山の日、らしいね・・
8月唯一の祝日「山の日」。日本山岳会が「海の日」の制定に対抗して働きかけ、お盆休みと接近した11日を祝日にしたことが制定の経緯らしい。
・私と山の関係
私は山国信州・長野県の生まれ育ちで、長野県を離れる18歳までは登山が嫌いだったが(そういう人は信州人に多い)、上京して社会人になってから山を歩くようになったというちょっと変わり者である。でも、中学生の時に学校登山で初登山として北アルプス(飛騨山脈)の燕岳に登ったことがあり、その記憶(最初は忌まわしい記憶だったけれど)が潜在意識の中にあった。社会人になってから友人と同じ北アルプスの常念岳に登ってからというもの、徐々に登山に入れ込むようになった。
・半分仕事、半分趣味で登山
20代後半から、勤務校のワンダーフォーゲル部の臨時手伝いを始め、まもなく正式な顧問になり、生徒が企画した東北山行に付き合い、奥穂高岳や槍ヶ岳にも登った。退職直前まで、生徒が企画してくる山行計画の可否について自分の経験からアドバイスしてきた。
自分の子どもが小さい時に個人的興味からテレマークスキーによるバックカントリーも始めたので、積雪期に登りたい山の下見のために夏山登山もするようになった。少し遠くから山を見ると、山頂よりも山腹の稜線を見て、あそこなら滑れそう、いい斜面だ・・などという空想を巡らせる癖がついている。
子供は、たいがい毎年の夏休みを利用して無理やり山に連れていった。妙高・火打や、安達太良山、尾瀬など東日本の山が中心だった。単独山行だが、バイクツーリングで九州に行った時、ついでに霧島連山の韓国岳や、鹿児島の開聞岳に登ったこともある。
ワンダーフォーゲル部は一般登山者が集中する北アルプスにはあまり行かず、同じアルプスなら体力勝負で幕営(テント)山行が主体となる南アルプス(赤石山脈)や、ひとつひとつが大きい東北の山を転戦することが多かった。南アルプスでは甲斐駒・仙丈ヶ岳と北岳を抱き合わせたり、鳳凰三山と北岳を抱き合わせたりしたし、東北では朝日連峰の縦走や八甲田縦走、八幡平と岩手山を結ぶ縦走などが記憶にある。北海道はなかなか行けなかったが、それでも十勝連峰を縦走したことがあるし、利尻山にはなぜかこの仕事で2回登ったこともある。マイナーな暑寒別岳は雨が強くて諦めた。大雪山旭岳〜トムラウシは歩いたことがない(チャンスがあれば行ってみたい!)。
西日本は白山、四国の石鎚山、赤石山などが対象になったが、2018年7月に白山に2回目に行った時はずっと北の一里野温泉まで下山したことがある。
印象に残っている山行
仕事山行は自分のペースでは歩けず、道迷いのような初歩的なことも起こる。そういう時に自分からリードすることはなるべく避けてきた。そういう点からもストレスがたまるので、プライベートで春と秋には日帰り登山、夏山には山小屋泊や幕営で歩いた。お盆でも空いている南アルプスのマイナーコースを家族で歩いたこともある。
いちばん記憶に残っているのは2010年代後半の登山。50代になって子供が一緒に登山してくれなくなり、結局一人でアプローチしてワンウェイの長い縦走をしたことがあった。記憶にあるものとしては・・
・南アルプス、白根三山縦走(単独)
マイカーで山梨県の奈良田温泉に向かい、そこに車をデポ(登山中荷物を置いておくこと。ここでは下山地が同じ場所)して、バスで広河原、そこから北岳登山、山中2泊で間ノ岳、農鳥岳、奈良田温泉へ。奈良田温泉〜広河原のバスは現在はないはず。北岳〜農鳥岳(白根三山)は中央自動車道からもよく見える。この山行はブログに記録が残っていないので、もう少し前だと思う。
・南アルプス、千枚岳〜悪沢岳〜赤石岳〜聖岳(単独)
マイカーで静岡県の畑薙ダムまで(東京からは半日がかり)。東海フォレストという南アルプス南部の山小屋を管理している会社の送迎用マイクロバスに乗り換えて椹島(さわらじま)へ。そこから馬蹄形(ばていけい)に歩いて千枚岳〜悪沢岳〜荒川中岳〜赤石岳〜聖岳〜赤石ダム湖。山中2泊、前後泊で椹島2泊。一日で千枚小屋から百間洞山の家まで歩いたから、この時はかなり歩くペースが速かった。ただし、南アルプス南部では山頂からいったん標高差400m下ってからまた400m登り返すようなダイナミックな高低差を登り下れるガッツが必要だ。それは山が大きい証拠。赤石ダムからは再び椹島へ戻って一泊してからマイクロバスで下山。これで南アルプスの3,000m級の山は全山制覇(塩見岳はすでに家族で登っていた)した。この時の山行レポートはこちら。
・飯豊連峰主稜線全山縦走(単独)
一番ハードだった縦走ルート。ワンダーフォーゲル部でも行ったことがない。全て避難小屋泊(テントを除く食材と寝具は自分持ち)で、山中3泊。登山口と下山地が大きく異なるので、電車で移動して会津若松駅前のホテルで前泊、翌日5時台の最初の列車で磐越西線を野沢駅まで行き、予約しておいたタクシーに乗って、弥平四郎登山口から主稜線に向かった。標高差がかなりあるのと、登山の初期段階では標高が低いので暑さでバテながら初日は切合(きりあわせ)小屋まで。翌日は飯豊本山、御西岳、大日岳ピストン(同じルートを往復)で御西小屋。3日日は断続的な雨の中、烏帽子岳、北股岳、門内岳を経て頼母木(たもぎ)小屋まで。途中落雷と豪雨もあって、ずぶ濡れになったのと、雷を避けるためにしばらく登山道でうずくまっていた。4日目最終日、朳差(えぶりさし)岳をピストンして、足の松尾根を下って新潟県の奥胎内ヒュッテに下山。
帰りは中条駅までタクシーに乗って、新潟駅経由で新幹線利用。こういうワンウェイ縦走に味をしめた。この時の山行レポートはこちらから。
1日目 2日目 3日目 4日目

