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META(メタ)#8



当選し、念願の政治家となった、水角堅一(みずかどけんいち)。


この男は突如、「大覚醒」した。
超絶未曽有の論破力が、発現したのだ。

 


この論破力が果たして「変異種としての『異能』の覚醒」だったのか、或いは元々備わっていた能力なのか、それは分からなかった。

また、この男の論破は極端なまでに「嘲笑・否定特化型」で、この男の側から自らの政治思想や政治信念が語られることは、一切無かった。

つまりこの男はどこまでも「嗤い、否定し、ひっくり返す」のみで、配信者時代と変わらず、相変わらず「何がしたいか分からない男」のままだった。


だが仮にそうだとしても、この水角堅一の論破ショーはあまりにも鮮烈で、そして未曽有の破壊力で、見ているものに強烈なインパクトを残した。



* * *



水角は、論破する政治家となりながらも、並行して「発信する政治系インフルエンサー」としての活動も継続していた。

つまり、6195の力で、引き続き狂ったようにバズり続けていた。


いつしかバズりは世論となり、ただの論破ショーは駆逐ショーへと変貌していった。

 


論破に次ぐ論破──

 


正論に次ぐ正論、嘲笑に次ぐ嘲笑──

 


上から目線、喝破、論破、突破──

 


「こんな簡単な質問にも答えられないのなら、政治家なんか辞めて下さいよ(笑)」

「出て行ってくださいよ(笑)」

「見苦しいですよね(笑)」

「時間の無駄ですよね(笑)」

 


水角堅一の論破ショーは社会現象となり、いわゆる古参議員は片っ端から駆逐され、辞職を余儀なくされていった。

「愚問ですよね(笑)」が流行語となり、小中学校では逆ハラスメントが取り沙汰されるまでになった。
職を辞し、自ら命を絶つ教職者までもが現れ、そして激増した。


だがそれでも、この論破ショー、駆逐ショーの強烈な陶酔感の前には何もかもが霞んでしまい、問題視されることはなかった。

 


* * *



水角は、自身の論破ショーを自ら切り取り、自ら配信した。

 


史上空前の、バズりが生まれた。

 


論破をおそれ、そして世論をおそれ、もはや誰一人、水角に意見する者などいなくなった。

「最大政党」「最大派閥」という言葉になど、もはや何の意味も無かった。


当然の帰結として、水角堅一は、内閣総理大臣に就任した。




全会一致で──

 







(以下次号)






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