砂山翔のサウナ探訪♯1 サウナセンター鶯谷本店
「無人島にひとつだけ持っていくとしたら?」
よく耳にするこのトークテーマ。
一度も盛り上がった試しはないが、私なら迷わずサウナと答えるだろう。
私が本格的にサウナーとして覚醒したのは、大学生の頃だった。
当時、野球部だった私は、練習の疲れを癒すために近所のスーパー銭湯へ通っていた。
まだサウナブームもなく、「ととのう」という言葉も知らなかったが、その感覚だけは確かにあった。
それ以来、全盛期には週3〜4日サウナに通う生活を送っていた。
「いつか自分のサウナを作りたい」
そう思うほどのめり込んでいた。
そんなサウナ中毒の私だが、オランダに来てからというもの、サウナレスの日々が続いている。
この状況を打破すべく、日本のサウナの記憶にすがることにした。
今回は、サウナセンター鶯谷本店についてお話させていただこう。
サウナセンター鶯谷本店

JR鶯谷駅南口から徒歩5分。
駅前の居酒屋が並ぶ路地を抜けると、サウナセンターの看板が見えてくる。
入口では、ガンダムが出迎えてくれる。
アムロ・レイといえば、「親父にも殴られたことがない人」として広く知られているだろう。
私はというと、小学生の頃、玄関のドアを開けっぱなしにして遊びに出かけ、侵入してきた野良猫に、その日の夕飯になるはずだったブリの照り焼きを食べられてしまい、殴られたことがある。
そんな私に、シャアは
「認めたくないものだな、自分自身の若さゆえの過ちというものを」
と、言うかもしれないが、ガンダムSEED派の私に響くことはない。
そしてこのガンダムは、この施設において後に効いてくることは一切ない。
100%、支配人の遊び心なのだろう。

館内
フロントでシューズロッカーの鍵を渡し、料金を支払い、ロッカーキーを受け取る。
館内着やタオル、アメニティも料金に含まれているため、手ぶらで来られるのが嬉しい。
どうせまた来ることになる。
ここではポイントカードを作っておくことを強くお勧めする。
サウナセンターは、都内最古のサウナ施設である。館内は歴史を感じるレトロな空間が広がっている。確かに、古さはある。
だが、それがいい。
東京にいながら感じることができる、実家のような安心感がここにはある。
浴室
浴室は、小さめの風呂と水風呂のみ。
無駄がない。
最短距離でととのえる動線は見事だ。
サウナ室
サウナ室は昔ながらのドライサウナ。
温度は100度近い。
私は高温のサウナを好むが、ここはただ熱いだけのサウナ特有の痛さがない。苦しさを感じさせない温度と湿度のセッティングは流石のひと言。アウフグースも頻繁に行われている点も非常に良い。
そして、惜しみない拍手を送りたい点としては、サウナ室の前に、水・お茶・氷が用意されているところだ。
このホスピタリティには、流石の私も脱帽である。
水風呂
水風呂は12〜13度ほど。
蒸された体をしっかりと締め、その後の休憩で一気にととのいへと導かれる。
さらに、この施設には「ペンギンルーム」と呼ばれる強烈に冷えた部屋がある。
私はあまり利用しないが、猛暑日が続く夏場には、その真価を発揮するのだろう。
サ飯
サ飯は、燻製カレーに目玉焼きをトッピングしたものをよく食べていた。サウナ後の身体に、燻製の香りが染み渡る。このカレーは、ここでしか味わえない。

それにしてもなぜ、目玉焼きは単体だとそこまで惹かれないのに、何かの上に乗るだけでこうも人を魅了するのだろうか。
普段はその大事さに気づかないが、いるといないでは大きく違う。
目玉焼きとはシブがき隊のフッくんのような存在なのかもしれない。
サウナに入り、カレーを食べる。
休憩所に並ぶ漫画を読みながら、少し眠る。
目が覚めたら、またサウナに入る。
このどうしようもなく贅沢な休日が、私はたまらなく好きだった。
総合評価:★★★★☆89/100惜しみない
サウナセンター鶯谷本店は、サウナに必要な最低限のものが用意されている。
そして、その最低限の質が非常に高い。
歴史がありながらも清潔に保たれた館内。
サウナ室前に用意された飲み物のサービス。
このホスピタリティこそが、長年愛されてきた理由なのだろう。
サウナ室のセッティングは、ベテランの安定感と技術。そして、どこか職人のような無骨さを感じる。
この施設をプロ野球選手で例えるなら、ベイスターズ一筋で活躍した三浦大輔さんのようなサウナだと言っても過言ではないだろう。
日本にいる方は、ぜひ私に代わって足を運んでいただきたい。
鶯谷のガンダムは、あなたを受け入れてくれるはずだ。
SEED派であってもだ。

