恋愛短詩集 『きみとぼくのあいだ』 ― 離れていても幸せと呼べるまで ―
はじめに
人はきっと、
誰かと完全に分かり合うことはできない。
同じ景色を見ても、
同じ言葉を交わしても、
胸の奥で感じるものは、少しずつ違っている。
だからこそ、人は傷つき、すれ違い、
時には孤独になる。
それでも――
「会いたい」と思ったり、
「ごめんなさい」を伝えたり、
そっと寄り添おうとしたりする。
その不器用な繰り返しの中で、
人と人は、
少しずつ相手の温度を知っていくのだと思う。
この詩集は、
あるふたりの“出逢い”から始まる、
小さな心の物語です。
そして、
“離れていても幸せ”と呼べるまでの、
静かな恋の記録でもあります。
嬉しかった日。
泣きたくなった日。
雨の日。
帰る場所を見つけた日。
そのひとつひとつを重ねながら、
ふたりはゆっくりと、
“愛”に近づいていきます。
もしこの作品のどこかに、
あなた自身の想いと重なる瞬間があれば、
とても嬉しく思います。
『あいさつ』

第一章|出逢いの景色
あの日、きみは突然、現れた。
まるで五月の日差しのように、
明るくて、爽やかで、少し眩しかった。
はじめはただ、
「ちょっと気になる人だな」
と思っただけだった。
でも、気づけば僕は、
空の色や、雨の匂いや、
街角の小さな景色にまで、
きみの姿を探すようになっていた。
まだ名前のない感情が、
ゆっくりと胸の奥で息をはじめる。
『やっと会えるね』

『シャボン玉』

『会いたいよ』

『眠い』

『ぎゅっ』

『キャッチボール』

『好きと言える幸せ』

第二章|近づくこころ
きみを知るたびに、
僕の心は
少しずつ忙しくなっていった。
会えるだけで嬉しくて、
声を聞くだけで安心して、
触れられると、
世界が少し優しくなった気がした。
でもその一方で、
嫌われたくなくて、
本音を隠したり、
強がってしまう自分もいた。
恋はきっと、
誰かを好きになることよりも、
自分の弱さを知っていく
ことなのかもしれない。
眠れない夜が増えていくたび、
きみは僕の中で、
少しずつ大きくなっていった。
『甘えたい』

『無事でいて』

『きっと大丈夫』

『悲しみに』

『わからない』

『もう二度と』

『会えばわかる』

第三章|雨の日
どんなに大切に想っていても、
心は時々すれ違ってしまう。
優しくなれなかった日。
「ごめんなさい」が言えなかった日。
本当は寂しいのに、
平気なふりをして笑った日。
きみを傷つけたくなかったのに、
不器用な僕は、
その逆ばかり繰り返してしまった。
窓の外では、
雨が静かに降り続いていた。
まるで僕たちの沈黙を、
誰にも気づかれないよう
包み込むみたいに……
『曇りのち雨』

『優しい雨音』

『元気だよ』

『優しいひと』

『生きづらいね』

『幸せだね』

『微笑みを』

第四章|帰る場所
いつからだろう。
僕はきみに、
“恋”だけじゃない何かを
感じるようになっていた。
会えない日でも、
きみを思うだけで少し安心できる。
うまく笑えない日も、
「大丈夫」という声を思い出すだけで、
張りつめた心がほどけていく。
きみはきっと、
僕にとっての“帰る場所”になっていた。
雨上がりの空を見上げながら、
僕はようやく気づきはじめた。
誰かを愛するというのは、
隣に縛りつけることではなく、
安心して息ができる場所を、
お互いの中に見つけることなのだと。
『HOME』

『帰る場所』

『ホッと安心』

『超回復』

『ミモザ』

『特効薬』

『本当のつながり』

第五章|温もり
ちょっと前の僕は、
「好き」という気持ちは、
ずっと一緒にいたいと
願うことだと思っていた。
でも今は、少し違う。
離れていても、
きみが笑っていてくれるなら嬉しい。
無理につなぎ止めなくても、
心のどこかで、
ちゃんと信じ合えている。
きみと出逢って、
僕はたくさん傷ついて、
たくさん救われた。
泣きたくなった夜も、
ひとりで立ち止まった日も、
その先にはいつも、
きみの温度があった。
そして今、
夕暮れの空を並んで見上げながら、
僕は静かに思う。
ああ、
幸せって、
こういうことだったんだね。
『太陽と花火』

『おとなだね』

『霧が晴れて』

『ごめんって言えたら』

『信じる』

『思い出を抱きしめて』

『離れていても幸せ』

あとがき
最後まで読んでくださり、
本当にありがとうございました。
この詩集を書きながら、
僕はずっと考えていました。
「幸せな関係」って、なんだろう――と。
いつも一緒にいること?
強く想い合うこと?
決して離れないこと?
もちろん、
それも大切なのかもしれません。
でも、
本当に大切なのは、
弱さを見せられること。
ごめんなさいと言えること。
相手を想いながら、自分も大切にできること。
なのではないか?
そんなことを、
この子たちが教えてくれた気がします。
人は、ひとりでは生きていけません。
だからこそ、
誰かの言葉や、
微笑みや、
温もりに救われながら、
今日を生きている。
この作品が、
あなたの心にそっと寄り添えたなら、
これ以上、幸せなことはありません。
またどこかで、
お会いできますように。
―― 小森 信(こもりしん)
『追いかけっこ』

追奏
書き終えたあと、
しばらく画面を閉じることができませんでした。
嬉しかった場面より、
雨の日のことばかり思い出していたからです。
優しくなれなかった日。
言葉が届かなかった日。
それでも、誰かを想っていた時間。
この作品には、
そんな不完全な温度を閉じ込めました。
きっと人は、
綺麗な瞬間だけでは、
分かり合えないのだと思います。
それでも――
同じ空を見上げたり、
「大丈夫」と言い合えたりするだけで、
少しだけ救われる夜がある。
この小さな追奏が、
あなたの心のどこかで、
静かに響いてくれたなら幸せです。
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