・北アルプス裏銀座コース縦走(高瀬ダム〜新穂高温泉、単独)
飯豊連峰縦走と同じ2016年8月下旬、天気を観て北アルプスの最長縦走路にチャレンジ。長野県の山のグレーディングでも一番グレードが高い縦走。私は岩登りよりも、トレイルを二本の足で歩くのが好き。だから槍〜穂高縦走とか、白馬〜鹿島槍縦走なんてのは途中で岩場の狭いキレット(稜線が大きく切れ込んだ箇所)があり、自分の能力を超えているので近づかない。
この時は車で大町市へ出かけ、タクシー会社の駐車場に下山まで車を置かせてもらった。もちろん、あらかじめ予約した同社のタクシーで早朝の高瀬ダムまで行くことが前提。近くの道の駅で車中泊して、タクシーで大町市から高瀬ダム堰堤まで。そこから歩き出し、ブナ立尾根の急登をいいペースで登って烏帽子小屋へ。烏帽子岳ピストン。翌朝、南へ縦走し、野口五郎岳、水晶岳、鷲羽岳を経て三俣山荘泊(10時間近く歩いた)。北アルプスの登山道は、東北の山の登山道に比べて踏まれているし整備もバッチリされているので歩きやすい。ましてや食材も寝具も持たずに小屋泊まりだから楽勝ムード。
トップ画像は三俣山荘前からの槍ヶ岳である。
翌日は三俣山荘から西鎌尾根を登って槍ヶ岳を経由して殺生小屋あたりまで行くか、笠ケ岳へ向かうつもりだったのだが、天気が下り坂で諦め、双六小屋から小池新道を下ってワサビ平小屋で冷や麦をすすり、新穂高温泉へ下山。また大町までバスと列車で車を回収しなければならなかったのが面倒だったが、充実した山行だった。北アルプスって、金さえあれば至れり尽くせりだ。
この時の山行レポートはこちらから。
1日目 2日目 3日目

・東北の百名山を登り尽くすために連日のマイカー登山
2017年と18年にマイカーで東北をめぐりながら日帰り登山を連日こなしてみた。17年の初日は午後から須川温泉側から栗駒山登山。車中泊して翌日は岩手県の早池峰山を午前中に登り、その後移動。午後は秋田県の森吉山の山頂直下まで(実はゴンドラに乗っただけ)。翌日は鳥海山を由利本荘側から登る。さすがに手応えがあった。地元のおじさんと花がきれいなマイナールートを歩いたことが印象的だった。
2017年のマイカー登山レポートはこちらから。
栗駒山 早池峰山と森吉山 鳥海山 月山と蔵王熊野岳 天元台〜西吾妻山

下山して車中泊。さらに次の日は山形県の姥沢から月山登山。最後に、蔵王連峰の地蔵岳〜熊野岳をピストン、下山して米沢駅で妻と落ち合って、その翌日に吾妻連峰の中大巓(なかだいてん)から西吾妻山の散策。

2018年には登り残した会津磐梯山登山と、南蔵王連峰の刈田峠から屏風岳ピストン。秋田県湯沢市まで移動。翌日は東成瀬村から県境を抜けて岩手県側の焼石岳に登山。この焼石岳は百名山には入っておらず二百名山のひとつだが、じつにいい山だった。前年山頂まで行けなかった森吉山のリベンジを果たして終えた。2018年のマイカー登山のレポートはこちらから。
東北で登り残した船形山は一人で登ったが(下山後、熊と出会った‼)、神室山や和賀岳などはまだ果たせずにいる。
そしてコロナ禍で次第に意欲もしぼみ、億劫になってしまった。

人生の上で西日本とはあまり縁がないので、無理して出かけて登ろうとは思っていないし、私は百名山ハンターではない。そもそも富士山には登った経験がないのだ。いつも人のお尻と脚を見ながら、ザレた登山道を延々と登るのは好きではない。変化する樹林帯や池塘、小川やさまざまな地形と、高山植物の間を歩くのが好き。
こうやってみると、いい山が日本全国にたくさん散らばっている。でも今や、どうしても行ってみたいのは大雪山縦走と、北アルプスの笠ヶ岳、南アルプスの仙塩尾根、三伏峠〜荒川前岳くらいしかないかな・・焼石岳のように、自分で気に入った山を見つけて愛でるのはいいが、深田久弥の百名山をありがたがるだけの登山者にはなりたくない。
こんな私の山行は全然大したことはなく、ほんの序の口に過ぎない。八ヶ岳を全山縦走して南アルプスの全山縦走に幕営で挑んでいる若者に山中で出くわしたことがある。もう20日くらい山で過ごしているそうで、身体から野生のニオイが漂っていた。そしてヒザにはぐるぐるのテーピング。こういう人に比べれば、まだまだおとなしい。
なお、一番好きな山は、もちろん鳥海山である。夏は高山植物、春は残雪。庄内平野や秋田平野から見ることができる単独峰で優美な稜線。非の打ち所がない。
祝日としての山の日はあってもなくてもどっちでもいいが(どうせ山に行っても激混みだから)、山を大切にする昔ながらの知恵・習慣は尊重しながら山に向かいたいと思う。山頂ばかりが山ではないので、山麓で山と遊ばせてもらうのも、山を愛でるひとつの手法だと思っている。
