならゾウやゴリラやクマへ、穴が開くほどの熱い視線を送り、岩のようにその場から動かなくなる。一方、水族館は想定時間を遥かに巻いて終わってしまう。前回は、ほぼ小走りで展示を駆け抜け、アザラシにも「アザラシだ!」のひと言のみ。街で犬と出会ったテンションと変わらない。唯一、アシカショーだけは腰を下ろして楽しんだ具合だ。

今回は早めのランチまで館内で過ごす計画。せめて小腹が空くぐらいは、水族館を味わってもらいたい。お魚さん、サメさん、アザラシさん。ほんの少しだけでいい、息子へファンサービスをお願いします。

いよいよ水族館に足を踏み入れた。デビュー戦の次男は特有の薄暗さにもビクともせず、目も口も開きながら、お魚たちの歓迎ムードに惹き込まれている。

そろそろ、「次行こ!」の声が聞こえてくる頃か。長男に目を向けると、なんと、目も口もガン開きでじっと見ているではないか。その姿に小さい声で妻と驚きを分かち合った。その後も、ゆっくりゆっくりと歩を進めていく。

途中、私と次男はオムツ替えのため、少しの間、隊から離れた。戻ると、妻と長男はカエルの展示を覗き込んでいる。水槽上の案内パネルを読み、「ドクガエルだって」と後ろから声をかけながら合流した。

「えっ!ドクガエル?毒あるの?」

目を輝かせながら、こちらを振り向き驚嘆する長男。

「どうやって、捕まえたのかな〜」

毒がある生物をどうやって展示にまで漕ぎ着けたかが気になったらしい。「怖いね〜」で済ましそうなところを、ハンター側の技術と勇敢さに目を向けている。たしかに、すごい。

「さっき、カニにも同じこと言うてたわ」

妻曰く、カニの展示を前にしたときも、ハサミに挟まれず、どうやって捕まえたのかを気にしていたらしい。

なるほど。となると、お魚さんたちの展示もその目線で見ていたのか。遊泳する魚たちに目を奪われていたのではなく、この大群をどう捕まえて、どう運んできたか、そのことで頭がいっぱいだったのではないか。

ここでひとつの不安がよぎる。

純粋に水族館が出来上がるまでの過程や労力、捕獲や飼育の術が気になるのなら大いに結構。むしろ、どんどん他の水族館にも足を運ぶし、関連する書籍やドキュメンタリーなども見せよう。

もし、自らの実践に活かそうと、何かのヒントを得ようとしているなら、ランチはいいからすぐに水族館を後にしよう。次の晴れた休日に、ハンターの助手を務めるのは、私しかいないのだから。

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