浅草へタブレット純に会いに行く
以下、Instagramの投稿のキャプションを若干修正・改良したもので、内容は変わりません。
夕方から浅草演芸ホールの寄席、8月中席夜の部へ行ってきました。20日ですから「中席」(月の中旬公演の呼び方)の千秋楽。お盆期間が入っていたので、かき入れ時だったことでしょう。
東京には常時開かれている寄席は4か所、新宿末廣亭、上野鈴本、池袋演芸場、そして浅草演芸ホールがありますが、20年ほど前には前3つ、特に池袋にときどき通っていたことがあります。末廣亭は桟敷スタイルなので長時間は腰が疲れてしまうし、鈴本は前の人の頭で見えにくいし、池袋が一番見やすくてお客さんもやや少なめなのがよかったのです。
その頃浅草演芸ホールは行っても満員で入れないことがたまたま重なって、一度も足を踏み入れたことがありませんでした。寄席に入るには予約ができないので、現地でこういうことは起こりがちです。
今回は、お盆期間を微妙に避けました。木戸銭を3,500円払ってから、領収書にスタンプ押してもらって中へ。
事前にホームページを見た時には、18時からの入場は大人2,500円と書いてあったのになんで1,000円高いの?表記が更新されていないのか、それとも8月中席は特別料金だからなのか?木戸で「あれっ?」と言いましたが、18時以降でもこの値段なんですと言われてしまうと反論はできなくて支払います。
中は古い映画館のような雰囲気が強い。最初は後方で立って待ち、噺家さんの交替時を狙って空席に座ります。椅子も使い込まれた映画館の椅子のようですが、座面が低くかなり古そうなので長時間は疲れが出そうです。幸い、両隣の座席に人が座ったのは比較的短時間でした。
すでに16時40分から夜席は始まっていますが、わざわざ18時に木戸をくぐったのは、この時間帯にムード歌謡漫談のタブレット純が舞台に立つから。タブ純は私が大好きな歌手兼漫談師。かつてはマヒナスターズのヴォーカルでした。ラジオにときどき登場して、似ていないモノマネ(しかも一昔前のラジオパーソナリティなどマイナーな題材)をしながら、その時の喋りの弱々しく高い声とは一転、低音が素晴らしい歌声を聴かせてくれる芸人さんです。最近落語協会に所属するようになって、寄席でも気軽に見られるようになったようです。
予想通り、すべったフリをして爆笑を誘っていました。ほんとタブ純尊敬するわ〜。そしてキュート🩷

語りはボソボソ喋っているのでわかりませんが、歌の部分と似ていないモノマネはよく聞こえると思います。似顔絵がまたシュール。
色物はタブ純含めて3組登場しましたが、珍しかったのは米粒写経。ツッコミのサンキュータツオさんは漫才師でもあり、日本語学者として大学で教鞭を執っているという変わり者。「東京ポッド許可局」というTBSラジオの番組でマキタスポーツやプチ鹿島と面白い話題を語っていて、長く聴いているのでお馴染みの人です。相方の居島一平は初めて見ましたが、芸達者な人でした。2人は共に早稲田大学の落語研究会出身。
落語の方は、私が高座に上がっているところを見た噺家は順番に、柳家小ゑん、古今亭志ん輔、林家三平、林家つる子、柳家喬太郎、春風亭一之輔、林家正蔵(落語協会会長)。
特に話芸に秀でているなあと思ったのは古今亭志ん輔。かつては「おかあさんといっしょ」に登場していた噺家さんで、もう70を越えて大ベテランの味を出しています。「甲府い(こうふい)」で魅せた話のテンポ、声の高低、滑舌の良さ、すべてが一級品でした。もう大師匠です。
すばらしい動画です。高座の収録ロケは浅草演芸ホールです。雰囲気がわかりますね。私もこの動画、今回検索して初めて見ましたが、後半に志ん輔師匠が語る理想の落語とは、ジャズ・インプロヴィゼーションとまったく一緒だと思いました。
辛口で批判を恐れず言えば、昨夜の他の噺家さんの滑舌は私にとっては今ひとつでした。
昔から大好きで、自分と同い年の柳家喬太郎師匠は膝が悪くて立ち座りがしんどそうで、講談の時に前に置く見台(膝隠し)を用意させています。もちろん、人気落語家で上手いはずなのですが、この日は千秋楽で相当疲れているのか(次に出て来た一之輔の冗談話による)、やりたい噺をやる!と言って最後までウルトラマンのネタで突っ走りました。同い年ですから、多少急いだ早口でも全部内容はわかります。
でもちょっとドタバタでしたね。喬太郎の本気はこの噺ではわからない。
トリを務めた新会長の林家正蔵。私より5ヶ月早い生まれですが、ずいぶん貫禄がついて来ました。短髪にも白いものが目立つようになり、頬もややシュッとしてきて、若い頃のこぶ平の時の雰囲気はすっかりなくなりました。でも正蔵と三平の兄弟は似ているようでちょっと違う。もう5代ほど落語を世襲しているサラブレッドです。
正蔵も膝が良くないとか。マクラには柳家権太楼師匠に勧められて飲んだグルコサミンの話をしていましたが、喬太郎と共に早く良くなることを願っています。
喬太郎師匠はまず痩せないとね!(人のことは言えませんが・・)
なんだろう?この日の噺家さんたちの置かれていた状況なのか、寄席という短時間で次々に現れる事情なのか、皆がやや早口、滑舌が今ひとつに感じられてしまいました。
でも、寄席は一番安心です。独演会などはチケット代も高く、奪い合いになります。以前独演会に行ったことのある喬太郎や権太楼の話芸は十分に堪能できましたが、私は定期的な寄席で落語、漫才、漫談、奇術などを合わせて見るのが好きです。
本当はちょっと見てみたいと思っている二ツ目の落語家がいるのですが、それはまた今度にします。
