【朱に交われば桃になる】

「朱に交われば赤くなる」ということわざがあります。

人は付き合う仲間や所属する環境の影響を受けやすいという意味です。

確かに、多かれ少なかれ、みんなそういうところはありますね。

日本人の得意技でもあります。

これまで、私は、朱に交わって見事に「真っ赤っ赤」みたいな人を何人も見てきました。

その反面、朱に交わっているのに、なぜか「赤」くならず、むしろ、真っ青になっている人も見てきました。

どうやら、人には染まりやすいタイプと染まりにくいタイプがあるようです。

では、どんな人が染まりやすいのか、また、どんな人が染まりにくいのでしょうか。

少し、考えてみます。

私が思うに、染まりやすい人とは、

協調性がかなり強い。

人間関係を大切にしている。

適応力が高く、空気がよめる。

「嫌われたくない」という気持ちがけっこう強い。

他人とのもめごとが嫌いで、少し八方美人的なところがある。

などが考えられます。

このタイプの人は、新しい環境にも馴染みやすく、相手や組織の価値観を理解しやすい。

また、チームワークを発揮しやすく、組織の中で信頼されやすい人が多い感じです。

でも逆に、はっきり断われずに利用されやすかったり、

環境に合わせ過ぎて自分を見失いがちな面もあります。

また、判断基準が「みんながそうだから」とか「トップがこうだから」になってしまい、

内には気を使い柔軟に対応しますが、

案外、外に向けては柔軟性を欠く危険性をはらんでいることも少なくありません。

一方、染まりにくい人とは、

自分の価値観が、比較的はっきりしている。

周囲に流されにくい。

ある種の信念を持っている。

必要なら多数派にも反対できる。

人づきあいがめんどくさい、または苦手。

などが考えられます。

このタイプの人は、「自分らしさ」を失わず、不正や間違いに流されにくいです。

また、独創的な発想が生まれやすく、組織のリーダーになりやすい人が多いように感じます。

でも、逆に、頑固だとか、協調性に欠けると誤解されやすいです。

また、周囲から孤立しやすく、他人の助言を受け入れにくい危険性を秘めていることが多々あります。
 
結論は「染まりやすい」か「染まりにくい」か、だけでは良し悪しは決められないということになります。

ただ、極端にどちらかに偏り過ぎるのは良くないと思います。

偏り過ぎは、危険です。

私の理想は、外見は「染まりやすく」見えて、内面は「染まりにくい」というタイプですかね。

良いものは素直に取り入れ、間違ったものには流されない。

しかし、これは、なかなか簡単なことではありません。

若い頃、「素晴らしいなぁ」と思える姿勢で生きている人に、会ったことがあります。

その人は、

自分の軸を持ちながら、学ぶ姿勢を失わない人で、

環境や組織と調和し、成長の力を得ながら、自分らしさを守ることができる人でした。

今でも、【ベストスイング】だと思っています。

こういう人は、環境と仲良くしてます。

人は、好む好まざるにかかわらず、環境によって影響を受けます。

豊かにもなるし、場合によっては、のみ込まれて、苦しくも辛くもなります。

「人は社会的動物である」(古代ギリシャ哲学者アリストテレス)

人間は言葉を使って、善や悪を分かち合い、共同体を作る性質があるという考え方です。

しかし、最後に人生を決めるのは、環境そのものではなく、

その環境をどう受け止め、

何を選び取り、何を捨てるか、なのだと思います。

はっきり言うと、【自分を壊してまで尊重する環境なんてありえない】ということです。

だからこそ、【個性】だけは失いたくないのです。

【個性】は自分の色であり、存在の証です。

影響は受けても、自分自身は失わない。

そんな、柔らかな変化です。

アニメで言うなら、「ポニョ」みたいな感じでしょうか。

考えてみてください。

みんな赤だったらどうでしょう。

確かに協調性は生まれます。

同じ方向を向きやすくなり、トップが管理もしやすくなります。

しかし、その代償として、新しい発想や進歩は生まれにくくなります。  

いや、そんなことより、息苦しくて、楽しくありません。

赤もいる。

青もいる。

黄色も。

灰色だっていい。

違う色同士が交わることで、これまでなかった新しい色が生まれるのです。

【朱に交われば、桃になる】

くらいがちょうどいいかもしれません。

ところが、組織というものは、ともすれば、

【和をもって尊しとなす】

を都合よく解釈しがちです。

また、企業によっては、

【利をもって尊しとなす】

みたいな、姿勢のところも、今だに多くあります。 

桃色や少し違う色というだけで

【異物あり】

と判断されてしまう。

そして、赤に染めようとする。

そう扱われた方も居心地の悪さを避けるために、いつしか組織の色に染まっていく。

そして、「仕事だから」と言い聞かせる。

それが、安定を生み、利益を上げやすいのも事実なのかもしれませんが。

気がつけば、桃色はいなくなり、 【赤一色の世界】ができあがっている事も稀ではありません。

【組織とは、人を豊かにするものでなければ存在意義はない】が私の思う絶対必要条件です。

そして、私は、強く思うのです。

【いろいろあって、それでいい】

違いがあるから、学べる。

違いがあるから、認め合える。

違いがあるから、自分といぅ存在を全体の中の一つとして位置づけることができる。

朱に交わったからといって、全身を赤くする必要はない。

かといって、朱に交わりながら、ひたすら青くなろうとする必要もない。

大切なのは、朱に交わりながら、周りの色を受け入れながら、自分の色まで失わないことです。

【何色に染まるかではなく、どこまで染まるか】です。

そして、最後にどんな色を【自分の色】として残すか。

そこが、大切だと思います。

そして、歩幅を合わせるために、交流が生まれるのです。

そんな個性豊かな人たちと,たまには、一緒に酒を酌み交わすのです。

【酒に交われば、赤くなる】

ってね。

          (完)

次回予告
8月15日(土曜日)

  短編    「LAWSON   GIRL」

お楽しみに!  
  別の惑星から来た生命体より


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